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絵とき「治具設計」基礎のきそ

定価(税込)  2,376円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07075-4
コード C3053
発行月 2013年05月
ジャンル 機械

内容

製造工程で加工物を固定し工具を制御・案内する治具は多量生産に不可欠な「縁の下の力持ち」であるが、加工する製品に合わせて現場で設計・製作されるため実際のモノづくりがわかっている人でなければ教えることができない。本書は治具設計の初心者向けに治具設計の基本と心得を解説する。

牧野雅和  著者プロフィール

(まきの まさかず)
1989年、職業訓練大学校(現・職業能力開発総合大学校)機械科卒業。
同年、ソニー浜松(株)入社。
1992年、矢崎部品(株)入社。
1998年、牧野機械設計事務所を立ち上げる。
小型・中型機械の設計・製作を行う傍ら、高度ポリテクセンター(千葉市)、ポリテクセンター中部(愛知県)などで部外講師として勤務。

目次

はじめに

第1章 治具とは
1-1 ジグと治具と取付具
1-2 治具の目的
1-3 従来の治具の構成要素
1-4 現在における治具の構成要素

第2章 機械における治具の役割
2-1 機械の構成
2-2 機械を構成する最小単位「作業ユニット」
2-3 作業ユニットの基本構造
2-4 WT-MACS
2-5 自動化の4要素「MACS」
   -いかにツールを動かすかの工夫
2-6 その他の要素「WT」
   -いかにワーク、ツールを動かさないかの工夫
ちょっと一息
サーボモータを使用した1軸アクチュエータ

第3章 位置決め
3-1 位置決めの基本的な構成要素
3-2 基準定めの考え方
3-3 移動の規制
3-4 基準を定める
3-5 基準を定める
3-6 不安定な支持
3-7 基準にするのは面である
3-8 位置決め機構と移動の規制
3-9 2本のピンによる位置決め機構
3-10 こじれの問題とワークガイド高さ
3-11 こじれないための一般的条件
3-12 イコライザの原理
3-13 支点を機能させるために
ちょっと一息
イコライザの応用

第4章 ワークガイド
4-1 ワークガイドの働き(1)案内
4-2 ワークガイドの働き(2)位置決め、受け
4-3 ガイドの形状
4-4 ガイド形状を決めるために
4-5 クリアランス
ちょっと一息
ガラスを割るのは力?

第5章 治具クランプ
5-1 クランプとは
5-2 治具クランプの原則
5-3 治具クランプ機構の条件
5-4 治具クランプの機構例

第6章 クランプの力学
6-1 摩擦力
6-2 滑り摩擦
6-3 転がり摩擦
6-4 くさびによる締結力
6-5 ねじによる締結力
6-6 トグルクランプ
6-7 トグルクランプの注意点
6-8 簡単なクランプ例
ちょっと一息
エアシリンダでクランプ?

第7章 治具設計の心得
7-1 基準を常に明確に
7-2 何よりも位置決めを真剣に
7-3 ワークとツールを徹底的に調べる
7-4 仕様書を作成する段階で設計は始まっている
7-5 加工工程、組立工程、微調整工程  全てを考慮して設計する
7-6 様々なメカニズムの特性を知ろう
7-7 見た目にまで気を遣おう

《エピローグ》ものづくりのための治具

索 引

はじめに

 治具は、機械の中の非常に重要な要素である。しかし、治具および治具設計について書かれている書籍は非常に少ない。
 本書は、これから治具設計を学ぼうと志している機械設計者のために、現場経験で培った著者の知識を伝えるためのものである。特にその中でも治具設計の基礎に焦点を定めている。そのため、「治具とは何か?」「位置決めとは何か?」「クランプとは何か?」というような言葉の意味から始めることにした。そして治具が機械の中でどのような役割を果たしているかを理解することで、治具設計の意義を知っていただきたい。
 著者は主に機械設計を生業にしている町の機械屋である。大学の講師でもなく、技術士の資格を持っているわけでもない。日本全国どこにでもいる、企業から生産設備の設計、製作を依頼されて、それらを製造している油にまみれたおじさんである。
 著者の平均的な1日を紹介しよう。朝の庶務の後、まず現場に出かける。現場での組立手伝い、微調整作業、修理、改造、不具合改善、打ち合わせなどを行う。著者にとっての現場は1カ所ではないから、日によっては数カ所を転々とする。これらの作業が午前中で終わることもあれば、夜までかかることもある。その後、事務所に戻って設計作業を行う。終業時間はご想像にお任せするが、電話の来ない時間帯にする設計作業は集中できるので、非常に効率がよい。
 著者は千葉市や愛知県のポリテクセンターでセミナーの講師をしているが、こうした日常から、著者の行っているセミナーは現場の知識が中心である。実際にものに触れ、動かして失敗する。その不具合を何とか改善して、ユーザーが満足する形にする。その経験から自分なりに積み上げてきた知識をセミナーという場で紹介しているのである。悔しいことに、セミナーに参加される受講者が一番目を輝かせて聞くのが、著者の失敗談である。どうも他人の失敗は大変面白いらしい。しかし、著者の知識は失敗から生まれているから仕方がない。
 失敗の原因を突き詰めていくと、ほとんどの場合、基礎的な事柄を軽視していることに気付く。また、そのような失敗に対処していると、「基礎的なことを軽視しない」というのは自然に逆らわないということなのかも知れない、と思うようになった。そんな気持ちで古くからあるメカニズムに接すると、これらが非常にシンプルで、何よりも自然に逆らうことなく動いているということに気付かされた。そして、今、著者が機械設計において常に心がけているのは、次の2点である。
 ① 自然に逆らうことなく、自然の法則に則って機械を動かす。
 ② 古くからあるメカニズムを真摯に学び、それを基礎として新しいものを考察する。
 この2点を身近なところで感じられる事例として、本文中の「ちょっと一息」にいくつか紹介してあるので、そちらも併せて参考にして頂きたい。
 最後に、本書の出版にご尽力していただいた日刊工業新聞社の関係各位のご支援に対し、この場を借りてお礼申し上げます。

2013年5月 
牧野 雅和  

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