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2020年、電力大再編
―電力改革で変貌する巨大市場―

定価(税込)  1,944円

編著
サイズ A5判
ページ数 184頁
ISBNコード 978-4-526-07082-2
コード C3034
発行月 2013年05月
ジャンル 環境 ビジネス

内容

大震災や自民党政権の復活を受けて、日本のエネルギー市場は大きな転換を迎えようとしている。本書は原子力、再生可能エネルギー、電力自由化という3つの重要政策の行方に注視し、2020年頃に開花する巨大エネルギー市場の新ビジネスを提言していく。

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目次

パートⅠ 電力政策の行方
第1章 どうなる原子力発電
1 原子力発電政策の問題点
2 原子力発電のガバナンス
3 増大する原子力発電のコスト
4 原子力発電の行方

第2章 見直し必至の再生可能エネルギー
1 バブルの固定価格買取制度
2 経済性重視の再生可能エネルギー政策を
3 期待される再エネ地域プラットフォーム

第3章 時代先取りの電力自由化を
1 電力自由化の歴史
2 成長戦略としての電力自由化
3 電力自由化の行方
4 鍵を握る東電改革

パートⅡ 次世代エネルギー事業者
第4章 エネルギー市場の将来を占う
1 電力市場に影響を与える要素
2 2020年の電力市場

第5章 次世代を担うエネルギー事業者
1 クロスボーダー電力供給事業者
2 需要サイド・ビジネス事業者
3 総合エネルギー事業者
4 電力取引事業者
5 エネルギーファイナンス事業者
6 コミュニティ・エネルギー事業者
 

はじめに

異次元の金融緩和は、数年間坂を転げ落ちるようだった日本経済に明るさを与えた。一歩間違えれば深刻な副作用を伴うリスクのある政策だが、日本の転落を止めるのにリスクの低い政策などあり得なかった。だとすれば、今の日本がすべきことは、異次元の金融緩和が生み出した期限付きの盛り上がりの間に、日本経済を引っ張る次のランナーを引きずり出すのに集中することだ。それが、成長戦略であり、要となるのが規制緩和であることは既に国民的な合意となっている。
 しかし、成長戦略に関する政府の姿勢は必ずしも一枚岩ではない。農業、医療、公共サービス、エネルギーといった大規制市場の動きはまちまちだ。農業については、TPPへの交渉参加は決まったものの、固く閉じた既得権の扉が開く様子はない。医療業界の扉も同じくらい固いように見える。公共サービスの分野では、相変わらず、制度改正が個別分野にとどまり、市場が大きく拓ける期待を与えられていない。
 これらに対して、エネルギー分野では、大胆な規制緩和が方向づけられた。2012年末に、自民党が政権を奪回した時、民主党時代に作られたエネルギー分野での改革の歩みが止まるのではないか、と懸念した関係者は多い。しかし、電力自由化にしても、再生可能エネルギーの固定価格買取制度にしても、原子力発電の安全基準にしても、動きが止まることはなかった。エネルギー問題が政権のイデオロギーを超え、日本の最大級の課題であるとの認識が共有され、解決の方向性がおおむね合意されつつあることの表れと言える。
 他の大規制分野に比べてエネルギー分野の規制改革が先んじた背景には、東日本大震災と福島第一原子力発電所の事故があることは言うまでもない。これだけの災禍が無ければ変わることができなかったのか、と悲しくなる面もあるが、この国の置かれた時代を背負い、次世代の扉を開けることに力を注がなくてはならない。エネルギー業界の裾野は広い。改革に成功すれば、日本経済の成長に貢献することは間違いないだろうし、改革が進まない他の分野の範にもなる。
 2000年、電力の小売り事業が部分的に解禁された時、多くの人が次世代市場が生まれることを期待した。しかし、政官財学の鉄のカルテットの壁は厚く、志を秘めながらも夢破れることとなった人は少なくなかった。それから10年が経ち、日本の置かれた立場は変わった。経済規模で中国に抜かれ、一部の産業は韓国などの後塵を拝するようになり、立ち止まっていれば、衰退か破たんが免れないことを多くの人が自覚している。そうした時代認識と東日本大震災以来続くエネルギーシステムへの危機感が、50年に一度の改革を後押しした。多少の妥協はあっても、改革の流れが止まることはあるまい。
 本書は、こうした理解を踏まえ、まずはパート1で、原子力、再生可能エネルギー、自由化の行方について論じた上で、パート2で、2020年のエネルギー市場と期待されるビジネスモデルを示す、という構成とした。将来とビジネスのことであるから、独断と偏見が含まれている、との指摘は免れまい。しかし、国際的な背景を踏まえた重要政策の行方やこれまでの事業経験に根差した提案などにはいくばくかの示唆があれば幸いである。
 本書の執筆に当たっては、株式会社日本総合研究所創発戦略センターの瀧口信一郎君、松井英章君に一部担当をお願いした。年度末に激務の中、執筆に付き合っていただけたことに厚く御礼申し上げる。
 日刊工業新聞社の奥村氏、三沢氏には企画段階からお世話になった。長きにわたり、ご支援いただいていることに厚く御礼申し上げる。
 最後に、筆者の日ごろの活動にご支援をいただいている株式会社日本総合研究所に厚く御礼申し上げる。

2013年  立夏
井熊 均 

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