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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしい歯車の本

定価(税込)  1,512円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07063-1
コード C3034
発行月 2013年04月
ジャンル ビジネス

内容

歯車は機械の動くしくみを設計するときに欠かすことができない代表的な機械要素。定番の歯車として、平歯車、はすば歯車、ウォームギアなどがある。本書は、歯車の技術史、設計・加工の基礎、先端技術など、幅広いテーマをわかりやすく紹介する。

門田和雄  著者プロフィール

(かどた かずお)
東京学芸大学教育学部技術科卒業
 東京学芸大学大学院教育学研究科
  修士課程(技術教育専攻)修了
 東京工業大学大学院総合理工学研究科
  博士課程(メカノマイクロ工学専攻)修了
  博士(工学)
 現在、東京工業大学附属科学技術高等学校
  機械システム分野教諭
●主な著書
『絵とき「ねじ」基礎のきそ』
『絵とき「機械要素」基礎のきそ』
『絵とき「ロボット工学」基礎のきそ』
『絵とき機械用語事典(機械要素編)』
『トコトンやさしい「ねじ」の本』
『トコトンやさしい「制御」の本』
(以上,日刊工業新聞社)

『暮らしを支える「ねじ」のひみつ』
『基礎から学ぶ機械工学』
(以上,ソフトバンククリエイティブサイエンスアイ新書)

など多数

目次

第1章 歯車の世界―五円硬貨から国旗まで―
1 歯車とは「回転運動を伝える歯の車」
2 歯車のはたらき「2枚を組み合わせて1つのはたらき」
3 大きい歯車「原動機の動力を伝えるために」
4 小さい歯車「精密なかみ合いで位置決めを」
5 五円硬貨に描かれている歯車「工業の象徴としてデザインされた歯車」
6 国章や国旗に描かれた歯車「歯車は労働による生産活動の象徴」
7 チャップリンが描いた歯車「モダン・タイムスは喜劇映画の代表作」
8 歯車の工業規格「日本工業規格で規定されている歯車」

第2章 歯車の誕生と改良の歴史
9 歯車の起源は摩擦車「表面の摩擦を利用して伝動する摩擦車」
10 中世の機械時計の歯車「宗教活動から広まった機械時計」
11 ダ・ヴィンチが残した歯車のスケッチ「万能人は歯車やねじなどの機械要素の父」
12 鉱山や井戸で活躍した歯車「アグリコラとラメリの活躍」
13 歯形の研究「かみ合う歯車のトルクと回転速度」
14 サイクロイド歯形の歴史「時計歯車の父、カミューが考案した歯形」
15 インボリュート歯形の歴史「実用面で優れたインボリュート歯車」
16 気機関に用いられた遊星歯車「ワットがクランクの代わりに採用」
17 指南車の歯車「仙人が常に南を指すメカニズム」
18 和時計の歯車「不定時法の時計の歯車」
19 江戸からくり人形の歯車「歯車技術をさまざまなからくりに応用」
20 日本における歯車研究の発展「日本機械学会における歯車研究の進展」

第3章 歯車にはどんな種類があるの?
21 歯車のピッチとモジュール「かみ合う歯車はモジュールが等しい」
22 歯車の各部名称とバックラッシ「歯幅、歯末、歯元など」
23 歯車のかみ合い率と圧力角「騒音や振動を減らすための理論」
24 平歯車やはすば歯車「二軸が平行な歯車(1)」
25 やまば歯車と非円形歯車「二軸が平行な歯車(2)」
26 傘の形のかさ歯車「二軸が交わる歯車」
27 いも虫の形のウォームギヤ「ハイポイドギヤは自動車の駆動ギヤ」
28 王冠の形の冠歯車「ねじ歯車やスプライン、セレーション」
29 理論的に正しくかみ合う標準平歯車「歯車の互換性のために」
30 歯の干渉を防ぐ転位歯車「歯車の最小歯数は17 」
31 歯車が付いた歯付きベルト「ベルトが滑らず良いタイミングで回転」
32 ラチェットとゼネバストップ「一方向運動や間欠運動のメカニズム」

第4章 動きと力を伝える歯車のしくみ
33 速度伝達比「複数の歯車で回転速度を変換」
34 歯車列のはたらき「回転速度とトルクの変換」
35 減速歯車装置「回転速度を下げてトルクを上げる」
36 便利なギヤードモータ「決められた減速比のギヤヘッド」
37 増速歯車装置「回転速度を上げて大きな電気を得る」
38 自転車の変速歯車装置「内装3段と外装6段が一般的」
39 自動車の変速歯車装置「マニュアルとオートマの二方式」
40 遊星歯車装置「太陽歯車、遊星歯車、内歯車」
41 差動歯車装置「出力を異なる2つの速度に変換」
42 ウォームギヤ歯車装置「コンパクトで大きな減速比」

第5章 歯車を動かすための設計法
43 歯の曲げ強さ「歯車の強度設計(1)」
44 歯の歯面強さ「歯車の強度設計(2)」
45 歯車各部の設計「強度設計の後で決める事項」
46 減速歯車装置の設計(その1)「減速比に対応した歯車の組み合わせ」
47 減速歯車装置の設計(その2)「強度設計の後、歯車の材料を選定」
48 歯車の製図「JISにある歯車製図の簡略図」
49 歯車の軸「軸の直径とはめあい」
50 歯車の穴と軸の締結「キーのはたらき」
51 歯車の軸受「転がり軸受と滑り軸受」
52 歯車の潤滑油「歯面の摩耗や焼き付きを防ぐ」

第6章 実際に歯車を作ってみよう
53 機械加工の種類「歯車加工に適するものは」
54 歯車加工の歴史「歯切り機械の発展史」
55 歯車のブランク加工「歯車加工の第一歩」
56 成形法による歯切り「歯を1枚ずつ削って成形」
57 創成法による歯切り(その1)「ピニオンカッタとラックカッタ」
58 創成法による歯切り(その2)「回転する工具のホブ盤」
59 創成法による歯切り(その3)「ウォームとウォームホイール」
60 歯車工場の見学「ホブ盤による歯切り工場に潜入」
61 その他の歯車加工「ブローチ加工、プレス加工、焼結加工」
62 歯面の仕上げ「シェービングと歯車研削」
63 歯車の熱処理「金属を硬く、粘り強くするために」
64 歯車の表面処理「歯面の浸炭と窒化」
65 歯面の摩耗と損傷「さまざまな要因で発生」
66 歯車の精度「歯車の精度等級は13段階」
67 歯車の測定「歯厚マイクロメータや歯厚キャリパ」
68 歯車の振動や騒音「振動や騒音の検出と分析」

【コラム】
●歯車の小説
●簡単な歯車工作
●スチームパンク
●レゴの歯車を用いた工作
●産業遺産の歯車
●レーザ加工による歯車成形

参考文献
索引

はじめに

 歯車は機械の動くしくみを設計するときに欠かすことができない代表的な機械要素です。滑らかにかみ合う歯車の形状は、複雑な幾何学を用いて、多くの人々によって研究されてきました。また、理論的にかみ合う歯車を製作するための工作機械の開発も、多くの研究の成果として実現されてきました。そして、現在では平(ひら)歯車、はすば歯車、ウォームギヤなど、いくつかの歯車が定番として流通しています。一方で、現在でも動力伝達を強く滑らかに伝えるために、歯車の研究開発は進められています。
 1章では「歯車の世界―五円硬貨から国旗まで」として、身近な歯車の話題を取り上げます。五円硬貨に歯車が描かれていることや、国旗・国章に歯車が用いられている国があることをご存知でしょうか。
 2章では「歯車の改良と誕生の歴史」として、歯車の起源となる摩擦車やダ・ヴィンチが残した歯車のスケッチ、インボリュート歯車などの歯形の歴史、また日本の技術史のなかで、指南車(し なん しゃ)や和時計に用いられていた歯車をたどります。歯車がどのように生まれ、どのように工夫や改良がされてきたのかがわかるはずです。
 3章では「歯車にはどんな種類があるの?」として、歯車の各部名称や歯車がかみ合う条件、平歯車やはすば歯車などの分類などを行い、機械工学の中で歯車を学ぶ基礎事項を身に付けます。今後、本格的に歯車を学んでいくための第一歩になる章です。
 4章では「動きと力を伝える歯車のしくみ」として、速度伝達比や減速歯車装置、歯車を組み合わせた各種の歯車装置を取り上げます。歯車を組み合わせることで、どのような動きを作り出すことができるのかを学んでほしいと思います。
 5章では「歯車を動かすための設計法」として、歯の曲げ強さや歯面強さなどの歯車の強度設計、また減速歯車装置の設計など、機械設計としての歯車を取り上げます。機械設計においても重要な役割を果たしている歯車の役割を理解してほしいと思います。
 6章では「実際の歯車を作ってみよう」として、複雑な形状をした歯車はどのような方法で加工されているのかについて、実際の歯車工場の見学場面なども盛り込んで紹介します。また、歯車の摩耗と損傷、歯車の測定など、歯車を健全に保つためのいろいろについても紹介します。実際の歯車がどのような工作機械で加工されているのかを学ぶことで、より歯車を身近に感じることができるようになるはずです。
 歯車に何となく興味があるということで本書を手にした方には、本書を読むことで歯車に関する事項を幅広く理解でき、一生分の知識が得られるはずです。一方、これから機械設計で歯車を学んでいこうとする方には、本書を読むことで歯車に親しみをもってその概要を理解できるようになり、今後数式が並んだ書籍を読んでいくための十分な心構えが身につくはずです。
 いずれにしろ、私たちの身の回りで毎日フル回転している歯車という機械要素に興味をもっていただき、その役割を理解していただければ嬉しいです。

2013年4月 
門田和雄 

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