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設計センスを磨く空間認識力"モチアゲ"
「勘」と「論理力」と「ポンチ絵スキル」をアップ!

定価(税込)  2,160円

著者
サイズ A5判
ページ数 230頁
ISBNコード 978-4-526-07058-7
コード C3053
発行月 2013年04月
ジャンル 機械

内容

お待たせの「図面ってシリーズ」番外編。エンジニアには言葉以上に意思を的確に伝達する魔法の2つの武器、「図面」と「ポンチ絵」がある。ただし、それを駆使することができる「設計センス」が必要。本書は、その設計センス、つまり「空間認識力」を育てるための本。つまり、読者の基礎設計能力を自然に「モチアゲ」ちゃう本である。

山田 学  著者プロフィール

(やまだ まなぶ)
 
S38年生まれ、兵庫県出身。 ラブノーツ 代表取締役。
カヤバ工業 (現、KYB )自動車技術研究所にて電動パワーステアリングとその応用製品(電動後輪操舵E-HICAS など)の研究開発に従事。
グローリー工業 (現、グローリー )設計部にて銀行向け紙幣処理機の設計や、設計の立場で海外展開製品における品質保証活動に従事。
平成18年4月 技術者教育を専門とする六自由度技術士事務所として独立。
平成19年1月 技術者教育を支援するため ラブノーツを設立。(http://www.labnotes.jp)
著書として、『図面って、どない描くねん!』、『設計の英語って、どない使うねん!』、『めっちゃ使える! 機械便利帳』、『図面って、どない描くねん!LEVEL2』、『図解力・製図力 おちゃのこさいさい』、『めっちゃ、メカメカ! リンク機構99→∞』、『メカ基礎バイブル〈読んで調べる!〉設計製図リストブック』、『図面って、どない描くねん! Plus+』、『図面って、どない読むねん! LEVEL00』、『めっちゃ、メカメカ!2 ばねの設計と計算の作法』、『最大実体公差』、共著として『CADって、どない使うねん!』(山田学・一色桂 著)、『設計検討って、どないすんねん!』(山田学 編著)『技術士第一次試験「機械部門」専門科目 過去問題 解答と解説(第3版)』、『技術論文作成のための機械分野キーワード100解説集』(Net-P.E.Jp編著)などがある。

目次

ポンチ絵は、文字や言葉を上回る世界共通言語

第1章 サイズセンス モチアゲの基本 ~大きさの勘を養う!~
1-1 長さを見極める
1-2 矩形の大きさを見極める
1-3 円の大きさを見極める
1-4 平面上の空間距離を見極める
1-5 角度の大きさを見極める

第2章 機構センス モチアゲの基本 ~姿勢の変化や軌跡を読む!~
2-1 回転図形を想像する
2-2 対称(鏡映)図形を想像する

第3章 レイアウトセンス モチアゲの基本 ~組み合わせと分割を想像する!~
3-1 図形の組み合わせパターンを洗い出す
3-2 図形の分割パターンを洗い出す

第4章 形状認識センス モチアゲの基本 ~投影図のルールを知る!~
4-1 立体と投影図の関係を知る
4-2 傾斜や曲面の落とし穴を知る
4-3 後ろに隠れた形状の表し方を知る

第5章 形状把握センス モチアゲの基本 ~複数の投影図から形状を確定する!~
5-1 投影法のルールについて知る
5-2 大きさを合わせて投影図を描く
5-3 大きさの比率を変えて投影図を描く
5-4 投影図から立体を想像する

第6章 アイデア発想センス モチアゲの基本 ~オリジナルの形状を創造する!~
6-1 足りない投影図から形状を創造する

第7章 空間認識センスSTEP1 モチアゲの基本 ~常に空間を意識する!~
7-1 複数形状から奥行きの優先を知る
7-2 重なる立体を推測する
7-3 転がる立体を推測する
7-4 連続して転がる過程を書きとめる
7-5 立体の展開図形を考える
7-6 板金構造の展開形状を考える

第8章 空間認識センスSTEP2 モチアゲの基本 ~仮想の断面を想像する!~
8-1 単品の断面を想像する
8-2 組品の断面を想像する

第9章 空間認識センスSTEP3 モチアゲの基本 ~組立図から部品を見極める!~
9-1 単品と複数部品を見分ける
9-2 少ない情報の組立図から部品形状を類推する

第10章 アイデア表現センス モチアゲの基本 ~ポンチ絵は世界の共通言語!~
10-1 立体のポンチ絵を描く手順を盗む

はじめに

ポンチ絵は、文字や言葉を上回る世界共通言語

 設計にかかわらず、業務を素早くスムーズに進行するために情報交換、意見交換などのコミュニケーションが重要です。最近は、隣の席に座っている同僚や上司、あるいは部下に対して電子メールで連絡を行うことが当たり前となっているのではないでしょうか?
 電子メールのメリットは、言葉約束による「言った、言わない」を防止するための証拠として履歴を残すことができる点ですが、文字だけのやりとりで明確に意思が伝わるかというと疑問が残ります。

 例えば、「かご台車」と呼ばれる製品を第三者に説明する場合、言葉や文字だけで説明しようとすると、次のようになります。
・キャスターが4個ついた商品移動用の手押し車。
・パイプをU字形に曲げたフレームが底板の上、三面に立てられている。
・フレームには商品が落下しないようにワイヤーが等間隔に取りつけられている。
・前面にステーとゴムバンドがフレームにひっかけるように取りつけられている。

 言葉として丁寧に説明したつもりですが、かご台車の知識を持たない者にとって、上記の言葉だけで、かご台車の構造をイメージすることは難しいかもしれませんね。

 本来なら、写真や3次元モデルがあって、それを示せばすむのですが、まだ具現化していないアイデアの段階ではそうはいきません。
 「頭の中にあるアイデアは、CADで設計した後でないと見せられへんわ!」
と反論するかもしれません。
 しかし、エンジニアには言葉以上に意思を的確に伝達する魔法の2つの武器があります。
・図面…設計完了後に、部品を加工するための詳細な情報を描き表した文書。
・ポンチ絵…頭の中にあるアイデアを簡易的に具現化して第三者に伝えるイラスト。

 そう、ポンチ絵が描ければ、時間をかけてCADで設計しなくても、マジシャンのようにあっという間にアイデアを具現化してみせることができるのです。
 百聞は一見にしかず、かご台車を、ポンチ絵で表してみましょう。
 ポンチ絵は、文字や言葉の補足がなくても、構造を一目でわからせることができます。
 さらに、このポンチ絵を見ると、丁寧に説明した言葉には現れなかった、キャスター固定用のレバーや看板、隣接するフレーム同士を固定する金具なども見ることができます。

ポンチ絵をストレスなく描くことができれば、一人前のエンジニアに一歩近づくことができます。
 しかし残念なことに、製図の新人研修などで若手エンジニアを教えていると、機械系の学部を卒業しても「形状を理解できない」「3次元的な空間を把握できない」人も多く、ポンチ絵を描くどころか形状を理解させることを優先せざるを得ない状況です。

 よく耳にする「設計センスがある、設計センスがない」という言葉は、大きさや奥行きを把握し新たな形状を創造する力、つまり空間認識力の有無の違いであると思います。

 設計センスを磨くには、機械設計の基本である「製図」、いやいや!・・その前の段階のポンチ絵を描くことが良い練習になると確信しています。
 ポンチ絵を描くことで、論理的に物事をとらえる力を養い、設計においてアイデアを生み出し省スペース化に必要な空間認識力、理解しやすい図面を描くために必要な製図力を向上させる力がつくと確信しています。

 ポンチ絵の基本はフリーハンドで描くことです。フリーハンドの場合、個人によって上手下手の差が激しく、下手な人ほどポンチ絵を描くことを敬遠しがちになりますが、決して上手に描く必要はないのです。線の傾きやうねりなど気にせず、形が理解できれば十分であると理解しましょう。

 「ポンチ絵=適当なイラスト」というイメージがありますが、大きさの概念を忘れて描くと、後で失敗することがあります。

上図のようにポンチ絵に寸法を記入した例を見ると、特に問題があるようには見えません。しかし、直径3mmの軸の両端に「C1(45°で1㎜の角を取る)」面取りがあるので、実際の形状はCAD図のように先端がかなり尖った状態の軸ができあがり、予想外の軸ができてビックリ!ということが発生するのです。
 このようにポンチ絵を描くにも、大きさの概念も把握して描く必要があることがわかると思います。

 また、「形状を理解できない」「3次元的な空間を把握できない」人に共通することが、「人の話を聞かない」「早合点して勘違いする」ことです。

このような人に、「話をよく聞け!」「問題をよく読んで理解しろ!」と言っても、まったく効果がありません。

 そこで本書では、演習問題の出題に工夫を凝らし、課題と問題の2点で簡潔に指示を出します。

課題…しなければいけないこと、ミッション
問題…結果の提示、クリアしなければいけない制約条件

本書の目的と到達点を確認しましょう。
到達点:大きさや姿勢変化の感覚を養い、新たな形状を創造する力を得て、ポンチ絵を描けるようにすること
目 的:空間認識力を向上し、設計業務に対するモチベーションをアゲること(モチアゲ!)

 読者の皆様からのご意見や問題点のフィードバックなど、ホームページを通して紹介し、情報の共有化やサポートができ、少しでも良いものにしたいと念じております。
「Lab notes by六自由度」
書籍サポートページhttp://www.labnotes.jp/

 最後に、本書の執筆にあたり、ポンチ絵作成と解説にご協力いただいたシグマテック代表の福崎稔浩 技術士(機械部門)、お世話いただいた日刊工業新聞社出版局の方々にお礼を申し上げます。

2013年4月
山田 学

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