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LED植物工場の立ち上げ方・進め方

定価(税込)  2,160円

著者
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サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07057-0
コード C3050
発行月 2013年04月
ジャンル その他

内容

植物工場を構成する技術の中で最も重要な要素が照明であり、LEDは植物栽培用光源としても多くの長所をもつ。本書は、量産型LED植物工場の設計に関わった著者が植物栽培用LED照明の設計、栽培技術、採算性などを解説するLED植物工場の実務的な入門書。

森 康裕  著者プロフィール

(もり やすひろ)
2003年、東海大学大学院理学研究科博士課程修了。
2003年から2011年まで東海大学理学部非常勤講師。
現在、(株)植物工場開発取締役
主な著書:「LED植物工場」(共著)(日刊工業新聞社)

高辻正基  著者プロフィール

(たかつじ まさもと)
1962年、東京大学工学部応用物理学科卒業。
同年、(株)日立製作所に入社し、中央研究所主任研究員、基礎研究所研究主幹を歴任。
1974年から植物工場の研究を始める。
1991年から2007年まで東海大学開発工学部教授。
2004年から2009年まで東京農業大学客員教授。
現在、(財)社会開発研究センター理事、植物工場・農商工専門委員会委員長、日本生物環境工学会名誉理事長。
主な著書:「完全制御型植物工場」(オーム社)、「図解 よくわかる植物工場」、「LED植物工場」(共著)、「図解 よくわかる農業イノベーション」(監修)、「完全制御型植物工場のコストダウン手法」(以上、日刊工業新聞社)

目次

はじめに

《プロローグ》
完全制御型植物工場の普及には何が必要か
 
第1章 植物栽培用LEDの設計
1-1 LED植物工場の課題
1-2 栽培光源としてのLEDの特徴
1-3 栽培用光源の種類と比較
1-4 LEDの発光原理と種類
1-5 照明設計上で重要なLEDの電気的特性
1-6 LED照明の開発手法と注意点
1-7 植物育成用4元系赤色LED素子
1-8 白色LEDの植物栽培への応用の可能性
1-9 導光板を利用した植物工場用照明
1-11 導光板方式LED面光源パネルによる植物工場ユニット
1-12 LED植物工場用照明設備の将来の姿

第2章 植物工場の栽培ノウハウ
2-1 簡単にできる植物栽培方法
2-2 養液栽培の生理障害対策
2-3 栽培植物の生育評価方法
2-4 LED植物工場に役立つ組織培養技術
2-5 植物栽培に必要な濃度の単位
2-6 LEDのイチゴ栽培への応用
2-7 LEDの花卉栽培への応用
2-8 最適株間距離の求め方
2-9 最適日長の決め方-なぜ24時間照明か
2-10 日長の前歴効果を用いた夜間電力の利用法
2-11 LED植物工場の運用上で注意すべき点

第3章 量産型LED植物工場の実際
3-1 量産型完全LED植物工場「コスモサンファーム」
3-2 コスモファーム岩見沢の照明技術と冷却方法
3-3 コスモファームの生産システム
3-4 LEDで栽培されたレタスの特徴
3-5 LEDと蛍光灯で栽培されたレタスの栄養成分の比較
3-6 量産型LED植物工場の採算性
3-7 蛍光灯植物工場の採算性との比較

第4章 店産店消植物工場の実際
4-1 店産店消植物工場ブームの理由
4-2 シェフの農園の照明技術
4-3 シェフの農園を利用した野菜の栽培方法
4-4 店産店消植物工場の採算性
4-5 シェフの農園の運営事例
4-6 生育に最適濃度の養液供給システム
4-7 集客施設と一体化した植物工場
4-8 店産店消植物工場の課題

《付録1》成長率と生産コスト
《付録2》光強度の単位と換算係数
《付録3》植物の光応答反応といろいろな色素の働き

索 引

はじめに

 完全制御型植物工場はいま、日本ばかりでなく世界的にも注目されてきている。天候と場所に関係なく、いつでもどこでも安全安心な野菜を供給できる技術は日本が発信地で、今後、世界的な広がりを見せることが期待される。
 LED植物工場が蛍光灯植物工場と並んで将来の完全制御型植物工場の本命になることはほぼ確実で、それは本書をお読みいただければ明らかになるだろう。ただ、そのためには避けて通れないブレークスルーを必要とする。その点を本書は主に強調したいと思う。
 実用化植物工場のほとんどは、いまだ光源に蛍光灯を採用している。蛍光灯の光には植物栽培に適した赤色と青色の波長が少ないという欠点がある。その結果、露地物に比べて多くの場合、栄養価が低く味が良くないという低い評価に甘んじているのが実情だろう。こういった問題点を解決するべく、多くのLED関連メーカーが植物工場用LED照明の開発に着手してきた。ここ数年の植物工場ブームに高い関心をもつ企業が増えた結果、すでに様々な植物栽培用LED照明が販売されてきているのも事実である。
 しかし、現状製品化されている植物工場用LEDのほとんどは、なにかしらの問題を孕んでいて現実には研究用途にしか使えない。例えば、肝心のコストの問題を解決したかに見えても、その代りに製品保証に見合うだけの寿命が得られない、あるいは波長の組合せが上手くいかず栽培した野菜の味が悪いなど、植物工場用LEDの現場で解決するべき問題は少なくない。実際、著者の知る限り、これまでに成功したLED植物工場はわずか二例しかない。
 第一例は、大型システムとして世界初かつ唯一のLED植物工場である「コスモファーム」。そして、もう一例は、主に中小型システムに適用できるもので、スタンレー電気(株)と大成建設(株)が共同開発した「LED植物工場ユニット」である。
 LED植物工場の建設・導入の難易度を高めている主な要因は照明装置の耐久性である。高湿度・大光量での長時間連続照射による高い発熱など、植物工場特有の環境は、LED素子にとって極めてシビアなものである。加えて、植物栽培に必要な波長成分の不足も改善されていない。これらの問題がいまだ解決されていない理由は、特殊環境下での使用が前提の植物工場向けLEDを家庭向け照明用LEDと同じ発想で開発しているメーカーや研究者の姿勢にある。話題が先行している割には、LED植物工場の求めるタイトな条件に開発側や研究側が付いて行けないのが実情である。
 本書では、LED植物工場の建設に必要な知識と技術、植物工場用途にLEDを活用する際の課題、ならびに実用化に成功した実例について、かなり突っ込んで説明する。また、蛍光灯植物工場とともに量産型LED植物工場の採算性の分析を行った。
 これによってLED植物工場の真の技術的問題を理解し、この分野の発展に高い関心をもちながらも困っておられる照明メーカーなど企業担当者、そして関連研究機関の方々の現状分析や問題解決の一助となることを著者は願ってやまない。

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