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おもしろサイエンス
シリコンとシリコーンの科学

定価(税込)  1,728円

監修
編著
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07050-1
コード C3034
発行月 2013年03月
ジャンル ビジネス

内容

シリコンとは、ケイ素であり、それを化学反応させたモノがシリコーンで、シャンプー、接着剤、オイル、ゴムなど生活必需品から産業材料まで幅広く使われている。本書では幅広く使われるシリコーンを中心に具体的事例も交え、科学の視点で面白くわかりやすく解説していく。

山谷正明  著者プロフィール

(やまや まさあき)
1952年生まれ。1978年京都大学工学研究科修士課程工業化学専攻修了。同年信越化学工業(株)入社。2009年理事、シリコーン電子材料技術研究所長。

目次

はじめに

第1章 元素の〝シリコン〟とスーパーマテリアル〝シリコーン〟は違う!
1  地球の主要な構成元素の一つ「シリコン」
2  半導体として使われるシリコン
3  実は別物「シリコン」と「シリコーン」
4  シリコーンっていったいどんなもの?
5  シリコーンはどのようにできるの?
6  熱に強いのはシロキサン結合のパワー
7  特異な性質を発揮する秘密は「らせん構造」
8  オイル・レジン・ゴムと多様な製品形態 特技は〝変身技〟
9  シリコーンが実現するすごく伸びるゴム
10  低温でも固まらないシリコーン
11  一般的には〝はがれる〟のに、正反対の働きをするシリコーン
12  シリコーンゴムならできる絶縁と導電
13  厄介ものの〝泡〟をコントロールする
14  液体は通さず、酸素だけを通す

第2章 魔法のオイル、と呼ばれるシリコーンオイル
15  シリコーンオイルってどんなもの?
16  温度変化に強いからダンパー・動力伝達液に使われる
17  電気を絶縁し、耐熱性や難燃性も兼ね備える新幹線のシリコーントランス油
18  水玉を、流れる水に変えるシリコーン展着剤
19  コンタクトレンンズに使えば酸素透過性を付与できる
20  化粧品に軽い伸びやべたつきのない使用感を与える
21  粉をサラサラにし、固まらないようにするオイル
22  撥水性とツヤを与えるカーワックスにも使われている
23  髪の感触や仕上がりを良くするオイル
24  海洋生物の付着を防止するオイル
25  自動車の信頼性向上に貢献するシリコーン潤滑グリース
26  プラスチックの特性を改良、より良いものにする

第3章 シリコーンオイルをベースにさらにその先の応用へ
27  シリコーンオイル二次製品ってどんなもの?
28  繊維製品の高機能化を実現する繊維処理剤
29  食品の製造工程で発生する泡を消す消泡剤
30  プラスチック成形時の型離れを良くする離型剤
31  ラベル、ワッペンなどの台紙に欠かせない離型剤
32  保護フィルムに欠かせない貼り直し可能なシリコーン粘着剤
33  いろいろな材料の性能改良に使われるシリコンパウダー

第4章 3次元構造で、多彩な用途を持つシリコーンレジン
34  シリコーンレジンってなんだろう?
35  塗料の耐熱性・耐候性を高めるレジン
36  プラスチックのキズを防止するハードコート剤に欠かせないレジン
37  微量添加するだけでその特性を変える塗料添加剤
38  スリーブ、積層板などに電気絶縁性、耐熱性を付与するレジン

第5章 液状シリコーンゴムってどんなもの?
39  電気・電子から建築まで幅広い用途を持つシリコーンゴム
40  エアバッグの気密性を高める液状ゴム
41  歯の型をしっかり取る歯科用印象材に使われる液状ゴム
42  高輝度LEDの信頼性向上に応える液状ゴム
43  外観も質感も本物そっくりに再現する液状ゴム
44  振動や衝撃から自動車の電装品を保護するゲル
45  建築用や、大型展示水槽のシーリング材にも

第6章 過酷な環境を耐え抜くシリコーンゴム
46  シリコーンゴムってどんなもの?
47  過酷な環境で使用される自動車用ゴム部品
48  楽しいキッチンタイムを演出するシリコーンゴム
49  安全で快適なマリンスポーツをサポートするシリコーンゴム
50  哺乳瓶の乳首やおしゃぶりに、デリケートな赤ちゃんに優しい
51  家電・生活用品の気密性をしっかり保つ
52  ゲーム機のカバーとして滑りを防止するシリコーンゴム
53  きれいなコピーに欠かせないコピー機のロール
54  ワカサギ釣りのロッドとして低温下でも柔軟性とゴム弾性を発揮する
55  難燃性を発揮し、万一の時に力を発揮する
56  人体に対して安全性が高く、医療用やヘルスケア用ゴム部品にも
57  電子部品の熱を上手に逃がすシリコーン放熱材料
58  作業簡単、熱に強く、電気絶縁性にも優れた熱収縮ゴムチューブ
59  電磁波シールドパッキンとして使われる導電性シリコーンゴム

第7章 シラン製品っていったいなんなの?
60  シラン製品は幅広い分野で使われている
61  有機材料と無機材料の仲介役としての働きをするシランカップリング剤
62  タイヤの転がり抵抗を小さくするシラン製品
63  基材に浸透し、吸水防止性を発揮する

コラム   
B29から見つかったシリコーン
約30年経過した今も活躍する太陽電池モジュール(モジュールの封止)
シリコーンで作った人工尾びれ
シリコーンは、南極の昭和基地でも活躍
「魔法の砂」「文明の調味料」
過酷な宇宙環境でもその力を発揮するシリコーン
温室効果ガスの削減に寄与するシリコーン
無限の可能性を持ったシリコーン

参考文献

はじめに

 「シリコン」とは、原子番号14、元素の「ケイ素(Si)」の英語名です。昔、学校で習った元素の周期表を思い出すことでしょう。生命体を主として形作っている有機物は、「炭素(C)」を含んでいます。その炭素の真下に位置するのがケイ素です。他の元素と結合できる手を4本持っているところが、同じ列に属している炭素との共通点です。ところが、生命体に関係する有機物を構成する代表選手が炭素であるのに対し、ケイ素は地球の表層を構成する岩石などの生命体に関係しない無機物の代表選手だと言えます。ちなみに、シリコンウエハーと言えば、ケイ素だけの単結晶で、半導体の基板として使われています。炭素とケイ素は隣り合っているのに、まったく異なる世界の主役で、不思議な関係です。
 「ハイブリッド」という言葉をよく耳にします。ハイブリッドカーと言えば、ガソリンで動くエンジンと、蓄電池で動くモーターの2種類の動力を有する自動車のことです。シリコーンも、岩石と同じケイ素と酸素から形作られる無機の主骨格と、その周囲を囲む有機の置換基という2種類の構造から形作られるハイブリッドな材料です。その特異な構造から、各種プラスチック類には見られないさまざまな特徴・特性が発揮されます。
 シリコーンは、別名で「魔法の砂」とも呼ばれ、この言葉は、シリコーンの特徴をうまく表現しています。また、「文明の調味料」とも呼ばれ、微量加えるだけで、驚くほど素材の特性が変化するため、電気・電子、自動車、建築、化学、化粧品、繊維、食品などさまざまな分野に使用されています。このようにシリコーンの応用範囲は、想像以上に多岐にわたっていますが、世の中にはあまり知られていない存在です。
 当社がシリコーンの工業生産を開始したのが、1953年。今年で60年を迎えます。人間で言えば還暦にあたる年ですが、シリコーンは製品設計の自由度が高いなど、大きな可能性を持った材料で、今後さらなる発展が期待されています。60年という記念すべき年に本書を出版し、読者の皆様のご理解を深める役割を務めさせて頂けることに大きな喜びを感じております。そして、本書をきっかけに、これまでにない新しい用途や使用方法が生まれることを期待しています。
 本書は、当社のシリコーン電子材料技術研究所の研究者が分担して執筆いたしました。読者の皆様にできるだけわかりやすくご説明できるように心がけましたが、不十分な点がありましたら、ご容赦願います。最後になりましたが、本書を発行するにあたり、日刊工業新聞社の藤井浩様をはじめ、関係者の皆様には大変お世話になりました。感謝を申し上げます。

2013年 春
執筆者代表 山谷 正明 

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