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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしい金属加工の本

定価(税込)  1,512円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07044-0
コード C3034
発行月 2013年03月
ジャンル ビジネス

内容

金属材料に施される金属加工は、モノづくりを支えている重要な技術の一つ。本書は、金属加工に分類される多くの加工法(鋳造、鍛造、板金加工、プレス加工、切削加工、溶接、レーザ加工など)を取り上げ、知っておくべき基礎的な知識をまとめる。

海野邦昭  著者プロフィール

(うんの くにあき)
1944年生まれ
職業訓練大学校機械科卒業。
同大学卒業後、職業能力開発総合大学校精密機械システム工学科教授、同長期課程部長などを歴任。
現在、同大学校名誉教授および基盤加工技術研究所代表。工学博士。精密工学会フェロー

主な著書
『ファインセラミックスの高能率機械加工』日刊工業新聞社
『CBN・ダイヤモンドホイールの使い方』工業調査会
『次世代への高度熟練技能の継承』アグネ承風社
『絵とき「切削加工」基礎のきそ』日刊工業新聞社
『絵とき「研削加工」基礎のきそ』日刊工業新聞社
『絵とき「研削の実務」作業の勘どころとトラブル対策』日刊工業新聞社
『絵とき「難研削材加工」基礎のきそ』日刊工業新聞社
『絵とき「治具・取付具」基礎のきそ』日刊工業新聞社
『絵とき「穴あけ加工」基礎のきそ』日刊工業新聞社
『絵とき「切削油剤」基礎のきそ』日刊工業新聞社
『絵とき「工具研削」基礎のきそ』日刊工業新聞社
『トコトンやさしい切削加工の本』日刊工業新聞社
『絵とき「機械用語事典」(切削加工編)』日刊工業新聞社
など多数。

目次

第1章 自動車は金属加工のかたまり
1 鋳造は古代から高度技術 「紀元前5000年に行われていた鋳造」
2 鋳造技術の伝来と仏像のつくり方 「現代にも用いられる「ろう型技法」」
3 奈良の大仏はどのようにつくられたの? 「「削り中子法」を採用」
4 歴史を変えた日本刀と火縄銃 「日本刀の製造法はわが国の独創技術」
5 金属加工なくして自動車はつくれない 「鋳造・鍛造を経て仕上げ加工へ」
6 いろいろな金属加工 「切りくずが出たら切削加工」

第2章 身近な鋳造技術  -自動車から指輪まで-
7 身の回りにある鋳造品 「鋳物は生活の必需品」
8 鋳物が製品づくり 「砂型鋳物のつくり方」
9 模型とそのつくり方 「木型、金型、石膏型、プラスチック型、ポリスチロール型」
10 多品種・少量生産に向いている砂型 「手込めで砂型をつくる手順
11 シェル型とそのつくり方 「鋳型の強度が高く長期間の保存が可能」
12 キューポラや電気炉を用いる金属の溶解法 「熱によって地金を溶解」
13 強度が高い砂型鋳造法 「砂型を用いて鋳物をつくる」
14 金型を用いた鋳造法 「金型鋳造、ダイカスト、低圧鋳造」
15 古代からあったインベストメントモールド法 「ロストワックス法とも呼ばれる」
16 ロストワックス法で指輪をつくろう 「薄くて複雑な形状の製品づくりに最適」

第3章 素形材加工と熱処理
17 ロール間で成形する圧延加工 「熱間圧延、冷間圧延、温間圧延」
18 圧延機とその種類 「2段から20段圧延機まで」
19 押出し加工と引抜き加工 「直接(前方)押出しと間接(後方)押出し」
20 古くて新しい鍛造加工 「鉄は熱いうちに打て」
21 試作品制作は自由鍛造で 「望みの形に成形してくれる」
22 いろいろな鍛造機械 「プレス機械、ハンマおよび回転鍛造機に区分け」
23 型鍛造と部品ができるまで 「ドロップハンマ型鍛造、すえ込み型鍛造、プレス型鍛造」
24 ねじ・歯車の転造加工 「平ダイス式、丸ダイス式、ロータリ式」
25 4つに分類される熱処理 「焼き入れ、焼き戻し、焼きなまし、焼きならし」

第4章 板金加工とプレス加工
26 身近にたくさんある板金製品 「自動車のボデー・シェルは板金部品」
27 いろいろな板金作業 「板金は試作開発に欠かせない」
28 工場の花形「板金加工用マシン」 「専用の金型を必要としない」
29 ヘラで押しつけるスピニング加工 「工具としてヘラを用いる」
30 プレス機械とプレス型の役割 「型を使い所要の形状に成形」
31 せん断加工の原理とダイセットの役割 「打ち抜き加工、穴あけ加工、縁切り加工」
32 プレス機械を用いた曲げ加工 「簡便な方法なので、多くの分野で用いられる」
33 日用品をつくる絞り加工、エンボス加工 「絞り加工された日用品や工業製品は多い」
34 薄い板に厚みをもたせるバーリング加工 「用途に応じた成形法」
35 接合加工とつぶし加工 「1970年ごろまでの缶詰に応用」
36 小さな製品づくりに適する粉末成形 「超硬工具のような切削工具に応用」

第5章 いろいろな分野で活躍する溶接技術
37 日用品から造船まで産業を支える溶接技術 「金属と金属を溶かして接合する加工法」
38 混合ガスを燃焼させるガス溶接 「混合気体を燃焼し金属を溶かす」
39 鋼材を簡単に切るガス切断 「鋼材以外には不向き」
40 アークを利用する溶接法の原理 「いろいろなアーク溶接」
41 アーク溶接の装備と作業姿勢 「溶接用具や機器の準備が必要」
42 アーク溶接の種類 「用途に合わせて溶接法は変わる」
43 いろいろな方式による溶接 「摩擦溶接、スポット溶接、電子ビーム溶接、レーザ溶接」

第6章 ものづくりを支える切削技術
44 ものづくりを支える切削加工 「切削工具で余分な部分を削り取る」
45 いろいろな削り方 「部品形状で使用する切削工具が異なる」
46 のこ盤による切断加工 「棒材を所要の長さに切り出す」
47 工作機械の代表選手 旋盤とバイト 「工作物を回転させながら加工する」
48 旋盤はいろいろな加工ができる 「主として回転対称部品を加工」
49 平面や溝を削る平削り・形削り 「工作物の広い平面を加工する」
50 ボール盤と穴あけ作業 「卓上ボール盤、直立ボール盤、ラジアルボール盤」
51 立てフライス盤でできるいろいろな加工 「ニータイプの工作機械」
52 フライス盤に装着する付属品 「ボーリングヘッドや円テーブル」
53 横フライス盤でできるいろいろな加工 「テーブル面に対し主軸が平行」
54 工作機械を用いて各種歯車を加工する 「歯切りとブローチ削り」
55 NC旋盤による加工 「旋盤を数値制御し、自動化したのがNC旋盤」
56 マシニングセンタによる加工 「1台で多機能をこなす工作機械」

第7章 研削加工技術と特殊な加工技術
57 自動車産業を支える研削加工 「研削加工の良否が品質に影響」
58 研削加工と研削砥石 「機械部品製作の最終仕上げ工程」
59 研削加工のいろいろ 「円筒研削、内面研削、心なし研削、平面研削、ねじ研削、歯車研削」
60 平面研削盤と平面研削 「両面が平行な工作物の量産加工に用いられる」
61 円筒(万能)研削盤と各種研削加工 「プランジ研削とトラバース研削の方式」
62 砥粒を用いた切断加工 「硬脆材料の切断法」
63 ホーニングと超仕上げ 「円筒外周面や穴の内面を滑らかに仕上げる」
64 放電現象を利用した放電加工 「雷の放電現象と同じ」
65 パルス状の火花放電で加工 「ワイヤ放電加工は高精度で微細な加工が得意」
66 変形しやすい薄板加工ができるレーザ加工 「熱エネルギーを集中させ板材を切り取る」
67 高圧水流を用いるウォータジェット加工 「あらゆる金属に適用できる」

COLUMN
●火の使用と人類の進歩
●鋳造は古い技術ではない!
●大量生産は鍛造で
●職人さんの技能は本当に素晴らしい
●溶接はローテク?
●NC工作機械もプログラムがなければ「ただの箱」
●ノウハウの伝承

参考文献
索引

はじめに

 金属加工の進展は人類の進歩の歴史といえます。人類は誕生した時より、雷や火山の噴火で生じた自然火などを利用することを覚え、約50万年前に火を起こす方法を見いだしました。
 紀元前7000年~8000年頃に西アジアのメソポタミアで自然銅が発見され、その銅を用いて鍛造や接合が始まりました。また紀元前6000年頃に薪を燃やした熱で金属銅が溶け出し流れ出て、くぼみで固まったのを見て、鋳物づくりが始まったといわれています。
 そして紀元前3600年頃にメソポタミア地方南部に住むシュメール人により、青銅がつくられます。この合金は銅よりも強度が高く、また鋳造性もよいので、武器や生活の材料として多く使用されました。
 このように金属の発見と、その金属加工技術の進展は、人々の生活に劇的な変化と進歩をもたらしました。
 また工作機械は機械化された工具で、その起源は「ろくろ」に始まり、古代エジプト時代まで遡ります。記録として残っている最も古い旋削機械(道具)は、エジプトの古墳レリーフに見られる2人操作の手回し旋盤です。この旋盤は、紀元前3000年頃の古代エジプトで使われていたもので、1人が紐を往復運動しながら引いて、工作物(丸棒)を回転させ、他の1人が手に刃物を持って、その工作物を削るというものです。
 その後、弓を用いて工具あるいは工作物を回転する弓旋盤や穴をあける矢ぎりが用いられるようになり、人類のものづくり技術は手工具の時代から、順次、工作機械の時代に移っていきます。
 その後、鉄器時代が始まります。紀元前1700年~1100年にかけてメソポタミア地方の北、アナトリア高原で製鉄技術が開発され、ヒッタイトが「鉄の王国」を築きました。そしてヒッタイト王国の滅亡により、その製鉄技術が世界中に広がり、その後、現代に至るまでの長期間、鉄の時代が続くのです。

 このように古代に始まった金属加工技術は、鉄の時代になり、ますます発展し、現在の高度な加工技術に結びついています。今の若い人たちは、生まれた時から高度な文明の中で育っているので、このようなものづくりの歴史を知る機会があまりないかもしれませんが、金属の発見とその加工技術の発展が人間社会の進歩と密接に結びついているのです。
 現在、金属加工技術をローテクと呼ぶ人たちがいますが、決してそんなことはありません。ものづくりの歴史を見ても、金属加工は、いつの時代も高度な基盤技術です。また最近は、これらの基盤加工技術にもコンピュータ技術が導入され、自動化も進んでおり、そのプログラムをつくっているのは人で、プログラムを作成するには、これらの加工の内容をよく理解しておくことが大切です。幸い今の若い人たちは、コンピュータのことをよく熟知しているので、これらの基盤加工技術を習得すれば、日本のものづくり産業もより発展すると期待されます。

 このようなことを考えていた折りに、日刊工業新聞社から本書、「トコトンやさしい金属加工」の執筆依頼がありました。執筆に際しては、加工の歴史をひもときながら、できるだけ若い人たちの身近な事例をあげてやさしく解説するように努めました。そのため多く関連企業から事例に見合った貴重な画像などをご提供いただきました。この場をお借りし、御礼申し上げます。
 半面、金属加工に含まれる内容は非常に広範囲なるため、そのすべてを取り上げることができませんでした。お許し願いたいと思います。
 ここに述べたことが、若い人たちに金属加工に興味をもらう契機になり、ひいては日本の高度な技術・技能の継承に結びつくならば、筆者の望外の喜びです。

2013年3月
海野邦昭

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