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日本人にマネできないアジア企業の成功モデル

定価(税込)  1,620円

著者
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サイズ 四六判
ページ数 224頁
ISBNコード 978-4-526-07026-6
コード C3034
発行月 2013年02月
ジャンル ビジネス

内容

「日本的経営システムへの過信」から脱却するために、自社の競争優位点を冷静に見極めた上でアジア企業の斬新な経営戦略を取り込む視点を伝える。日本を取り巻くビジネス潮流の変化を学び、従来とはまったく違うビジネスモデルを描くことで逞しさを取り戻す処方箋を披露する。

増田辰弘  著者プロフィール

(ますだ たつひろ)
アジアビジネス探索者 法政大学経営革新フォーラム事務局長。
1947年島根県生まれ。1972年法政大学法学部卒業。1973年神奈川県入庁、産業政策課、工業貿易課主幹などを歴任し産業振興用務を担当。2001年より産業能率大学経営学部教授。2005年法政大学大学院客員教授を経て現職。著書に「やっぱり儲かるアジアビジネス」
(日刊工業新聞社)、「アジアで成功する企業家の知恵」(めこん社)など多数。

馬場 隆  著者プロフィール

(ばば たかし)
著述家。1949年東京都生まれ。中央大学文学部卒業後、エネルギー業界誌記者、国際ビジネス誌「フォーブス日本版」編集者を経て、2009年より文筆業。著作に「最期の一日/幕末維新を駆け抜けた男たち」(ペンネーム・馬場隆明)、「アジアで成功する企業家の知恵」(共著)などがある。新興国ウオッチャーとしても活躍中。

目次

まえがきに代えて
想像以上に力をつけてきたアジア企業 

第1章 アジア主要国のビジネスモデルを検証する
台湾企業のビジネスモデル
 日本企業が手をつけず中国企業ができない「隙間経営」モデル 
韓国企業のビジネスモデル
 国策としての外貨獲得型大企業育成タイプ 
香港企業のビジネスモデル
 中国大陸と世界をつなぐ「交差点ビジネス」の中心地 
中国企業のビジネスモデル
 強固な内需で元を取り海外に安値で挑む「世界市場経営」 

第2章 アジアを拠点に活躍する中堅・中小企業 驚異の経営戦略
永野旭堂本店(中国)
 中国での月餅製造・販売に「日本の常識」を超えた新商法を採用 
エンジニアリング会社A社(中国)
 内陸部への日本式クリーニング先行参入でうまみを取る 
小島衣料(中国・バングラデシュなど)
 世界15カ国にチャレンジする現地化対応の柔軟経営
日本食レストラン「たむら」(インド)
 厳しい規制とタフな交渉を乗り越えた先にチャンスあり 
エコトロニクス(韓国)
 見えない参入障壁のある韓国で地の利を生かしたモノづくり 
パラダイスピクニック(タイ)
 市場の成長と変化に柔軟に対応する多角化経営 
部品メーカーC社(タイ)
 営業回りはせず最高の機械で何でもつくる製造業のコンビニ 
部品メーカーJ社(台湾)
 タイで発揮される「どこでも生き抜くゴキブリ精神」 
日塑集団〈テクノグループ〉(香港)
 香港に本社機能を置く新しいアジア型グループ経営 
プロシュサイゴン(ベトナム)
 ベトナムで元フリーターが興した精密部品メーカー 


第3章 日本型経営の見直しと次を見据えたビジネスモデル構築の秘訣
1 ビジネスの構図と潮流が変わる 
2 アジアの時代に通用する今後の日本企業の戦略を考える 
3 これからアジア市場で通用するための7カ条

はじめに

まえがきに代えて
想像以上に力をつけてきたアジア企業


 ラオスやミャンマー、カンボジア、バングラデシュの街の景色を見ていると、驚くというか愕然とするのが、日本企業の看板がないことである。探し求めて、かろうじて1,2社見つけることができる。ひと昔前は新興国のどこにでもあった日本企業の看板がなく、代わって中国企業そしてサムスン、LG、エイサーの韓国、台湾勢が台頭しており、まざまざとその現実を見せつけられる。確かに本音として、アジアの人々はソニーやシャープのテレビが欲しいのかもしれない。しかし、ハイアールやTCLなどの中国製テレビが1万円前後で売られていると、給料が1~2万円の彼らは安い方に断然魅力を感じる。しかもデパートでも行かないと、そもそも日本企業製の製品が並んでいない。この状況を改善しないと売れようがない。日本企業は超円高でどうしようもない経営環境なのか、現地の日系家電メーカーの方に話を聞いてみると、予想外の答えが返ってきた。
 「やり方次第でそこそこ商いはできますが、日本の本社側がなかなか理解してくれません。そもそも中国、インド、タイなどの大きなマーケット以外は投げているような感があります。日本企業が優位な立場で商品を売る時代はもう終わっています。形にこだわらず、現地に権限を移して、なりふり構わず売り抜く体制にしないと勝負になりません。それを本社はまだ理解していない。いまだに上から目線なのです…」
 加えて、中国企業は国内の13億マーケットで採算を取るため、外国では投げ売りでいい。韓国と台湾は国内マーケットが小さく、外国で稼がざるを得ない。そんな彼らと競争しているのに、日本企業はまだ昔の体制でやっているのでは心許ない。八代亜紀の歌に「昭和の歌など聴きながら」というのがあるが、日本企業が全盛だった当時の「昭和の歌」など聴いていてはいけないのである。
 国家も、企業も、個人でも正確に自分の位置を確認する能力が生き残りのための鍵となる。この確認ができるからこそ、激変する変化に対応できる。逆に、衰退と消滅は自分の位置を確認する能力が落ちた時から始まる。楽な道を選び出した時から始まる。「もう、アジアの企業と無理な競争をして商売などはしない。自社の商法は変えず、日本国内マーケットと中国、インド、タイなどの大きなマーケットでそこそこ商売をしていく」などと「楽な道」を選んだ瞬間に、その企業も日本経済も衰退し消滅が始まる。
 私が、連載を書かせていただいている「アジア・マーケットレビュー」の巻末に毎月、1カ月前の日本企業のアジアへの進出状況が出ている。ここで最近驚くことは自動車、流通など特定の業種を除くと、ブランドの大手企業ではなく、多くが無名の中堅・中小企業なのだ。大手企業はすでに出ているからとも言えるが、現在日本で成長力があるのは、大きく経営革新を果たした中堅・中小企業だ。日本型経営モデルに固執する大手企業は、アジア企業の追い上げで国内に引きこもる傾向が読み取れる。
 ベトナムのホーチミン市に滞在する日本が1万人であるのに対し、韓国人は10万人いる。総人口が5000万の韓国人でこの数だから、1億3000万人の日本人に換算すると滞在者は25万人いておかしくない勘定である。このようなことからも、日本は総じて「引きこもり」傾向であることがよくわかるが、逆に言えば「引きこもる」だけのゆとりがあるとも言える。
 今日の中国企業、韓国企業、台湾企業の成長は、恵まれない状況を何とか克服しようと頑張った結果である。一方で恵まれた環境だったがゆえに、何とも頑張れない日本企業の姿が浮かんでくる。そしてこれはひとり日本企業だけではなく、日本の政治にも、行政にも、個人にも言える。
 本書は、日本企業ながら恵まれないがゆえに、その状況を何とか克服しようとアジアで頑張った企業の物語である。日本人がダメなのではなく、みんなで引きこもれば恐くないという空気が良くないのである。「書を捨てアジアに出よう」というのが、この本を貫くメインテーマである。
 敗戦後に、臥薪嘗胆、必死で頑張ってきた日本企業、日本人の姿を今一度思い出すべきかもしれない。気が付かないうちに、日本企業にとってとんでもない状況になりつつあることがわかるはずだ。それを理解することが、アジアに出かける最大の成果と言えよう。
 最後に本書のとりまとめに当たり、嫌な顔もせずお付き合いいただいた企業の方々および各雑誌社の方々に一方ならぬお手数をおかけした。また、本書の出版に際し日刊工業新聞社出版局の矢島俊克副部長にお世話になった。これらの方々に感謝しつつペンを置く。

 2013年2月5日
増田 辰弘 
馬場  隆 

本書の構成について

 本書は、第1章で成長を遂げる台湾、韓国、香港、中国各国企業のビジネスモデルを概観し、第2章ではアジアで活躍する中堅・中小企業(トップは日本人や華人など)の注目されるビジネスモデルを集めた。第2章は、増田が重化学工業通信社の「アジア・マーケットレビュー」、科学技術と経済の会の「技術と経済」、㈱BCNの「BCN」に連載したものをメインに加筆、修正した。
 第3章では、アジア企業の攻勢に押される日本企業の課題と、今後の生き残り・勝ち残り戦略づくりのために何が必要かをまとめた。特にこの章では、近年躍進著しいEMS(電子機器受託生産サービス)大手の台湾・鴻海精密工業(ホンハイ)モデルの動向とその対策に焦点を当てている。
 なお、第1章と第3章については増田がアイデアを出し、馬場と討論を重ねた上で、さまざまな資料に当たって馬場がまとめた。

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