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ALL SECOM 創造する経営
世界へ拡大する安全・安心サービス

定価(税込)  1,512円

著者
サイズ 四六判
ページ数 240頁
ISBNコード 978-4-526-07025-9
コード C3034
発行月 2013年02月
ジャンル ビジネス

内容

「社会にないものを提案」することにこだわり、世界19カ国・地域でビジネスを展開するセコム。関連会社との連携を強化し、周到な事業戦略を用意。家庭や会社の財産保守にとどまらず、食や住、健康、高齢化社会まで照準に据えたセキュリティ概念の拡がりと事業具体化策を示す。

大倉雄次郎  著者プロフィール

(おおくら ゆうじろう)
関西大学名誉教授(商学博士)、公認会計士、税理士

 東証一部上場会社(医薬品メーカー)財務経理副統括部長として、合併・連結決算・関係会社事業企画支援の責任者、関係会社社外監査役を経て、1996年4月に大分大学経済学部教授、2001年4月に関西大学商学部教授となり、2010年4月に関西大学名誉教授となる。専門は税務会計論、会計学、経営分析論、監査論など幅広い。
 著書に『パナソニックの大転換経営』『伊藤園の“自然体”経営』(日刊工業新聞社)、『就活オールガイド』(新星出版社)、『パナソニックとキヤノンに学ぶ 経営改革のための会計戦略』『企業評価入門』『連結会計ディスクロージャー論』(中央経済社)、『新会社法と会計』『新会計基準の基礎―理論と計算―』(税務経理協会)、『税務会計論』(森山書店)、『連結納税会計論』『企業組織再編の会計戦略』(関西大学出版部)など多数。NHK「視点論点」にも出演。

連絡先:メール:cpa.tax-okura@wit.ocn.ne.jp
ホームページ:http://www7.ocn.ne.jp/~okuracpa/

目次

第1部 事業戦略の真髄を探る
第1章 創業者飯田亮の経営哲学
1 創業者飯田亮の軌跡
 資本金400万円で創業するまで/初めての受注、そして成長路線へ/飯田亮と松下幸之助の共通点
2 飛躍のきっかけとなった5つの事象
 東京オリンピックの警備で評価を得る/テレビドラマで警備員を世間が認知/SPアラームという警備システム/絶好調のムードに乗った大阪万博/長島茂雄選手をCMに起用
3 社会貢献にも積極的に参画
   「人道目的の地雷除去支援の会」(JAHDS)の展開/セコム科学技術振興財団による研究助成/環境保全に取り組む/日経ミレニアム企業賞を受賞
4 事業戦略は緻密なデザインで
   飯田亮に聞く50年の足跡とこれから/グランドコンセプトを描く

第2章 ビジネスデザインの構築
1 創造する経営の構築
   ビジネスデザインは経営者の責務/ベンチャー企業としての各段階のハードル超え/ホスピタリティの本質を考える/顧客志向とスピード経営
2 独創的な前金制のレンタル経営
   前金制を考えついた狙い/キャッシュフロー経営を目指して
3 機械警備システムの開発
   SPアラームという画期的な開発/機械化推進の理由/売れていた巡回警備を止めてまで拡販
4 社会システム産業の確立に向けた宣言
   社会システム産業元年の宣言~1989年(平成元年1月)/セコム社会システム産業の運営の憲法10カ条/「困ったときはセコム」に応える
5 人財を育てる
   現場主義で正社員制をなぜ貫くか/集合教育であるOFF・JT(Off the Job Training)の実態/名張研修センターでの研修の様子/OJT(On the Job Training)の基本/自己を高める海外留学制度

第3章 安全・安心市場を創造するイノベーション
1 社会システム産業はサービスインフラである
   イノベーションの方向を示す「事業の憲法」/持続的競争優位の源泉は絶えざるイノベーションにあり/重要事項への対応力が財産/トータルパッケージシステムの推進による自前主義
2 先端技術を追うIS研究所の機能
   研究部門の体制/最先端画像研究に迫る
3 新製品開発を主導する開発センターの役割
   徹底したプロジェクト制で臨む/異文化のコンフリクトが活性化を生む/セコムのIT戦略/予算ありきは諸悪の根元/信頼性実験とは

第4章 セコムの組織
1 セコムの組織文化の醸成
   守るべき企業倫理/発展・成長するための理念「セコムの要諦」/闊達を意味する「豁達」/社員のバイブルとなる「白本」
2 セコムの事業組織の発展過程
   事業展開と組織のあり方/グループ企業の設立プロセス
3 M&Aで新しい経営資源を活用
   M&Aの狙い/事業を加速させるM&A/事業連携・融合の強化
4 ALL SECOMの企業群
   能美防災~防災機器業界の老舗/パスコ(PASCO)~航空測量の最大手/ニッタン~火災報知器設備の有力メーカー/セコム損害保険~収益向上に向けて/セコム医療システム~患者本位の革新的サービスを/セコム工業~システムは内製で一手に引き受ける/セコムトラストシステムズ~サイバーセキュリティの確立へ/東洋テック~大阪を地盤に警備を提供/アット東京~コンピューターの保守管理に地力を発揮

第2部 社会システム産業の構築に向けた展開
第1章 フィジカルセキュリティにおける進化
1 常駐警備から機械警備へ
   警備業務を社内で賄うことが多かった時代/SPアラームの普及
2 オンライン・セキュリティシステムの進化へ
   機械警備の普及は167万件に/オンライン・セキュリティシステム高度化を支える組織/企業向けの次世代セキュリティシステム/大型施設にも対応/民営刑務所への採用例も
3 労働集約型から資本集約型企業への脱皮
   市場規模と売上/連結生産性比較

第2章 情報セキュリティに対する使命
1 第二電電への参加
   正しい競争で適正価格を/ネットワーク構築へ先駆技術が欲しかった
2 サイバー攻撃から情報を守るサイバーセキュリティ
   サイバー攻撃の内容/ネットワークを利用した犯罪
3 サイバーセキュリティへのセコムの対応
   フィジカルセキュリティ&サイバーセキュリティの総合的な提供/サイバー攻撃対策サービスを開発/サイバー攻撃対策サービスの運用/日本IBMと共同で新サービス提供
4 セキュアデータセンターで情報を守る
   セキュアデータセンターの運営/わが国最大規模のセキュアデータセンター
5 システム産業で収益性を高める
   装置とノウハウについて/収益性分析

第3章 災害からの安全・安心
1 東日本大震災と南海トラフ地震
   東日本大震災の教訓/南海トラフ地震 政府の被害想定
2 震災で何をすべきか再認識させられた
   震災で見えた足らざる新サービスの構築/新型ホームセキュリティ「G・カスタム」
3 事業継続計画(BCP)の策定
   企業の危機管理の根幹と防災意識の変化/事業継続計画の重要性/セコムが提供するBCP支援「危機管理支援トータルサービス」
4 防災事業の概念を変える
   防災事業の方向/社会インフラに関わるすべての火災に立ち向かう/エコで涼しいドライミスト
5 地理情報サービスで災害に対応
   東日本大震災でのパスコの活動/パスコの地理情報事業/小型人工衛星「ASNARO(アスナロ)」のプロジェクトに参加
6 防災事業と地理情報事業の財務状況
   防災事業の指標/地理情報事業の指標

第4章 家族の安全・安心をどう守るか
1 ホームセキュリティへの新たな要求
   家族向けサービス拡充への道/増える犯罪への対応
2 オンライン・セキュリティシステム「G・カスタム」
   東日本大震災を経て進化を果たす/満を持してG・カスタムを投入
3 子供の安全から生まれた「ココセコム」
   GPSと携帯電話の基地局を使った位置情報提供システム/子供を取り巻く状況
4 ホームサービスなどへの展開
   「セコム・ホームサービス」はなぜ生まれたか/新総合生活サービス「生活太助」/離れて住んでいる親を見守る/青色防犯パトロールを実施/売り切りのローカルシステム
5 セキュリティ事業の財務状況
   セキュリティ事業の経営指標/セキュリティ事業の人員

第5章 健康の安全・安心
1 提携病院支援に参加
   米国企業買収で救急医療へのノウハウを蓄積/医療費抑制に向けた取り組み/情報共有を実現した「セコム・ユビキタス電子カルテ」/遠隔画像診断支援サービス「ホスピネット」
2 在宅医療への進出
   米国の在宅医療会社の買収で医療システムを研究/セコム訪問看護サービスとは/在宅医療のための調剤薬局の運営
3 介護を個人から社会全体で支える時代へ
   介護保険制度の成立/セコムの個人向け訪問介護サービス
4 医療費削減に向けて注目される予防健康事業
   お客様の健康生活を支援する「セコム・メディカルクラブ」/生活習慣改善を支援する「ヘルスアップNavi」
5 至れり尽くせりを提供するシニアレジデンス
   シニアレジデンスの種類/「コンフォートヒルズ六甲」によるホスピタリティ
6 メディカルサービス事業の財務状況
   メディカルサービス事業の連結売上高/事業資産営業利益率

第6章 保険と住と食の安全・安心
1 新しい価値を創造する損害保険事業の拡充
   潮目が来た~金融の自由化/セキュリティと損保が融合したシナジー商品の開発
2 安全・安心で快適な住環境
   住環境こそその時々の生き方・暮らし方を反映する/セキュリティと防災のプロが手がけるセコムのマンション
3 食へのこだわり
   厳選して届ける「セコムの食」/地域ブランドの高まりとともに/給食の配達へ

第7章 海外への事業拡大の足跡
1 海外でのセキュリティの展開へ
   海外と日本の違い/"SECOMISE THE WORLD"(セコマイズ・ザ・ワールド)という目標/海外進出会社が躍進する共通点
2 海外におけるセコムの安全ネットワーク
   初の海外拠点である台湾/1981年に韓国に進出/オーストラリアで20年の経験を発揮/マレーシアでは現地企業との合弁で展開/沿岸部から内陸に進む中国事業/シンガポールでは先行企業を押しのけて成長/転機を迎え著しい伸びを見せるインドネシア/セキュリティビジネスの本家、イギリスに挑む/日系企業の進出と連動するタイ事業/ベトナムは新たな展開段階に
3 海外で防災、地理情報サービス、医療サービスを提供
   インドで病院経営に乗り出す/ノウハウを成長市場へ投入

はじめに

 1962年に、飯田亮が戸田寿一(いずれも現取締役最高顧問)とともに創業した日本警備保障株式会社が、現在は会社名としても採用するセコム(Security Communication)というブランドの下、安全と安心を売る社会システム企業の雄として発展を続け、50周年を迎えた。創業者である飯田亮の理念は、「自ら創造できない企業は退場すべき」という経営姿勢に示されている。それは、「企業を守る」ということだけにとどまらず、「家族を守る」「健康を守る」「災害から守る」、そして「環境を守る」というセキュリティ概念の拡大と深化に向けた挑戦であった。
 創業時に飯田亮は、「今までにないビジネスをつくろう」と考えたという。社会が常に進歩し、変化し、人の考え方も変化する。その変化を先取りし対応していくためには、常に革新的に考える必要がある。新しいものを打ち出すときや革新的に物事を進めるには既成のものをいったんすべて否定し、そこから改めて自分のものとして肯定しなければならない。この否定から生まれる創造というプロセスを大切にしていることが根幹にある。
 セコムの事業戦略のバックボーンには世の中にない事業を創造することが掲げられ、その具体的なターゲットに「社会システム産業」として安全・安心を提供する社会インフラを構築することが明示されている。それを実現するため、飯田亮は「変化の先取りに対応するのが経営の宿命であり、醍醐味でもある。ビジネスデザイン(事業の構築)は経営者の特権であり義務である」として、創造する経営を絶え間なく展開してきた。本書のタイトルを『創造する経営』と名づけたのはそうした理由からである。
 セコムは自社で研究開発部門、製造部門、営業部門を持ち、セキュリティプランニングから機器取り付け工事、24時間監視、緊急対処、そしてメンテナンスに至るまで総合的なセキュリティコミュニケーションを提供する“サービス製造産業”として位置づけられている。そんな同社の経営スタイルは、21世紀に生き残る企業として日経ミレニアム賞15社の選定を受けるなど、対外的にも評価が高い。本書はその詳細に迫るものであり、経営トップおよび国内外で活躍する執行責任者、管理者、そしてビジネスマンや次の世代の日本を背負う学生諸君に、それぞれの視点から広く読んでいただきたい。
 本書の執筆に際して、セコム株式会社創業者の飯田亮取締役最高顧問(本文中では社長、会長、最高顧問とその時点に応じて役職が変わっているため基本的に敬称略とさせていただきました)や前田修司代表取締役社長をはじめとする経営陣、社内外の関係部門の方々に繰り返し取材に応じていただきました。コーポレート広報部安田稔部長には資料収集や取材随行などで大変お世話になり、感謝に堪えません。
 また、出版に当たってご快諾賜わった日刊工業新聞社奥村功出版局長、編集にご尽力賜った矢島俊克書籍編集部副部長に感謝いたします。

 2013年2月                             
 大倉 雄次郎

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