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おもしろサイエンス
薬草の科学

定価(税込)  1,620円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07021-1
コード C3034
発行月 2013年02月
ジャンル ビジネス

内容

植物を主原料とする生薬を用いた伝統医学が今、世界的に見直されており、その中でも最も高度に体系化された漢方薬は現代医学でもその効果が証明されている。人類文明と同じほど長い歴史をもち現代医学においても最先端の役割を果たす薬草のさまざまな魅力を紹介する。

佐竹元吉  著者プロフィール

(さたけ もとよし)
1964年 東京薬科大学卒業
同年 国立衛生試験所(現・国立医薬品食品衛生研究所)入所。
1991年 国立衛生試験所生薬部長
2001年 国立衛生試験所退官
同年 ‌日本薬剤師研修センター、ペルー南大学客員教授、NPOミャンマーケシ代替植物プロジェクト理事長
2002年 お茶の水女子大学生活環境教育研究センター教授
2006年 お茶の水女子大学客員教授
2009年から12年まで 富山大学和漢医薬学研究所客員教授
著書:「スキルアップのための漢方相談ガイド」(共編)(南山堂)
   「薬用植物・生薬開発の最前線」(監修)(シーエムシー出版)
   「薬用植物・生薬開発の新展開」(監修)(シーエムシー出版)
   「日本の有毒植物」(監修)(学研教育出版)

目次

はじめに

第1章 人類と薬草の長くて深い関わり
身近な植物も薬草だった
人類誕生以前から動物は薬草を知っていた?
中国で薬草を最初に使った神様「神農」
古代オリエント文明で使われた薬草
インカ文明で使われた薬草
古事記に出てくる薬草の神様
アイヌ民族が使っていた薬草

第2章 薬草療法を最高度に体系化した中医と漢方
中国医学のルーツの三つの文化圏
唐代にギリシャ・ローマの薬草も中国に伝来
遣唐使が日本に伝えた薬草
明代に世界最高の薬草書「本草綱目」が完成
江戸時代に花開いた薬草の研究
漢方なくして西洋医学の普及はなかった
日本薬局方に収載された生薬

第3章 現代医学で見直される漢方薬の効能・効果
第二次大戦後に漢方薬は復権
漢方薬の品質を安定させたエキス製剤
漢方薬は患者の状態で使い分ける
婦人病を重視してきた漢方
メタボ対策のための処方
認知症を予防・治療する
高血圧のままでも健康を維持する
胃がん手術後の体力回復
熱帯に蔓延する難病の治療薬開発

第4章 サプリメントとしても使われる薬草
サプリメントの起源はギリシャ医学から始まる
アメリカで需要高まるダイエッタリーサプリメント
医薬品と近いヨーロッパのフードサプリメント
規制緩和で日本にもサプリメントの市場が生まれる
サプリメントとして使われる代表的な薬草

第5章 毒にも薬にもなる植物
薬の原料となる有毒植物
猛毒トリカブトは漢方薬の原料
アサは繊維なら「麻」、麻薬なら「大麻」
世界史を動かしたアへン原料ケシ
コカノキの葉は薬だがコカインは麻薬
法律で規制しにくい「脱法ハーブ」
タバコももともとは薬草だった

第6章 薬草を保護し栽培しよう
薬用植物は「第二のレアアース」?
WHOも伝統薬を重視
種の多様性条約で規制される薬用植物の取引
薬用植物の栽培指針で厚労・農水両省が協力
種苗登録された薬用植物の新品種
資源確保研究の中心を担う薬用植物資源研究センター
薬用植物に遺伝子組み換えを導入
植物工場で期待される薬用植物

索 引

はじめに

 現代の医療は近代西洋医学が中心ですが、近代西洋医学では解消できない生活習慣病の増加や、化学薬の薬害問題など、近代西洋医学の限界が認識されるようになり、伝統医学が今、世界的に見直されています。
 近代西洋医学が確立される以前から地球上のあらゆる地域において、ある程度の文化のあるところには必ず独自の伝統医学が発達しています。伝統医学は天然素材由来の生薬を用いた薬物療法が主流であり、その主原料になっているのは植物(いわゆる薬草)です。薬草を利用した療法を最も高度に体系化したのが、中国の伝統医学(中医)であり、それが日本に伝わり発展した漢方です。
 著者は国立衛生試験所(現・国立医薬品食品衛生研究所)で約30年にわたり薬用植物を研究してきましたが、今ほど薬用植物が注目されている時代はありません。
 明治維新後、漢方は西洋医学に取って代わられ衰退しましたが、1980年ごろから漢方薬の使用が拡大し、治療薬としての重要性のみならず、予防薬としての効果に関しても有効性を証明する多くの論文が発表されています。現在、日本の医療現場では多くの医師が漢方薬を処方しており、大学医学部でも漢方は必修科目となっています。また、薬用植物は食品分野でもサプリメントとして活用されるようになりました。
 こうした動きに伴う薬用植物の世界的な需要増は一方で資源問題にもなっており、野生の薬用植物の枯渇も懸念されています。野性の薬用植物を保護するとともに、薬用植物の栽培を促進することが求められています。従来の伝統的な栽培方法だけでなく、日本が得意とするバイオテクノロジーや植物工場技術を利用した薬用植物の栽培は新しいアグリビジネスとしても期待されます。
 薬用植物が人類に利用されてきた長い歴史を考えると,我々の世代で科学的に解明できることはほんのわずかであるかもしれませんが、この本では古くて新しい薬用植物の話題を紹介します。
 
 2013年2月
 佐竹 元吉  

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