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目で見てわかる穴あけ作業

定価(税込)  1,728円

著者
サイズ A5判
ページ数 144頁
ISBNコード 978-4-526-07016-7
コード C3053
発行月 2013年02月
ジャンル 機械

内容

機械加工で旋盤とならび最も一般的な「穴あけ作業」。本書は、穴あけ作業(ボール盤、フライス盤、旋盤など)の手順やポイントを、多くの写真、図を使ってわかりやすく解説する。多様な工具についても、その特徴や使い方を幅広く紹介する。

河合利秀  著者プロフィール

(かわい としひで)
名古屋大学 全学技術センター 教育研究技術支援室 装置開発系所属
1953年生まれ
1973年 愛知県立名南工業高校電気科卒業
1973年 名古屋大学理学部物理金工室技術補佐員
1974年 同所にて文部技官
2004年 国立大学法人名古屋大学となり、全学技術センター 教育研究技術支援室 装置開発系 技術専門員

旋盤・フライス盤による工作技術を中心に、名古屋大学理学部物理学科のさまざまな実験装置の製作・試作を担当、機械工作実習で学生(主に大学院修士課程)を指導。1980年代のB粒子検出実験(CERN:WA75)の標的駆動装置を三鷹光器と協力して開発したことが契機となり、それ以後、ニュートリノ振動実験や赤外線望遠鏡および電波望遠鏡とその観測装置の開発を中心に、素粒子天文物理学における各種実験装置や観測装置を製作。
金工室の技術を紹介したホームページ「実験装置を作るための工作教室」(http://www.tech.sci.nagoya-u.ac.jp/machine/howto/Howtojob.html)の「旋盤加工の基礎」や「バイトのいろいろ」などはGoogleやYahooの検索で常に上位にあるので参考にしていただきたい。
著書:「目で見てわかる測定工具の使い方」(2008年)、「目で見てわかる治具・取付具の使い方」(2009年)、「目で見てわかる切削バイトの選び方・使い方」(2011年)――いずれも日刊工業新聞社から発行

目次

はじめに

第1章 穴あけ作業「ことはじめ」
1-1 穴あけ作業とは
1-2 穴あけ作業の種類
1-3 穴あけ作業で使う機械や工具

第2章 ドリル ―刃物工具の代表選手―
2-1 穴あけ作業で使う刃物工具:ドリルの諸元
2-2 ドリル以外の穴あけ作業用刃物工具
2-3 薄金の穴あけ作業で使う工具
2-4 ボーリングツール
2-5 ボーリングバイトと中ぐりバイト

第3章 ボール盤 ―最も身近な工作機械―
3-1 ボール盤
3-2 卓上ボール盤
3-3 直立ボール盤(大形ボール盤)
3-4 高速ボール盤

第4章 穴あけ作業のツーリング ―ドリルチャック、バイス、クランプなど―
4-1 ドリルチャック
4-2 チャックハンドルで締め付ける標準ドリルチャック
4-3 ボール盤用キーレスチャック
4-4 電気ドリル用キーレスチャック
4-5 ドリルチャックの交換
4-6 マイクロ・ボーリングヘッド
4-7 ボール盤用のバイス
4-8 ヤンキーバイス
4-9 ベタバイス
4-10 精密バイス
4-11 フリークランプ(F形クランプ)
4-12 丸バイス(スクロールチャック)
4-13 イケール

第5章 穴あけ作業のコツと勘どころ
5-1 卓上ボール盤を使った穴あけ作業
5-2 真鍮の穴あけ作業
5-3 皿ねじ用の座ぐり加工
5-4 アクリル板の穴あけ作業(薄板加工)

第6章 フライス盤による穴あけ作業
6-1 フライス盤を使った穴あけ作業の特徴
6-2 フライス盤の穴あけ機能・・機種による違い
6-3 フライス盤を使った穴あけ作業(実例-1)
6-4 フライス盤を使った穴あけ作業(実例-2)
6-5 フライス盤を使った穴あけ作業(実例-3)
6-6 ボーリングツールを使った穴あけ作業
6-7 ボーリングヘッドを使った穴あけ作業
6-8 NCフライス盤による穴あけ作業の問題点
6-9 フライス盤の熱変位とその対策

第7章 旋盤による穴あけ作業
7-1 旋盤による穴あけ作業の基礎
7-2 工作物の固定方法
7-3 旋盤によるねじ穴あけ作業
7-4 雌ねじ穴あけ作業

第8章 電気ドリル ―実は難しい電気ドリルによる穴あけ―
8-1 電気ドリルの基礎のきそ
8-2 電気ドリルの持ち方
8-3 電気ドリルを使った穴あけ作業
8-4 電磁石固定式電気ドリル(アトラー)
8-5 ジェットブローチ専用電気ドリル
8-6 進化した電気ドリルのチャック

第9章 ドリルの再研磨
9-1 ドリル再研磨の意義
9-2 ドリルの刃先形状
9-3 両頭グラインダを使う前の準備
9-4 φ10mm程度のドリルを使って練習する
9-5 シンニング
9-6 蝋燭ドリルのつくり方
9-7 刃先が大きく破損したドリルの修正方法
9-8 DOL-KENによる標準刃先の整形

ひとくちコラム
・身近にある「穴あけ」作業
・勾玉
・日本の電動工具の素晴らしさ!!

索引

はじめに


 本書では、前半では穴あけ作業の機械装置や刃物工具などを紹介し、後半では実際の穴あけ作業を例にベテランの職人さんが軽々と行っている加工のノウハウを順次紹介しています。さらに第9章ではドリル刃先の再研磨という少々高いハードルの「手わざ」を紹介して、穴あけ作業の全般を俯瞰(ふかん)できるようにしました。

 私は長年、名古屋大学の理学部で機械工作実習を取り組んできました。なぜ理学部が機械工作実習なのかと問われれば、「『誰もつくったことのない装置』をつくって、はじめて『誰も見たことのないもの』が見える‥それが理学という学問だから」と答えます。
 理学部は工学部とは異なり、機械工作の専門的な勉強はしていません。むしろ素人です。その素人が、いきなり「世界ではじめて」の観測装置をつくろうとするわけですから大変です。
 そんな素人に、私は「ものづくりの面白さ」を伝えようと思ってきました。私の「機械工作実習」は、金属加工が初体験の学生さんに、金属が金属を削るとはどういうことかを体験させ、ドキドキワクワクしながらその一瞬を迎える、そのときの感動を大切にしています。学生さんは自分の研究で使うものを考えるところから始め、自分で設計したものを自分でつくります。旋盤やフライス盤、ボール盤の安全な使い方を学びつつ、実際に「つくる」ことを課題としています。ドリルから出る切りくずがフラクタル現象ではないか、ハンドルの上手な締め方は力学の演習だよ・・・などと、目の前で起きている現象を目で見て感じて、そして考えていきます。

 穴あけ作業は一見単純で、簡単そうに見えますが、なかなか奥が深く、難しいものです。その難しさは電気ドリルで鉄骨に穴を開けてみるとわかります。狙った位置に、正確に穴を開ける難しさを知ることになります。しかし、町工場のベテラン職人さんは軽々と手早く正確に、そして美しい穴をあけてくれます。
 しかし、素人の理学部の学生さんは、見事なまでに必ず失敗をする。その失敗から「何がダメで何が良いのか」を考え、次に進めるように手助けすることが私の役割だと考え、学生さんと一緒に「ものづくり」をすすめてきました。そして、学生たちは数年もすれば天体望遠鏡の専門家として世界一の大望遠鏡プロジェクトを牽引している。そんな成長の第一歩が、卓上ボール盤の穴あけ作業であればなおさら面白いではありませんか。

 本書は私と一緒に「ものづくり」の第一歩を踏み出した学生さんとの共同作業による産物だともいえます。
 本書が、皆さんの「ものづくり」と「人づくり」に少しでもお役にたてれば幸いです。

2013年2月
河合利秀

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