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技術者のプロマネ!「ミッション遂行力」入門

定価(税込)  2,376円

著者
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サイズ A5判
ページ数 240頁
ISBNコード 978-4-526-07028-0
コード C3034
発行月 2013年02月
ジャンル ビジネス

内容

技術者の業務は、新規性の高い業務や経験のない業務を担当する機会が高まってきている。その業務を確実に遂行するためには、プロジェクトマネジメントの考え方や技法が必須である。本書は、こうした不確実性要素を含んだ業務を遂行することにフォーカスし、プロジェクトマネジメントの考え方や技法を、具体的なモデルケースで紹介する。随所に楽しい漫画がついた読みやすい1冊。

二宮和彦  著者プロフィール

(にのみや かずひこ)
技術士(情報工学部門)、第1級陸上無線技術士、電気通信主任技術者(伝送交換、線路)、PMP(Project Management Professional)、ITコーディネータなど
S29年生まれ 愛知県出身
OA関連企業においてOA技術者向けの教育・指導に従事。その後「通信の自由化」に併せて通信事業会社に転職し、主に法人のネットワークとICTソリューションの設計、検証、構築を担当するSE業務に長期間従事した。SE業務の中では、プロジェクトマネージャーとしてインターネット関連のサーバー構築やアプリケーション開発についても多数の案件を担当した。
現在は、通信のアクセス系設備構築の管理業務に従事し、工事のプロセスマネジメントと安全管理に注力している。

戟 忠希  著者プロフィール

(ほこ ただき)
技術士(応用理学部門、総合技術監理部門)、APEC ENGINEER(Civil,Structual) 環境計量士、一級土木施行管理技士
S29年生まれ 大阪府出身 大阪市立大学理学部卒業
株式会社 HOKOネットワーク 代表取締役社長
特定非営利活動法人 地盤・地下水環境NET 専務理事
一般社団法人 知財経営ネットワーク 理事
大手建設コンサルタント会社勤務の後、独立し現在に至る。建設コンサルタント会社では、リモートセンシング技術の土木分野への適応や岩盤斜面安定性のエキスパートシステムの研究を行った。
特定非営利活動法人 地盤・地下水環境NETでは、科学技術の振興および環境保全を図る活動を推進している。また、一般社団法人 知財経営ネットワークでは、知財経営関連のコンサルタントを行っている。

平松 新  著者プロフィール

(ひらまつ あらた)
技術士(情報工学部門)、 特種情報処理技術者、一種情報処理技術者
S29年生まれ 兵庫県出身 京都大学大学院 工学研究科 電気工学専攻 修士修了
株式会社新陽企画  代表取締役
特定非営利活動法人 兵庫県技術士会 理事
川崎重工業(株)技術開発本部において、産業用ロボットからロケット追跡センサーまで幅広いテーマの技術開発に携わり、ロボット用視覚センサー(ビジョンシステム)ではハード設計、ソフト設計の先頭に立ち、産業用ロボットの販路開拓に貢献した。
都金属工業株式会社、株式会社新陽企画の代表取締役に就任し、生産管理システムMcΣ®を開発し、多くの製造業へ導入した。さらに、独立行政法人中小企業基盤整備機構、国立大学法人大阪大学などの経営支援アドバイザー、マネージャー、特許流通アドバイザーを歴任、モノづくり現場を知りつくしたコンサルティングが強みである。

小野雄彦  著者プロフィール

(おの たけひこ)
グラフィック・CGデザイナー
S48年生まれ 東京都出身 多摩美術大学卒業
株式会社ネネット 代表取締役 ono@nenet.ne.jp
大手ゲームメーカー勤務の後、2001年ゲームデベロッパーの株式会社ネネットを設立。主な業務はCGデザイナー&ゲームデザイナーであるが、プライベートで作画も行っている。
業務範囲はゲーム以外にも多岐に渡る。CGムービーの制作・アプリ開発・WEBデザインやイラストなど担当し多数の実績がある。
現在も数々のゲームソフトの開発に携わっている。

目次

第1章 プロジェクトマネジメント概要 〜エネルギー関連技術者のモデル事例
●マトリクス組織は大変
1-1 エネルギープロジェクトの特徴
1-2 プロジェクトマネジメントの要約
1-3 組織とプロジェクトフェーズ
1-4 プロジェクトフェーズと関連プロセス
1-5 プログラムとポートフォリオ
コラム1:エネルギーのベストミックス

第2章 緊急プロジェクトマネジメント概要 〜IT関連技術者のモデル事例
●小さな案件もなめちゃダメ!
2-1 ITプロジェクトの特徴
2-2 スケジュール計画
2-3 ネットワーク図とリソース調整
2-4 コスト計画とプロジェクト体制
2-5 実行・モニタリングとコントロール対策
コラム2:テーラリング

第3章 イシュー(課題)マネジメント 〜モノづくり関連技術者のモデル事例
●プロマネはサムライ?
3-1 モノづくりプロジェクトの特徴
3-2 業務の問題発見、問題分析
3-3 業務の課題抽出
3-4 課題解決技法の選択
3-5 課題解決
コラム3:TO-DO管理

第4章 スコープマネジメント 〜制御関連技術者のモデル事例
●ヘルメットは守り神
4-1 制御系プロジェクトの特徴
4-2 ミッションのスコープ
4-3 要件定義
4-4 WBSの重要性
コラム4:SLCP(Software Life Cycle Process)

第5章 トレードオフマネジメント 〜建設関連技術者のモデル事例
●造成か自然保護か、それが問題だ!
5-1 建設プロジェクトの特徴
5-2 トレードオフ:相反問題
5-3 総合技術監理
5-4 アーンドバリューマネジメント
5-5 地質リスク
コラム5:技術者倫理におけるトレードオフ

第6章 ステークホルダーマネジメント 〜環境関連技術者のモデル事例
●住民がモンスター化?
6-1 環境プロジェクトの特徴
6-2 農林業プロジェクト
6-3 ステークホルダー分類
6-4 ステークホルダーコミュニケーション
6-5 順応的アプローチ
コラム6:ミディエイション

参考文献一覧
おわりに
著者紹介

はじめに

 21世紀型の仕事は、定型的なルーティンワークではなく、プロジェクト型の不可実性(リスクの高さ)を含んだ仕事を遂行していくことが多くなってきています。このため、21世紀の技術者には、『自ら適切な価値基準を築きあげ、その基準に基づいて、広い視野で全体最適を判断し、自律的に意思決定を行い行動できる』プロフェッショナルとしての働きが求められています。
 プロジェクト型の仕事は、常に全体を俯瞰(ふかん)することが重要です。プロジェクトは全体として成功しないと、その目標が達成されません。つまり、いままで以上にプロフェッショナルな「人財」が必要不可欠な時代となっています。
 これからの仕事は、通常の業務という位置づけでありながら、いわゆる『ミッション(任務)』に相当するほど重要性が増してきています。本書では、これらの業務を任務と捉えて相当の覚悟で遂行する必要があることの意味を込めて、ミッションという言葉を用いています。
 ところで、このような技術者に要求される能力の変化はなぜ起こってきたのでしょうか。原因はいろいろと考えられますが、最大の原因は企業を取り巻く環境の変化があげられます。
 つまり、あらゆる企業にグローバル化の波が訪れてきている、あるいは訪れようとしていることがあげられます。
 グローバル化の影響が加わることで、企業を取り巻く競争環境が激変することになります。海外には価格競争力の高い企業、技術力が高い企業、サービス力が高い企業などそれぞれ特徴を備えた企業が多く存在します。
 日本の企業がそれらの企業より優位に立つためには、自らの強み・弱みを明らかにするとともに競合他社の情報を収集し、分析、対策、実行を繰り返して、グローバル企業との差別化を図り国際競争力を確保していくことが、重要となります。
 さらに日本は、少子高齢化による影響や経済の成熟による低成長時代さらにはゼロサム社会へと突入しています。経済が大きく成長をしている時代は、競合他社の戦略や戦術の影響は大きくありませんでした。
 しかし、低成長時代にはほぼ固定された市場のシェア争いとなるため、他社の戦略によって影響を受けることとなります。このため業務の遂行には競合他社の不可実性要素も大きく関係してくることになり、業務の遂行はより高度な遂行力が必要となる時代になってきました。
 また、その他に大きな影響を与える点は、IT技術や技術開発の急速な進展があげられます。IT技術の進展スピードが、速くなってきていることはみなさんも実感されているとは思いますが、IT技術は便利になる反面、短期間での意思決定が必要とされます。さらにゴール時期だけが先行し、それ以外の項目はプロセスを進めながら検討をするような事態も発生しています。
 各企業はIT技術や新技術を導入してスピードアップを図るとともに、企業の差別化や競争力を確保してグローバル化への対応を図っていきますが、一方で充分な検討がされないままプロジェクトが開始し、要件があいまいなまま開発が進むリスクも増大しています。
 また、企業の内部に目を向けますと、IT技術や新技術の導入により企業の組織構造が変化し、正社員と派遣社員の構成比の変化、パートナー企業との連携強化など、企業内部にも大きな変化が見られます。
 このような外部環境の変化により企業の組織環境も変化してきたため、企業内の社員に求められる役割や業務そのものが質的に大きく変化してきているといえます。つまり、スピーディにミッションを遂行し、リスクも回避しつつ達成することで企業の将来性が決定される時代になってきています。
 そのためには、不確実性を想定したプロジェクトマネジメントの思考法やテクニックを活用することが重要になり、このことで大きな効果をあげることができます。一般的なプロジェクトは、「新規性や独自性を伴う」、「予算や納期などの制約条件がある」、「詳細な内容は徐々に明らかになる」、などの特徴を含んでいます。
 新規性や独自性があるということは、誰も経験をしたことがない内容を含んでいるために、変更や想定外のことが当然のように起こることになります。制約条件があるということは目標を達成するためには常に当該条件に配慮し業務遂行することが重要になります。詳細な内容が徐々に明らかになるということは、計画の修正は繰り返し行う必要があるということになります。
 プロジェクトマネジメントは、これらのことが起こることを前提で対処するマネジメント手法であり、不確実性を伴う業務を遂行していくために非常に有効です。
 一方で不確実性を含んだ業務は、予想外のことが起こったり、検討されていない方向に進んだりしますが、その対処として、早期に予想外の状況をキャッチするとともに迅速な分析と対応策を立案する必要があります。つまり課題そのものを抽出する発見力や、複雑に絡み合った状態を解きほぐす分析力、問題の根本を探りだす洞察力、分析した結果から対策を立てる立案力を磨くことが重要になってきます。
 本書は緊急なミッションの遂行に必要な緊急プロジェクトマネジメント手法に、問題発見や課題解決の内容を網羅したイシュー(課題)マネジメント、スコープマネジメント、トレードオフマネジメント、ステークホルダーマネジメントの章を加え、具体的なモデル事例に基づいた内容を解説しています。これらの能力を総合的に強化することで、技術者がプロフェッショナルとして自ら思考し、様々な業務に対してリスクを回避しつつ、万一予想外のことが発生しても影響を最小限にして業務を遂行していくために必要な能力について解説しています。
 各章にはそれぞれの重要項目を取りあげ、エネルギー、IT,モノづくり、制御、建設、環境の技術分野とプロジェクトの重要項目とを結びつけ、モデル事例を通じて具体的な解説をすることで、より理解を深めやすい構成としています。
 また、全体の特徴として、技術者個人が前述の総合能力を高め全体最適を考えて業務を遂行できるリーダーになれることに焦点を当てていますので、従来のプロジェクト全体に焦点をあてた説明書とは大きく異なっています。
 なお、本書は、技術者に向けた内容となっていますが、技術系以外の方やこれから就職する方が会社で業務を遂行していく際に必要となる事項を多く含んでいますので、広い読者層に読んでいただき、今後のご自身の業務遂行能力の向上の手助けになれば幸いです。

二宮 和彦  

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