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おもしろサイエンス
接着の科学

定価(税込)  1,620円

監修
監修
編著
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07020-4
コード C3034
発行月 2013年02月
ジャンル ビジネス

内容

接着とは、「モノとモノをくっつける」ことであり、そこに使われるのが接着剤だ。一般的な用途から産業用まで今やあらゆる場面に使われる接着剤には多種多様のものがある。本書はモノとモノとがくっつく基礎から、接着剤の選定、リサイクル、弱点までを科学の視点で解説。

菅野照造  著者プロフィール

(すがの てるぞう)
工学博士(北海道大学にて取得)。石川島播磨重工業技術研究所で主として船舶および陸上構造物の防食技術開発に従事。接着剤では「塗装の前処理及び接着剤機能に関する研究」に従事し、報文を多数発表している。日本学術振興会腐食防止第97委員会、表面技術協会、日本防錆技術協会、日本鋼構造協会等の各委員会委員長および幹事委員を歴任、通産省工業技術院の塗料試験法JIS制定委員会ユーザー代表、本四架橋防食塗料仕様書の素案作成、土木学会審査委員会代表委員、ほか。現在、「アイ・エス・エス・コンサルタント」技術顧問。

堀井 真  著者プロフィール

(ほりい まこと)
1956年東京生まれ、工学博士。東京工業大学卒、昭和電工入社、龍野事業研究所技術部を経て、日本大学客員教授のかたわら、堀井研究所を設立。接着剤に関する科学的な講演および、年数回、論文も発表している。

目次

第1章   接着とは?接着のメカニズム
接着のメカニズムは現在でも解明されていない!?
接着は原因を絞り込むことができない複雑さをもっている
接着するうえで「濡れ」がきわめて大事なポイントになる
粘着も接着の一種なのだ―粘着剤はすぐに実用に耐える接着力を発揮する
粘着は接着より長持ちし、粘着剤はリサイクル性がある
接着剤の種類は500以上もあるが、接着が難しい材料もある
新幹線にはドラム缶2本分の接着剤が使われている
医療でも接着技術は不可欠なのだ―接着は歯科治療の根底をなす重要な技術

第2章   天然のものから化合物へ、接着の歴史
人類が初めて使った接着剤は、「天然アスファルト」
太古からアスファルトと接着にまつわる話は実に多い
天然アスファルトに次いで古い接着剤は「膠」、その接着力は強い
日本では古くは糊が接着剤の主流―障子張りにはでんぷん糊
万里の長城の煉瓦接着に使われた「漆喰」―日本では城郭にも
天然接着剤は平安時代には完成の域に達していたとも
1930年に粘着テープが誕生、1940年には航空機に接着剤が使われる
ロックタイトの開発が、長年諦められていた問題に光明灯す
瞬間接着剤は3人の宝石商が真珠と宝石をくっつける用途で注目

第3章   飛行機から建築物、医療にまで、接着剤の使われ方
接着剤の分類は多岐にわたる―主成分、用途、性状、等々
強さの順で「構造用」「準構造用」「非構造用」の分け方もある
接着剤の試験は実際の現場では困難なので試験片で行なわれる
携帯電話では接着剤が大活躍―基板や各モジュールなどで
自動車も接着抜きでは成立しないところまできている
構造接着は航空機の組み立てから発展してきた
水族館の巨大水槽は接着の力と技によるもの
ビルの壁面にサッシを使わずガラスを直接接着させるのもある
歯科用接着剤には機能性モノマーやセメントなどがある
瞬間接着剤は一般用より医療用が先に商品化された
筋肉の強度に匹敵し、毒性の極めて低い医療用接着剤を開発

第4章   驚きの機能をもつ接着剤のいろいろ
合成ゴム系は考えられる多くの物に広範囲に使用することができる
接着は、接着するものと接着されるものとの相性が大きく影響する
接着剤に求められる様々な機能アップはエスカレート
アラビア糊を駆使するタイプにも多くの苦労が
再湿糊は、日本が世界に先駆けて使用―でんぷん糊は平安時代から
丸く巻かれたものをベリベリと剥がして使うセロテープの〝謎〟
木工用ボンドの用途は 主に、木・紙・布―ただし、水に弱い
瞬間接着剤は空気中の水分と反応して瞬間的に硬化する
「アロンアルファ」はパイオニア精神的な意味合いも持たせている
アロンアルファには犯罪捜査など意外な使われ方もある
セメダインは外国製品を「攻め」「出す」という意味も
付箋紙の誕生は失敗作から―小さいサイズは日本独自のもの
一度剥がしたら二度とはくっつかないコールドシール

第5章   リサイクルなどで注目高まる接着剤の剥がし方
水には溶けないが水で剥がしやすいものは多い
アセトンは溶剤としてよく使われる―天然ゴムはガソリンで剥がせる
皮膚や手についたときはお湯を使うと効果的―目に入ったときは医師の手当てを
切手を剥がすには、ぬるま湯があればいい―切手同士がくっついたら冷蔵庫
ラベルを剥がすにはお酢や灯油、カーワックスなどでも

第6章   理想の姿を模索するこれからの接着剤
理想の接着剤は、強い接着力と必要なときの剥がれやすさ
「バイオ接着剤」の研究開発が進む―ルーム貝の接合に倣う
常温でくっついたり剥がせたりする新素材の接着剤が近々、登場か?
電気・電子部品ごとに専用のものが求められる導電性接着剤
IC分野などからも高まる〝解体性接着剤〟のニーズ
特質を最大限に発揮させ、今まさに大きく進化している接着剤に注目
30年前に報告された「究極の接着剤」は、まだ完成していない
緊近での解決課題も多い―耐久性、耐熱性、剥離性、等々

コラム  
ドライアイスや唾液は接着剤か―溶けて凍るため、また加齢のため
蒟蒻接着剤を使った風船爆弾(1)
蒟蒻接着剤を使った風船爆弾(2)
付箋は、失敗作と微かな記憶とちょっとした閃きと諦めない努力から
接着にも「接着管理士」や「木材接着士」などの資格がある
瞬間接着剤はベトナム戦争で大活躍をした
メック加工でネジ自体にシールとロック機能
製本用接着剤として使われているのは「ホットメルト接着剤」
接着剤は多くの法律の適用を受けている

▼参考文献

はじめに

 昔、紙と紙をくっつけるのに、ご飯粒を潰して紙の間に挟み、強く押し付けることでくっつけました。ご飯粒が〝食べる〟という本来の用途を変え、〝接着〟というまったく別の役割を果たしていたのです。このようにご飯粒に〝くっつける〟という本来の目的とはまったく違う機能を見出し、活用していたことを考えると私たちが今、日常茶飯事に使っている〝接着〟とは一体どんなことなのだろうということが気になってきます。
 今では、くっつけるための手段として「ご飯粒」など使わないでしょう。接着するためのモノは、その用途によって、また素材別に驚くほど多くの種類が出回っており、日常生活の中では、それを買ってくれば簡単にしっかり接着できるからです。しかし、そのために接着の世界はかなり複雑になり、私たちは、ほとんど何も考えずに、当たり前のことのようにそれらのモノを使い、接着という行為を行なうようになっています。
 接着のための手段が身の周りに少なく、ご飯粒を使っていた時代は、それがどうしてくっつくのか、多少考えもしましたし、先生たちも教えてくれました。現在でも、身の周りの身近な接着剤を手にしたとき、そのような〝疑問〟が沸いてくる人もいるでしょうが、現代社会は忙しく、その疑問はすぐに脇に追いやられてしまいます。また、複雑化した接着の世界はあまりにも高度で、素人にはなかなかわかりません。
 しかし、疑問は疑問として、それらの接着剤を使う度、頭のどこかに残っているはずです。例えば、「なぜ、瞬間的にくっついてしまうのか」、「どのくらい巨大なものまで、くっつけられるのか」、「どんなものでもくっつけられるのか」、さらに「納豆のネバネバは、ご飯粒よりくっつく力が強いのか」「唾液は接着効果があるのか」―等々、考えれば切りがありません。
 どこでもいつでも表に出ない縁の下の力持ちが接着剤といえます。私たちは、モノをくっつけることで、いろいろな形を作ることができることを知っています。そしてそれが工業・製造業の発展に大きく寄与しているだろうことも想像できますし、さらに、そこから生み出されたものが、私たちの生活を豊かにしているということも、ハッキリとではなくても、それとなく感じているはずです。
 つまり、接着という、モノとモノをくっつける手段は、文明社会を大きく発展させてきたものなのです。現代社会において接着という手段は、日常生活用品はもとより、ITから宇宙産業まで必須の技術となっています。その意味でも、本書を通じて接着というものの〝そもそも〟を知ることは、トリビア以上に日常の中でいろいろと役に立つことがあるでしょうし、読み進むにつれて、ごく単純なことでも〝目から鱗が落ちる〟と感じられることも少なくないと思います。
 ですから本書では、そのような接着に対する潜在的ともいえる疑問を、まずは基本的な話から、そして、私たちが日常使っている接着剤の不思議、さらに考えられないような接着等々を、専門的にならずに、きわめてわかりやすく、という点に重点をおいて、かつ、科学的視点を失わず紐解いてみました。監修は、〝サビ博士〟と言われ、接着の専門家でもある菅野照造氏と接着に関する講演などを数多く行なっている堀井真氏です。本書を一読することで、接着というものへの興味がさらに増し、知識となってくれれば、これに勝る喜びはありません。

 2013年2月
 高性能接着研究会

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