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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしい地熱発電の本

定価(税込)  1,512円

著者
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サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-06996-3
コード C3034
発行月 2012年12月
ジャンル 環境 ビジネス

内容

日本は世界第三位の地熱資源国。地熱発電は地震に強く、外部からの燃料補給やCO2排出量が少ないなど優れた点の多いエネルギー源として注目されている。本書は地熱発電・地熱エネルギーの仕組みをイラスト図解でわかりやすく紹介する。

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當舎利行  著者プロフィール

(とうしゃ としゆき)
産業技術総合研究所 地圏資源研究部門 主幹研究員
東京大学大学院理学系研究科修了 博士(理学)
1954年 東京都生まれ
専門分野
・地球物理学(地球の電磁気的な性質を利用した地質現象の解明)
・物理探査学(地熱地帯における微小地震活動)
役員など
・日本地熱学会評議員
・火力原子力発電技術協会地熱発電委員会委員長

内田洋平  著者プロフィール

(うちだ ようへい)
産業技術総合研究所 地圏資源研究部門 地下水研究グループ 主任研究員
千葉大学大学院自然科学研究科修了 博士(理学)
1967年 東京生まれ
専門分野
・水文字(地球の水、特に地下水の賦存状況の解明)
・地下水流動・熱輸送理論(地下水の流れ方と地下温度構造の関係を研究)
役員など
・NPO法人 地中熱利用促進協会理事
・日本水文科学会評議委員会
受賞など
・平成14年度日本地熱学科研究奨励賞
・平成24年度日本地熱学会論文賞

目次

第1章 地熱発電ってどんなもの
1 期待が高まる地熱発電 「地球の熱を利用した発電」
2 地球からの蒸気の噴出 「地球のパワーを感じる間欠泉」
3 世界で最初の地熱発電 「最初はたった5個の電灯を点灯」
4 日本での地熱発電の歴史 「蒸気卓越型の地熱貯留層から蒸気を採集」
5 温泉を利用した発電 「低エネルギーの熱源も利用」
6 日本の地熱発電所 「全国17カ所で発電」
7 日本の地熱発電メーカー 「国内での需要が少ない地熱用発電機」
8 世界の地熱の利用状況 「インドネシアとアイスランドの伸びが顕著」
9 地熱発電の特徴 「CO2排出量が少なく、出力が安定」

第2章 地球からの熱エネルギーの利用
10 地球の構造 「地球内部の熱は地殻から熱伝導によって地表に運ばれる」
11 地球の熱構造 「地球外へ熱の放出で温度を一定に保つ」
12 地熱エネルギーとは 「地球の内部の熱を上手に取り出す」
13 地熱エネルギーの利用 「LCAは太陽光発電などと同等の値」
14 世界の地熱地帯 「火山地帯に多く分布」
15 日本の地熱地帯 「熱水対流系地熱資源と深層熱水資源」
16 地球からのさまざまな熱エネルギーを回収 「熱を移動させる技術」
17 地層内に閉じ込められた地熱流体 「さまざまな形の地熱資源」
18 温度による熱水利用 「熱をさまざまな分野で有効利用」
19 日本の熱水利用の実例 「温泉資源のあるところで熱水の利用が盛ん」
20 世界の熱水利用 「大規模なヒートポンプ利用が進む」
21 世界の地熱発電量 「資源量は多いが開発が進まない日本」

第3章 地熱発電のメカニズム
22 地熱発電の仕組み 「地熱発電の設備構成」
23 蒸気だけが出る地熱貯留層からの発電 「利点を活かして復水式と背圧式を使い分ける」
24 熱水と蒸気を産出する地熱貯留層からの発電 「じゃまな熱水をいかに分離するか」
25 シングルフラッシュ発電 「1回だけ蒸気を分離して利用」
26 ダブル・トリプルフラッシュ発電 「フラッシャーの力でさらにパワーアップ」
27 バイナリーサイクル発電 「低沸点媒体を上手に利用」
28 岩石から蒸気を得る高温岩体発電 「熱エネルギーの高い岩石を利用」
29 マグマ発電・火山発電 「高温のマグマを利用」
30 地熱発電の設備技術 「ガス抽出機や翼洗浄装置の開発」

第4章 地熱発電所ができるまで
31 長い期間を要する地熱発電所計画 「計画手順に手間ひまがかかる」
32 地熱発電に適した地熱地帯 「地熱の三要素が必要」
33 広域からの貯留層調査 「さまざまな調査で絞り込んでいく」
34 物理探査による貯留層の絞り込み 「重力測定、AE、MTを活用」
35 発電可能量の見積もり 「控えめに予測する」
36 環境に対する影響を測る 「調査から工事までエコに進める」
37 周辺温泉への影響評価「 温泉が枯渇したら大変」
38 地表設備の設計 「地熱発電特有の設備」
39 発電所の建設と規制緩和 「さまざまな許認可が必要」
40 メンテナンスと運用 「地熱流体ゆえの各種対策」

第5章 地熱発電の経済性
41 地熱発電所の建設コスト 「地熱貯留層の位置探しから始まる」
42 地熱発電所の発電コスト 「2010年と2030年の試算」
43 地熱発電を助成制度で援助 「助成制度の整備と一元化」
44 固定価格買取制度の仕組み 「再生可能エネルギーの普及促進を図る」
45 国立公園内での開発 「やっと始まった規制緩和」
46 規制緩和と経済性向上 「地熱発電の特性に合っていない制度」
47 技術開発によるコストの削減 「効率を上げる技術開発」
48 産業としての地熱発電 「蒸気の生産と発電に関わる事業者」

第6章 地中熱の利用
49 地中の温度は1年を通して一定 「恒温層の温度は地域により異なる」
50 地中熱ヒートポンプとは 「平野地域の地中熱を活用」
51 地中熱と水の循環 「地中熱は地下水の流動により温度が変わる」
52 日本での地中熱ヒートポンプシステムの利用 「都心でも導入が始まる」
53 地中熱ヒートポンプの実力 「高い省エネ性効果を示す」

第7章 地熱エネルギーのこれから
54 地熱技術開発の歴史と展望 「技術開発を牽引したNEDO」
55 日本における地熱や熱水の資源量 「地熱資源量の予測」
56 深く掘って地熱資源を開発する 「深いほど高熱が得られる」
57 インドネシアにおける地熱開発 「推進政策で急成長」
58 EGS技術とは 「非常に幅広い技術の総称」
59 地熱によるエコタウン構想 「環境調和型のシステムによる街作り」
60 今後のエネルギー開発 「高まる再生可能エネルギーへの関心」

第8章 地熱発電Q&A
61 富士山の回りで地熱発電はできないの? 「地熱貯留層の形成に難あり」
62 地熱発電は景観を害さないの? 「景観保護の優先順位」
63 どのくらいの蒸気があれば発電が可能なの? 「熱水卓越型の熱水を上手に利用」
64 離島での発電は可能なの? 「地産地消のエネルギー」
65 環境汚染(排水)は大丈夫なの? 「有効に利用したい地熱資源」
66 地震(災害)への強さは大丈夫なの? 「意外と地震にも対応」

【コラム】
●地熱は再生可能なのか
●ハザードとリスク
●技術開発の終了
●もうすぐ地熱発電所
●経済性を表す指標
●地熱資源はどれくらいの確率で掘り当てられるの?
●地球温暖化対策への貢献度
●地熱技術開発の今後

参考文献
索引

はじめに

 本書の構成は、第1章では地熱発電の歴史やメーカー、最初の発電所が生まれた経緯などについて紹介しています。第2章では地熱発電の源となる地球の熱構造や地熱地帯などについて解説しています。第3章ではさまざまな地熱発電の方法について、第4章では地熱発電所ができるまでの経緯について解説しています。地熱発電では、地熱地帯に適した発電方式を採用することや発電所の建設までに多くの時間がかかることがわかると思います。第5章では地熱発電建設や運用に必要なコストやコストに大きく関係する規制緩和について、第6章は地中熱について、また第7章は未来の技術や夢について書いています。第8章では、みなさんが疑問に思うような事柄について答えています。章を追って読み込んでいただければ、歴史、技術、経済性、問題点など、地熱発電に関する理解をひと通り得られると思います。また、本文中も極力参考とすべき項の番号を入れるようにしました。興味のあるところから読み進んでも、索引や本文中の参照項を参考にして理解が深まるようになっています。
 地熱発電は、10年ほど国による技術開発がまったく行われていない期間がありました。このため、企業が地熱の求人を控えるので、大学も地熱研究から他の研究に移すようになり、求職する人数が減り、求人も減っていくという負の循環が地熱を襲っていました。地熱学会の人数構成も50歳後半の会員が飛び抜けて多く、ここ数年で退職を迎えることにより技術の継承ができないという状況に陥っています。若い世代の人にいかにして地熱の技術を伝えるか、どこまでは技術的に達成しているのか、どこが問題点として残っているのか、そしてどのようにすれば、最終目標まで至ることができそうなのかということを伝えなければならないと思っています。NEDO(現・新エネルギー・産業技術総合開発機構)という組織で地熱技術開発に携わった者として、なぜ10年間も国の技術開発が行われなかったのか、どのような過程で終了することになったかなども、簡単にではありますが触れています。
 本書は第6章の地中熱を、この分野で最も活躍している一人である内田洋平氏に執筆をお願いしました。また、地熱の経済性、海外の地熱、温泉発電、規制緩和、地熱資源評価などについて、三菱マテリアル(株)の有木和春氏、北尾浩治氏、西日本技術開発(株)の金子正彦氏、富士電機(株)の山田茂登氏、地熱技術開発(株)の大里和己氏そして産業技術総合研究所地圏資源研究部門の野田徹郎氏、阪口圭一氏をはじめとする多くの関係者の方々に重要な意見や資料の提供をいただきました。ここに厚く御礼を申し上げます。また、本書はできるだけわかりやすい記述を心がけるとともに経済性や規制緩和など今話題になっている項目も、なるべく多く入れるようにしました。専門的な立場から見ると説明が不十分な個所や、地熱を取り巻く環境が日々変化をしているため記述内容が古くなっていることもあるかもしれませんが、なにとぞお許しをいただければ幸甚です。
 最後に本書の出版に当たり、社団法人火力原子力発電技術協会、一般財団法人エンジニアリング振興協会、ならびに一般財団法人新エネルギー財団などの文献や資料を参考にさせていただきました。また日刊工業新聞社の三沢薫さんをはじめ、校正を担当していただいた小澤和重さんなど関係者各位には大変お世話になりました。ここに改めて感謝を申し上げます。

2012年12月   
独立行政法人 産業技術総合研究所 地圏資源環境研究部門 當舎利行

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