買い物かごへ

今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしい印刷の本

定価(税込)  1,512円

監修
編著
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-06992-5
コード C3034
発行月 2012年12月
ジャンル ビジネス

キーワード

内容

印刷技術の発明は、情報を同時にたくさんの人に伝えることを可能とし、近代文明の幕を開けた。そして今、「水と空気以外どんなものでも印刷できる」と言われるほど進化した印刷技術は、あらゆる場所で使われ、私たちの生活を豊かにしている。本書では、この印刷技術の歴史から最新動向までをわかりやすく解説する。

真山明夫  著者プロフィール

(さなやま あきお)
1957年東京生まれ。法政大学卒業後、準大手印刷会社に入社、営業職を経験。1982年、家業である真生印刷株式会社に入社、営業、管理全般従事。2002年代表取締役に就任、現在に至る。厚生労働大臣認定制度印刷営業士・管理印刷営業士。全日本印刷工業組合連合会認定制度印刷生産士。東京都印刷工業組合理事。日本印刷技術協会理事。全日本印刷工業組合連合会印刷営業講座業界講師。東京都技能検定実技試験技能検定委員。中央職業能力開発協会中央技能検定委員。

目次

第1章 “印刷”ってどういう事だろう?
1 今や気体以外のモノにはすべて印刷可能「水なし印刷もできる!?」
2 印刷の概念は紙を版に押し付ける「原稿と同じ物を多数作る」
3 危うくなった版の存在「しかしデジタルの中に存在し続ける」
4 印刷技術の基本的な4大印刷方法「凸版印刷が最も古い方式」
5 印刷に使用するインキは文化だ「インキには分類によって数多くの名前がある」
6 インキは3つの要素からなる「大別するとペースト状と液状がある」
7 インキも環境にやさしく!?環境ガイドライン「NLマーク、GPマークなど」
8 グーテンベルクの印刷機のインキはニス状?「最古のインキは墨?」

第2章 世界の印刷の歴史
9 印刷技術の歴史は6000年前以上に遡る「最古は瓦に書いた「瓦書」」
10 11世紀に中国で活字が造られる「しかし効率が悪く普及せず」
11 活版印刷は極東アジアから始まった「ただし主流は木版印刷」
12 活版印刷は「ルネサンス期の三大発明」「科学革命を促す原動力とも」
13 情報が広く正確に伝えられるようになった「活版印刷の効能」
14 活版印刷術がもたらした大きな影響「コンピュータ以上に大きな衝撃」
15 16世紀、本の小型化が始まる「これは書物の歴史における大転換」
16 1798年、印刷史に残る大きな変化「「平版印刷」が登場」
17 19世紀、印刷技術が続々開発される「毎時8000枚印刷の輪転印刷機も」
18 印刷技術は20世紀に飛躍に発展「20世紀後半の進歩は革命的」
19 アメリカの三つの企業から芽生えた「DTP誕生」

第3章 日本の印刷の歴史
20 『百万塔陀羅尼』は日本が誇る偉業の一つ「印刷技術の偉大なる一歩」
21 安土桃山時代に木活字が造られた「ただし、膨大な数が嫌われた?」
22 木版印刷全盛の江戸時代「一度に700〜2000部も印刷した」
23 日本の「近代活字文化の父」本木昌造「東京に出版革命を起こした」
24 明治初年には石版印刷始まる「昭和20年過ぎに姿を消した」
25 書類作成事務などの能率化で多大な貢献「邦文タイプライター」
26 電算写植、オフセット印刷が主流に「DTP登場で出版の迅速化、コストダウン進む」
27 写植機は日本で独創的に開発された「着想が突如として浮かび具体化」
28 謄写版は電気を使わない簡便な孔版印刷機「一般の印刷とは区別」

第4章 印刷の原点凸版印刷、色彩鮮やか凹版印刷
29 5つの印刷の基本要素「「原稿」「印刷版」「印刷機」「印刷インキ」「印刷媒体」」
30 日本の木版印刷は、「草書」によって発達した「柳の葉のような書体」
31 凸版印刷の一つに活版印刷「文字一つ一つが別々の活字でできている」
32 活版印刷は、鉛版でステロ版をつくった「刷り摩耗対策」
33 欧米で注目集まるフレキソ印刷「遅れる日本での導入・利用の動き」
34 凸版印刷機にはいろいろなモノがある「「平圧」「輪転」「半輪転」「間欠輪転」「フレキソ」
35 紙幣など特殊な印刷にも使われる凹版印刷「深浅の両方で濃淡を表現」
36 「彫刻凹版」と「グラビア印刷」「凹版印刷の種類」
37 グラビア印刷は写真画像などに適している「凹版印刷の一種」
38 グラビア印刷機は1色ごとに1つの印刷ユニットを持っている「美しい色を出す」
39 お札にはインクを含む高度な印刷技術が駆使されている「それは偽造防止」

第5章 幅広く利用される平版印刷、孔版印刷、無版印刷
40 平版印刷は版の撥水性を利用した印刷方法「幅広く利用されている」
41 平版印刷の環境問題の切り札「水なし印刷」「シリコーンゴムを使用」
42 水なし印刷にも弱点がある「弱い紙に不向きで静電気も発生する」
43 孔版印刷は版の孔を通してインキを転写「簡便な印刷としても特徴」
44 孔版印刷には、「謄写印刷」と「スクリーン印刷」がある「孔版印刷は日本の技術が貢献」
45 あらゆる素材に対応可能なスクリーン印刷「多くの産業での利用期待」
46 謄写版印刷の発明はエジソン「だが、完成させたのは日本人」
47 ガリ版はデジタル印刷機となって活躍「学校などで今でも」
48 静電印刷方式は無圧印刷「ビスケットも壊さずに印刷できる」
49 いろいろな食べ物に印刷する「インキは食べられる数ミクロの粉体」
50 〝水中で印刷〟するカールフィット印刷「絵柄が水の上に浮く印刷も」
51 紫外線の存在を確かめられる印刷もある「印刷物の大型化も進む」
52 現在の新聞は、記事や写真をすべてコンピュータで組み上げる「昔は職人技で作ったが…」
53 CTPシステムはダイレクトに刷版を出力「印刷品質が大幅に向上」
54 レーザープリンタは滲みのない印刷ができる「静かで振動が少ない」
55 熱転写プリンタはバーコードやデジカメ写真に「プリントなどに使われる」
56 パソコン用プリンタ出荷台数の3分の2以上がインクジェット方式「大きな特徴は機構が単純」

第6章 いろいろな機能をもつこれからの印刷技術
57 カーボン印刷は耐光、湿度、経年に強い「いまだに強い需要」
58 転写印刷は平面でないものに大量に印刷する「移し絵ともいわれる」
59 電子回路の「プリント配線」も印刷がポイント「あらゆる電子機器を支える技術」
60 次世代技術「プリンタブル・エレクトロニクス」「大きな期待が寄せられている」
61 活発化するプリンタブル・エレクトロニクスの研究開発「技術はどこまで進むのか」
62 印刷技術とナノテクの関係「ブレークスルーに関係して発展」
63 DTPは特殊な技術ともされた印刷を多くの人々の手元に送り届けた「コンピュータ駆使でさらなる可能性」
64 電子書籍や新聞などへの応用が期待される「曲がる電子ペーパー」「軽い、書き換え可、低消費電力」
65 電子書籍は印刷本と共存していく「電子書籍から印刷するパターンも」
66 印刷技術は想像を超えた分野に進出「広がる活躍の場」
67 印刷できるソーラーパネル「塗ってつくれる太陽電池は近く登場か」
68 印刷は、これからも人間にとって必要不可欠「大切な技術であり続ける」

【コラム】
●「インキ」と「インク」
●グーテンベルクと印刷技術の関わりの〝謎〟
●ワットはなぜ、コピー機を発明しようとしたか
●謄写版の大きな業績は日本の文化を支え世界に広めた
●日本発祥のスクリーン印刷は戦前は、謎めいたものだった
●タイプライターは52回発明された?

参考文献
索引

はじめに

 「印刷」というと、何やらいかめしく聞こえますが、今やその技術は、新聞、雑誌、チラシ、さらに、お菓子の袋、化粧品の箱、果ては電子機器に入っているプリント配線板、そして、ゴムなどの紙以外の材料や、曲線部分にまで活用され、私たちの日常生活になくてはならないものとなっています。
 印刷技術の原型となるのは、私たちが小・中学生の頃に出会った「芋版画」や「木版画」でしょう。中年以上の人なら「ガリ版刷り」も加わるかもしれません。また、一時期、「プリントゴッコ」で年賀状や暑中見舞いなどをつくるのに夢中になった人もいたでしょう。
 つまり、印刷とは、「版にインキをつけて紙に押し付けると版と同じ模様ができ、何枚も簡単に同じ模様を、それも速くつくることができる仕事」(小学館・日本大百科全書)であり、また、「インキにより、紙などの媒体に文字や絵、写真などの画像を再現すること」をいいます。言い換えると、版というものがあって、それと同じものを数多く速く刷れるのが印刷なのです。
 印刷物を作るための印刷の主な構成要素は、「原稿」、「印刷版」、「色材」、「印刷機械」、「被印刷物」の5点です。また、印刷技術には「基本的な4大印刷方法」というのがあります。「平版印刷(オフセット印刷)」、「凹版印刷(グラビア印刷)」、「凸版印刷(活版印刷、フレキソ印刷)」、「孔版印刷(スクリーン印刷)」です。
 しかし、現在は、この基本的な4大印刷方法がコンピュータの飛躍的進歩に伴うデジタル化の進展によって、著しい変化をみせています。活字文化からビジュアル文化まで大きな役割を果たし、「印刷は文化」とも言われてきましたが、従来の紙などの印刷物に替わって、電子書籍や電子新聞などが登場し、「新しい印刷文化の到来」とも言われる時代になってきました。
 一方で、私たちが日常的に使っているものに「コピー」があります。同じものが素早く何枚もつくれるという意味では、印刷と同じです。これも印刷でしょうか。実は「印刷」は「プリント」であり、インキによって媒体に画像を出力し再現するものであるのに対して、「コピー」とは「複写」「複製」のことで、主に同種の媒体間で複製すること、と解されています。また、印刷とコピーでは、コストの点でも大きく違います。印刷は、大きな部数を速く安く刷れ、一方、コピーは、少ない部数なら印刷より安くできます。
 つまり、コピーというのは、複写という「原本どおりに文字や図面を写しとること」であり、「写してあるものを元にして、もう一度写すこと」「元の文書や書類などと同じものを写しとること」なのです。
 また、最近はあまり使われなくなりましたが、活字を綺麗に打ち出していく「タイプライター」と呼ばれるものがあります。これは同じものを数多くつくることはできませんが、タイプライターによる謄写印刷、あるいはタイプライター印字を原版とするオフセット印刷などがあります。このようなことから、本書では、「コピー」と「タイプライター」も、それぞれ少し取り上げてみました。
 本書は、今まさに大きく変化しようとしている「印刷」について、印刷とは何だろうというそもそも論から説き起こし、その歴史とエピソード、そして、現在の印刷技術、システムまでを、わかりやすさという点を第一にまとめたものです。監修は、日本印刷技術協会(JAGAT)の理事であり、自ら印刷会社を持ち、印刷に関わる数々の検定等の委員をつとめる真山明夫氏です。本書を一読して、印刷というものに改めて興味をもってもらえれば、また、知識という点で少しなりとも参考になれば、嬉しいかぎりです。

2012年12月
印刷技術と生活研究会

買い物かごへ