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実務家のためのREACHマニュアル
JAMPツールで業務効率化

定価(税込)  2,592円

著者
サイズ A5判
ページ数 224頁
ISBNコード 978-4-526-06964-2
コード C3043
発行月 2012年10月
ジャンル 化学

内容

欧州で施行されたREACHは、化学物質管理の世界的な規範となっている。それだけにわが国の企業も否応なく渦中に巻き込まれており、大企業はもとより中小企業でも対応が迫られている例は少なくない。本書はそのREACHに対応するための実務書である。

入江安孝  著者プロフィール

(いりえ やすたか)
1945年生まれ
製造業で生産管理、経営企画、情報処理部門を歴任
情報子会社にて常務取締役を経て、
1993年より株式会社アイリー、および株式会社アイリーシステムを設立。
長年、生産管理および環境管理に携わる。
現職:株式会社アイリー代表取締役、株式会社アイリーシステム取締役相談役、NPO法人生産システム実践モデル研究機構代表理事、関西学院大学商学部非常勤講師、日本生産管理学会常任理事関西支部長、JAMPアーティクルマネジメント推進協議会情報基盤技術委員会・管理ガイド作成技術委員会・普及企画委員会SME分科会の各委員

目次

はじめに  

推薦の辞  

第1章 実務家のためのREACH理解
1―1 REACHの生い立ち
1―2 リスク管理
1―3 REACH7条2項と33条について
1―4 何が危ないのか
1―5 アーティクル
1―6 閾値の曲者
コーヒーブレーク

第2章 情報伝達と情報共有
2―1 化学物質管理の必要性
2―2 化学物質管理のポイント
2―3 サプライチェーン管理
2―4 管理ガイドライン
2―5 化学変化
2―6 原部品とは
2―7 社内情報管理方式
2―8 情報伝達のIT化
コーヒーブレーク

第3章 JAMP化学物質情報伝達ツール
3―1 JAMP
3―2 MSDSplus
3―3 AIS
3―4 JAMP―IT
コーヒーブレーク

第4章 業務効率化の提案
4―1 視点のパラダイムシフト
4―2 材料ソリューション
4―3 具体的なソリューション事例
コーヒーブレーク

付録
1. パッケージ・ソフトウェアGCF―M

はじめに

REACHが発足してから5年目に入った。化学企業は予備登録から始まって、生産量に従って登録が進んでいる。化学企業の課題や悩みもあるが、成形品製造企業は化学物質の情報伝達で、慣れない手続きでもっと悩んでいる。

筆者は、所属会社の化学物質管理ソフトの開発・販売を約10年続けてきた。それだけなく、JAMP(アーティクルマネジメント推進協議会)の情報基盤技術委員会や管理ガイドライン作成技術委員会の委員をJAMP設立の時から務めながら、情報流通のあり方などを検討してきた。現在では普及企画委員会にも所属し、いかに多くの企業に普及させるかに取り組んでいる。また各企業をご訪問しご担当者の悩みをお聞きし、対策などのご支援もしてきた。

これらの活動における現状の認識から、特に中小企業が抱える問題は深刻であり、大企業にとってはそれが情報の信頼性に関わる重要事項に代わってくることを強く意識するようになった。いかに円滑に化学物質情報が得られるかは、主として大企業側であり、中小企業はそのサプライチェーンの中にあり、得られた情報を自社の製造プロセスの中での追加情報を、正しく加味し伝達できるかが、業務上の課題となっている。

REACHが世界的に化学物質管理の規範になっている現状から、日本企業も否応なくその渦中に組み込まれている。化学企業だけでなく、あらゆる製品産業に波及している。日本の産業保護と育成のために、経済産業省や環境省でも施策が実施されてもよいのだが、サプライチェーン上の中小企業対応については、未だ有効な施策が行われていないのが、現状である。

本書のもくろみは、この中小企業の担当者を化学屋ではなく、実務屋として設定し、単刀直入に業務が推進できることを狙っている。単なるREACHの解説書ではない。むしろREACHについては、藪睨みの視点で書いている。これさえはずさなければ、大丈夫くらいの荒っぽさである。特に第1章でのREACH解説は、法規の成り立ちを理解してもらうためのポイントだけに限った。第1章ではREACH規制の枠組みを理解できるように多方面からのアプローチを行った。

筆者は、サプライチェーン中の中小企業が情報伝達をしてくれれば、日本の産業における物質の情報伝達が、グローバルスタンダードになり得ると考えている。ただし、一方的な情報伝達では、リスク管理は成立しない。情報伝達からさらに情報共有の段階に進まなければならない。サプライチェーンの中で、リスク共有を実現する方法論も含めた。特に、JAMPのガイドライン中心に化学変化に焦点を当てた実務的なノウハウを出来るだけ多くした。第2章では、化学物質管理のポイントが中心になっている。マネジメントの基本である知識の共有化についても、簡単に触れた。

中小企業の納入先である大企業も、仕入先抜きには自社の化学物質管理システムは成功しないので、ヤレとただ突っ張るだけでなく、いろいろな施策を行ってきている。

JAMPの情報基盤技術委員会を中心に、JAMP ITを立ち上げている。これの活用が上手く行くか否かで、グローバルなサプライチェーンでの情報活用がかかっている。特に中小企業で活用して戴かなければ、物質情報のサプライチェーンは完成しない。第3章では、マニュアルの説明はしないが、その構造を理解して戴き、まず使用して貰うことに力点を置いた。そして、情報共有の意味から、AIS表記上の構成のあり方について一石を投じた。
 
最後の第4章では、JAMPの管理方式をさらに合理化するソリューションを提案する。固有の材料には化学物質構成があり、これを上手く使いこなせれば、ほとんどの化学物質伝達業務が満足できる。特に、成形加工が多い企業は、この点がクリアできれば、大半の課題が解決できる。また、情報伝達の信憑性を向上させるには、右から左へ情報を流すだけでなく、生産実態を写し取ることが必要なので、共通品を用いてリスク共有のあり方を示した。ITを使用した具体的なソリューションを、提示するので自社のシステムのグレードアップに活用して欲しい。

付録として、弊社が最近開発した化学物質管理のアプリケーション・パッケージを簡単に紹介している。これまで数百万円のパッケージを出荷してきたが、ここで紹介するパッケージは、ずばりボランティア価格である。これまでのパッケージの機能を受け継ぎながらなので、決して安かろう悪かろうの商品ではない。中小企業が取り組みやすい価格にし、化学物質管理と情報流通が円滑に推進して貰えればよい。

本書は、JAMPの何たるかをご存じの方には、これまでにない角度から見て戴きたい。また、これから化学物質管理の方向付けを行い、化学物質管理を実施しようとされている皆様にとって、参考になれば幸甚です。

本書執筆にあたっては、JAMP事務局からの情報提供に感謝申し上げたい。発行済みの各種マニュアル類から、多くの抜粋をさせて戴いた。また、本書の完成に最後までご尽力戴いた日刊工業新聞社出版局の野崎伸一氏に感謝申し上げる。

2012年9月
入江 安孝

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