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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしい下水道の本

定価(税込)  1,512円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-06958-1
コード C3034
発行月 2012年10月
ジャンル 土木・建築 ビジネス

内容

時代とともに変わりつつ、人の生活と環境を守り続けている下水道。本書は、この下水道システム全体をだれでも簡単にわかるように、トコトンやさしく書いた本。浸水被害の軽減、地震対策、水質保全、健全な水循環の構築、未普及地域の解消、資源・エネルギー循環の形成など、これからの課題も含めて解説している。

高堂彰二  著者プロフィール

1957年岡山県倉敷市に生まれる1981年日本大学理工学部土木工学科卒業
高堂技術士事務所NPO法人土壌汚染技術士ネットワーク副理事長、事務局長NPO法人地域と行政を支える技術フォーラム 理事資格:技術士(総合技術監理部門、上下水道部門)、APECエシジニア(CiviI)、環境カウンセラー(事業者部門)、一級土木施工管理士、測量士
●主な著書:「トコトシやさしい水道の本」旧刊工業新聞社『イラストでわかる土壌汚染,1枝報堂出版『技術には専門の監査が必要だiJ七刊工業新聞社『技術士第二次試験「上下水道部門1対策&重要キーワ-ド』日刊工業新聞社
ホームページ
http://koudou-cea.com

目次

第1章 下水道の歴史
1 世界の下水道の歴史 「世界で最初の下水処理設備」
2 世界のトイレ事情 「世界最古の下水道につながったトイレ」
3 日本の下水道の歴史 「日本の排水施設と下水道の始まり」
4 江戸の下水道 「整備されていた江戸の下水道」
5 東京下水道の始まり 「明治の近代的下水道建設」
6 日本の下水道法の変遷 「旧下水道法と新下水道法、下水道法改正」
7 日本で最初の下水処理場 「近代下水道の発祥の地」
8 神田下水 「コレラの流行被害が下水道整備を動かした」
9 太閤下水 「豊臣秀吉がつくった石垣の下水溝」

第2章 下水道のしくみ
10 合流式と分流式 「下水管で下水を流す方法」
11 下水道施設 「分流式の下水道施設の概要」
12 下水道の種類 「下水道法で定める下水道と下水道類似施設」
13 浸水から守る 「雨水をすみやかに排除する」
14 環境を守る 「水質保全を目的とした下水道整備」
15 衛生的な暮らしを守る 「下水道とトイレ」

第3章 下水をはこぶ
16 排水設備(排水管) 「排水設備から公共下水道へ流す」
17 排水設備(宅地ます、付帯設備) 「排水管の維持管理を容易にするための宅地ます」
18 ますと取付管 「排水設備を公共下水道とつなぐ」
19 雨水浸透施設 「雨水の下水への流れ込みを抑制する管やます、側溝」
20 下水管きょの種類 「下水道の管きょの選定」
21 下水道管きょの断面形状 「一般には丸い管だが実はいろいろある」
22 管きょの接合 「流れの勢いを消さない接合方法」
23 マンホール 「管きょ内の点検や清掃などの維持管理に必要な施設」
24 雨水吐(うすいばき) 「雨水の流入がある一定量より増えると希釈された雨水を放流」
25 伏越し 「やむを得ずだが結構多い逆サイホン下水管」
26 雨水貯留施設 「集中豪雨被害などを軽減する」
27 圧力管路システム 「下水の収集システム・輸送システム」
28 管きょの更生工法 「古くなったり劣化した下水管きょを直す工法」
29 管きょの補修 「クラックなどの部分的な修理の工法」
30 流量計算(その1) 「管きょ断面の決定や流下能力の判定は流量計算を行う」
31 流量計算(その2) 「自然流下と圧送式それぞれの算定式」
32 ポンプ 「自然流下ができない場合の機械的しくみ」

第4章 きれいな水にする
33 下水処理場のしくみ 「だんだんときれいな水にする」
34 沈殿池 「浮遊物質を沈殿除去する施設」
35 水処理の方法(浮遊生物法、生物膜法) 「浮遊生物法、生物膜法」
36 標準活性汚泥法 「空気を入れて微生物を活性化」
37 オキシデーションディッチ法「 無終端水路をエアレーションタンクとする方法」
38 その他の浮遊生物法 「浮遊生物による様々な汚水処理方法」
39 生物膜法 「支持体の表面に付着した微生物膜を利用して下水を処理」
40 高度処理 「分解性の悪い物質・窒素・リンなどの除去」
41 汚泥処理 「処理した後の汚泥を扱いやすくする」

第5章 下水道の課題
42 合流式下水道の改善 「合流式の欠点は大雨のときの雨水越流」
43 浸水被害の軽減 「集中豪雨時のリスク増加への対応」
44 下水道施設の資産管理 「アセットマネジメント手法の活用」
45 下水処理水の再利用 「再生水の利用目的と水道配管への誤接合防止策」
46 下水汚泥の有効利用 「バイオマス、バイオガスの有効利用」
47 下水熱、小水力、リン、下水施設空間の有効利用 「バイオマス以外のエネルギー資源」
48 地震対策 「東日本大震災で得た教訓」
49 公共用水域の水質改善 「湖沼、三大湾の水質基準の改善」

第6章 下水道四方山話
50 下水道料金 「下水道の維持管理費用」
51 マンホールの蓋 「マンホールの蓋はなぜ丸い?」
52 硫化水素対策 「毒性が高く人体にも影響のあるガス」
53 不明水 「計画した下水量以外の侵入水」
54 合流式下水道改善案 「雨天時の水質処理向上」
55 推進工法 「推進技術を使った非開削工法」
56 シールド工法 「下水道のトンネル工事」
57 下水道施設の耐震設計 「耐震設計の基本方針と耐震性能」
58 マンホールの液状化対策 「液状化でマンホールが浮上する」
59 応答変位法 「地下の構造物の耐震設計と解析」
60 ノンポイント汚染源 「特定が困難な汚染物質の発生源」
61 スワール分水槽 「渦の力で固形物を除去」
62 ボルテックスバルブ 「雨水吐からの遮集量を渦で調節」
63 ドロップシャフト 「高落差のマンホール内の流れをらせんで安定」
64 雨水流出解析モデル 「シミュレーションを対策に役立てる」
65 リアルタイムコントロールシステム 「排水システム全体を把握しながら制御する」
66 マイクロ水力発電 「下水処理水での水力発電」
67 雨の基礎知識 「雨に関わる用語の定義」

【コラム】
●古代の日本のトイレ
●南極での下水処理
●究極の大江戸リサイクルシステム
●マイクロバブル
●プレート境界型地震とは
●内陸型地震と活断層

参考文献

はじめに

  1787年江戸の人口は、約200万人となりました。そのころヨーロッパでは汚物が窓から捨てられ、コレラが大流行するなど想像を絶する不潔さだったようです。しかし、当時の江戸は、究極のリサイクルシステムができあがっており、その時代に日本を訪れた外国人は、「江戸の町の清潔さ」に驚嘆したそうです。そのエコで清潔な役目を果たしたのが、下水道でした。

時は移り、これからの下水道は、「普及拡大」を目指した20世紀型の下水道整備から、持続可能な循環型社会を構築するため、「健全な水環境と資源環境」を創出する21世紀型下水道への転換を目指すべきとの方向性が、下水道ビジョン2100で示されています。

  これまでの下水道の役割は、時代とともに変遷し、明治33年に制定された下水道法では、土地を清潔に保つことを目的とされていました。また、昭和33年の下水道法改正では、「都市環境の改善を図り、都市の健全な発達と公衆衛生の向上」を目的として、合流式下水道による浸水防除や環境整備に重点が置かれました。そして、昭和45年の下水道法の改正で、「公共用水域の水質の保全に資する」という一項がその目的に加えられ、現代の下水道法の体系ができあがりました。

このように、時代とともに下水道の役割や目指すべき方向性も変化してきており、浸水被害の軽減、地震対策、公共用水域の水質保全、健全な水循環の構築、合流式下水道の改善、未普及地域の解消、資源・エネルギー循環の形成、経営基盤の強化など解決しなければならない課題も山積みされた中で、下水道全体を把握することは大変なことです。

この本は、下水道システム全体がだれでも簡単にわかるようにトコトンやさしく書いていますので、どうぞお気軽にお読みください。また、姉妹本として「トコトンやさしい水道の本」も合わせてお読みいただくと、上下水道全体が理解できると思います。

なお、本書の執筆にあたり、なにかとご配慮をいただいた日刊工業新聞社出版局書籍編集部の鈴木徹氏をはじめ関係各位に心から感謝いたします。 

平成24年9月 
高堂 彰二

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