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絵とき「油圧」基礎のきそ

定価(税込)  2,808円

著者
サイズ A5判
ページ数 272頁
ISBNコード 978-4-526-06855-3
コード C3053
発行月 2012年10月
ジャンル 機械

内容

本書は、油圧という言葉を始めて耳にする設計技術や機械保守に携わる方々を対象として、油圧の原理と仕組みを説明すると同時に、数学や物理の基礎知識を振り返りながら、油圧機器のカタログ仕様の見方から油圧システム設計のあり方に至るまで解説した入門書である。

西海孝夫  著者プロフィール

(にしうみ たかお)
1953年10月 東京生まれ
青山学院高等部を経て、青山学院大学 理工学部 機械工学科卒業。
成蹊大学大学院 工学研究科 博士前期課程 機械工学専攻修了。
成蹊大学 助手、防衛大学校 助手、同 講師、同 助教授を経て、現在、防衛大学校 システム工学群 機械システム工学科 教授  博士(工学)。
油圧をはじめとする流体システムに関する教育研究に従事、日本フルードパワーシステム学会の理事、日本機械学会、計測自動制御学会などの会員。

その他の著書
小波倭文朗、西海孝夫:油圧制御システム、東京電機大学出版局(1999)
西海孝夫:図解 はじめて学ぶ流体の力学、日刊工業新聞社(2010)

目次

はじめに  

第1章 油圧とは何か?
 1―1 液圧の歴史  
 1―2 パスカルの原理と動力伝達  
 1―3 油圧システムの仕組み  
 1―4 油圧の特徴  
 1―5 油圧の応用分野と技術動向  

第2章 流体と流れ
 2―1 圧力の性質  
  (1)圧力とせん断応力  
  (2)静止流体中での圧力  
  (3)曲面に作用する圧力  
  (4)気体の状態変化  
 2―2 作動油の種類と性質  
  (1)密度  
  (2)粘度  
  (3)体積弾性係数  
  (4)比熱、熱伝導率、熱膨張率  
  (5)飽和蒸気圧と空気分離圧  
  (6)作動油の汚染管理  
 2―3 作動油の流れ  
  (1)流量と流速  
  (2)層流と乱流  
  (3)連続の式  
  (4)ベルヌーイの定理  
  (5)二面間の流れ  
  (6)傾斜した平板間の流れ  
  (7)絞り  
  (8)圧力損失  
  (9)キャビテーション  
  (10)運動量の法則  

第3章 油圧ポンプ
 3―1 容積式ポンプの構造と作動原理  
 3―2 定容量形ポンプ  
  (1)ギヤポンプ  
  (2)ねじポンプ  
  (3)ベーンポンプ  
  (4)ピストンポンプ  
 3―3 可変容量形ポンプ  
  (1)可変容量形ベーンポンプ  
  (2)可変容量形ピストンポンプ  

第4章 アクチュエータ
 4―1 シリンダ  
  (1)シリンダの構造と作動原理  
  (2)流体クッション  
  (3)シリンダの強度と取付け  
  (4)シリンダの座屈  
 4―2 油圧モータ  
  (1)油圧モータの構造と作動原理  
  (2)ベーンモータ  
  (3)ギヤモータ  
  (4)ピストンモータ  
 4―3 揺動形アクチュエータ  

第5章 制御弁
 5―1 ポペット弁とスプール弁  
 5―2 方向制御弁  
  (1)方向切換弁  
  (2)チェック弁  
 5―3 圧力制御弁  
  (1)リリーフ弁  
  (2)減圧弁  
  (3)シーケンス弁  
  (4)アンロード弁  
  (5)カウンタバランス弁  
 5―4 流量制御弁  
  (1)絞り弁  
  (2)流量調整弁  
  (3)分流弁  
  (4)デセラレーション弁  
 5―5 電気操作弁  
  (1)比例制御弁  
  (2)サーボ弁  
  (3)油圧サーボシステム  
 5―6 弁体に働く流体力  

第6章 そのほかの油圧機器と要素
 6―1 アキュムレータ  
 6―2 フィルタ  
 6―3 熱交換器  
 6―4 油タンク  
 6―5 圧力測定器  
 6―6 配管  
 6―7 電動機  

付 録
 (A)SI単位系  
 (B)質量保存の法則  
 (C)仕事と動力  
 (D)角速度とトルク  
 (E)テイラー展開とマクローリン展開  
 (F)偏微分  
 (G)ラプラス変換と伝達関数 

参考図書  
索引

はじめに

流体の持つエネルギーを機械的エネルギーに変換する水車の歴史は、紀元前に遡る。その後の長い歴史を経て17世紀中頃に出現したパスカルの原理は、産業革命に多大な影響を及ぼし、かつ蒸気機関の発明にも寄与した。油圧は、これら流体機械としての系譜を辿り着実に発展してきたが、昨今では電気、電子、センサ、電動アクチュエータ、コンピュータ、ソフトウェアなどとの密接な融合を図りながら一段と知能化され、メカトロニクス技術として進展してきている。
 基盤技術である油圧は、様々な多くの産業分野で「縁の下の力持ち」としての役割を担い、科学技術の進歩に貢献している。その応用分野は多岐にわたり、
○加工機械(工作機械、プラスチック成形機、プレス、板金機械など)
○土木建設機械(油圧ショベル、クレーン、ホイルローダ、ブルドーザなど)
○農業機械(トラクター、田植機、コンバイン、芝刈り機など)
○自動車・二輪車(トルクコンバータ、パワーステアリング、ブレーキ、サスペンションなど)
○荷役運搬車両・特装車両(フォークリフト、コンクリートミキサー、戦車など)
○航空宇宙(操縦装置、降着装置、制動装置、発電装置、燃料供給装置など)
○船舶(操舵装置、ウインチ、デッキクレーンなど)
○試験機・シミュレータ(加振試験装置、耐久試験装置、遊戯装置、フライトシミュレータなど)
に及ぶ。そのほかに鉄道、ロボット、風力発電、ダムゲート、高層ビルの免振装置、エレベータ、深海探査船、ごみ焼却炉などが挙げられる。
 本書の読者は、油圧という言葉を初めて耳にする高等専門学校、理工科系の大学、大学院の学生はもとより、油圧システム・油圧機器をはじめ、その応用分野の設計技術、保守管理、営業技術に携わる若手の方々を対象としている。広辞苑によれば、本シリーズの主題である「絵解き」とは、「絵の意味を解説し、絵で説明を補うこと。」とあり、さらに「基礎」とは、「それを前提として事物全体が成り立つような、もとい。」とある。本書は、油圧というものを理解する上で前提となる数学や物理の基礎知識を振り返りながら、油圧の原理と構造を中心に、油圧機器のカタログや仕様の見方から油圧システムの簡単な基本設計の考え方まで図解した入門書である。執筆に際しては以下の点に留意した。
 ①昨年に日本工業規格として改正された『JIS B 0142:2011 油圧・空気圧システム及び機器―用語』にもとづき、できる限り油圧用語の統一を図った。
 ②図は作動原理と実際の構造がともに理解できるように、各油圧関連機器メーカ殿のご好意によりカタログなどをもとに豊富な点数を供した。
 ③付録には、第2章での流体力学を除く基礎事項として、SI単位系、力学、制御工学などの基本を掲載した。

 執筆にあたり、油圧関連業界に従事する先輩諸氏から貴重な資料提供やご助言を頂いたが、著者の浅学のために思い違いがあることを危惧している。読者の方々からのご叱正をお願いしたい。おわりに、本書の作成についてご協力頂いた防衛大学校 流体システム講座の諸君や関連各位、また出版に辿り着くまで大変お世話になった日刊工業新聞社の天野慶悟氏、矢島俊克氏に厚く御礼申し上げる。

 平成24年10月
 西海 孝夫 

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