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徹底研究 賃貸住宅
―少子高齢化時代を切り拓く―

定価(税込)  1,512円

著者
監修
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-06931-4
コード C3034
発行月 2012年08月
ジャンル ビジネス

内容

日本の人口が今後益々減少していく中で、賃貸住宅にはいったい何が求められるのか。この本では、不動産賃貸ビジネスの基本的な仕組み、資産活用としての賃貸、住宅物件の技術的な工夫、これからの業界動向までを見開き2ページで分かりやすく取り上げ、解説していく。

高橋俊介  著者プロフィール

(たかはし しゅんすけ)
一級建築士、テンフェイ総合計画代表、高層建築研究会代表。東京大学工学部卒、ハーバード大学卒。58歳。ベトナムではサイゴンサウス計画およびタントアン輸出加工区の日本エージェントを1993年から務める。また、商業店舗の多店舗展開事業コンサルティングと内装設計(国内117店舗、海外11店舗)、建築設計(企業本社ビル、工場・物流センター、海外の鉄道駅ビル、複合施設開発)、ホテルのプロジェクトマネジメント(マンダリンオリエンタル東京、ザ・ペニンシュラ東京、ANAインターコンチネンタル石垣、および万座ビーチ)などを手掛ける。
 設計とプロジェクトマネジメントだけでなく事業戦略立案の分野を得意とし、たとえば住宅メーカーでは、設計だけではなく事業戦略コンサルトして経営資源の活用方法を指南したりしている。
 都心を中心とした建物の販売価格、テナント状態、さらに首都圏を中心とした競売物件状況などの情報にも明るい。
 また、建物と地域の関わり合い、とくに環境と建物の融合という点では、日本の中でも第一人者。
 新聞、テレビのインタビューに登場する機会も多く、4月には東京スカイツリ―関連で、高層建築研究会代表として朝日新聞、読売新聞の取材を受けた。専門家の立場として建物に関する情報収集能力が高く、賃貸住宅に関しては、専門家として建物の工法的なものや、エコな建築、また、建物と地域との融合などに強い。

楠本 博  著者プロフィール

(くすもと ひろし)
1937年東京生まれ、金融学者。一橋大学卒、三井銀行入社、八重洲口支店、本店外国営業部、調査部経済調査課、本店営業部、ニューヨーク支店などを経て退職。近畿大学教授、八千代国際大学(現・秀明大学)教授、大阪市信用金庫顧問・理事などを歴任。主な著書に「銀行行動の理論と現実」(東洋経済新報社)、「セキュリタイゼーション」(有斐閣)、「ベーシック金融先物オプション」(経済法令研究会)、「信金の時代」(近代セールス社)、「金融ビッグバンのすべて」(東洋経済新報社)など。また、翻訳として「変貌する銀行経済」(東洋経済新報社)、「銀行革命新潮流」(東洋経済新報社)など、著書多数。

目次

第1章 進化する賃貸住宅―キーワードは〝賢く使う〟
1−1 四畳半一間からホテルの1室へ。変貌する賃貸住宅
1−2 賃貸住宅も今やファッション
1−3 賃貸住宅は民間の力で伸びてきた
1−4 「持家派か」「賃貸派か」、若年層では賃貸派の比率が上昇か?
1−5 入居者もオーナーも〝賃貸住宅を賢く使う〟時代なのだ

第2章 賃貸住宅発展史―いくつかのターニングポイント
2−1 平安時代にはすでに「賃貸住宅」はあった―江戸時代に花開く
2−2 木造5階建て長屋が出現―日本最初のアパート「上野倶楽部」
2−3 日本の賃貸住宅の歴史は、関東大震災からの復興がひとつの大きなフシ目となった
2−4 高度経済成長期の日本の住宅に大きな影響を与えた「公団住宅」
2−5 借地借家法が〝昭和の賃貸住宅〟の形を決めた
2−6 「昭和」の賃貸住宅供給を担った農地の宅地転用
2−7 賃貸住宅のターニングポイント「生産緑地法の改正」
2−8 賃貸住宅にも金融工学が波及

第3章 今、賃貸住宅に住んでいる人たち
3−1 今どきの入居者が賃貸住宅を選ぶ基準
3−2 グレードアップしている賃貸住宅
3−3 賃貸住宅を「社宅」へ
3−4 多様化する賃貸居住スタイル―ルームシェア
3−5 増加する外国人借家人―空き室対策に利用を進めるケースも
3−6 仕切直しで登場した「サービス付き高齢者向け住宅制度」

第4章 賃貸住宅経営を成功させるマネジメント
4−1 土地オーナーが大家さん?多様化する選択肢
4−2 賃貸住宅経営の本当の目的は?相続税のシミュレーション
4−3 政府は相続税の課税強化を準備
4−4 賃貸経営は建てた後の管理で大きな差が出る
4−5 住宅メンテナンス費用は建設費の30%?
4−6 原状回復費のオーナー負担に増加リスク―東京ルールって知ってますか?
4−7 〝大家さんを代行〟する管理会社は力強い味方!?
4−8 人口減少社会でも心強いパートナーとなる管理会社

第5章 選ばれる賃貸住宅とは―少子高齢化社会を切り拓く
5−1 今後の人口減少社会は周知の事実―世帯数は2015年まで増加し、その後緩やかに減少
5−2 根強い賃貸需要と今後のマーケット
5−3 今後20年間、賃貸住宅の新規供給は年間40万戸必要
5−4 「高齢化社会」=「介護社会」ではない
5−5 「元気なシニア層」を再確認するアンケート結果
5−6 実は「かまってほしい」若い入居者
5−7 選ばれる賃貸住宅の条件 ①省エネ・スマートハウス
5−8 選ばれる賃貸住宅の条件 ②防音・防振
5−9 選ばれる賃貸住宅の条件 ③原状回復費の引き下げ
5−10 選ばれる賃貸住宅の条件 ④セキュリティ
5−11 選ばれる賃貸住宅の条件 ⑤女性・子育てを考える
5−12 選ばれる賃貸住宅の条件 ⑥24時間対応
5−13 選ばれる賃貸住宅の条件 ⑦生活支援サービス

第6章 賃貸住宅の基礎を支える―建築技術・工法
6−1 六面で支えて強さを発揮するツーバイフォー工法
6−2 鉄骨ラーメン構造は近代建築の最も一般的な構造形式
6−3 鉄筋コンクリート構造にはラーメン構造と壁式構造がある
6−4 現在の在来工法は伝統工法を母胎とした新たな木造建築工法
6−5 住戸タイプは重層長屋、メゾネット、戸建て感覚など様々
6−6 サイディング・ボードには「窯業系」と「金属系」がある
6−7 長期間その美しさを保ってくれるタイル張り
6−8 底全体をコンクリートで固める「ベタ基礎」が多くなってきた

第7章 海外の賃貸住宅事情―見えてくる日本の特殊性
7−1 イギリスの賃貸物件の多くは家具付き、だから引越しは手軽
7−2 ドイツでは途中で出て行く時、契約引き継ぎ者を捜さねばならない
7−3 フランスの賃貸住宅は模様替えが可能で、自分好みに装飾できる
7−4 アメリカでは不動産業者は賃貸物件を取り扱っていない
7−5 オーストラリアでは、敷金にあたる「Bond」を公的機関に預ける
7−6 中国の賃貸住宅の家賃は3ヵ月ごとの支払いが一般的
7−7 借家率が高い韓国の賃貸住宅は「チョンセ」という独自システム

第8章 進化する賃貸住宅業界―様々な戦略と考え方
8−1 進化していく賃貸住宅市場で活躍する企業
8−2 賃貸住宅建設会社大手3社のそれぞれの戦略
8−3 個性派揃いの準大手賃貸建設会社
8−4 着実に戸数を伸ばす賃貸管理会社
8−5 賃貸仲介でも専門会社が育つ

Column
家を買う前に:「ちょっと待った!」
アパート融資の選び方
同潤会は都会的ハイセンス住宅だったが、家賃は相場の2倍
「お国柄」が残る契約慣行
江戸の文化を支えた「賃貸住宅?!」
ツーバイフォー工法の普及のきっかけは失業対策?
火事が多い江戸では長屋が適していた
消費税と非課税の住宅家賃

はじめに

  この本を手にとって頂いたあなたは、今、どんな住まいに暮らしておられるだろうか? そしてその住まいに満足しているだろうか?

  私たちが日々の生活を営んでいる“住まい”は言うまでもなくとても大切なもので、そこには安らぎや、安心、笑い、暖かさなど、いろいろなものが詰っている。そしてそういう“住まい”は、そこに住む人のライフスタイルやライフステージに合ったものだろう。例えば、一人暮らしの人はワンルームでオシャレな部屋とか、家族で暮らす人はそれなりに部屋数があり、皆が集まるリビングが広い家とか。

  “住まい”とはそれほど大事で結構奥が深いものでもあるのだ。そしてそれは持家だろうと賃貸住宅だろうと変わらない。

  そう考えて、賃貸住宅というものを改めて見直してみる。日本では、今現在、だいたい全世帯の3分の1以上の世帯が賃貸住宅を利用している。さらに、おそらくは誰でも、人生のどこかのステージで賃貸住宅を利用している。とすると、皆さんが幸せな日常生活を営んでいく上で、賃貸住宅の果たす役割はとても大きいと言わざるを得ない。

  四畳半一間の部屋で学生時代を過ごした人、オシャレな都会のワンルームで社会人を始めた人、そして、2LDKのちょっと狭いながら環境の良い場所で新婚時代を過ごした人などなど、賃貸住宅を、“賃貸”がゆえに、わりと気軽に自分の住まいとし、楽しい時間を過ごしてきた人は少なくないだろう。そして、こういう生活は、これからも変わらない日常としてそこにあるだろう。

  一方で、賃貸住宅を経営しているオーナーの方々は今のご自分の賃貸状況に満足していらっしゃるだろうか?

  戦後すぐの時代は、土地をもっている大家さんが近所の大工さんに頼んでアパートを建て、入居者を自分で募集、管理までした。そしてそれでも部屋はどんどん埋まっていった。それが農地法の改正、1990年代の生産緑地法の改正など、政府の住宅政策によって、賃貸住宅が急速に増加したため、状況は少しずつ変わった。つまり、「貸手市場」から「借手市場」へと変化してきているのだ。そしてその中で、これまで通りの賃貸経営では、なかなか入居者が集まらなくなってきている。

  本書はこのように変わりゆく、賃貸住宅に焦点を当てた。いまだ日本人の持家志向は相変わらず強いものがあるが、近年、東日本大震災に代表される“起こるかもしれない災害”へのリスク管理、そして外部環境の変化による不安定な経済状態など、いろいろな要因で“賃貸志向”とも言うべきものが生まれてきている。変わりゆくライフスタイルやライフステージを考えると、賃貸の方が気軽で便利だという考え方もある。そしてそこに前述した業界の「借手市場」への変化が重なると、質の良い賃貸住宅が増え、入居者は、自分の理想に近い物件に出会う可能性が高くなり、賃貸住宅への満足度は相当高くなってきている。しかし、このことは、賃貸住宅供給側から見ると、入居者にその“満足”を感じてもらえる物件を用意しないと、経営が難しくなるということにつながってくる。
 
 さらに、これから先、日本は人口減少、少子高齢化が進んでいく。その中で賃貸住宅はどう変わっていくのだろうか。それらの答えがこの本にはある。本書がこれから賃貸住宅への入居を考えている方、賃貸経営を考えている方、そして、賃貸住宅業界で働いている方々の一助になれば幸いである。

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