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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしい再生可能エネルギーの本

定価(税込)  1,512円

監修
著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-06929-1
コード C3034
発行月 2012年08月
ジャンル ビジネス

内容

2011年3月の福島原発事故により、再生可能エネルギー(自然エネルギー)に対する関心と期待が高まっている。新しいエネルギー政策にも、再生可能エネルギーの利用が色濃く反映される予定だ。本書は、代表的な再生可能エネルギーの解説、可能性、課題などをイラストでわかりやすく解説する。

太田健一郎  著者プロフィール

(おおた けんいちろう)
1973年 東京大学大学院工学系研究科博士課程修了
1973年 東京大学工学部助手
その間、1975年より2年間、米国Kentucky大客員研究員
1979年 横浜国立大学工学部助教授
1995年 横浜国立大学工学部教授
2001年 横浜国立大学大学院工学研究院教授
2011年 横浜国立大学名誉教授・特任教授・横浜国立大学グリーン水素研究センター長

主な著書
「原理からとらえる電気化学」共著、裳華房
「水素エネルギー読本」共著、オーム社
「水素・燃料電池ハンドブック」共著、オーム社
「トコトンやさしい水素の本」共著、日刊工業新聞社
「再生可能エネルギーと大規模電力貯蔵」共著、日刊工業新聞社

石原顕光  著者プロフィール

(いしはら みつあき)
1993年 横浜国立大学大学院工学研究科博士課程修了
1993~2006年 横浜国立大学工学部非常勤
1994年 有限会社テクノロジカルエンカレッジメントサービス取締役
2001~2006年 科学技術振興事業団(2004年以降科学技術振興機構)研究員
2006年~ 横浜国立大学グリーン水素研究センター、産学連携研究員

主の著書
「原理からとらえる電気化学」共著、裳華房
「トコトンやさしい水素の本」共著、日刊工業新聞社
「エネルギーの事典」朝倉書店
「電池の未来を拓く紛体技術」共著、日刊工業新聞社
「再生可能エネルギーと大規模電力貯蔵」共著、日刊工業新聞社

目次

第1章 エネルギーと私たちの社会
1 エネルギーって何だろう 「やればできるという不思議な物理量」
2 エネルギーを探してみよう 「運動エネルギーと電気エネルギー」
3 身近なところにあるエネルギー 「熱エネルギーと化学エネルギー」
4 遡れば太陽の核エネルギー 「太陽光エネルギーと核エネルギー」
5 エネルギーは形を変える 「エネルギーは形態を変えて存在する」
6 われわれはどんなエネルギーを使ってきたのか 「人類とエネルギーのかかわり」
7 エネルギーはなくならない 「おにぎりを1メートル持ち上げたら1ジュール」
8 エネルギーには質がある 「質の良いエネルギーと質の悪いエネルギー」
9 質の良いエネルギーとは 「だから質の良いエネルギーが大切になる」
10 量と質を混同しないように 「どんどん熱エネルギーに変わっていく」
11 やっぱりエネルギーの質は悪くなる 「冷蔵庫やクーラーはなぜ冷えるのか」
12 エネルギーの質だけじゃ決まらない 「もう1つは物質の存在空間の拡大」
13 日本はエネルギーをどれくらい使っているの? 「一次エネルギー・二次エネルギーと最終エネルギー消費量」
14 エネルギーは何に使っているのだろう 「民生部門のエネルギー消費が増加」
15 いまエネルギーで何が問題なのか 「2011年度の電力供給は石油と原子力が逆転」

第2章 なぜ今、再生可能エネルギーが注目されているのか
16 「再生可能エネルギー」って何だろう 「地球上で自然に起こるエネルギー変換の一部を人類が利用」
17 再生可能エネルギーの種類 「太陽光エネルギーと地球そのものの活動」
18 本当に再生可能なの? 「使ったエネルギーがもう一度使えるようになっているわけではない」
19 再生可能エネルギーは必要不可欠 「豊かな文明を保つために」
20 再生可能エネルギーはどれくらいあるのかな? 「太陽から地表に降り注ぐエネルギーは莫大」
21 再生可能エネルギーが期待されるわけ 「エネルギーの安定供給と環境負荷の低減」
22 実際にはどれくらい使われているんだろう 「まだまだ少ない再生可能エネルギーの利用」
23 普及を妨げる物理的な要因 「3つの問題がある」
24 新エネルギーとは何が違うの 「地球温暖化対策から始まった」

第3章 再生可能エネルギーを理解するためのキーワード
25 どう評価すればいいのかな 「つくるのに使ったエネルギーと取り出せるエネルギーを比べる」
26 環境に与える影響はどう評価する 「ライフサイクルアセスメントと二酸化炭素排出量」
27 コストと環境どっちが大切? 「価格の高いものは、つくるときにエネルギーをたくさん使う」
28 エネルギー効率の考え方 「エネルギー変換効率と設備利用率」
29 間違えやすい出力と発電量 「エネルギー関連用語を正しく理解」
30 能力と実際の結果の違いに注意 「定格出力の違い」

第4章 風力発電と水力発電
31 発電方法で分けてみよう 「タービンを利用して発電する方法が多い」
32 タービンにもいろいろある 「熱エネルギーに変換できるものは蒸気タービンを使って発電」
33 風力発電(1)風が電気を産み出す 「風車は20年程度の長い寿命で発電し続ける」
34 風力発電(2)風力発電の実力 「高いエネルギー変換効率と低いコスト」
35 風力発電(3)世界と日本の現状と問題点 「国別導入設備容量で日本は世界で第13位」
36 水力発電(1)水のポテンシャルエネルギーを使う 「発電機を回し、電磁誘導によって電気エネルギーに変換」
37 水力発電(2)エネルギー変換の優等生「 ポテンシャルエネルギーの80%を電気エネルギーに変換」
38 水力発電(3)世界でみればまだまだ未開発 「大規模水力発電は再生可能エネルギーか」
39 水力発電(4)日本の国土に適した小水力発電 「揚水発電の重要性は高まる」

第5章 太陽光発電
40 太陽光発電(1)太陽光への期待度 「エネルギー変換効率を上げることが重要」
41 太陽光発電(2)電気エネルギーに変換するしくみ 「発電するには半導体が必要」
42 太陽光発電(3)どうやって発電してるんだろう 「光を電気に換えるしくみ」
43 太陽光発電(4)太陽光発電の能力 「太陽光発電の設備利用率は日本では10〜15%程度」
44 太陽光発電(5)どんな課題があるの? 「環境の変化に敏感に影響される」
45 太陽電池を使わない太陽熱発電 「火力発電に近い太陽熱発電」

第6章 地熱発電・バイオマスエネルギー・海洋エネルギー発電
46 地熱発電(1)地中の熱で発電しよう 「地球内部の熱エネルギーを利用した発電方法」
47 地熱発電(2)設備利用率が高いのが特徴 「エネルギー収支的にはかなり得な発電設備」
48 地熱発電(3)日本は世界3位の地熱大国 「日ごろのメンテナンスが重要」
49 バイオマスエネルギー(1)古くて新しいエネルギー 「CO2を出さずに太陽光エネルギーを有効利用」
50 バイオマスエネルギー(2)バイオマスエネルギーの種類 「資源作物、未利用バイオマス、廃棄物系バイオマス」
51 バイオマスエネルギー(3)廃棄物発電が順調なわけ 「木くず・建築廃材・古タイヤ・古紙などを利用」
52 海洋エネルギー発電 (1) 海洋エネルギーって何だろう 「エネルギー量は膨大」
53 海洋エネルギー発電(2)海洋国家・日本と波力発電 「波の運動を流体の運動に変えて発電」

第7章 再生可能エネルギーを評価してみよう

54 さまざまな再生可能エネルギーを比較すると 「変換前のエネルギーに関係した事象」
55 取り込んだエネルギーを電気エネルギーに換える能力 「エネルギー変換効率で比較すると」
56 発電設備の稼働年数とコスト比較 「風力や太陽光では20年、小水力、地熱は40年」
57 国内の再生可能エネルギーへの期待度 「大規模大量発電には不向き」

第8章 再生可能エネルギーを導入するために
58 都市文明と再生可能エネルギー 「化石燃料と再生可能エネルギー」
59 エネルギーキャリアに求められる特性 「われわれ消費者が取り扱いやすいことが必要」
60 水素は優秀なエネルギーキャリア 「数ある物質の中でなぜ水素が注目されるのか」
61 グリーン水素で水素エネルギー社会を 「エネルギーキャリアとしての水素」
62 電気を貯めよう 「いろんな方法で電気エネルギーを貯める」
63 電池で電気を貯めよう 「出力を平準化する二次電池」
64 賢い電力網「スマートグリッド」 「エネルギー供給と需要の最適化」
65 パタゴニア地方の風力と水素 「グローバル水素システム」
66 再生可能エネルギーで持続可能な社会の実現を 「人類社会に利用する試み」

【コラム】
●それがエントロピーなんです
●始まった固定価格買取制度
●家庭は低密度エネルギー消費施設?
●最初の蒸気機関
●太陽電池はPhotopvoltaic cell?
●永久機関にも種類がある?
●関東と関西はなぜ周波数が違うの?
●太陽光と水、それで地球は豊かな活動があるんです

参考文献
索引

はじめに

 現在、私たち人類は地球上に豊かな物質文明をつくり出し、その成果を享受して生きています。しかしながら、この豊かな物質文明は、化石資源の大量消費によって支えられていることを忘れてはなりません。
 人類は今から50万年前に「火」を使いはじめ、「火」が熱エネルギーとして、暖をとったり、食物を加工したりするのに役に立つことを見つけました。この時代は長く続きました。そして、18世紀後半に熱機関を発明し、熱エネルギーを使って物を動かしたり、電気をつくったりすることができるようになりました。それが産業革命です。それ以来、文明の規模が大きくなるとともに熱エネルギーの利用量も激増し、その熱エネルギーをつくり出すために、今も、大量の化石資源を使っています。現在の豊かな物質文明は、化石燃料の大量消費によってもたらされる「熱」に支えられている『火の文明』なのです。
 火は、人類に恩恵をもたらすばかりでなく、しばしば災厄をもたらすこともあります。そのような、火に支えられた文明のあり方を根本から変えようというのが、実は、再生可能エネルギーなのです。再生可能エネルギーとしてよく知られている水力発電・風力発電・太陽光発電などは、太陽からの光のエネルギーを、熱に変えることなく、電気に変える発電方法です。再生可能エネルギーは、現代文明を成熟させ、真の意味での持続型社会をつくり出す可能性をもっています。しかしながら、解決しなければならないさまざまな問題を抱えていることも、また事実です。再生可能エネルギーを基盤とした文明は、理想の持続型社会になりますが、理想と現実のギャップをどのように埋めていくか、それをわれわれ一人ひとりが考え、そして選択していかなければなりません。特に、日本では昨年、東日本大震災が発生して、これからの日本のエネルギーをどのように支えていくのかを、国民一人ひとりが考えなければならない状況にあります。
 本書は、みなさん一人ひとりが、再生可能エネルギーについて考えるための基礎知識をもっていただくことを目的としました。そのために、わかっているようで、実はよくわからない、エネルギーとは何かという根本からはじめて、日本のエネルギー事情や個々の再生可能エネルギーの原理と現状について丁寧な説明を試みました。また、再生可能エネルギーをどのように評価したらよいかということも、素朴な疑問からこたえられるように試みました。
 本書によって、読者のみなさんが、エネルギーについての理解を深められ、再生可能エネルギーについて考えられるときの役に立つことができれば、著者としてこれに優る喜びはありません。本書の刊行に際して、出版の機会をいただいた日刊工業新聞社の奥村功出版局長をはじめ、編集上のアドバイスをいただいたエム編集事務所の飯嶋光雄氏、本文デザインを担当いただいた志岐デザイン事務所の奥田陽子氏に謝意を表します。
 最後に、横浜国立大学名誉教授・特任教授の太田健一郎先生には、企画の段階から数多くの貴重な提案をいただき、さらに本書の監修を賜りました。ここに厚く御礼申し上げます。

平成24年8月10日
石原顕光

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