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生産性向上と顧客満足を実現する
食品工場の品質管理

定価(税込)  2,160円

著者
サイズ A5判
ページ数 192頁
ISBNコード 978-4-526-06926-0
コード C3034
発行月 2012年08月
ジャンル 生産管理

内容

食品工場では、品質保証には命がけだが、一般的な製造業で言う品質管理が行われていない。そしてそのために不良やクレームが放置され、生産性を悪化させ、利益を圧迫している。そこで本書では、食品工場の品質管理のノウハウを具体的事例を交えわかりやすく解説していく。

弘中泰雅  著者プロフィール

(ひろなか やすまさ)
テクノバ株式会社 代表取締役
www.technova.ne.jp mailbox@technova.ne.jp

経歴
農学博士(九州大学):パンの品質特性に及ぼす製造条件に関する研究
1976年 鹿児島大学大学院水産研究科修了
    中堅食品企業にて研究室長、製造課長等歴任
    船井電機にて食品課長、電化事業部技術部次長(技術責任者)
    世界初の家庭用製パン器の開発に携わる 功績により社長表彰
2000年 テクノバ株式会社設立 生産管理ソフト「アドリブ」開発
    ベストITサポーター賞(近畿経済産業局長)受賞
    食品工場等の指導多数 ISO22000審査業務
所属学会 日本生産管理学会、標準化研究学会、日本食品科学工学会、    
     日本穀物科学研究会 食品産業研究会主宰
主な執筆 よくわかる「異常管理」の本(日刊工業新聞社、2011)
ムダをなくして利益を生み出す 食品工場の生産管理(日刊工業新聞社、2011)、
月刊食品工場長(日本食糧新聞社)連載:「目指せ!生産性向上」
食品工業(光琳)「生産性の視点から見た食品製造業」等シリーズ
ISOマネジメント(日刊工業新聞社)等 学会誌技術誌多数

目次

はじめに

序 章 食品の品質管理に対する考え方

第Ⅰ章 品質管理
 1.1 品質とは
 (1)生産段階による品質概念
(2)品質の種類
 1.2 品質管理とは
 1.3 品質管理の目的
 1.4 TQM(総合的品質管理)
1.5 品質管理のしくみ
(1)品質管理の考え方
(2)PDCAサイクル
(3)事実による管理
(4)プロセス管理
(5)重点指向
(6)層別
(7)ばらつきの探求
(8)小集団活動
(9)日常管理
(10)機能別管理
(11)方針管理
(12)管理項目
(13)QC診断

第Ⅱ章 品質保証
2.1 品質保証とは
2.2 品質保証の考え方と方法
2.3 品質保証活動のステップ(段階)
(1)品質計画(目標の設定)段階
(2)品質の確保(作り込み)段階
(3)品質の確認(検査)段階
(4)品質の約束段階
(5)品質の情報伝達段階
2.4 品質保証システム
2.5 品質展開
2.6 製造物責任(PL)
2.7 顧客満足度
2.8 ISO9001
(1)ISO9001
(2)ISO9004
2.9 ISO22000
2.10 食品工場の品質管理とISO
2.11 品質保証部門の役割

第Ⅲ章 品質問題解決の手法
 3.1 問題とは?
 3.2 問題のタイプ
 3.3 問題解決のステップ
 3.4 QC的問題解決法(原因指向型QCストーリー)
(1)テーマの選定
(2)現状の把握
(3)目標の設定
(4)要因の解析
(5)対策の立案と実施
(6)効果の確認
(7)歯止めと定着
(8)反省と今後の計画
3.5 課題達成型QCストーリー
3.6 作り込む品質
3.7 8S(5S)
3.8 品質不良のコスト

第Ⅳ章 品質管理の手法
4.1 QC七つ道具
(1)パレート図
(2)チェックシート
(3)ヒストグラム
(4)散布図
(5)管理図
(6)グラフ
(7)特性要因図
4.2 新QC七つ道具
(1)連関図
(2)系統図
(3)マトリックス図
(4)PDPC
(5)アロー・ダイヤグラム/ガントチャート
(6)親和図
(7)マトリックス・データ解析法

第Ⅴ章 統計的品質管理(SQC)
5.1 統計学の基本
(1)データの種類
(2)データ収集
(3)データ数値的要約(統計量)
(4)正規分布(計量値の分布)
(5)二項分布とポアソン分布(計数値の分布)
(6)母集団と標本
(7)仮説検定
(8)推定
5.2 相関分析
5.3 回帰分析
5.4 分割表
5.5 抜取検査
(1)統計理論による抜取検査
(2)標準型抜取検査
5.6 工程能力
5.7 サンプリング
5.8 実験計画法
 5.9 多変量解析

第Ⅵ章 食品の品質評価法
 6.1 官能評価と官能検査
(1)パネル
(2)パネルの能力
(3)食品に適した官能検査法
6.2 食品の理化学的分析・評価技術
(1)クロマトグラフィー
(2)磁気共鳴イメージング(MRI)
(3)近赤外分光法(NIRS)
(4)そしゃく計測

はじめに

本書を、初めて手に取られた方は、従来の食品工場の品質管理の本と、かなり違うと感じられたことでしょう。これまでの食品工場の品質管理書の内容は、食品衛生が中心で、残念ながら本来の品質管理の基本原則にはほとんど触れられていませんでした。もちろん、食品にとって食品衛生が、最も重要である事に、著者も全く異論は有りません。しかし、本書では、合わせて本来の品質管理の知識も必要だと訴えたいのです。

著者は、食品企業で支援をさせて頂く際、その企業の若手社員諸氏と会話をすることが多々有ります。そんな折によく聞くのは、「自分は品質管理の仕事をやりたかった」と言う話です。そこで「品質管理ではどんな仕事をしたかったのか」と聞くと、異口同音に「細菌検査とか・・」と返事が返ってきます。食品にも、本来の品質管理が有るはずなのに、食品業界では「品質管理≒食品衛生(細菌検査)」という誤解が有る様です。これには学校教育にも、原因がある様にも思えます。

こんな状況の中で、食品工場の生産性向上支援を行っているうちに、品質管理と生産管理は切り離せないものなので、食品衛生に留まらない、食品の品質管理教育の必要性を、強く感じる様になりました。

一般に企業の競争力の根源は、QCD(品質・コスト・納期)と言われています。従って食品企業といえども、ビジネスにおいては、製品である食品の品質・コスト・納期は最も重要なはずです。そして、これらの要素の実現には、何れも品質管理が強く関わっています。

ところが、従来の食品工場の品質管理の本には、品質管理の基本原理の記述はほとんど有りません。また、多くの品質管理の本は、機械などの組立型製造業の品質管理が中心で、化学的な変化を伴うプロセス型製造業である、食品製造業から見ると、その考え方や事例などの内容に、かなりの違和感があります。

著者は、食品産業の品質管理に対する理解の低さが「今日の食品産業が低生産性である」原因の一つだと考えています。このことが、本書を書かねばならないと思った理由です。

実際、食品製造業の生産性は極めて低く、製造業平均の約60%しかありません。念の為に申し上げますが、自動車などの先端的な製造業と、比べてではありません。この現状をせめて20%程度は向上したいと、著者は考えており、それは可能だと信じています。しかしそれには食品業界においても、品質管理の知識とその実行が是非とも必要です。

品質管理の考え方と知識は、品質管理部門や生産部門のスタッフだけに、必要なのではありません。経営者や生産ラインの管理職・スタッフなどの、食品の研究開発・生産から販売に至るまでの、全ての皆様に、品質管理ついて、一度は是非再確認して頂きたいと考えています。

本書は、著者が食品工場の支援活動を行う中で、多くの食品工場の経営者、管理職、一般社員の、皆様との関わりの中で得られた、経験、アイデア、示唆等をもとに、品質管理の改善による、食品業界の活性化を目標にして、書き上げました。

 本書により、本来の品質管理の考え方が、食品業界に浸透し、結果として、製品の品質が安定し、生産性を向上させ、食品業界が益々繁栄することに、少しでも貢献できれば、著者のこの上ない喜びです。

 本書を食品工場改善の同志でもある、食品工場と食品関連の皆様に捧げたいと思います。

 2012年6月
 弘中 泰雅 
 奈良の寓居にて

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