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射出成形加工の不良対策
第2版

定価(税込)  3,456円

著者
サイズ A5判
ページ数 320頁
ISBNコード 978-4-526-06922-2
コード C3053
発行月 2012年08月
ジャンル 機械

内容

射出成形加工現場で発生するさまざまな不良の原因と対策をまとめた実務書の第2版。改訂するにあたって、新たに「射出成形の基礎」の章を設けたほか、時代の趨勢に合わせて全章も見直し、最新事例を網羅している。

横田 明  著者プロフィール

(よこた あきら)
技術士(化学部門、高分子製品)、特級プラスチック成形技能士
1977年 慶応義塾大学工学部機械工学科卒業
1991年 プラスチック成形加工学会技術賞受賞
1992年 日本合成樹脂技術協会賞受賞
1993年 特級プラスチック成形技能士合格
1993年 特級プラスチック成形技能士神奈川県最優秀賞受賞
1994年 技術士(化学部門、高分子製品)合格
日本製鋼所およびコマツにて射出成形機の設計開発、成形技術開発および人工知能(成形技術)の研究に携わる。上級主任研究員。射出成形工場統括責任者として子会社へ出向、成形工場の管理、合理化、品質向上、コストダウンなどを実施
射出成形技術士の育成および社内外の成形不良対策、成形効率化など多数
現在、外資系大手メーカーにて中国、タイ、インドなどアジア地区を中心に、アジアで唯一のシニア・テクニカルフェローとして活動中
【主な書籍】
射出成形加工の不良対策、絵とき「射出成形」基礎のきそ、射出成形加工のツボとコツQ&Aなど 以上、日刊工業新聞社

目次

はじめに  

第1章 射出成形の基礎
1.1 射出成形とは  
 1.1.1 射出成形の工程基礎編と4大要素  
 1.1.2 射出成形の工程の詳細  
 1.1.3 その他の工程  

1.2 射出成形機の基礎  
 1.2.1 型締め装置  
 1.2.2 射出装置  
 1.2.3 可塑化装置  
 1.2.4 複合動作の工程  
 1.2.5 油圧成形機と電動成形機の構造  
 1.2.6 油圧機と電動機との電気消費量  

1.3 金型の基礎  
 1.3.1 キャビティとコア  
 1.3.2 スプルー、ランナ  
 1.3.3 ゲート  
 1.3.4 ホットスプルー、ホットランナ  
 1.3.5 3枚プレート金型  
 1.3.6 抜き勾配  
 1.3.7 アンダーカット  
 1.3.8 収縮率  
 1.3.9 ガス抜き  
 1.3.10 成形品突き出し  
 1.3.11 金型冷却  
 1.3.12 金型の合わせ調整  
 1.3.13 金型の仕上げ  
 1.3.14 金型断熱材  
1.4 樹脂  
 1.4.1 樹脂とプラスチック  
 1.4.2 粘度  
 1.4.3 比容積  
 1.4.4 配向  
 1.4.5 クリープ、応力緩和  
 1.4.6 熱的性質  

第2章 射出成形技術の基礎
2.1 射出工程と保圧工程  
2.2 可塑化の状況  
2.3 金型内の樹脂挙動  
2.4 冷却  

第3章 射出成形不良とその対策方法
3.1 バリ(Flash)  
3.2 オーバーパック(Overpack)  
3.3 ショートショット(Short Shot)  
3.4 ヒケとボイド(Sink Mark、Void)  
3.5 ウエルドライン(Weld Line)  
3.6 反り、変形(Warp、Distortion)  
3.7 糸引き(String)  
3.8 フローマーク(Flow Mark)  
3.9 異物、黒点(Invader、Black Dot)  
3.10 銀条、黒条、焼け(Silver Streak、Black Streak、Burnt)  
3.11 寸法外れ  
3.12 ジェッティング(Jetting)  
3.13 突き出しピン跡  
3.14 転写不良  
3.15 シボのカジリ  
3.16 ガラス繊維の浮き  

第4章 射出成形現場の成形効率化とコストダウン
4.1 成形不良率の低減  
 4.1.1 成形安定のための要素  
 4.1.2 成形品重量での安定性評価  
 4.1.3 射出側圧力の安定  
 4.1.4 温度の安定  
4.2 成形サイクル  
4.3 部品費  
 4.3.1 部品費の概念  
 4.3.2 賃率の概念  
 4.3.3 加工費の低減  
4.4 成形現場の解析  
 4.4.1 工程能力指数  
 4.4.2 CpとCpkの改善の確認方法  
 4.4.3 多変量解析  

終わりに  

はじめに

本書は、2004年11月に刊行された『射出成形加工の不良対策』の改訂版である。『射出成形加工の不良対策』は初版以来好評で、これまでに10刷を迎えた。しかし、最初の発行から時間も経ち、技術は進歩し続けている。そこで、図や説明などを修正し、見直しを加えて改定したものが本書である。ちなみに、改訂前は、これまで著者の本名をローマ字で逆さに読んだペンネーム有方広洋(Arikata Koyo)を使ってきたが、今回は本名の横田明(Yokota Akira)に戻した。

  本書では、成形現場での射出成形不良の対策方法について述べるとともに、製品形状の対策案、金型の修正案などについて説明している。製造技術、技能を身に付けるには右脳的なイメージで理解することが必要である。説明はなるべく図を多く用いて行い、図中にも簡単な説明を加えた。

  製造業が、日本で空洞化し始めてすでに長く、射出成形業界や金型業界もその例に漏れないであろう。しかしながら、著者は射出成形技術自体に関しては、まだ世界では日本が強いと考えている。射出成形の国家試験である技能検定にも、日本人用には二級から特級まであるが、日本以外では、このような制度を知らない。しかし、逆に、海外では、ヨーロッパや中国やインドなどでも、金型や成形加工を学ぶ大学のような機関が存在する。日本でも、成形加工学会があり、いろいろな成形加工が研究され、成形不良現象も解明されてきた。しかし、理論的にわかっても、不良が現場で実際に直せないことには仕事は前には進まない。逆に、理屈はわからないが、何とか成形テクニックで対策ができたとしても、それでは本当の原因をつかんだとは言えないので、本当の対策や水平展開ができない。これでは、後輩の技術者や海外展開先の現場を指導しようにも限界がある。

  射出成形の不良対策は、結構難しいものである。いろいろな分野の知識と経験が必要であるためいくら製造技術や機械が進歩しても、習熟というレベルで考えると、射出成形技術が3年や5年でマスターできるものではない。射出成形機も、プログラム射出や電動成形機もあたりまえのようになってきており非常な進歩を見せている。しかし、いかに射出成形機や成形方法が進歩しても、自動的に良品の成形条件を出してくれる機械はまだ存在しないし、今後とも現れるとも考えられない。

  そのような状況の中で、成形不良を現場で実際に直して目に見せることができる技術者は、日本でも海外でもその技術力は信用される。山本五十六の言葉のように、「やってみせ、言い聞かせて、させてみる」力が求められている。やってみせるとは、それなりの技術面での力があることであり、言って聞かせられることは、理論的に理解していなければできない。自分でやるのではなく、させてみるためには、相手に理解させるだけのレベルまで理解し、説得できなければならないのである。海外の技術者も非常に熱心に、猛烈に追い上げてきている状況である。

  射出成形関係の書は結構たくさん出ているが、具体的な成形不良の原因やその対策について詳しく説明されたものは少ないように思われる。

  海外を指導することは、日本にとって不利益になると考える人もいるが、我々はすでに海外に進出しており、海外でモノづくりもしている。指導しないことのほうが不利益になるのである。指導できるようにならない、なれない技術者は、海外からも相手にされなくなってしまう時代である。

  本書は、四部構成とし、第1章では射出成形の基本について、金型、機械、樹脂材料について説明し、第2章では成形技術、第3章では具体的な成形不良とその対策について、さらに第4章では成形の効率化について説明する。

  本改訂に関しては、御尽力戴きました日刊工業新聞出版局の野崎伸一氏に深く感謝致します。

2012年6月
横田 明 

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