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ついてきなぁ!設計のポカミスなくして楽チン検図

定価(税込)  2,376円

著者
サイズ A5判
ページ数 240頁
ISBNコード 978-4-526-06921-5
コード C3053
発行月 2012年08月
ジャンル 機械

内容

「ついてきなぁ!」シリーズ第8弾。今回のテーマは設計品質の「最後の砦」といわれている検図。検図者の検図能力と検図意識が衰退している。そこで本書では、「設計のポカミス防止」と「真の検図」を解説する。設計の原点に戻り、設計品質の向上を根本から案内し、「設計の職人」へと導くもの。「検図」の本ならば、「ついてきなぁ!」の國井本です。

國井良昌  著者プロフィール

(くにい よしまさ)

技術士(機械部門:機械設計/設計工学)
日本技術士会 機械部会
横浜国立大学 大学院工学研究院 非常勤講師
首都大学東京 大学院理工学研究科 非常勤講師

1978年、横浜国立大学 工学部 機械工学科卒業。日立および、富士ゼロックスの高速レーザプリンタの設計に従事。富士ゼロックスでは、設計プロセス改革や設計審査長も務めた。1999年より、國井技術士設計事務所として、設計コンサルタント、セミナー講師、大学非常勤講師として活躍中。
以下の著書が日刊工業新聞社から発行されている。

・ついてきなぁ!加工知識と設計見積り力で『即戦力』
・ついてきなぁ!『設計書ワザ』で勝負する技術者となれ!
・ついてきなぁ!加工部品設計で3次元CADのプロになる!
・ついてきなぁ!失われた『匠のワザ』で設計トラブルを撲滅する!
・ついてきなぁ!設計トラブル潰しに『匠の道具』を使え!
・ついてきなぁ!材料選択の「目利き力」で設計力アップ
・ついてきなぁ!加工部品設計の『儲かる見積り力』大作戦


URL:國井技術士設計事務所    http://a-design-office.com/

目次

はじめに:日々の設計業務の質向上が設計ミスを防止する

第1章 設計のポカミス撲滅でトラブルを防止する
1-1 いきなり検図!
1-2 減らない!日本企業の設計トラブル
1-2-1 百害あって一利なし!大規模な設計審査
1-2-2 百害あって一利なし!複雑/合体FMEA
1-2-3 社告・リコールの原因は手抜きの設計フロー

1-3 ポカミスなくしてトラブル撲滅
1-3-1 品質良ければすべて良し!技術者の四科目
1-3-2 ハインリッヒの法則で重大トラブルを撲滅
1-3-3 設計工程別におけるポカミスが発生する場所

1-4 ポカミスをなくす道具達
1-4-1 技術者の6W2Hで理解を深めて伝達ミス防止
1-4-2 すべての業界が有するチェックシート
1-4-3 猿真似しないための過去トラブルリスト
1-4-4 電卓レベルの「トラブル三兄弟ノウハウブック」
1-4-5 事例:過去トラブルリストからノウハウブックの構築
1-4-6 あの韓国企業も使っているトラブル三兄弟の絵辞書
1-4-7 多重チェックは3回で十分! 1/X2の法則
〈検図力・チェックポイント〉

第2章 企画段階におけるポカミスを防止する
2-1 企画プロセスにおけるポカミス
2-1-1 企画書を理解する
2-1-2 設計の前には必ず企画がある
2-1-3 事例:EV(電気自動車)に関する企画書

2-2 企画プロセスにおける仕様書
2-2-1 仕様書を理解する
2-2-2 企画書の次には仕様書がある
2-2-3 事例:インクジェットプリンタの仕様書

2-3 ポカミス防止のインタラクションギャップ
2-3-1 4Mで切る特性要因図
2-3-2 ポカミスはインタラクションギャップに潜在
2-3-3 事例:Machineに関する事故(シュレッダーで指切断)

2-4 6W2HのA4一枚でポカミス防止
2-4-1 技術者の6W2Hが技術の要(かなめ)
2-4-2 事例:こんにゃく製ゼリーの後悔
2-4-3 事例:シュレッダーに関する仕様書
〈検図力・チェックポイント〉

第3章 設計段階におけるポカミス防止で後戻りを回避
3-1 設計プロセスにおけるポカミス
3-1-1 企画書から落とし込んだドキュメントが設計書
3-1-2 事例:EV(電気自動車)に関する簡易設計書

3-2 設計の最終仕上げがFMEA
3-2-1 簡易な3D-FMEAを理解する
3-2-2 事例:鉛筆削り器の3D-FMEA
3-2-3 事例:家電品のカバーに関する3D-FMEA
3-2-4 豊富な故障モードの抽出量が決め手
3-2-5 ライフサイクル法で豊富な故障モードの抽出
3-2-6 シナリオライティング法で想定外をなくす
3-2-7 事例:EV開発におけるシナリオライティング法

3-3 ヒューマンエラー対策の取捨選択法
3-4 時代はフロントローディング開発へ
3-4-1 フロントローディング開発で必須なこと
3-4-2 フロントローディング開発におけるポカミス防止

3-5 時代が求めるMDR(ミニデザインレビュー)
3-5-1 すべての技術分野で設計審査ができる即効ポイント

3-6 設計段階のポカミス防止は日々の活動にあり
3-6-1 事例:設計段階のポカミスを防止する6W2H

3-7 ポカミスを防止するチェックシート
3-7-1 事例:樹脂設計に見るチェックシート(実用版)
〈検図力・チェックポイント〉.

第4章 試作段階におけるポカミス防止でトラブル再発防止
4-1 試作プロセスにおけるポカミス
4-1-1 試作は設計の実験の「場」ではない!
4-1-2 試作を設計の確認の「場」とするためには

4-2 試作におけるルールの制定
4-2-1 事例:試作評価用フォーマットでポカミス防止
4-2-2 事例:設計者は試作品に触手厳禁がポカミス防止

4-3 重し付けの試作評価がポカミスをなくす
4-3-1 エンジニアではないカンジニアによる重し付け
4-3-2 DQD(簡易設計書)のPAMによる重し付け方法
4-3-3 3D-FMEAのRAMによる重し付け方法
4-3-4 事例:優先順位の決め方
〈検図力・チェックポイント〉

第5章 ここまでくれば楽チン検図ができる(機能検図編)
5-1 検図は最後の砦(とりで)
5-1-1 商社マンに笑われた日本企業の検図
5-1-2 検図を機能検図と生産検図に分離する
5-1-3 QC手法におけるチェック方法
5-1-4 技術者の四科目と設計審査/FMEA/検図の関係

5-2 設計書がある企業の機能検図のやり方
5-2-1 設計書を理解する
5-2-2 事例:おもちゃの電車の設計書
5-2-3 設計書による設計審査の結果をフィードバック

5-3 FMEAがある企業の機能検図のやり方
5-3-1 FMEAを理解する
5-3-2 3D-FMEAの審査結果をフィードバック

5-4 試作がある企業の機能検図のやり方
5-4-1 試作を理解する
5-4-2 試作の評価結果をフィードバック

5-5 事例:手動鉛筆削り器の機能検図を実体験する
5-5-1 鉛筆削り器の全部品に関するQCDを理解する
5-5-2 構想設計(システム設計)をDQDで理解する
5-5-3 鉛筆削り器のDQDによる再審査を理解する
5-5-4 鉛筆削り器の3D-FMEAを理解する
5-5-5 試作不具合対策書をマークする
5-5-6 事例:図面との照合で機能検図を実行(ホルダーゴム)
5-5-7 事例:図面との照合で機能検図を実行(樹脂筐体)
5-5-8 事例:図面との照合で機能検図を実行(回転刃フレーム)
〈検図力・チェックポイント〉

第6章 図面レス時代を迎えた検図(生産検図編)
6-1 生産検図を理解する
6-1-1 試作図面における生産検図
6-1-2 量産図面における生産検図と図面レスの時代
6-2 事例:鉛筆削り器の回転刃用フレームの生産検図
6-3 事例:回転刃樹脂フレーム組体の生産検図
6-4 事例:削り子回収ケースの生産検図
〈検図力・チェックポイント〉

おわりに
書籍サポートのお知らせ

はじめに

日々の設計業務の質向上が設計ミスを防止する

 再び、厳さんの爆弾投下から始まりました。困ったもので、これで三度目注です。
注:一度目は、書籍「ついてきなぁ!失われた『匠のワザ』で設計トラブルを撲滅する!」で、二度目は、書籍「ついてきなぁ!材料選択の「目利き力」で設計力アップ」で怒った。

 さて、本書における「設計者」とは、以下に示す職業の方々を対象にします。
① 商品の設計者
② 部品の設計者
③ 生産ラインの設計者
④ 上記③における組立て装置、組立て治工具の設計者
⑤ 上記③における検査装置、検査治工具の設計者
⑥ 検図者
⑦ 設計審査員
 ここで、とても不思議なことに気づきました。それは、……
 世の中のほとんどの職業がその仕事、つまり、成果物に対して「検査」を受けます。工場における「全品検査」や「抜取り検査」がそれに値します。
 料理人の場合、和食のだし汁や洋食のデミグラスソースでも、最後は料理長が味見をして、ダメな場合は最初から作り直し、OKが出るまで作り続けます。
 都度、検査できない職業には免許や資格が与えられます。
 例えば、医者、看護師、介護士、理容師、美容師、ふぐ調理師などです。飛行機のパイロットなどは、さらに、定期的に心身の適正検査を受けています。

 それでは、日本の設計者はどうでしょうか? すべてではありませんが、免許も資格もないので、成果物には検査が必須のはずです。したがって、大きな三つの検査の関門が存在します。(一部、「検査」を「審査」に置き換えます。)

① 設計書を審査する設計審査、もしくはデザインレビュー
② FMEAを審査するFMEA審査、もしくはデザインレビュー
③ 「最後の砦」といわれている図面の検査、つまり、検図のこと

 ところが、……
 多く日本企業で、①における設計書がないのです。したがって、設計審査は技術説明会となっています。その証拠に議事録に「承認」の文字は残っていますが、「却下」や「再審査」の文字は発見できません。
 また、トラブル未然防止の重要ツールである前記のFMEAも実施していません。実施していても、重たくて複雑な「表」の完成と同時に「お蔵入り」となります。

 そして、①②のない企業の検図は、検図者の机上にあるのは図面だけです。したがって、図面の誤字脱字を探して終了。これが原因で人様の家財やお命を奪ったとしたら、許しがたい手抜きの職業集団でしょう。

 このままでは企業の存続は危ういということで、社告・リコールで大きな損失を出した企業のトップは前記の①②を強化します。設計書なき設計審査と、重たいFMEAの強化です。
 一方、数百億円の設備投資をして①と②を巨大システム化した日本の大企業が存在しますが、残念ながら、社告・リコールの損失額で世界第1位と第2位を獲得してしまいました。さらに、その巨大システムは、設計審査とFMEAを巨大イベント化し、若手技術者に大きな負担を与えています。
 そうすると、その若手技術者は、巨大イベント化した審査だけにエネルギを注ぐことになります。その結果、日常業務に「設計のポカミス」が蓄積し、巨大イベント化したシステムでのふるいから漏れ出してしまいます。これらがさらに蓄積し、社告・リコールへとつながると当事務所では分析しました。

 最後は③の検図です。
 設計品質の「最後の砦」といわれている検図は、巨大イベント化したシステムを通過したということで、「誤字脱字」の検出となり、やがて、検図者の検図能力と検図意識が衰退してきます。そして、社告・リコールへとつながっていくのです。

 そこで本書は、以下に示すコンセプトと手段で「設計のポカミス防止」と「真の検図」を解説します。

【コンセプト】
 日常のポカミスを撲滅し、円滑な開発業務に寄与する。また、検図とは、設計品質を保証する「最後の砦(とりで)」であることを理解する。

【手段】
 商品企画⇒設計仕様⇒設計⇒設計審査⇒検図⇒試作⇒量産まで、開発の全域に渡ってポカミス防止策を提案する。
 また、設計品質の「最後の砦」といわれている検図の効果的なやり方を解説する。

【目標】
 日常のポカミスを防止することで、有意義な検図のあり方へと導く。それは、社告・リコールなどのトラブル防止の第一手段であることを理解する。

 検図とは、図面あっての設計プロセスですが、その図面がなくなります。
 隣国の巨大企業から、本格的な「図面レス」へと突入します。そして、「設計者の意図を反映した図面」……このセンテンスは、死語になります。
 図面のない検図、図面レス時代を迎えて、どのように検図をすればよいでしょうか? 設計のポカミス防止とともに、本書にて解説します。

2012年5月

筆者:國井良昌

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