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飛行機設計入門2<安定飛行理論>
―飛行機を安定に飛ばすコツ―

定価(税込)  2,592円

著者
サイズ A5判
ページ数 216頁
ISBNコード 978-4-526-06908-6
コード C3053
発行月 2012年06月
ジャンル 機械

内容

本書は、飛行機設計のうち、飛行機を安定に飛ばすための各種工夫についてまとめたもの。理論的な解析を通して、最適な飛行機を設計して飛ばすための知識基礎を紹介している。

片柳亮二  著者プロフィール

(かたやなぎ りょうじ)
1946年 群馬県生まれ
1970年 早稲田大学理工学部機械工学科卒業
1972年 東京大学大学院工学系研究科修士課程(航空工学)修了.
    同年,三菱重工業㈱名古屋航空機製作所に入社.
    T―2CCV機,QF―104無人機,F―2機などの飛行制御系開発に従事.
    同社プロジェクト主幹を経て
2003年 金沢工業大学教授
    現在に至る.博士(工学)

著 書 「航空機の運動解析プログラムKMAP」,産業図書,2007
    「航空機の飛行力学と制御」,森北出版,2007
    「KMAPによる制御工学演習」,産業図書,2008
    「飛行機設計入門―飛行機はどのように設計するのか」,日刊工業新聞社,2009
    「KMAPによる飛行機設計演習」,産業図書,2009
    「KMAPによる工学解析入門」,産業図書,2011
    「航空機の飛行制御の実際―機械式からフライ・バイ・ワイヤへ」,森北出版,2011
    「初学者のためのKMAP入門」,産業図書,2012

目次

はじめに
主な記号表

第1章 代表的な飛行機の形
 1.1 通常タイプの旅客機  
 1.2 特殊なタイプの飛行機  
 1.3 軽飛行機  
 1.4 模型飛行機  
 1.5 人力飛行機  

第2章 縦の安定飛行の基礎
 問2.1  釣り合った状態とは  
 問2.2  揚力はどこで発生するか  
 問2.3  揚力の作用点  
 問2.4  無次元揚力係数  
 問2.5  2次元翼の揚力係数  
 問2.6  3次元翼の揚力係数  
 問2.7  胴体に発生する揚力  
 問2.8  主翼胴体揚力  
 問2.9  主翼胴体揚力の空力中心  
 問2.10 主翼胴体揚力によるピッチングモーメント  
 問2.11 フラップ揚力  
 問2.12 フラップ揚力によるピッチングモーメント  
 問2.13 水平尾翼揚力  
 問2.14 全機の空力中心  
 問2.15 エレベータ揚力およびピッチングモーメント  
 問2.16 水平尾翼容積比  
 問2.17 釣り合い飛行の実現  
 問2.18 水平尾翼取付け角の設定  
 問2.19 水平尾翼なしの機体の釣り合い  
 問2.20 ピッチ角速度による空気力  
 問2.21 迎角変化率による空気力  
 問2.22 抗力に関する空力係数  
 問2.23 縦の飛行運動方程式  
 問2.24 有次元空力係数による運動方程式の簡単表現  
 問2.25 固有運動モードとは  
 問2.26 短周期モードとは  
 問2.27 長周期モードとは  

第3章 横・方向の安定飛行の基礎
 問3.1  横・方向の釣り合い  
 問3.2  ロール角速度による空気力  
 問3.3  ヨー角速度による空気力  
 問3.4  横滑り運動による空気力  
 問3.5  エルロン操舵による空気力  
 問3.6  ラダー操舵による空気力  
 問3.7  横・方向の飛行運動方程式  
 問3.8  有次元空力係数による運動方程式の簡単表現  
 問3.9  ダッチロールモードとは  
 問3.10 スパイラルモードとは  
 問3.11 ロールモードとは  
 問3.12 ダッチロール運動の機体形状による安定化  
 問3.13 スパイラル運動の安定化  
 問3.14 ロール運動時のロール角速度の振動  
 問3.15 ロール性能を向上するには  
 問3.16 パイロットによるロール角制御の安定性  
 問3.17 アドバースヨーとプロバースヨー  
 問3.18 エルロン操舵時の横滑り角応答  
 問3.19 エルロン操舵時の横滑り角の計算例(ケース1)  
 問3.20 エルロン操舵時の横滑り角の計算例(ケース2)  
 問3.21 エルロン操舵時の横滑り角振動の位相  
 問3.22 エルロン操舵時のロール角速度振動の位相  
 問3.23 エルロン操舵時の横滑り角とロール角速度の位相差  
 問3.24 エルロン操舵時の操縦性  
 問3.25 定常横滑り飛行  

第4章 安定飛行のための諸問題
 問4.1  ロール角速度の振動を小さくする工夫  
 問4.2  横風突風時のロール角変動  
 問4.3  横風突風時のフィードバックによるロール角変動軽減  
 問4.4  横風突風時のロール運動をなくす秘策  
 問4.5  ダウンバーストの中での着陸は危険  
 問4.6  ダウンバーストの中でのエレベータ操縦は難しい  


 問4.7  ダウンバーストの中で安全に着陸する工夫  
 問4.8  高迎角時の横・方向安定性  
 問4.9  最大ロール運動時のピッチ角落ち込み現象  
 問4.10 最大ロール運動時のピッチ角落ち込み現象の改善  
 問4.11 乱気流中の高度保持モードは姿勢変化が大きくなる  
 問4.12 模型飛行機の縦短周期モードは存在しない  
 問4.13 模型飛行機の長周期モードの安定性は良好  
 問4.14 人力飛行機の縦の飛行特性  
 問4.15 人力飛行機の横・方向の飛行特性  
 問4.16 人力飛行機の飛行距離を長くする工夫  

参考文献  
索  引

はじめに

飛行機は大きくて重そうであり,なぜ安定に飛行を続けられるのだろうかと疑問に感じる人は多いのではないだろうか.空中に飛行機が浮かび上がるためには,重量よりも大きな上向きの力(揚力)を発生すればよい.しかし,風が吹き荒れる天気の中でも,微妙な釣り合いを保って安定に飛ぶコツを理解できる人は少ないのではないだろうか.
 空に舞う鳥たちを見ていると優雅に飛行を楽しんでいるようにも思える.風が強い日でも休むことなく飛び回る姿が見られる.しかも,必死で飛んでいる様子でもない.それが証拠に,鳥が風にあおられてよく落ちるといった話は聞いたことがない.やはり自然に安定に飛べるように造られているのである.
 最近,各大学では模型飛行機を飛ばすことが盛んになっている.学生達が模型飛行機を作って飛ばすまでを観察していると,最初はうまく飛ばなかった飛行機を,コツをつかむと急にうまく飛ばせるようになる.何事でもそうであるが,コツをつかむまでが大変である.試行錯誤の上,失敗を繰り返しながらそのコツをつかんでいくわけである.このときに理論的な解析作業も同時に行うと,理論と実践の融合によりしっかりと飛行力学の基礎が身に着くと考えられる.
 人間が考え出した飛行機も安定に飛ぶための各種の工夫が施されている.本書は,飛ぶための工夫を理論的な裏付けを理解した上でしっかりと身に着けてもらいたいとの想いからまとめたものである.単に作って飛ばすだけではなく,理論的に納得して解析を通して最適な飛行機を設計して飛ばすことができればいろいろな疑問が解消できる.その知識を基礎にして,新たに工夫された飛行機の開発も可能となると思われる.本書により飛行機の安定飛行の理論について学び,自分なりの工夫を加えて新しい飛行機を設計する際の参考にして頂けると幸いである.
 最後に,本書の執筆に際し,特段のご尽力をいただいた日刊工業新聞社 鈴木 徹氏ならびに編集を担当された三沢 薫氏にお礼申し上げます.

2012年5月
片柳 亮二

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