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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしい燃焼学の本

定価(税込)  1,512円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-06898-0
コード C3034
発行月 2012年06月
ジャンル ビジネス 機械

内容

燃焼とは、物体が化学反応によって熱エネルギーを放射して高温の物質を生成する現象。この「燃える」という現象をやさしく紹介するとともに、それによって得られた気体をどう技術や製品に応用しているのかをやさしく解説した本。

久保田浪之介  著者プロフィール

(くぼた なみのすけ)
1972年 プリンストン大学大学院航空宇宙学修士課程修了(学術修士 MA)
1973年 プリンストン大学大学院博士課程修了(航空宇宙学 工学博士 Ph.D)
1995年 防衛庁技術研究本部 第3研究所 (現 航空装備研究所) 所長
現在  (独) 産業技術総合研究所 研究顧問

主な受賞:
日本燃焼学会功労賞(2003年)
火薬学会学術賞(2005年)
叙勲:
瑞寶中綬章(2012年)

主な著書:
『ロケット燃焼工学』(日刊工業新聞社、1995年)
『研究者のための国際学会プレゼンテーション』
(共立出版、1999年:新訂版、2012年)
Kubota,N.,『Propellants and Explosives』
(Wiley-VCH, 2002年:Second Edition, 2007年)
『超音速の流れ学』(山海堂、2003年)
『おもしろ話で理解する 流れ学入門』(日刊工業新聞社、2003年)
『エンジニアのための微分方程式入門』(日刊工業新聞社、2006年)
『絵とき「流体力学」基礎のきそ』(日刊工業新聞社、2008年)
『絵とき「機械力学」基礎のきそ』(日刊工業新聞社、2009年)
『絵とき「伝熱学」基礎のきそ』(日刊工業新聞社、2009年)

目次

第1章 燃焼とはどんな現象か
1 燃えるとはどんなことか
2 燃焼するための3つの条件
3 火災の発生、抑制と拡大
4 ジェットエンジンには圧縮機が必要
5 火炎から燃料に熱が伝えられて燃焼が継続する
6 燃焼温度は、燃料と酸化剤の組合せで決まる
7 燃料と酸化剤が最も激しく反応する組合せ
8 炭化水素系の燃料は分子量が多くなったり低温になると液化する
9 分子量が大きな燃料には大量の酸素が必要になる
10 都市ガスとプロパンガスどちらが優秀か
11 完全燃焼するにはどんな条件が必要か

第2章 燃焼の化学
12 燃焼は化学エネルギーから熱エネルギーへの変化
13 化学結合に蓄えられたエネルギーを熱として取り出す
14 密閉容器内の生成熱と発熱量
15 熱平衡式を用いて発熱量と生成熱を求める
16 熱解離した燃焼ガスは燃焼温度を低下させる
17 気体分子は高温になると解離する
18 断熱火炎温度は理論的な最高の燃焼温度
19 燃焼生成物は互いに衝突しながら解離と再結合を繰り返す
20 燃焼は外部からエネルギーを与えられなければ始まらない

第3章 火炎の生成と消滅
21 燃料は気化して燃焼する
22 空気と混ぜてから燃焼するか、混ぜながら燃焼するか
23 火炎面の安定と不安定
24 化学反応速度が燃焼速度を決める
25 燃料過剰領域と燃料不足領域
26 拡散過程が燃焼速度を決める
27 重力に影響される拡散火炎
28 離れている火炎から強い熱放射
29 発光スペクトルで燃焼メカニズムを解明する
30 乱流火炎による燃焼率の増加
31 乱れによる可燃性ガスの生成
32 フレームホルダーで吹き飛び火炎を保持する

第4章 燃焼のメカニズムを理解する
33 危険な予混火炎の上流への伝播
34 火炎速度を測定する
35 断熱火炎温度が増加すると火炎速度も増加する
36 予混火炎の未反応域と反応域
37 予混火炎の反応域
38 反応域での発熱量が火炎速度を決める
39 火炎速度と反応速度との関係
40 3種類の空気でメタンガスの火炎速度を比べる
41 燃えるためには条件がある
42 低圧力、低温度で燃焼する領域
43 燃料ガスと空気の拡散速度

第5章 発火と発煙
44 着火はどんな条件で起こるか
45 液体燃料は引火点で着火する
46 自然発火の原因はいろいろある
47 火炎伝播のメカニズム
48 希薄燃焼によってエンジンの燃費を低減する
49 燃焼排気ガスの発生と大気環境
50 化石燃料に代わるエネルギーはさまざまに模索されている
51 不完全燃焼をすると煙や煤が発生する
52 火炎の発光・発色はなぜ起こるか

第6章 デフラグレーションとデトネーション
53 超音速ジェット機の前方には衝撃波が発生する
54 デフラグレーションとデトネーション
55 デトネーションの発生する条件
56 水素—酸素の混合気のデトネーション
57 水素爆発はデフラグレーションかデトネーションか
58 火薬は燃焼して爆薬は爆轟する
59 爆薬のデトネーション

第7章 固体と液体の燃焼
60 フッ素で金属を燃焼させる
61 鉄の遅い酸化は錆の発生、速い酸化は燃焼の発生
62 固体炭素の燃焼は条件によって変化する
63 液体燃料を微粒化すると燃焼速度が速くなる
64 液体ロケットの燃焼
65 固体燃料の着火と燃焼
66 固体ロケットの推進薬
67 圧力を上げると推進薬の燃焼速度が上がる
68 花火の燃焼

【コラム】
●プロパンは液体で輸送して気体にして燃焼させる
●すべての物質は生成熱を持っている
●ジェット機は燃焼しない窒素で飛んでいる
●燃焼、爆発、爆燃、爆轟
●燃焼の継続と中断 燃焼の三要素を断つ
●燃焼から爆轟へ
●燃焼現象と流れの関係を求める燃焼力学

参考文献
英語索引
索引

はじめに

 物体が高速度で酸化されて発熱して発光する現象を燃焼とよんでいます。灯油は燃焼すると黄橙色の火炎を伴った高温ガスとなりますが、水素ガスが燃焼して発生する高温ガスの火炎はほとんど見ることができません。燃焼して発生する化学反応物質の性質によって火炎の発光も異なってきます。燃焼による高温ガスは熱源として、自動車、航空機、ロケットなどを作動する動力源として利用され、火力発電のように電気を発生するエネルギー源にも利用されています。
 身近な燃焼現象としての石油ストーブ、ガスコンロ、花火などを安全に利用できるように燃焼学の基本が応用されてきました。好まざる燃焼現象としての建造物、山林、石油タンクなどの火災には、発生を防止したり、延焼を抑制したり、消火したりするために燃焼学が発展してきました。さらに、廃棄物の焼却には不完全燃焼による一酸化炭素、窒素酸化物、煤など発生を伴うことが多く、完全燃焼化のための技術が追求されています。
 大気中での燃焼では気圧、温度、湿度、風速、風向などの環境条件、それに燃焼する物体の種類、大きさなどが関わっています。本書では燃焼現象の基本的な化学反応の過程と発熱による燃焼生成物質が生成される高温・高圧の気体となって力学的な作用をするまでの過程をできるだけ単純化して解説しています。

2012年5月                           
久保田浪之介

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