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絵とき 機械用語事典
―工作機械編―

定価(税込)  2,700円

著者
サイズ A5判
ページ数 208頁
ISBNコード 978-4-526-06896-6
コード C3053
発行月 2012年06月
ジャンル 機械

内容

工作機械は「マザーマシン」と呼ばれ、世の中のあらゆる機械の頂点に立つ「機械をつくる機械」。本書は、実際の機械加工現場で使われる工作機械関連の約360の用語を取り上げ、図表または写真のビジュアルを付け、やさしく解説する。

岡部眞幸  著者プロフィール

(おかべ まさゆき)
1955年生まれ
上智大学大学院 理工学研究科 機械工学専攻 博士前期課程修了(1980年)
東芝機械(株) (1980年~1982年)
上智大学 理工学部 機械工学科 助手・講師・准教授(1982年~2001年)

現在
厚生労働省所轄(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構 職業能力開発総合大学校准教授
同大学校 能力開発院 基盤ものづくり系NC・CAMユニットユニット長
同大学校 総合課程 機械専攻/長期課程 機械システム工学科
工学博士

主な著書
「トコトンやさしい工作機械の本」(共著)、日刊工業新聞社、2011年
「情報システム技術の基礎」(共著)、共立出版、2003年

目次

はじめに

第1章 工作機械
旋盤
フライス盤・中ぐり盤
ボール盤
形削り盤・平削り盤・立て削り盤
研削盤
表面仕上げ機械
NC工作機械
本体構造
案内面・駆動機構
構成部品
構造設計・構造特性
出荷・据付・再利用

第2章 切削加工・研削加工
旋削
フライス削り
穴あけ
ねじ切り・ねじ立て
工具一般
洗浄・清浄
加工用語
砥石
研削作業用語

第3章 鋳造・塑性加工・溶接
造型作業
鋳造作業
鋳物材料・鋳物設計
鋳物の欠陥
プレス
板金・溶接
せん断・かしめ
鍛造
圧延・絞り・引抜き

第4章 手仕上げ・けがき
作業用具
砥石・研磨紙
作業用語

第5章 工作測定
測定基準
測定具
測定用語

第6章 段取り・組立・調整
ジグ・取付具
作業用具
作業機器
作業用語
組付部品
作業工具
運搬作業
作業用語

第7章 材料
製鉄・精錬
金属材料
二次製品
熱処理
表面被覆
材料用語

第8章 設計製図・配管・油空圧回路・生産システム
製図法
寸法管理
部品形状
設計用語
配管部品
シール材
貯蔵・排水
流体制御
生産方式
生産技術
搬送・物流
生産管理
作業安全
職場環境

本書の構成
「本書をまとめるに当たり参考とした文献ならびに資料」
和文索引
英文索引

はじめに

 本書の企画の発端は、筆者が日刊工業新聞社の「今日からモノ知りシリーズ トコトンやさしい工作機械の本(2011年10月刊)」を共同執筆した当時に遡ります。同書の企画の中で現場用語を掲載することになりました。担当になった筆者は、「工作機械の設計学(基礎編)」(日本工作機械工業会刊)に掲載されている現場用語を頼りにして、諸方面から現場用語の収集に当たりました。筆者の職務経験の中で習って使い続けてきたもの、現在の職場でも使っているもの、年配の職人の方々への直接ヒアリング、共同執筆者間での情報交換、WEB情報の調査、職業訓練関係の実習指導教科書や技能検定関係の参考書の調査など、現場用語の収集方法は実にさまざまでした。その結果、450語以上の専門用語を収集することができました。
 しかし、「トコトンやさしい工作機械の本」に掲載できるのはそのうちの僅か80語程度であり、厳選せざるを得ませんでした。誠に残念なことであり、残りはお蔵入りとなってしまうところでした。そこに目をつけてくださったのが同書の編集者でした。氏から「“機械用語事典(工作機械編)”にまとめてみては?」のご提案と激励(?)をいただき、このたびの執筆に踏み切った次第です。
 さて、本書の刊行目的は2つあります。1つ目は、昨今の高度熟練技能者の減少に伴い、次第に失われつつある現場用語を記録として残しておくことです。現場用語をアーカイブとして捉えてみると、技能者たちがものづくりに欠かせない用具や状態・事象を現場用語によって的確に表現し、それらの用語を駆使してきたことが、ものづくりの質を高めることに大きく貢献してきたと考えられます。つまり、日本において歴史的に蓄積されてきた現場の技術・技能やノウハウのかたまりが現場用語には集約されているといっても過言ではないでしょう。また、的確な表現を用いてきたからこそ、技能・技術の伝承が継続的に行われてきたと受け止められます。このような伝承の中断を避けることは、日本の工業技術により高度な付加価値を付与し続けるためには、なお必須と考えられます。本書がその一助となることも企画目的に含まれています。
 2つ目の目的は、現場用語で“もの”の名称を指示されたときに分からなかった場合、本書を手がかりにしてビジュアルに理解できるようにすることです。同時に、現場用語の意味と語源についても雑学的知識が得られるようにするとともに、日本の工業はまさに海外からの技術と技能の輸入と伝承で成り立っていることにも気づいていただきたいというねらいがあります。
 冒頭に記載した書籍の現場用語集の出典は、広島大学教授の故田中重芳先生が若い技術者のために編纂されたもので、古くから伝わる現場用語の理解を深めさせるとともに、その言葉の語源を理解させるという主旨をもっていました。この私的な用語集を、元三豊製作所(現ミツトヨ)の大宮監査役が、田中先生のご生存中に公表の許可を得、さらに宮崎正吉先生が公表に当たって補註されたものです。この用語集には筆者も初めて知るような現場用語が多く含まれており、また語源も十二分に追跡されており、大変貴重なものです。しかし、1つだけ残念に感じたことは、図表や写真がまったく添えられていないことでした。たいていの辞典や辞書がそうであるように、近年の若い技術者は用語を説明している字面だけから、その“もの”の実体を把握することが苦手な傾向にあります。誰にでも即座に理解してもらうためには、専門用語に特化した「絵とき」方式の事典が効果的です。今回刊行した本書は、まさに先人の業績を「絵とき」にしたものといえるかもしれません。
 筆者は、自身の勉強も兼ねて今回の執筆を行いましたが、それでもなお、用語の語源が不明であるものが散見されました。このため、用語解説の中には筆者の推定も多少ではありますが含まれております。その正誤はともかくとして、そのような見方もできるのかと寛大にご解釈いただければ幸いです。
 さらに、本書を執筆していて最も悩んだ点は、同一の用語がさまざまな業界用語として現在も通用していることでした。これらすべてを網羅すべきか否かが大きな問題となりました。例えば、「はつり」という専門用語は機械分野以外でも使われており、建築・土木、木工、石工などの分野にもあります。「トンボ」などの用語もそうです。本来は各用語についてあらゆる分野の意味を網羅すべきなのでしょう。しかし、そうすると本書は百科事典になってしまうとともに、解説スペースの限られた本書ではとても扱いきれません。このため、機械分野のものづくり用語に絞らざるを得なかったことをご了解願います。
 ところで、本書の執筆に当たり、各種の参考文献類からの引用をさせていただきました。既刊の書籍からは、古くから基本的で現在も今後も変わらない図表を中心に掲載させていただきました。しかし、工学の教科書や参考書の図表やイラストは工学的にしっかりと描かれており、ある意味で現代向けの砕けた表現となってはおらず、誰もが直感的に理解できるものが少ないことも事実です。そこで、そのようなビジュアルな図表やイラストについては、WEB情報を大いに活用させていただきました。これらは「本書をまとめるに当たり参考とした文献ならびに資料」として巻末に紹介させていただきました。ここに厚く御礼申し上げます。なお、用語を説明できる適切なイラストや写真のないものについては、筆者がスナップ写真を撮影しております。ピンボケや構図のまずさが目立つかと思われますが、ご容赦いただければ幸いです。
 終わりに当たり、本書執筆の機会を与えていただき、終始温かいご支援とさまざまなヒントを賜りました日刊工業新聞社の奥村功出版局長ならびにエム編集事務所の飯嶋光雄氏に心より厚く御礼申し上げます。特に、故田中重芳先生と宮崎正吉先生のご尽力がなかったならば、本書は成り立たなかったでしょう。この場を借りて両先生方の偉大な業績に深く感謝申し上げます。

2012年6月
岡部 眞幸

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