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安く作る「技術」

定価(税込)  2,160円

著者
サイズ A5判
ページ数 200頁
ISBNコード 978-4-526-06841-6
コード C3034
発行月 2012年06月
ジャンル 生産管理

内容

国内市場での過剰なまでの多品種少量生産と海外市場における低コスト化の流れ。このような経営環境を背景に、製品コストとともに工場自体のコスト水準を引き下げ低コスト体質に転換していく「安く作る『技術』」が求められている。品質とコストの考え方、設計改善の方向性、生産方式自体の変革などについて解説する。

岩室 宏  著者プロフィール

(いわむろ ひろし)
株式会社アステックコンサルティング 代表取締役社長
 1985年(昭和60年)鹿児島大学理学部卒。大手食品会社にて研究開発、新商品開発、生産技術・生産管理を経験。その後、大手コンサルタントファームにて企業の収益改善、経営の抜本的改革、工場革新活動に従事。
 2001年アステックコンサルティング設立。
 豊富な実践経験に裏打ちされた緻密な理論と最新の知識を駆使し、常に新しい改善技術開発と従来の価値観に束縛されない新しい改革を提唱している。
 現在、上場・大手企業を中心に、一気通貫生産方式の導入支援、総収益改善、リードタイム短縮などの生産革新に活躍中。
 著書:「セル生産システム」「トコトンやさしいセル生産の本」
    「脱カンバンの生産革新 一気通貫生産方式」
    「利益を生み出す「強い製造」「強い設計」のつくり方」
    (以上、日刊工業新聞社刊)
【連絡先】
株式会社アステックコンサルティング
〒532-0011 大阪市淀川区西中島3-23-16(セントランドビル8F)
TEL 06-6101-0134  FAX 06-6390-5023
E-mail astec@ast-c.co.jp
URL http://www.ast-c.co.jp

目次

第1章 日本的価値観は正しいのか
1.1 日本的価値観とは何か
(1)日本的価値観とは
(2)日本的価値観は正しいのか
1.2 顧客満足をどう捉えるべきか
(1)品質はコスト
(2)不良率はゼロが基本か
(3)多品種少量生産で消耗戦
(4)CS経営とは何か
1.3 戦略性が欠如している
(1)日本の製造業に欠けている戦略性
(2)「如何に売るか」からの展開
(3)ガラパゴス化は悪くない


第2章 従来のコストダウン活動の問題点
2.1 従来のコストダウンの直接的問題点
(1)今までのコストダウンの問題点を考える
(2)現状の枠組みから離れられない
(3)目先のコストダウンに走る傾向がある
(4)現場改善だけではコストは下がらない
(5)コストダウン活動の聖域
2.2 従来のコストダウンの間接的問題点
(1)部門間連携が取れていない
(2)現象や原因ではなく真因をつぶす
(3)多品種少量生産環境下での改善
(4)モチベーションが上がりにくい
2.3 コストダウンのための新しい着眼点
(1)見えるコストと見えないコスト
(2)高コスト体質と低コスト体質
(3)コスト構造を再設計する
(4)低コスト化のポイント


第3章 製造面からのコストダウンアプローチ
3.1 一気通貫生産方式による製造原価低減
(1)一気通貫生産方式とは何か
(2)一気通貫生産方式の特徴
(3)一気通貫生産方式のメリット
(4)生産管理を強化する
(5)モノの流れと情報の流れを管理する
(6)生産安定性を上げて行く
3.2 生産管理強化による「見えないコスト」削減
(1)情報系の混乱を防止する
(2)リードタイムの長さが混乱を助長する
(3)労務コストのマクロ管理
(4)製造視点の見えないコストを下げて行く
3.3 品種統合によるコストメリットの追求
(1)多品種化は大きなコストアップ要因
(2)勇気を出してスクラップを行う
(3)量産効果によるコスト低減
(4)海外展開の考え方


第4章 品質・設計面からのコストダウンアプローチ
4.1 品質とコストの関係を考える
(1)品質とコストの関係
(2)発生リスクに応じた管理
(3)機能・品質とコストの関係
(4)バランス位置を考える
(5)品質に対する考え方を転換する
4.2 過剰設計、過剰機能を防止する
(1)過剰品質とは何か
(2)過剰品質を防止する
(3)本当に必要な機能の見極め
(4)過剰品質削減の進め方
(5)売価に応じた原価設計
4.3 設計で製造コストを下げる
(1)設計に起因する高コスト化要因
(2)材料コストを下げる取組
(3)製造コストを下げる設計改善
(4)生産設計によるコストダウン
(5)設計リードタイム短縮が不可欠


第5章 調達面からのコストダウンアプローチ
5.1 コストダウンのための環境を整える
(1)コスト査定、見積もり査定能力の向上
(2)取引先との関係を考える
(3)内外作基準の明確化
(4)調達リードタイムを短縮する
5.2 安く買うための取組を実施する
(1)競争環境を維持する仕組み
(2)海外調達は避けられない
(3)安く買うための仕組み作り
(4)在庫は悪ではない
5.3 連携をとった改善を進める
(1)設計部門と連携したコストダウン
(2)生産技術・品証と連携したコストダウン
(3)生産管理と連携したコストダウン
(4)製造部門と連携したコストダウン


第6章 安く作る技術の要は人材育成
6.1 人材に対する積極投資
(1)従業員教育の徹底
(2)求められる水準が変わって来ている
(3)企業内教育を減らしたつけ
(4)人に対する投資が日本の生き残る道
(5)技術力とは考える力である
6.2 管理職育成の必要性
(1)戦略を遂行するのが管理職
(2)ゼネラリストとスペシャリスト
6.3 従業員教育の進め方
(1)PDCAサイクルでは不十分
(2)知識が無ければ改善は進まない
(3)安く作る技術は最高の管理技術

はじめに

 現在日本全体を大きな閉塞感が覆っているように感じます。その原因はアメリカの財政危機に端を発した円高なのですが、更にギリシャを起源とする欧州危機がこれに加わり円高は過去最高水準まで進んでいます。また国内環境においても雇用の不安定化や自然災害の増加による消費マインドの低下によりデフレ状況から脱却することが出来ず、国内消費型の製造業にとっても日々厳しいコストダウン要求を突きつけられているのです。
 ただそんな状況でも企業は生き残るために売上を上げ、利益を創出していかなければならない訳ですから、現状を正しく認識して講じられる策は全て講じて行かなければならないのです。そしてその中で全ての企業が取り組んでいるのがコストダウンであり、1円でもコストを下げるために相当な努力を行っているのは間違いありませんが、現実問題として「コストダウンは色々やっているが限界が来ている」「新しい切り口が見つからない」「目標は大きいが実現出来る術がない」などと言った状況に陥っている企業が多いのではないでしょうか。また顧客からのコストダウン要求が厳しすぎて、とても現状レベルでの活動では対応できないと言う企業もあるのではないかと思います。このような状況で更なるコストダウンを行っていくためには従来とは全く違った発想が必要であり、従来は「聖域」と言われていたような部分にも踏み込んだ上で、会社の仕組み自体を大きく変えるような取組が不可欠なのです。つまり今までの「常識」を「非常識」と言い切れるくらいの価値観の転換が必要であって、工場の仕組みを抜本的に作り替える位の勇気を持たなければ大幅なコストダウンを実現することは難しいのです。
 本書では従来のコストダウン活動の問題点を明確にした上で、どうすれば成果の上がるコストダウンを行えるのか、また具体的な新しい切り口をどういう視点で見つけるのかについて記しています。具体的には製造方法、設計方法、品質に対する考え方、調達、そしてコストダウンを行うための人材育成について章を構成して記述していますので是非参考にしてほしいと思います。また同時に日本特有の課題や日本的特性により生じる問題点についても考察を行い、守るべき価値観と破棄すべき価値観を明らかにしましたから、ひとつの基準として考えてもらえたら幸いです。
 過去に類のない厳しい環境の中で生き残るために最大限の努力を行っている企業において、本書が多少なりともお役に立てるならば著者としてこれ以上の喜びはありません。どうか本書を活用し新たな価値観の創出、新たなコストダウンの切り口作りに力強く取り組んで行っていただき、大きな成果を獲得していただきたいと思います。

 2012年6月吉日

 株式会社アステックコンサルティング
 代表取締役社長 岩室 宏

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