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カイゼン・リーダー養成塾

定価(税込)  2,592円

編著
サイズ B5判
ページ数 128頁
ISBNコード 978-4-526-06902-4
コード C3034
発行月 2012年06月
ジャンル 生産管理

内容

企業規模や業種にかかわらず企業間の競争は強まる一方となっている。それだけに現場での改善活動の重要性は日増しに高まっている。この活動の中核となっているのがカイゼン・リーダー。本書は、カイゼン・リーダーを育成するためのノウハウなどを満載した現場改善の必読書。

小森 治  著者プロフィール

(こもり おさむ) 執筆:第1章
1964年 トヨタ自動車工業入社
1991年 トヨタ英国製造・副社長
1995年 トヨタ自動車オーストラリア・社長 トヨタ自動車・理事
2000年~2005年 セントラル自動車・社長
2007年 セントラル自動車OB仲間と(株)カイゼン・マイスター設立
2008年 法政大学大学院客員教授・中小企業診断士

著 者:葛西 邦策(かさい ほうさく) 執筆:第4章
1966年 セントラル自動車(株)入社
1973年 大昌工業(株)入社(セントラル自動車(株)関連企業)
1990年 大昌工業取締役
2005年~2008年 大昌工業社長
2007年 カイゼンマイスター設立参画

著 者:鈴木 利治(すずき としはる) 執筆:第2章&第4章
1965年 セントラル自動車(株)入社
1989年 セントラル自動車取締役
(生産技術部工機部担当)
1999年 セントラル自動車専務取締役
2007年 (株)カイゼン・マイスター設立参画

著 者:早川 英徳(はやかわ ひでのり) 執筆:第3章&第4章
1965年 セントラル自動車(株)入社
1995年 取締役工場長
2001年 神奈川県QC地区長
2001年 (株)CSI社長(セントラル自動車(株)関連企業)
2008年 (株)カイゼン・マイスター入社

著 者:石川 信(いしかわ まこと) 執筆:第4章
1961年 セントラル自動車(株)入社
1994年 品質保証部部長
2001年 大昌工業(株)取締役(セントラル自動車関連企業)
2003年 大昌工業(株)常務取締役
2007年 (株)カイゼン・マイスター設立参画

目次

はじめに  

第1章 心技体の充実でリーダーを養成する
 1―1 カイゼンの心  
 1―2 カイゼンの体  

第2章 カイゼンの技
 2―1 ムダについて  
 2―2 過剰在庫を持ってしまったら  
 2―3 4S(整理・整頓・清掃・清潔)から始める  
 2―4 仕事は段取り(準備)で決まる  
 2―5 原価について  
 2―6 トヨタ生産方式の2本の柱  
 2―7 レイアウトについて  
 2―8 品質を管理する  
 2―9 問題解決へのアプローチ  
 2―10 改善活動の進め方  

第3章 現場で必要な管理能力と監督能力
 3―1 会社運営に必要な組織と能力  
 3―2 職層別管理能力  
 3―3 会社運営の役割と分担  
 3―4 日常管理の能力と方針管理の能力  
 3―5 管理・監督に必要な能力  
 3―6 維持と改善の道具を使う能力  
 3―7 管理を「見える化」する能力  
 3―8 結果をまとめる能力と報告の仕方  
 3―9 管理・監督者に常に求められる向上心  

第4章 カイゼンを推進するためのパターン(定石)と事例
 4―1 4S  
 4―2 設計との連携  
 4―3 在庫削減  
 4―4 動線短縮  
 4―5 段取替え  
 4―6 作業改善(標準化)  
 4―7 作業改善(標準作業一定化)  
 4―8 自働化  
 4―9 品質  
 4―10 ABC分析  
 4―11 省エネ  
 4―12 見える化  
 4―13 歩留向上  
 4―14 荷姿改善  
 4―15 多能工化

はじめに

(1) 本書を読むにあたって
 本書は、実務の上で役に立つように、今までやって来た実践的な事例を可能な限り写真やイラストを入れて数多く紹介しているので、実務担当者の方々に分かりやすく参考になると自負している。と同時に企業内のカイゼン活動を成功させるためには、手法だけを覚えても不十分で、人間的・心理的な側面も極めて大事であるのでその点も強調している。なぜならば、40年以上にわたる私共自身の実践結果と国内外の多くの大企業・中小企業のカイゼンを手掛けてきた経験からカイゼンを成功させるには「心技体」の充実が欠かせないと確信するに至った次第であるからである。
 したがって、本書を読み進めるに当たりカイゼンの手法を勉強したい実務担当の方は、「第2章 カイゼンの技」と「第4章 カイゼンを推進するためのパターン(定石)と事例」を先に読んでいただいても結構である。ただし、経営者として自社にカイゼンの導入を検討されている方、または自社内でカイゼンを推進中の方は、「第1章 心技体の充実でリーダーを養成する」と「第3章 現場で必要な管理能力と監督能力」にも是非目を通していただきたい。

(2) 背景
モノづくりに対する危機感
 2011年3月11日の東日本大震災は1000年に1度という悲惨な災害として、日本だけでなく世界の歴史に残るであろう。被災地の一刻も早い復興を祈るばかりである。この大災害以前から、日本から海外への工場の移転が進んでいたが、これがさらに加速させるのではないかという大きな危機感を持っている。
 日本は天然資源に乏しく資源・食糧を輸入に頼らざるを得ないという宿命は変えようがない。「天然資源に代わり、人間の知恵と工夫と創造力で生きていくのが日本の宿命である」と悟ったとき、広い意味でのカイゼン活動は国にとっても企業にとっても必須の活動である。
中小企業はモノづくりの礎
 中小企業庁の定義する従業員300名未満の中小企業(製造業)は、事業所数で99%、従業員数で88%を占めており、わが国の産業の礎である。
 東日本大地震は、図らずもグローバル・サプライチェーンを通じて日本の中小企業の部品なしでは世界中のメーカーの工場が動かないことが判明し、日本の中小企業の存在感の重さを示すことになった。中小企業が元気になって若い人がどんどんそこで働くようにならないと日本という国は成り立たないのである。
 欧米に比べて圧倒的な規模のハンディを負った背景で生まれたトヨタ生産方式は、業種の壁、規模の大小を越えて、中小企業に多い多品種少量生産に適している。私共は2007年の起業以来、150社以上の顧客とお付き合いをしてきたがそのほとんどが中小企業である。したがって、本書の中身は共通の課題を整理した上で中小企業の経営者・管理者の皆さんの役にたつことも目指している。

(3) 起業の経緯
 弊社の特徴は、下記の2つに集約できる。
 第1の特徴は、全員が「定年」で現役の第1線を退いてからこの仕事を始めたことである。これからは、言わばお返しの人生であり、40年以上のトヨタグループでの経験と知識を生かして中小企業の経営者の相談相手になれれば幸いであると思っている。
 第2の特徴は、信用金庫や地方銀行などの金融機関との業務提携を通じて、その融資先の中小企業のカイゼンを支援することを主な仕事としていること。
 多くの中小企業経営者にとって、資金繰りは最大の関心事の一つであるので、カイゼン活動と相まって金融機関との提携が頑張る経営者への支援になれば幸いである。
 弊社と業務提携契約をしている金融機関などを表1に示す。2012年において、さらに複数の金融機関と提携の交渉中である。
 また、地元政令指定都市・相模原市の第3セクター(さがみはら産業創造センター:Sagamihara Incubation Center略称SIC)と協力し、地域活性化へ貢献することにも力を入れており、地域の中小企業を対象に共同で塾を開いたり、カイゼンの自主研究会を開催したりしている。
 弊社の顧客は、北は青森から南は鹿児島にかけて、従業員数名の小規模企業から数百人の中規模企業までがほとんどであるが、中には数千人の大企業も含めて幅広く改善支援を実施している。業種も製造業だけでなく農林水産関係、食品加工、病院などのサービス業にも及んでいるので本書は幅広い業種に役に立つと信じている。なお、海外では豪州でトヨタ・オーストラリアのサプライヤー支援のお手伝いも一部させて頂いている。

(4) カイゼン活動の前提
安全第1
 モノづくりにおいては、まず何よりも安全が優先されなければならない。すなわち人を大事にするという経営理念があることが前提である。
 労働災害に関しては、ハインリッヒの法則がある。これは「1件の重大災害の裏には29件のかすり傷程度の軽災害があり、300件のヒヤリとしたりハットしたりする経験がある」という経験則である。したがって従業員がヒヤリとしたり、ハットした経験をした段階で問題を潰し重大災害を防ぐ活動が大事である。
 4S(整理・整頓・清潔・清掃)から始まって安全・品質を第1に考える習慣を会社全体が共有することがカイゼンのスタートである。
 「モノづくりは人づくり」といわれる所以である。
平時の危機意識
 例えば、在庫削減はすぐキャッシュ・フローのカイゼンには効くが、それが損益計算書のカイゼンにまで行くためにはある程度の時差がある。またカイゼン活動を通じて人が浮いたとき、その人を別の新しい仕事などで生かしていくことが従業員のモチベーション向上のためにも重要である。
 ところが会社更生など会社が危機に瀕したときは、今すぐ待ったなしの収益改善が求められるが、このような場合は副作用も大きいことも覚悟しなければならない。典型的なものが、会社の構造改革でいわゆるコストカッターといわれる人たちが乗り込んできてやる常套手段で、まず外注部品や資材の購入価格をすぐ下げることである。これは、すぐ収益改善につながるがサプライヤーのコストが販売価格に見合って本当に下がらなければ、価格とコストの矛盾がいずれ表面化する。また、サプライヤーと一緒に知恵を出し合って原価を下げていくような活動に不可欠な長期的なサプライヤーとの信頼関係も失うことになる。
 工場閉鎖やそれに伴う人員の整理も同様に、従業員との信頼関係に大きなマイナスの影響を与えてしまう。したがって、「治に居て乱を忘れず!」で、業績が順調な平時において危機感を持つことを習慣化している会社こそ目指すべき会社である。


2012年4月
著者

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