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試して究める!品質工学
MTシステム解析法入門

定価(税込)  2,376円

著者
サイズ A5判
ページ数 200頁
ISBNコード 978-4-526-06891-1
コード C3034
発行月 2012年05月
ジャンル 生産管理

内容

MTシステムは、品質工学の考案者である田口玄一博士が提唱したモノゴトを判別、認識、予測することを目的とした技術手法である。少ない情報量でも精度良く判別、予測できるのが特徴である。本書では、著者が制作した体験ソフトウェアをダウンロードすることで、ソフトウェアを試せる。やさしい解説を読みながら実際にソフトを使うことで、MTシステムについての理解を深め、日常業務に応用できるようになる。

鈴木真人  著者プロフィール

(すずき まさと)
1958年 静岡県生まれ.
1982年 芝浦工業大学工学部 機械工学科卒業.
同年 アマノ株式会社に入社.
 同社にて、タイムレコーダ、駐車場管理機器、集塵機、業務用清掃機、洗剤リサイクル、電解水生成装置、信号処理、時刻配信、デジタルタイムスタンプ、電子署名の技術開発、商品開発に従事.
 現在同社にて、実験計画立案、データ解析、および、品質工学の指導、支援を担当.
 品質管理検定1級、統計士、データ解析士、生涯学習2級インストラクター(統計)


●著作
「バーチャル実験で体得する実践・品質工学」(共著)日刊工業新聞社 2007
「品質工学のススメ」 EDN Japan 2009 7月号

目次

まえがき  

第1章 MTシステムとは
1.1 MTシステムのコンセプト  
1.2 マハラノビス距離とは  
 (1) 2項目の場合のマハラノビス距離  
 (2) マハラノビス距離による判別  
 (3) 3項目以上ある場合のマハラノビス距離の計算  
1.3 MTシステムの基本MT法とは  
1.4 その他のMTシステムの手法  
 (1) MTA法  
 (2) T法  
 (3) RT法  

第2章 MTシステムで使う統計学と品質工学の基礎知識
2.1 平均,分散,標準偏差  
2.2 分布,正規分布,x2分布  
2.3 相関とは  
2.4 回帰分析  
2.5 ゼロ点回帰の考え方と注意点  
2.6 SN比とは  
2.7 交互作用とは  
2.8 損失関数  

第3章 MTシステムの数理
3.1 MT法の数理  
3.2 MTA法の数理の前に  
 (1) MTA法とT法の両方に適用される作戦  
 (2) MTA法のみに適用される作戦  
3.3 判別のためのMTA法の数理  
3.4 予測のためのMTA法の数理  
3.5 T法の数理  
3.6 RT法の数理  
3.7 数理の展望  

第4章 MTシステムの活用事例
4.1 MT法による2011年夏季の節電活動の検証  
4.2 RT法による2011年夏季の節電活動の検証  
4.3 2011年夏季の節電活動の検証まとめ  
4.4 MTA法による電力需要予測  
4.5 T法による電力需要予測  
4.6 手法の選択について  

第5章 MTシステム Excel VBA チュートリアル
5.1 はじめに  
5.2 MT法Excel VBAのチュートリアル  
5.3 RT法Excel VBAのチュートリアル  
5.4 MTA法Excel VBAのチュートリアル  
5.5 T法Excel VBAのチュートリアル  
5.6 項目診断と項目選択  

あとがき  
参考文献  
索引  

はじめに

 この本を見つけて手にとられた方、ご購入いただいた方は、きっと書店やインターネットで偶然見かけて…ではなく、「MTシステムを仕事に使いたい!」という欲求で関連する書籍を探された結果であることが多いと思います。品質工学の一角を構成するMTシステムは学会誌などで多くの事例が発表されているので、品質工学会員のなかではその効果は十分認識されています。そして、その効果や成果を期待して自分の実務に活用しようとするとき、まずはMTシステムに関する書籍を購入されることでしょう。幸い、MTシステムに関してはそれほど多くの書籍が出版されているわけではありません。しかも、一般論、活用事例から数理まで良書ぞろいですから、ある程度目的を持ってあたれば自身にとって最もふさわしい書籍を見つけだすことができるでしょう。そして、購入した書籍を読破し、いざ、実践と進んでいくのですが、ここで大きな問題に直面します。MTシステムを活用する、つまり、計算処理を行なうにはコンピュータの利用が不可欠であり、MTシステムのアルゴリズムをプログラム化しなければならないという問題です。

 コンピュータが一般に普及してかなりの年月が過ぎました。そのため、世の中には、いろいろな処理目的ごとに多くのアプリケーションソフトウェアが存在し、販売されています。MTシステムについても例外ではありません。しかし、何の実績もないまま、いきなり高価なMTシステムのソフトウェアを購入することに躊躇されると思います。そのため、まずは、自力でなんとかしようと努力されることでしょう。多くのパーソナルコンピュータのOSはMicrosoft社のWindowsであり,Microsoft Officeがインストールされています。そして、Microsoft Officeには表計算ソフトウェアのExcelが入っています。そこで、Excelを使ってMTシステムの計算処理を行なうことになるのですが、これが非常に大変な作業であり、また、Excel上の制約もあります。途中であきらめてしまう人もいることでしょう。また、がんばってシートを作り込み、ある事例についての解析はできた、そしてその効果も十分であった、としても次の業務でまたMTシステムを使おう、という気は起きにくいのではないでしょうか。早く結果が欲しいのでExcelで作るMTシステムの解析シートは一品料理的になってしまいます。将来的な汎用性を持つようなシートの作り込みまでは手がまわりません。したがって、新たなテーマに対してMTシステムを使うためには、また最初からシートを作り込むことになってしまいます。

 MTシステムはものづくりを始めとした工業や農林水産業だけでなく、多くの社会現象、経済動向をも解析できる強力なツールであり、これからの日本の発展にとって、非常に重要な技術手段になるはずです。まずは、広くMTシステムが活用されるきっかけを作るため、すぐに、かつ、簡単にMTシステムを体験できる仕組みが必要であると考えていました。

 今回、MTシステムの教育用として、「MT法」、「MTA法」、「T法」、「RT法」で簡単な解析ができる教材を開発しました。教材といってもそれなりに皆様の実務でも使用に耐えうるものであると思っています。MTシステムにご興味があるのでしたら、まずはご自身のテーマに対してこの教材を使ってMTシステムのすごさを体験していただきたいと思います。そして、得られた結果が満足できるものであり、MTシステムが信頼できると判断された段階で、本格的なアプリケーションソフトウェアの購入に進んではいかがでしょうか。

 さて、書籍の内容ですが、先に出版されているMTシステム関連の書籍と異なった視点で書き進める努力をしています。まず、MTシステムの数理で、はじめてその中身を見ると、多くの方が違和感や疑問を持つものと思います。筆者もそのひとりでした。そこで本書では、なるべくその違和感や疑問を解消できるような解説を加えるようにしました。また、MTシステムを理解し、活用するうえで必要不可欠である統計学や品質工学に関する解説にも十分に紙面を割いています。

 そして、MTシステムの活用事例としては固有技術に関するものではなく、2011年の「節電の夏」についての国家・国民・企業の努力の検証をテーマとしていますので、読者の皆様の事業・業務分野を問わずMTシステムの考え方、使い方、そして効果を確認していただけるのではないでしょうか。

 筆者がMTシステムのファンになって業務に活用するきっかけとなったのが、本書にも書いていますが、モータの寿命試験にMT法を使ったときの結果です。複数の検査項目すべてで規格内であったモータが運転開始後すぐに故障したのですが、複数の検査項目データの全体をMT法で解析した結果、「このモータの新品状態とは異質のモータである」と判定されたことです。検査項目が複数あっても項目ごとの判定結果だけでは見つけることができない不良をMT法では見つけることができたのです。この一件以来、業務上のいろいろな場面でMTシステムを使い、成果をだすことができました。今では筆者にとってなくてはならない技術ツールです。読者の皆様も、ぜひMTシステムの考え方や使い方をマスターし、業務などで活用して成果に結びつけていただきたいと思います。

 最後に、今回制作したMTシステムのExcel VBAについて、その検証にご協力いただいた浜松品質工学研究会の方々に感謝いたします。

 また、本書の企画を推進し編集してくださった日刊工業新聞社木村文香さんに深くお礼を申し上げます。

 そして、東日本大震災で亡くなられた方々、ご遺族の方々にお悔やみを申し上げます。また、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。

 一日も早い復興をお祈りいたします。

2012年4月   
鈴木 真人

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