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<解析塾秘伝>非線形構造解析の学び方!
―非線形有限要素法を正しく使うために必要な基礎知識―

定価(税込)  2,808円

著者
監修
サイズ A5判
ページ数 228頁
ISBNコード 978-4-526-06886-7
コード C3053
発行月 2012年05月
ジャンル 機械

内容

NPO法人CAE懇話会「秘伝」講義を公開した有限要素法の入門書の第2弾。非線形現象を含む製品設計を、有限要素法を使って正しく行うために最低限必要な知識をまとめたもの。難解な有限要素法をわかりやすく丁寧に解説している。

石川覚志  著者プロフィール

博士(工学) 京都大学大学院工学研究科修了
S36年生まれ 大阪市出身 株式会社IDAJ 勤務
非線形有限要素法プログラムのカスタマーサポートを経て、非線形解析の受託解析業務に従事。2001年から、NPO法人CAE懇話会の解析塾において非線形構造解析コースを担当。延べ300名以上の受講生を指導する。2006年より、日本ゴム協会・ゴムの力学研究分科会の書記を担当。

NPO法人CAE懇話会 関西解析塾テキスト編集グループ  著者プロフィール

〈監修者略歴〉

小村 政則
工学修士
S44年生まれ 大阪市出身 ローム株式会社 勤務
生産システム開発部に所属し、構造解析・熱流体解析・光学解析のCAE専任者として半導体・電子部品・生産設備などの開発に従事。
2003年よりNPO法人CAE懇話会の関西CAE懇話会幹事。

岡田  浩
技術士(機械部門) 機械設計技術者(1級)
S40年生まれ 福岡県出身 電機メーカー勤務
技術本部、IT推進総括部に所属し、構造・熱・樹脂流動CAEの教育・推進や、金属加工品・樹脂成形品の強度設計、電子機器の放熱対策などに従事した。現在は、生産プロセス革新センタに所属し、金属・樹脂材料による新たな工法開発に従事している。また、社外においてはNPO法人CAE懇話会の関西CAE懇話会幹事や、各種セミナ講演・機械系専門誌への執筆活動などに従事している。
共著として、『設計検討ってどないすんねん!~現場設計者が教える仮説検証型設計のポイント~』がある。

出口 良平
技術士(機械部門) 計算力学技術者(固体1級、熱流体1級)
S44年生まれ 石川県出身 ダイキン工業株式会社 勤務
空調用圧縮機およびモーターの設計開発に従事。現在は、構造解析、熱流体解析、音響解析などのCAEを活用した圧縮機の要素技術開発を担当している。
また、2009年よりNPO法人CAE懇話会の関西CAE懇話会に幹事として携わっている。

徳田 明彦
計算力学技術者(固体1級)
S41年生まれ 神戸市出身 ゴム製品メーカー勤務
技術部門内の実験担当部署に所属。主にゴム製品・部品の構造解析業務に従事している。2003年からはNPO法人CAE懇話会・関西CAE懇話会の幹事としての活動も行っている。

辰岡 正樹
S24年生まれ 広島県出身
川崎重工業株式会社船舶事業本部での設計業務に従事後、日本アイ・ビー・エム株式会社にて、技術支援(CAE関連)、営業活動に従事、2010年1月より株式会社アルゴグラフィックスに勤務。2000年2月関西CAE懇話会設立に携わる。2002年5月にNPO法人CAE懇話会として全国組織とする。2009年よりCAE懇話会副理事長。解析塾の各コースの企画、運営、全国各地区のCAE懇話会活動を推進。第88期日本機械学会計算力学部門長。日本機械学会フェロー。

目次

はじめに

第1章 非線形構造解析とは
1.1 非線形応答 
1.2 材料非線形 
1.3 幾何学非線形 
1.4 境界条件非線形 

第2章 有限要素法概要(線形弾性)
2.1 応力とひずみ 
2.2 多軸応力場 
2.3 ひずみと変位 
2.4 応力―ひずみ構成則 
2.5 有限要素法 

第3章 材料非線形
3.1 弾塑性体 
3.2 クリープ材料 
3.3 粘弾性体 
3.4 超弾性体 

第4章 幾何学非線形
4.1 序論(回転を受ける棒のひずみ) 
4.2 変形挙動 
4.3 有限変形ひずみ 
4.4 応力 
4.5 有限要素法 
4.6 初期応力マトリックスを考慮した例題 

第5章 境界条件非線形(接触問題)
5.1 接触問題 
5.2 制約条件付き問題の解法 
5.3 有限要素法での接触条件 
5.4 トラスの接触問題 

第6章 非線形問題の解法
6.1 ニュートン・ラプソン法 
6.2 修正ニュートン法 
6.3 準ニュートン法 
6.4 収束判定条件 
6.5 ニュートン・ラプソン法の具体例(2本の弾完全塑性トラス) 
6.6 弧長増分法 
6.7 粘性減衰法 
6.8 飛び移り座屈における解法の違い 

第7章 動的解析
7.1 1自由度系の振動モデル 
7.2 運動方程式 
7.3 陰解法 
7.4 陽解法 
7.5 時間積分の安定性 
7.6 質量マトリックスと減衰マトリックス 
7.7 動的解析の例題 

第8章 破壊力学
8.1 応力拡大係数 
8.2 エネルギー解放率 
8.3 き裂先端の塑性域 
8.4 J積分とき裂先端開口変位 
8.5 有限要素法による応力拡大係数の評価 
8.6 中央き裂を有する平板の例題 

第9章 有限要素
9.1 有限要素の分類 
9.2 数値積分 
9.3 せん断ロッキング 
9.4 体積ロッキング 

あとがき 
索引 
著者略歴 


コラム目次

第1章
・長崎のビードロ 
第3章
・材料の加工限界 
・クリープ則の入力データ 
・はんだ接合部の熱疲労信頼性評価について 
・レオロジーとスーパー○○○人の防御スーツ 
・OgdenモデルとArruda―Boyceモデルの材料物性値 
・Neo―Hooke則の有効性 
・異方性のゴム材料 
・磁性エラストマー 
第4章
・ALE≒(Lagrange+Euler)/2? 
・にせものの応力? 
・物質導関数 
第6章
・キーボードのスイッチ 
第8章
・拡張有限要素法によるき裂進展解析 
第9章
・連続体シェル要素 

はじめに

2000年頃のある日、
「石川さん、僕この日はちょっと都合が悪いので、代わりに弾塑性か、なにか非線形について教えておいてもらえますか?」

と小寺先生1に一言声を掛けられたのが、私にとっての「解析塾」の始まりでした。当時は、小寺先生による解析塾が平日の午後に開催されていました。今にして考えると、「一度、石川さんに解析塾をちょっとやらせてみて、ちゃんと非線形解析をわかっているのかどうかを試してやろう」という先生の思惑があったような気もします。それに合格したのかどうかはわかりませんが、それ以来、先生の都合の悪いときに代役で非線形構造解析に関連する弾塑性解析や接触解析などについて、講義を行うようになりました。そのうち、弾塑性解析についてもっと詳しく説明する解析塾を増やそうということで、2001年から解析塾の「弾塑性解析編」が土曜日に開催される形式で、新設されました。弾塑性以外にも、非線形構造解析一般に関する講義を行っていたので、後に「非線形構造解析編」と改名し、現在に至っています。
 当時の形式は、非線形解析をもっと身近に体験したいという要望に合わせて、どちらかというと理論よりは非線形解析を行うソフトウェアの実際の操作を中心に行っていました3,4。この頃は、教育用の節点数制限版ソフトウェアもあまり存在していなかったので、高価なソフトウェアに触れられるというのは、参加されていた方には貴重な経験だったと思います。また、社会人教育を行うNPO法人であるCAE懇話会の、大きな役割でもあったと思います。しかし、既に会社で非線形解析のソフトウェアを使用されている参加者の方たちには、非線形構造解析のより深い理論について解説しないといけないので、やり方にも工夫が必要であり、進め方に悩んでいた時代5でもありました。その後、教育を目的とした節点数の制限がある廉価版ソフトウェアが徐々に広まりだし、ノートPCも個人で持つのが当たり前のような環境になってきました。こうしたインフラの整備に伴い、演習は自宅でもできるだろうという考え方から、2006年頃から理論説明に重点を置くようになり、非線形構造解析塾の現在の進め方が確立してきた時期といえます。
 時期を同じくして、2003年から社団法人日本機械学会による固体力学分野の計算力学技術者(2級)の資格認定試験が行われるようになり、翌2004年からは1級の認定試験も始まりました。この1級試験を合格するために必要な素養は、非線形有限要素法をいかに正しく使えるかということであり、非線形構造解析塾で教えている内容が多く含まれていました。そのような背景もあり、「1級試験を受験するので、解析塾に勉強しにきた」という方が多く参加されるようになりました。受講生の中には、一発で合格した方、数年後に合格された方、そのまま合格することなくあきらめてしまった方など様々です6。教えている側としては、せっかくなら合格して欲しいという想いもあり、認定試験1級に合格するために必要な知識も含めて講義を行うように2009年から改めました。実際、試験問題集を見てみると、かなり難しい内容が多く、良質な問題もあるが不毛な問題もあり、試験問題の内容を正しく理解し合格するためには適正な知識が必要であると実感しました。そのため、それまでに行っていた理論講義に試験対策用の説明を追加することで、さらに充実した講義内容になりました。また、破壊力学のように、それまでの講義では触れていない領域もあり、新たに説明資料を作り出した項目もあります。
 今回出版する本書は、現在行っている非線形構造解析塾の講義内容を一冊にまとめ、編集加筆したものです。これは非線形現象を含む製品設計を、有限要素法を使って正しく行うために最低限必要な知識であり、認定試験1級に合格するために必要な知識をまとめたものであるともいえます。特に、重要な用語には、英語表記を並べて示しました。本書が、非線形構造解析を行う方たちの役に立つことを願います。
 なお、ベクトルやテンソルの表記について太字形式や添字形式あるいはマトリックス形式などがありますが、筆者の力量不足もあり、本書では各形式が混在した状態で記されております。逆にいえば、読者の皆さんはその都度、表記形式を自分で書き直すことで、理解を深めていただきたいと思います。
 本書をまとめるにあたり、CAE懇話会の関西解析塾テキスト編集グループの小村政則さん・岡田浩さん・出口良平さん・徳田明彦さん・辰岡正樹さんには、数式の吟味や、わかりやすい表現方法への修正などを行っていただくとともに、実業務に沿った内容のコラムも書いていただき、深く感謝しております。また、本書の執筆にあたり、お世話いただいた日刊工業新聞社出版局書籍編集部鈴木徹部長には丁寧なご指導、ご支援をいただいたことを、厚くお礼申し上げます。

2012年4月
石川 覚志

1 小寺先生をご存じの方は、例のとぼけた口調で読んでください。
2 都合が悪いといっておきながら、ちゃっかりと核心部分の講義の場面には後ろの方で見守って(検閲)いただいておりました。
3 関西地区では辰岡さんがIBMにいたので、ハードウェアの整備は比較的容易でした。しかし、中部地区での解析塾は、ライセンスサーバー、ネットワークハブおよびイーサネットケーブルを用意するのが大変でした。当時の中部CAE懇話会の幹事および世話役には、大変感謝しております。
4 当時、勤めていたソフトウェアベンダーの製品を購入してもらおうという下心もありました。
5 土曜日がつぶれると妻に文句いわれるし、疲れるだけやし、もうやめようかな?と思っていました。
6 順に、90%、7%、3%ぐらいの比率です。某ソフトウェアベンダーのS君、早く3%のグループから7%のグループに上がってきて下さい。

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