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SCIENCE & TECHNOLOGY
バイオセンサーのはなし

定価(税込)  1,944円

編著
サイズ B6判
ページ数 180頁
ISBNコード 978-4-526-06879-9
コード C3043
発行月 2012年04月
ジャンル 化学

内容

バイオセンサーは生体の巧みな分子識別機能を利用して化学物質を計測するものです。糖尿病の血糖センサーをはじめ、医療・食品・環境分野など広い分野に応用されています。これまでに数多くの測定原理が提案され、バイオセンサーを支える様々な技術が開発されています。本書では、バイオセンサーの概念、原理、しくみ、特徴、役割や最新の研究動向などについてわかりやすく紹介します。

軽部征夫  著者プロフィール

東京大学名誉教授 東京工科大学学長
     独立行政法人産業技術総合研究所バイオメディカル研究部門連携研究体バイオ技術産業化センター体長



執筆者一覧(五十音順)  所属 (執筆担当)
秋元卓央 東京工科大学応用生物学部准教授 (4.3,4.4)
伊藤成史 株式会社タニタバイオヘルスケア事業部(3.2)
加藤輝 東京工科大学応用生物学部准教授 (3.4)
軽部征夫 東京工科大学学長/独立行政法人産業技術総合研究所バイオメディカル研究部門連携研究体バイオ技術産業化センター体長 (1,4.2,6)
小出哲 株式会社タニタバイオヘルスケア事業部(3.8)
後藤正男 東京工科大学応用生物学部教授 (3.1,5)
斉木博 東京工科大学応用生物学部教授 (4.1,4.5)
佐々木聰 東京工科大学応用生物学部教授 (2.3)
鈴木祥夫 独立行政法人産業技術総合研究所バイオメディカル研究部門連携研究体バイオ技術産業化センター研究員(3.6)
三上あかね 東京工科大学応用生物学部助教 (3.3,3.11)
村松宏 東京工科大学応用生物学部教授 (2.2,3.9,3.10)
矢野和義 東京工科大学医療保健学部教授 (2.1,3.7,3.12)
横山憲二 独立行政法人産業技術総合研究所バイオメディカル研究部門連携研究体バイオ技術産業化センター副研究体長(3.5)

目次

まえがき
執筆者一覧

1章 バイオセンサーとは
 1.1 生体のバイオセンサー 
 1.2 最初のバイオセンサー 
 1.3 バイオセンサー研究の広がり 
 1.4 生きた細胞を用いるセンサー 
 1.5 免疫反応を応用したセンサー 
 1.6 DNAおよびタンパク質を調べるセンサー 

2章 バイオセンサーの原理
 2.1 生体分子・材料 
 2.2 トランスデューサー
 2.3 測定原理 
 2章の参考文献 

3章 医療への応用
 3.1 血糖値センサー 
 3.2 尿糖センサー 
 3.3 糖化ヘモグロビンセンサー 
 3.4 核酸配列のバイオセンシング 
 3.5 タンパク質の網羅的解析法 
 3.6 タンパク質蛍光検出 
 3.7 プロテインマイクロアレイによる疾患マーカー検出
 3.8 酸化ストレス計測 
 3.9 水晶振動子を用いたエンドトキシン検出 
 3.10 水晶振動子を用いた血液凝固因子の検出 
 3.11 センサー細胞を用いた毒性評価 
 3.12 生体適合性ポリマーを用いた非侵襲生体計測 
 3章の参考文献 

4章 環境分野への応用
 4.1 環境分野への応用の特徴 
 4.2 微生物センサーの環境分野への応用 
 4.3 遺伝子組換え微生物を用いた変異原センサー 
 4.4 酵素を用いた環境分析用センサー 
 4.5 抗体や受容体を用いた環境分析用センサー 
 4章の参考文献 

5章 食品分野への応用
 5.1 清酒用バイオセンサー 
 5.2 魚肉の鮮度を評価するバイオセンサー 
 5.3 食品中の菌体を計測するバイオセンサー 
 5.4 食品中のアレルゲンを計測するバイオセンサー 
 5.5 食品の抗酸化能を評価するセンサー 
 5.6 食品の香りや味や食感を評価するセンサー 
 5.7 まとめ 
 5章の参考文献 

6章 バイオセンサーの将来

あとがき
索 引

はじめに

 酵素と電極を組み合わせて製作した酵素電極が発表されてから45年の歳月が過ぎた。生体分子や細胞等の生体材料を用いるセンサーはバイオセンサーと総称されるが、その種類と応用が広がっている。著者はわが国で初めて酵素電極を発表し、いろいろな原理に基づくセンサーの開発とその応用を広範囲に研究してきた。使い捨て型のグルコースセンサーが開発されてから、グルコースセンサーの市場は毎年13~14%ずつ伸びてきた。これは糖尿病の患者が世界的に増加しているからである。糖尿病は代表的な成人病であり、合併症を引き起こす問題がある。自宅で血糖値を測り、血糖値をコントロールできれば、糖尿病の治療ばかりでなく、合併症の発症も抑えることができる。このような明白なデータが得られたので、血糖値センサーの市場が拡大することになった。また、微生物や動・植物細胞などの生きた細胞を用いるセンサー、抗原や抗体などを用いる免疫センサーなどバイオセンサーの研究領域は急速に広がっている。生体素子の種類だけではなく、トランスデューサーの種類も多様で、それぞれ特長のあるバイオセンサーが開発されている。
 一方、バイオセンサーの応用は医療分野で始まったが、環境分野、工業プロセス分野、食品分野へと拡大している。この分野の主な研究者が集まるWorld Congress on Biosensorsも2年に一度開催されており、今年はメキシコのCancunで5月に開催される予定である。毎回この国際会議には1000人近くの専門家が出席して、熱心な討論が展開されている。
 また、我々が創ったバイオセンサーに関する研究論文を掲載するジャーナルの“Biosensors and Bioelectronics”のインパクトファクターは5.4に上昇している。
 このようにバイオセンサーの研究開発と実用化研究は世界的に盛んになっている。そこで、バイオセンサーの原理と応用に焦点を当てて、この分野の最新の研究成果をまとめることにした。特に、わが国のバイオセンサーの研究拠点の一つである東京工科大学と、同大学の片柳研究所に入っている独立行政法人産業技術総合研究所のバイオ技術産業化センターに所属する専門家に執筆を依頼した。
 本書がバイオセンサーに興味を持つ学生諸君やエンジニア、研究者の方々の参考になれば幸いと考えている。

2012年3月
軽部征夫

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