買い物かごへ

ついてきなぁ!加工部品設計の『儲かる見積り力』大作戦

定価(税込)  2,376円

著者
サイズ A5判
ページ数 248頁
ISBNコード 978-4-526-06867-6
コード C3053
発行月 2012年04月
ジャンル 機械

内容

「厳さん」と「まさお君」の楽しい掛け合いで、飽きずに読める「ついてきなぁ!」シリーズ第7弾。今回のテーマは設計に役立つ「見積り力」向上。「加工知識」と「設計見積り力」がどんどんわかる「儲かる見積り力」をアップする大作戦なのである。

國井良昌  著者プロフィール

(くにい よしまさ)
技術士(機械部門:機械設計/設計工学)
日本技術士会 機械部会
横浜国立大学 大学院工学研究院 非常勤講師
首都大学東京 大学院理工学研究科 非常勤講師

1978年、横浜国立大学 工学部 機械工学科卒業。日立および、富士ゼロックスの高速レーザプリンタの設計に従事。富士ゼロックスでは、設計プロセス改革や設計審査長も務めた。1999年より、國井技術士設計事務所として、設計コンサルタント、セミナー講師、大学非常勤講師として活躍中。
以下の著書が日刊工業新聞社から発行されている。
・ついてきなぁ!加工知識と設計見積り力で『即戦力』
 平成20年度 日本設計工学会 武藤栄次賞 Valuable Publishing賞受賞
・ついてきなぁ!『設計書ワザ』で勝負する技術者となれ!
 平成21年度 日本設計工学会 武藤栄次賞 Valuable Publishing賞受賞
・ついてきなぁ!加工部品設計で3次元CADのプロになる!
 平成22年度 日本設計工学会 武藤栄次賞 Valuable Publishing賞受賞
・ついてきなぁ!失われた『匠のワザ』で設計トラブルを撲滅する!
・ついてきなぁ!設計トラブル潰しに『匠の道具』を使え!
・ついてきなぁ!材料選択の「目利き力」で設計力アップ

URL:國井技術士設計事務所 http://a-design-office.com/

目次

はじめに:誰もスカウトしない日本人設計者

第1章 設計見積りができないとこうなる!
1-1 見積りができなければラーメンもできない
 1-1-1 コストに興味がない日本人技術者
 1-1-2 原価管理とは
1-2 図面を描く前の「設計見積り」とは
 1-2-1 なぜ、コストを把握できないと困るのか?
 1-2-2 隣国EV開発チームの低コスト化活動
1-3 100円ショップのステンレス製定規のコストはいくら?
 1-3-1 課題:ステンレス製定規の設計見積り
 1-3-2 材料費を求める
 1-3-3 加工費を求める
 1-3-4 型費を考慮した設計見積り
 1-3-5 ステンレス製定規の型費を求める
 1-3-6 結果:ステンレス製定規の設計見積り
1-4 定価とコストの一般関係式
 1-4-1 こうすれば儲かる!ステンレス製の定規
1-5 100円ショップの樹脂製定規のコストはいくら?
 1-5-1 課題:樹脂製定規の設計見積り
 1-5-2 材料費を求める
 1-5-3 加工費を求める
 1-5-4 樹脂製定規の型費を求める
 1-5-5 結果:樹脂製定規の設計見積り
1-6 中国生産の効果と無駄
 1-6-1 中国生産の効果:こうすれば儲かる!樹脂製の定規
 1-6-2 中国生産の無駄:儲からない!ステンレス製の定規
1-7 目で見る!第1章のまとめ
  〈儲かる見積り力・チェックポイント〉

第2章 板金/樹脂/切削部品の加工知識と設計見積り(復習)
2-1 お客様は次工程
 2-1-1 設計のお客様は次工程である加工現場
 2-1-2 加工法の得手不得手だけ理解すればよい
 2-1-3 お客様とのルールを守る
2-2 見積りができれば低コスト化設計ができる
 2-2-1 板金・樹脂・切削加工について
 2-2-2 電気・電子機器とEVの部品構成
2-3 機械加工部品の分類
 2-3-1 板金加工における即戦力の復習
 2-3-2 溶接における即戦力の復習
 2-3-3 樹脂加工における即戦力の復習
 2-3-4 切削加工における即戦力の復習
2-4 塑性加工とは
 2-4-1 塑性域と弾性域
 2-4-2 塑性加工における即戦力
2-5 目で見る!第2章のまとめ
  〈儲かる見積り力・チェックポイント〉

第3章 ヘッダー/転造の加工知識と設計見積り
3-1 お客様の道具(加工法)を知る
 3-1-1 頻度の高い加工法
 3-1-2 お客様とのルール(単語を覚える)
 3-1-3 ヘッダー加工とは
 3-1-4 身近に見るヘッダー加工の応用例
 3-1-5 ヘッダー加工の方法
 3-1-6 転造加工とは
 3-1-7 転造加工の方法
3-2 ねじの加工
 3-2-1 切削加工によるねじの製造
 3-2-2 ヘッダー加工と転造加工によるねじの製造
3-3 お客様の得手不得手を知る
 3-3-1 設計ポイントはたったの3つ
 3-3-2 塑性変形の故障モードとその影響
 3-3-3 応力集中の故障モードとその影響
 3-3-4 型開閉の故障モードとその影響
3-4  ヘッダー加工の形状ルール
 3-4-1 ヘッダー加工の単純な形状ルール
 3-4-2 ヘッダー加工の複雑な形状ルール
3-5 ヘッダー加工用の材料選択
 3-5-1 最重要ルール(最も怖いのが規格)
 3-5-2 材料の大分類
 3-5-3 材料の詳細情報
3-6 加工限界を知る
 3-6-1 ヘッダー加工に関する長さの一般公差
 3-6-2 ヘッダー加工の平面度と直角度と真直度
 3-6-3 角度の公差
3-7 部品コストの見積り方法
 3-7-1 材料費の見積り方法
 3-7-2 ヘッダー加工費の見積り方法
 3-7-3 ヘッダー加工のロット倍率(量産効果)を求める
 3-7-4 ヘッダー加工の基準加工費を求める
 3-7-5 ヘッダー加工の型費を求める
 3-7-6 転造のロット倍率(量産効果)を求める
 3-7-7 転造の基準加工費を求める
 3-7-8 コスト見積りのまとめ
3-8 見積り演習で実力アップ
 3-8-1 ヘッダー加工部品の設計見積り演習
 3-8-2 切削部品の設計見積り演習
 3-8-3 ヘッダー加工と切削加工のコスト比較
3-9 ヘッダー加工のもうひとつの応用例
 3-9-1 プリンタ機構部品に見るヘッダー加工部品
 3-9-2 ねじ不要の賢いカシメと加工ルール
 3-9-3 カシメのコスト見積り
3-10 目で見る!第3章のまとめ
   〈儲かる見積り力・チェックポイント〉

第4章 表面処理/めっきの加工知識と設計見積り
4-1 お客様の道具(加工法)を知る
 4-1-1 表面処理の種類
 4-1-2 表面処理の特徴
4-2 お客様の得手不得手を知る
 4-2-1 代表的なめっき工程
 4-2-2 工程から学ぶめっきに適した部品形状
4-3 軸系部品における表面処理の設計見積り
4-4 板金部品における表面処理の設計見積り
4-5 目で見る!第4章のまとめ
  〈儲かる見積り力・チェックポイント〉

第5章 ばねの加工知識と設計見積り
5-1 お客様の道具(加工法)を知る(板ばね編)
 5-1-1 お客様とのルール(単語を覚える)
 5-1-2 板ばねの命は「接地」
5-2  お客様の得手不得手を知る
 5-2-1 設計ポイントはたったの3つ
5-3 板ばね用板金の材料選択
 5-3-1 板ばね用板金の大分類
 5-3-2 板ばね用板金の部品点数ランキング
 5-3-3 板ばね用板金の詳細情報
5-4 事例で学ぶ板ばねの設計見積り
 5-4-1 課題:VTRテープ用板ばねの設計見積り
 5-4-2 材料費を求める
 5-4-3 加工費を求める
 5-4-4 板ばねの型費を求める
 5-4-5 結果:板ばねの設計見積り
5-5 お客様の道具(加工法)を知る(コイルばね編)
 5-5-1 コイルばねとは
 5-5-2 コイルばねの加工
5-6 コイルばねの材料選択
5-7 事例で学ぶコイルばねの設計見積り
 5-7-1 課題:SWPAの圧縮コイルばねの設計見積り
 5-7-2 材料費を求める
 5-7-3 加工費を求める
5-8 目で見る!第5章のまとめ
  〈儲かる見積り力・チェックポイント〉

第6章 ゴム成形品の加工知識と設計見積り
6-1 お客様の道具(加工法)を知る
 6-1-1 お客様とのルール(単語を覚える)
6-2 お客様の得手不得手を知る
 6-2-1 ゴム成形品とトラブルは樹脂と同じ?
6-3 加工限界を知る
 6-3-1 ゴム成形品に関する長さの一般公式
 6-3-2 ゴム成形品に関する平面度/直角度の一般公差
 6-3-3 ゴム成形品に関する抜き勾配
6-4 ゴム材料の最適な選択
 6-4-1 ゴム材料の部品点数ランキング
 6-4-2 ゴム材料のランキング別材料特性
6-5 事例で学ぶゴム成形品の設計見積り
 6-5-1 課題:ゴム成形品の設計見積り
 6-5-2 材料費を求める
 6-5-3 加工費を求める
6-6 目で見る!第6章のまとめ
  〈儲かる見積り力・チェックポイント〉


おわりに
書籍サポートのお知らせ

はじめに

誰もスカウトしない日本人設計者
 
 当事務所が推進する「技術者の4科目」というものがあります。それは、「Q(Quality:品質)」、「C(Cost)コスト」、「D(Delivery:期日)」、「Pa(Patent:特許)」です。
 急激に技術力を身につけた隣国をはじめ、世界のどの工業国でも限りなく高品質(Q)の商品を開発できる実力を有しています。そこに、「C」と「D」と「Pa」を加味する商品開発のストラテジーを有してはじめて、競争の土俵にのぼることができる時代となりました。とくに「C」に関しては、熾烈な競争が展開されています。例えば、パソコンであり、液晶テレビであり、EVがその代表的商品です。

 ここでいきなり、皆さんの機嫌を損なう解説に入ることになります。

 それは、……
 世の中には、その存在すら知られていない「技術スカウトマン」という職業があります。野球やサッカーなどのスポーツの世界に置き換えれば、その存在は納得のいく職業ではないでしょうか?
 今、このスカウトマンにひとつの法則が生まれています。それは、日本の研究者と生産技術者は全世界のスカウトマンからターゲットになっていますが、日本の設計者は決してスカウトしないという法則です。

 その理由は、三つあります。日本人設計者は、……

① 累積公差計算ができない。
② 自分で描いた図面のコストを見積れない。
③ そして、設計書が書けない。

 技術スカウトマン曰く、「かつて、米国、ヨーロッパ、韓国などにおける大企業に転職した日本人設計者は、これらが原因でISO9001における必須のデザインレビュー(設計審査)に臨めない」といいます。
 「デザインレビューという審査が通らない」ではなく、「臨めない」、つまり、参加すらできないということです。

 日本の有名なOA機器企業から、韓国の有名な大企業に転職した設計者がいました。彼はその設計室で、「設計書って何?」と質問したら、その部屋が凍りついたといいます。彼はスカウトされたのではなく、自分から転職したのです。

 1年後、彼は別のOA機器企業へ転職しました。もちろん、その企業は日本企業であり、そこに設計書は存在しませんでした。

 蛇足ですが、前述の①、②に関する対処は、著書「ついてきなぁ!加工知識と設計見積り力で『即戦力』」(日刊工業新聞社刊)で、また、③に関しての対処は、著書「ついてきなぁ!『設計書ワザ』で勝負する技術者となれ!」(日刊工業新聞社刊)を参照してください。
 そして本書は、②をさらに強化します。

 下図は、日本企業における低コスト化会議の議事録と、あの有名な隣国企業における同、議事録との比較です。(商品は手動鉛筆削りに置き換えています。)
 
 差異に気がつきましたか?
 日本企業は、アイデア出しだけで会議が終了します。その議事録には、「本日○○件抽出」と記録されます。しかし、隣国企業の議事録には、「本日○○件抽出、△△ウォンの低コスト化の見通し」となっています。

 もう、はっきりいって日本企業の負けです。なぜなら、議事録の後、数週間をかけて見積り値が入手でき、そこから再検討の会議です。

 経済戦争といわれて久しい年月が経ちますが、どうしてこのようなまどろっこしい日本企業になってしまったのでしょうか? 低コスト化のためのアイデアを抽出し、その場でおよそいくらかと算出しなければ、場の緊張感がそがれます。

 そこで本書は、以下に示すコンセプトと手段でこれらの策に一石を投じます。
 
 本書は初心者向けであり万能書ではありません。特に、加工法やコスト見積りに関して、レーダー、タンカー、航空機などの月産数台の大型特殊機器や、ベアリング、電子部品などの超大量生産の商品には本書のままのデータでは適用できないと思います。皆さん自身で補正を加えて調整してみてください。

 量産効果の著しい変化が見られるのは、「100台/月以上10万台以下」であり、本書は、ここに属する機械系の量産品にフォーカスしています。
 また、加工側とのコスト交渉には使えません。なぜなら、変動の激しい材料価格、加工側の工賃や加工設備などでバラツキが生じるためです。

 本書の見積り方法は、あくまで「設計見積り用」であり、良い設計と良い図面をめざすために、高いか安いかの相対値を設計的に判断するツールです。
 著書、「ついてきなぁ!加工知識と設計見積り力で『即戦力』」(日刊工業新聞社刊)に続く、図面を描く前の設計力の向上に、本書を活用していただければ幸いです。

 2012年 1月
 筆者:國井良昌

買い物かごへ