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図解 環境バイオテクノロジー入門

定価(税込)  1,944円

編著
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-06850-8
コード C3043
発行月 2012年03月
ジャンル 化学

内容

微生物・植物の機能を活用して環境修復と保全をする広義のバイオレメディエーション、バイオマスを活用したクリーンエネルギー資源の生産、生物機能を利用した二酸化炭素低減による地球温暖化防止、微生物を用いた水処理技術、生物による放射性物質の回収・除去など、幅広い分野における環境バイオテクノロジーを豊富な図表とともにわかりやすく解説する。

目次

はじめに

執筆者・執筆分担

第1章 環境バイオテクノロジーとは
1.1 はじめに
1.2 地球環境問題
1.3 地球温暖化
1.4 二酸化炭素の排出抑制技術
1.5 環境負荷物質の除去
1.6 環境のモニタリング

第2章 バイオレメディエーション
2.1 バイオレメディエーションの特徴
2.2 バイオレメディエーションの工法
 2.2.1 微生物の利用方法による分類
 2.2.2 浄化の実施場所による分類
 2.2.3 土壌のバイオレメディエーションの工法
2.3 有機塩素系化合物汚染のバイオレメディエーション
 2.3.1 揮発性有機塩素化合物(TCE、PCE)
 2.3.2 ダイオキシン類
 2.3.3 ポリ塩化ビフェニル(Polychlorinated Biphenyl:PCB)
 2.3.4 農 薬
2.4 石油類・炭化水素汚染のバイオレメディエーション
 2.4.1 石油類による土壌汚染のバイオレメディエーション
 2.4.2 原油に汚染された海洋のバイオレメディエーション
 2.4.3 遺伝子組換え微生物によるバイオレメディエーション
2.5 重金属汚染のバイオレメディエーション
2.6 植物を利用したバイオレメディエーション
 2.6.1 ファイトレメディエーションとは
 2.6.2 ファイトレメディエーションの種類
 2.6.3 ファイトレメディエーションの実際
 2.6.4 遺伝子組換え稙物によるファイトレメディエーション
 2.6.5 遺伝子組換えによる環境モニタリング植物(センサー植物)の開発

第3章 水環境の保全
3.1 用水の生物処理技術
 3.1.1 緩速ろ過による用水処理
 3.1.2 生物活性炭処理
3.2 廃水の生物処理技術
 3.2.1 活性汚泥法の発明
 3.2.2 活性汚泥を構成している生物
 3.2.3 活性汚泥法の様々な展開
 3.2.4 硝化脱窒法
 3.2.5 アナモックスプロセス
 3.2.6 生物脱リン法
 3.2.7 生物膜法
 3.2.8 嫌気性処理法
 3.2.9 燃料電池を用いた廃水処理
3.3 公共用水域の直接浄化
 3.3.1 礫間接触酸化法
 3.3.2 湖沼生態系の制御技術

第4章 大気環境の保全
4.1 大気環境とバイオテクノロジー
 4.1.1 大気の構造
 4.1.2 大気環境の汚染
 4.1.3 大気環境とバイオテクノロジー
4.2 大気汚染物質とにおいの原因物質
 4.2.1 大気汚染物質
 4.2.2 悪臭の原因物質とバイオ技術を用いた脱臭
4.3 地球温暖化とバイオによるCO2固定
 4.3.1 地球温暖化とバイオ
 4.3.2 植林によるCO2固定
 4.3.3 藻類によるCO2固定
 4.3.4 海洋の生産性を高めるCO2固定
 4.3.5 バイオによるCO2固定のまとめ(他の方法との比較)

第5章 放射性物質のバイオリムーバル
5.1 放射性物質
5.2 放射性物質による環境汚染
5.3 放射性物質のファイトレメディエーション
5.4 微生物還元を利用した放射性物質のバイオリムーバル
5.5 微生物・生体高分子への吸着を利用した放射性物質のバイオリムーバル

第6章 バイオマス
6.1 バイオマスの賦存量
6.2 エネルギーとしてのバイオマス
 6.2.1 エタノール
 6.2.2 メタン醗酵
 6.2.3 F─T合成(BTL)
6.3 バイオマスから工業原料を作る
 6.3.1 バイオマスプラスチック
 6.3.2 その他のバイオマス由来の工業原料
6.4 バイオマス利用の新しい流れ
 6.4.1 ヤトロファ(ジャトロファ)
 6.4.2 藻 類
 6.4.3 未利用資源の利用
 6.4.4 遺伝子組換えによるバイオマス植物の改良

第7章 環境モニタリング
7.1 計測対象となる環境負荷物質
 7.1.1 気体・大気浮遊物質
 7.1.2 水溶性物質・懸濁物質
 7.1.3 環境負荷物質の計測
7.2 測定対象物質のシグナル変換
 7.2.1 酵素を用いる方法
 7.2.2 抗体を用いる方法
 7.2.3 微生物を用いる方法
7.3 環境計測用センサー
 7.3.1 農薬・殺虫剤センサー 〜酵素を用いる方法〜
 7.3.2 病原性微生物の検出 〜抗体を用いる方法〜
 7.3.3 BODセンサー 〜微生物を用いる方法〜

第8章 循環型社会とゼロエミッション
8.1 循環型社会とは
 8.1.1 公害の問題
 8.1.2 資源の問題
8.2 バイオテクノロジーを応用したゼロエミッション

索 引

はじめに

 世界の至る所で生活環境の悪化が問題になっています。例えば、大気中の二酸化炭素の増加に伴う諸問題が挙げられています。これはいろいろな形で気候などの変動に影響を与えていると言われています。この問題を議論する政府間パネルが開催されていますが、先進国と発展途上国の利害関係がそれぞれ異なり、国際協調が取れるまでには至っていないのが現状です。膨大なエネルギーの消費によって放出される二酸化炭素を植物が吸収しきれない状態にあり、これに砂漠化、熱帯雨林の消失、酸性雨による森林の荒廃などが追い討ちをかけています。長期的に見れば省エネルギーと二酸化炭素を放出しない新エネルギーへの転換を行わなければならないでしょう。
 新エネルギーの一つに、バイオマスのエネルギー化があります。地球上に存在するバイオマスのうち、食糧として利用しないものをバイオテクノロジーを応用してエネルギーにすることができるのです。また、砂漠の緑化や熱帯雨林の再生にも植物バイオテクノロジーが役に立つことになります。
 一方、環境に負荷を与える物質が産業の進展によって大量に生産されています。これらを環境に負荷を与えない物質に変換することが要請されています。このプロセスにもバイオテクノロジーが極めて重要な役割を果たすことになります。環境負荷物質を生物の機能を利用して安全なものに変換したり、除去することができます。また、生物の機能を利用して環境に負荷を与えない物質を生産するのも一つの方法です。
 さらに、生物の機能は省エネルギーで、省資源のプロセスです。現在の産業プロセスは高温・高圧で膨大なエネルギーを要します。これは生産効率を高めるためであり、これによって大量生産と低コスト化を実現しています。しかし、地球環境問題を考慮するとこうした考え方を改めなければならないでしょう。生物は常温・常圧で必要な物質を全て作っています。このプロセスを模倣することによって二酸化炭素の放出量の少ないプロセスを実現することができると考えられます。もちろん、生物機能を応用するので環境に負荷を与える物質は生産されないと思われます。このような考えに基づく研究はまだ始まったばかりですが、将来重要になると思われます。
 人間活動によって放出される二酸化炭素を地球上の植物や藻類によって全て吸収することができれば、循環型の社会を実現することができるでしょう。
 本書は環境問題の解決におけるバイオテクノロジーの応用に焦点を合わせて、これをなるべくやさしく紹介しました。本書が環境問題やバイオテクノロジーの応用に興味をお持ちの方に参考になれば幸いと考えています。

 2012年1月
 軽部征夫

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