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陸上から海底まで広がる
鉱物資源フロンティア

定価(税込)  1,980円

著者
サイズ A5判
ページ数 192頁
ISBNコード 978-4-526-06812-6
コード C3034
発行月 2012年01月
ジャンル ビジネス 環境

内容

産業経済の持続的発展のためには鉱物資源の安定確保が不可欠であり、そのための新たな供給源として陸上を大きく上回る埋蔵量を秘めた深海底の鉱物資源への関心も高まっている。陸上から海底にまで及ぶ文字通り全地球的規模の鉱物資源の獲得競争の実態を解説する。

細井義孝  著者プロフィール

(ほそい よしたか)
秋田大学客員教授。国際協力機構(JICA)資源開発アドバイザー。経済学博士。鉱業技術者。
1974年、秋田大学鉱山学部採鉱学科卒。在学中に休学して、アフリカのザイール(現・コンゴ民主共和国)のカッパー・ベルトで銅鉱山開発に1年半従事する。1976年、東京大学工学部資源開発工学科研究生修了。同年、金属鉱業事業団〔現・石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)〕に入団。衛星リモートセンシング、空中物理探査、陸上物理探査、深海底鉱物資源探査、鉱山立坑開発、鉱害調査対策、海外資源探査、国際協力などを経験。在職中にサントトーマス大学大学院経済学専攻修士課程、クイーンズランド大学大学院経済学専攻博士課程を修了。2003年より秋田大学客員教授、2005年より深海資源開発㈱に出向。2011年よりJICA資源開発アドバイザー。
著書:「Mining and Development」(LAP LAMBERT Academic Publishing AG & Co.KG)

目次

はじめに
《プロローグ》資源の世界で今、何が起こっているのか

第1章 鉱物資源は世界にどれだけあるか
 1―1 鉱物資源の分類
 1―2 ベースメタル
 1―3 貴金属
 1―4 レアメタル
 1―5 レアアース
 1―6 供給不安のある金属「クリティカル・メタル」

第2章 地下の鉱物はこうして金属商品となる
 2―1 金属は地下でどのようになっているか
 2―2 鉱床発見から金属商品ができるまで
 2―3 探 査
 2―4 鉱山開発の判定
 2―5 採 鉱
 2―6 選 鉱
 2―7 製 錬
 2―8 鉱業技術の進歩が資源量を拡大する

第3章 鉱物資源の流通は何が問題になっているか
 3―1 偏在する鉱物資源
 3―2 新興国の経済発展で金属消費は急拡大
 3―3 金属の価格決定はどう行われているか
 3―4 鉱山会社と製錬会社の取引はどう行われているか
 3―5 寡占化を強める資源メジャー
 3―6 資源開発の先兵を務める「ジュニアカンパニー」
 3―7 投機筋が金属価格に与える影響

第4章 鉱物資源で揺れる世界情勢
 4―1 リーマン・ショック後の鉱物資源ブーム
 4―2 資源が国境を越える移動の問題
 4―3 資源の供給障害
 4―4 世界の資源紛争
 4―5 資源開発で急変貌する南部アフリカ諸国

第5章 持続的発展のための資源確保戦略
 5―1 経済学からの分析
 5―2 国際機関も資源開発の支援に乗り出す
 5―3 開発途上国の資源開発への課題
 5―4 日本政府の資源戦略
 5―5 「都市鉱山」開発も本格化
 5―6 その他の資源回収技術
 5―7 新しい資源への着目

第6章 深海底鉱物資源への期待
 6―1 深海底に眠る大量の鉱物資源
 6―2 深海底鉱物資源の再評価
 6―3 深海底鉱物資源調査の歴史
 6―4 マンガン団塊
 6―5 コバルト・リッチ・クラスト
 6―6 海底熱水鉱床
 6―7 魅力の異なる3種の深海底鉱物資源の比較
 6―8 海底レアアース泥
 6―9 海水中の金属資源
 6―10 深海底エネルギー資源「メタンハイドレート」
 6―11 深海底鉱物資源の調査手法
 6―12 深海底鉱物資源の開発のイメージ
 6―13 深海底鉱業の長所と短所
 6―14 商業開発に向けてクリアすべき課題
 6―15 深海底鉱物資源開発に向かう世界の動き
 6―16 海底資源は重要な海洋権益
《エピローグ》次代への資源確保に我々の果たすべき使命

索 引

はじめに

 ここ数年、鉱物資源が異常に注目を浴びている。今や鉱物資源の問題は、専門機関・業界および専門家の域を超えて国を挙げての問題となっている。関係大臣のみならず首相も資源外交に尽力し、経済産業省だけでなく関係機関を挙げて資源問題に取り組んでいる。今まで鉱物資源に縁のなかった一般の人も興味をもち、それぞれに期待と問題意識をもつようになってきている。資源は陸上のみならず海底まで注目されてきている。
 しかしながら、資源の世界は一般社会では一番目に付きにくいところにあり、鉱山・製錬所を見ることもないし、知らないことも多い。その一方で、鉱物資源の世界を分かりやすく紹介した本も今まで見当たらなかった。資源はどのように探し見つけ出され掘り出されて金属・製品になるのか、ビジネスの世界はどのようなものなのか、ベースメタル、レアメタルの位置づけはどうなのか、資源確保の問題とは何であるか、今後どのようにすればよいのか、深海底鉱物資源はどのように期待すればよいのか、など知りたいことはいっぱいである。本書は、そのような疑問に答えるべく、陸上から海底にまで及ぶ鉱物資源について自然科学、技術、社会科学、経済、国際関係の面から、現状と課題、将来の見通しをわかりやすく書いてみた。
 著者は、鉱業技術者として長らく資源に関わってきた。20歳過ぎに単身アフリカに渡り銅鉱山開発に従事したのを皮切りに、アメリカのNASA、地質調査所、大学などを訪問し、宇宙リモートセンシングに従事し、探査専用船に乗って深海底鉱物資源調査に従事、空中物理探査・地上物理探査でフィールド調査にあたるなど、陸海空の探査・開発に従事してきた。また、アフリカ、アジア、太平洋諸国に住み、南米、北米、オーストラリアなどでも仕事をしてきた。そういった意味で、垂直的広がり、水平的広がりの経験をもっている。本書にその経験が少しでも反映できれば幸いと思っている。それと同時に、資源開発が及ぼす国家レベルの経済的、社会的、環境上のインパクトに興味を抱き、主として経済学を中心に研究をしてきた。特に昨今は、世界が持続的発展(Sustainable Development)を達成するためには、限られた地球上の資源をいかに配分(開発、活用)していけばよいのかといったテーマに関心の重点が移ってきている。資源による紛争をなくし、平和的繁栄をもたらすにはどのようにしたら良いかといったことが究極目標である。
 資源問題、特に需給の問題は、我が国および産業界にとって大きな問題であり、数多くの方々がいろいろな機会で述べている。そこで述べられていることは、資源の安定確保問題は未だ解決されておらず、常に問題意識をもって探査を行い、権益を確保し、鉱石を確保し、資源の安定供給に資することが不可欠であるというものである。予測の難しい資源賦存量、変動の激しい価格を前にして、これらの意見に反論する人はいないであろう。しかし、資源確保に走るのは一国だけではないので競争となり、ぶつかり合うこととなる。グローバルな社会の上に、新興国の経済発展は地球上の資源を凌駕する勢いであり、自国の供給を確保しながら、世界全体の配分も見るといった複視眼的な見方が要求される。自分が置かれている国の問題を理解すると同時に、自分も資源確保に一役買いビジネスへも参加する視点で本著を読んでいただければ幸いである。
 
2012年1月  細井義孝 

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