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ひと目でわかる!
図解 ルネサスエレクトロニクス

定価(税込)  1,512円

著者
サイズ A5判
ページ数 136頁
ISBNコード 978-4-526-06820-1
コード C3034
発行月 2012年01月
ジャンル ビジネス

内容

東日本大震災で、主力のマイコン工場が被災、部品を供給している大手メーカーの操業がストップし、サプライチェーン(SCM)のボトルネック企業として一躍有名になった。本書は、このルネサスの各事業分野から約55のテーマをピックアップし、その周辺情報も含めてわかりやすく解説する。

栗下直也  著者プロフィール

(くりした・なおや)
1980年生まれ。東京都出身。2005年、横浜国立大学大学院国際社会科学研究科経営学専攻修了。同年、日刊工業新聞社入社。千葉支局、自動車業界担当を経て、現在、電機業界を担当。

●取材協力、写真・資料提供
ルネサスエレクトロニクス コーポレートコミュニケーション部

●参考文献・資料
『日経エレクトロニクス』、2009年1月12日号
高乗正行『グローバル時代の半導体産業論』、日経BP社、2011年
その他、出典記載のないものはルネサスエレクトロニクスの資料をもとに作成

目次

はじめに

第1章 経営
営業利益率2桁への道
1 半導体産業の動向
システムLSI業界に再編の風
2 新会社発足
国内最大の半導体メーカーの誕生
3 事業構造
マイコン、アナログ&パワー半導体、システムLSIの3本柱
4 業績と財務
抜本的な見直しで業績回復を図る
5 研究開発と設備投資
ターゲットを絞り、研究開発を効率化
6 事業の効率化①
構造改革案「100日プロジェクト」
7 事業の効率化②
進む事業の選択と集中
8 世界標準への道
営業利益率2桁を目指す

第2章 事業戦略
見直される事業構造と成長戦略
9 マイコン事業
世界シェア約3割でトップを走る
10 システムLSI事業
転換期を迎えたかつての「期待の星」
11 パワー半導体事業
省電力の波に乗り、シェア拡大を目指す
12 アナログ半導体事業
マイコンとの組み合わせで再攻勢
13 スマートグリッド戦略
成長が期待される新市場に商機
14 LTE戦略
ノキアの部門買収で通信用半導体を成長エンジンに
15 スマートフォン戦略
激化するスマホ用半導体市場
16 中国戦略
目標を高く掲げ中国巨大市場に挑む
17 ポスト中国戦略
次の成長市場、インド、ブラジルに照準

第3章 自動車関連ビジネス
自動車産業を支えるルネサス
18 自動車メーカーの誤算
東日本大震災で浮き彫りになった存在感
19 那珂工場の被災と復興①
自動車メーカーの支援を受けた不眠不休の復旧作業
20 那珂工場の被災と復興②
延べ9万人の復興作業、日本の製造業のノウハウを結集
21 震災の教訓
新たな事業継続計画の策定に着手
22 車載用マイコン
統合により1社に集中した生産
23 自動車ビジネス
震災が転機に、ビジネス拡大の可能性も
24 自動車用システムLSI
世界シェア8割のカーナビ用システムLSI
25 自動車用パワー&アナログ半導体
需要拡大が期待される車載市場
26 自動車の電子化①
電子化の進行で生まれる新たなビジネスチャンス
27 自動車の電子化②
電池周辺や車両制御、高速無線通信に注力

第4章 生産と技術
生産体制の再編と技術の融合
28 生産拠点
巨大生産網にメス、再編へ
29 海外生産拠点
海外での生産を拡大する後工程
30 工場体制の再構築
リスク管理と生産性の両立に取り組む
31 生産委託
震災を機にさらに加速
32 技術融合
似た技術や製品の一本化を加速
33 CPUコア
忍び寄る小さな巨人・英アーム
34 次世代パワー半導体
窒化ガリウムなど新素材で開発を加速
35 品質
驚異的な不良率の低さと生産性のバランス

第5章 人と組織
グローバル化に挑む新体制づくり
36 ルネサスモバイルの挑戦
ルネサス本体のグローバル化の先兵
37 マーケティング本部
新組織の設立を機に、提案型ビジネスに舵
38 理系高校生の甲子園
マイコンカーラリー大会の開催で若者の夢を育む
39 人材教育
グローバル人材を育成
40 販売代理店の再編
半年で新体制へ移行、収益体質向上へアクセル

第6章 半導体業界の未来
ルネサスと日の丸半導体の行方

41 日本半導体業界の敗因
なぜ日の丸半導体は凋落したのか
42 国内半導体メーカー
百貨店型からの脱却
43 ASICからASSPへ
カスタムLSIの終焉
44 ファウンドリー
止まらない生産委託の波
45 躍進する台湾TSMC
受託製造で世界シェア5割
46 国内の生産拠点の未来
問われる国内製造能力の活用
47 ファブレス不在の日本
課題の1つはマーケティング力の強化
48 半導体メモリーの健闘
NANDやDRAMで巻き返しを図る日本勢
49 次世代メモリー
高性能化を目指し、加熱する競争
50 新素材半導体
分岐点を迎えたパワー半導体
51 堅調な装置メーカー
独立独歩で商機を探り、経営基盤を強固に
52 露光装置メーカー
次世代装置の開発でしのぎを削る
53 半導体商社
国内市場の飽和で押し寄せる大波
54 米インテル
モバイル市場で苦戦続くインテル帝国
55 半導体産業のこれから
半導体産業は成熟産業でない!

COLUMN
「ルネサスに込められた意味
「ルネサスレッド」から「ルネサスブルー」へ
メダリストも所属-世界の第一線で活躍する選手をサポート
「萌え」キャラで半導体を解説
次世代のモノづくり教育に力

はじめに

 「ルネサスエレクトロニクス」と聞いても何を手がけている企業かわからない人も少なくなかったのではないだろうか。2011年3月11日に発生した東日本大震災以前は――。
 大震災は、日本の産業界にも大きな爪痕(つめ あと)を残した。震災後、製造業の関係者の頭を悩ましたのが、部品流通網の寸断だ。部品メーカーの工場が被災して、部品の供給が止まり、自動車やデジタル家電、産業機器などの生産が操業停止や減産に追い込まれた。
 なかでも注目を集めたのがルネサスの動向だ。同社は8工場が被災、その内7工場は段階的に操業を再開したが、被害が大きかった那珂工場(茨城県ひたちなか市)は当初、復旧に半年を要すると見られていた。この状況に焦ったのが自動車メーカーなどの顧客で「在庫も尽きて製品が作れなくなる」と救援部隊を送り込むなど、懸命の支援を続けた。
 結果、3カ月で生産再開にこぎ着け、那珂工場の復旧までの過程は日本企業のチームワークの強さを示したとの指摘も少なくない。ただ、冷静に考えれば、一企業の一工場の被災が日本の製造業全体の生命線を握るという事態は日本の製造業の脆(もろ)さを露呈したともいえるだろう。
 震災後の報道を通じ、多くの疑問が浮かんだ方も多いだろう。「なぜルネサス1社に半導体(マイコン)の発注が集中しているのか?」「それほど重要な会社でありながら、なぜ業績面では苦しんでいるのか?」「そもそもルネサスは何を収益源としているのか?」…。
 震災後、あれほどルネサスについての報道があったが、自戒(じ かい)も込めて振り返れば、これらの根元的な疑問に対して体系的に答えてきたメディアは少なかったのではないだろうか。
 本書ではルネサスの事業構造や財務、課題と成長戦略、自動車業界との関係などに紙幅は限られていたが多角的にアプローチしている。
 また、本書は書名からもわかるようにルネサスエレクトロニクスについての本だが、同時に、現在の半導体産業を取り巻く状況を俯瞰(ふ かん)できる内容にしたつもりだ。「日本の半導体産業はなぜ競争力を失ったのか?」「どこに向かうのか?」「もはや世界と互角に戦えないのか?」。ここ2年ほど、業界OBも含め、内外の半導体メーカーの首脳に取材してきた内容をもとに、そのエッセンスを詰め込んだつもりだ。仕事の取引関係などで、これから半導体産業や業界について学ぶ人は第6章から先に読んでいただければ、第1~5章の理解も深まると思う。
 最後になるが、半導体産業の右も左もわからなかった私の取材に快く対応していただいた電機業界の関係者の協力がなければ本書は完成していない。また、資料を提供していただいたルネサスの広報担当者にはたいへんお世話になった。感謝を述べたい。
 本書を手に取った方は、何らかの形でルネサスに興味がある方だろう。本書を通じて、ルネサスへの関心が少しでも高まれば著者冥利(みょう り)に尽きる。

2012年1月
栗下 直也 

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