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これならわかるQ&A
めっきのトラブルシューティング

定価(税込)  2,052円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-06788-4
コード C3043
発行月 2011年11月
ジャンル 化学

内容

めっき加工メーカーや製造業のめっき加工部門にとって品質管理基準の向上は避けて通れない課題。本書は、著者が実際に解決した事例を中心に、現場で起こっためっき不良と対策をQ&A形式で解説する。各種めっき加工、めっき設備・装置、前処理別にまとめている。

榎本英彦  著者プロフィール

(えのもと ひでひこ)
1942年 和歌山県生まれ
1965年3月 和歌山大学 学芸学部卒
同 年4月 大阪市立工業研究所入所
2002年3月 同所定年退職
現 在  (株)ファイブイー研究所 所長
 表面技術協会 理事・監事・関西支部長を歴任
 電気鍍金研究会名誉会長
著 書 とことんやさしいめっきの本,機能めっきの本,合金めっき,複合めっき,めっき教本,電子部品のめっき技術(共著) 日刊工業新聞社刊他

目次

はじめに

1章 めっき不良を解決するための7つの法則
1.1 パニックにならないようにする
1.2 問題をはっきりさせる
1.3 不良が生じたら、まず現場を確認する
1.4 過去の不良事例から不良を探し出す
1.5 後追い管理ではなく、真の管理を
1.6 素材の知識を持ち、素材の欠陥、素材の変更に注意する
1.7 密着不良は、前処理を疑え

2章 不良を出さないための工程管理方法
2.1 なぜいま品質向上か
 2.1.1 PPM管理
 2.1.2 受入検査の省略
 2.1.3 PL法の制定
2.2 なぜ、不良が発生するのか
 2.2.1 4Mのバラツキ
2.3 不良を少なくするための、ハード面で必要なもの
 2.3.1 処理液のバラツキを少なくするような機器を設置すること
 2.3.2 めっき条件を常に一定に保てる装置、機器を設置すること
2.4 不良を少なくするためのソフト面で必要なこと
 2.4.1 トップが陣頭指揮を執り品質管理を推進させること
 2.4.2 品質管理を推進させるための投資を行うこと
 2.4.3 品質管理の推進責任者を選定すること
 2.4.4 品質管理の重要性を認識させる従業員教育を行うこと
 2.4.5 月に1回品質管理日を設けること
 2.4.6 5S、小集団活動、QCサークルなどを行うこと
 2.4.7 Q&Aの活用と提案制度の採用
2.5 めっきを始める前の確認事項
 2.5.1 目的を把握すること
 2.5.2 仕様書、指図書の確認
 2.5.3 素材、材料の確認
 2.5.4 紛失、破損防止の注意
 2.5.5 加工工程の確認
 2.5.6 始業前点検の実施

3章 前処理不良とその対策
3.1 前処理不良事例
3.2 不良事例から見た前処理工程の管理法
 3.2.1 素材要因と脱脂工程の見直し
 3.2.2 酸処理工程の見直し

4章 銅めっきの不良とその対策
4.1 硫酸銅めっきの不良事例
4.2 硫酸銅めっきの管理法
4.3 シアン化銅めっきの不良事例
4.4 シアン化銅浴の管理法
 4.4.1 シアン化銅浴の特徴と浴組成
 4.4.2 浴成分の働き
 4.4.3 シアン化銅めっき浴の管理

5章 ニッケルめっきの不良とその対策
5.1 ニッケルめっきの不良事例
5.2 ニッケルめっきの不良原因
 5.2.1 浴成分の働きと光沢不良
 5.2.2 ニッケルめっきの作業条件
 5.2.3 ニッケルめっきの耐食性
 5.2.4 めっき皮膜の物性
 5.2.5 被覆力の低下
 5.2.6 現象から見たニッケルめっき不良
 5.2.7 ハルセルテスト

6章 クロムめっきの不良とその対策
6.1 クロムめっきの不良事例
6.2 クロムめっきの不良原因
6.3 クロムめっきの浴成分の働き
6.4 クロムめっきの作業条件
6.5 クロムめっきの前処理
6.6 クロムめっきの管理法
6.7 めっき皮膜の皮膜物性と耐食性

7章 亜鉛めっきの不良とその対策
7.1 亜鉛めっきの不良事例
7.2 亜鉛めっきの目的と浴の選択
7.3 亜鉛めっきの浴成分の働きと不良原因
 7.3.1 シアン化亜鉛浴の不良原因
 7.3.2 ジンケート浴の不良原因
 7.3.3 塩化亜鉛浴の不良原因
 7.3.4 亜鉛めっきの化成処理

8章 無電解ニッケルめっきの不良とその対策
8.1 無電解ニッケルめっきの不良事例
8.2 無電解ニッケルの浴成分の働きと不良原因
 8.2.1 次亜リン酸塩の影響
 8.2.2 錯化剤の影響
8.3 無電解ニッケルめっきの作業条件による不良の発生
 8.3.1 浴温とpHの影響
 8.3.2 撹拌とろ過
 8.3.3 無電解めっきの設備
8.4 無電解ニッケルの管理法
8.5 無電解ニッケル皮膜の耐食性

9章 スズのめっきの不良とその対策
9.1 スズめっきの不良事例
9.2 スズめっき浴成分の働き
 9.2.1 無光沢浴
 9.2.2 光沢浴
 9.2.3 めっき浴の管理
9.3 スズめっきのウイスカ

10章 貴金属めっきの不良とその対策
10.1 貴金属めっきの不良事例
10.2 銀めっきと銀めっき浴の成分の働き
 10.2.1 銀めっき浴組成と作業条件
10.3 金めっきと金めっき浴成分の働き
 10.3.1 要求特性に応じためっき浴の選択
 10.3.2 各種金めっき浴の組成とめっき条件
10.4 金めっきの最近の傾向

11章 めっきの水洗と後処理による不良とその対策
11.1 めっきの水洗と後処理による不良事例
11.2 めっき用水、乾燥についてのトラブルと対策

索 引

はじめに

 めっきはこれまでの装飾的、防食的用途から機能的な用途に主に用いられるようになってきた。機能的な用途に用いられるようになってくると高度な品質管理能力が要求されるようになってきた。とりわけ、機能的な分野で多く用いられる電子部品関連、自動車部品関連のめっきは厳しい品質管理が要求されている。例えば、パソコン、ゲーム機などのプリント配線板は海外展開され、海外で生産されている。ところが、自動車用プリント配線板は国内で生産されている。その理由は、品質が確かで安全性が求められるからである。
 ハードディスクの部品に無電解ニッケルめっきを発注しているA社は、B、C、Dの3社に10年前にはほぼ均等にめっきを発注していた。3社に均等に発注することにより、お互いに品質・価格・納期を競わせるためである。ところが、5年前には、品質管理能力の優れたB社に全体の1/2、C・D社には1/4ずつ発注するようになった。B社はC・D社に比べて品質管理能力が優れていたからである。さらに、昨年から品質管理能力が優れたB社に仕事を集中させ、C・D社には全く発注しなくなった。いくらA社がC・D社に改善の命令を出しても一向に品質が改善されなかったからである。
 この事例のように、品質管理能力が優れためっき工場には、受注が集中するようになってきた。特に、最近は、需要者の品質に対する要求が高度になり、リコール問題などから、製造メーカーが不良により大きな打撃を受けることが多くなっている。日本製品は他の国に比べて、品質管理能力が高いから世界中に市場を拡大してきたとも言われている。製造メーカーは自社製品の高度な品質を維持するために、下請けのめっき専業者に対しても、品質管理基準を上昇させ、管理能力が低下しためっき専業者には発注しない傾向にある。このようなことから、「品質管理の幅を狭くすればするほど付加価値が生じる」と考えて、管理幅を狭くして、他社と差別化しているめっき専業者もある。
 本書は、現場で起こった不良を、著者が実際にめっき不良を解決した事例を中心にめっき不良対策についてまとめた。なお、各章で用いている実際の会社の略称A社、B社などはその章のみであり、A社は常に同じではないことをお断りしたい。
 筆者は大阪市立工業研究所でめっきの研究開発、技術指導に37年間携わり、内外の多くのめっき工場を巡回技術指導、工場見学を通じて訪問させていただいた。また、大阪市立工業研究所を退職後も、株式会社ファイブイー研究所を設立して10年間、多くのめっき関連の事業所に対するコンサルティングを行ってきた。めっきの現場で起こる不良は多岐にわたっていて、不良が発生するとたちまち大きな損失となる。また、すでに述べたように、仕事を失うことになりかねない。そこで、これまでの経験を通じて得られた代表的な不良事例を取り上げ、不良解決の一助にしていただきたく、執筆した。多くの不良事例を提供いただいためっき関連事業所に対して心から感謝申し上げる。不良解決することにより、その会社の大きなノウハウになっている事例は極力避けるようにしたつもりである。
 本書を執筆するに当たり、ご尽力いただいた日刊工業新聞社大阪支社事業出版部 辻 總一郎氏をはじめとして、ご協力いただいた方々に謝意を表する。また、各章で、実際に不良事例を克服されたその分野の専門家の方々のデータ・知識を参照させていただいた。めっき技術推進・向上のためにお許しを頂きたい。

2011年9月
榎本 英彦

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