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トヨタに学びたければトヨタを忘れろ
改善の“気づき”力養成法

定価(税込)  2,160円

著者
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サイズ A5判
ページ数 176頁
ISBNコード 978-4-526-06778-5
コード C3034
発行月 2011年10月
ジャンル 生産管理

内容

コツコツと小さな改善を積み重ねても工場改革は実現しない。本当の改善の種は常識にとらわれていては気づけない陰に存在する。本書は生産管理技術者が気づいていない現場改善の原理と、“気付き”を促す実践的な改善法を多く示してある。

近江堅一  著者プロフィール

(おうみけんいち)
1937年 東京に生まれる
1962年 日本大学理工学部電気科卒業
大手電気メーカー入社。32年間工場管理に従事。この間、トヨタ生産方式の真の実践者より7年間(月1回)現場指導を受ける。およびデミング賞審査員より15年間方針管理(TQM)の指導を受ける。これをベースに工場改善を重ねFL法(中小メーカー向けトヨタ生産方式)を確立し、協力会社(15社)に適用。
生産効率化推進部長、工場長、品質管理部長歴任。
1994年 近江技術士事務所設立
生産コンサルタントとして工場改善指導に従事。
・中小メーカー生産性指導 140社
・方針管理(TQM)指導 40社
・ISO9001認証取得指導 35社
・ISO9001審査 398回(617日)
・QCサークル指導 50社
資 格
・技術士(経営工学)
・ISO9001主任審査員
・経営士

近江良和  著者プロフィール

(おうみよしかず)
1974年 広島に生まれる
1997年 日本大学理工学部数学科卒業
大手コンピュータシステム開発会社、翻訳サービス会社で、12年間英語ソフトウェアの日本版製作に従事する。
2009年 近江技術士事務所入所
生産性向上(FL法)指導、公的機関における経営支援やセミナー講演に従事する。
資 格
・中小企業診断士

近江技術士事務所
ホームページ http://www.omicon.com
Eメール omi@omicon.com

目次

はじめに

第1章 改善の目利きになるための条件
5つの基本条件を満たす
[1]自己成長への強い欲動を持つ
[2]FL法の基本を理解する
[3]1日改善会を40回(1回5時間以上)体験する 
[4]FL法の理解度と改善報告書の提出
[5]社内で生産コンサルタントの資格認定書を行う

第2章改善の常識を疑え
2―01 FL法はほかの工場改善手法とどこが違うのか
2―02 中小メーカーへFL法を伝播したい!
2―03 東日本大震災で海中に浸ったモーターの修理が追いつかない
2―04 月4000万円の赤字を3カ月間で半減する“O式”挑戦目標必達法の威力を知れ!
2―05 目標と手段の関係(結びつき)に気づけ
2―06 FL法推進リーダーは仮面でよいから情熱をかけてやれ
2―07 トヨタ生産方式の中小メーカーへの適用事例は極めて少ない
2―08 小さな改善の積み上げでは工場改革できない
2―09 5Sをやっても生産性は上がらない
2―10 トヨタ生産方式はなぜ正しい導入ができないか
2―11 部材発注者は自分のお金で買うつもりで購入せよ
2―12 トヨタ生産方式やTQMの誤解釈を改めよう
2―13 メーカーにおいては製造部門が主役である
2―14 トヨタ生産方式とリエンジニアリングには強い類似点がある
2―15 FL法の推進に役立つ賢人の言葉
2―16 ロット合併のムダ(錯覚)に気づけ
2―17 改善対象物になりきれ、そうすると対象物が問題を教えてくれる
2―18 管理者は“考え方を変える”ことに強い関心を持て
2―19 準備リードタイムを大幅短縮せよ!
2―20 2つの改善の狙いと価値
2―21 高い部門経営目標を持ちなさい
2―22 JITの理解には3つ以上の段階がある
2―23 機械の稼動率が高いことはよいわけではない
2―24 購買責任者はリードタイム短縮やコストダウンの改善に積極的に参加しよう
2―25 標準書を1年以上改定しないのはムダである
2―26 1日作業のうち、付加価値を生む仕事は20%しかない
2―27 改善力はS字学習曲線で上昇する
2―28 1日改善会は右脳に刺激を与える
2―29 JITの“しくみづくり”がうまくいかない原因

第3章 本当に必要な気づきを得る改善事例
3―01 納期遅れ1日250件を2カ月間で撲滅したアプローチ
3―02 まず現場を変えよ
3―03 段取時間の短縮は製品在庫減と生産性を上げる
3―04 1日改善会において「改善原理」を活かせ
3―05 FL法の3つの主要管理板を活用せよ
3―06 1日改善会には他部門の人を巻き込め
3―07 日産計画書の活用は2時間ごとに進捗管理せよ、遅れたら赤字でかけ
3―08 固有技術を知らなくても不良低減や生産性向上はできる
3―09 標準時間は一番早い人を基準にせよ
3―10 ネック工程前の置場管理をつくれ
3―11 客に一番近い出荷場からJIT改善せよ
3―12 計画に対して遅れが発生したときは、まず遅れを取り戻せ!
3―13 調整時間を短くする手順を決めよ
3―14 リードタイムを短くする視点から製造条件を見直せ
3―15 1個流しは改善をしやすくする
3―16 受注管理板と出荷管理板の違い
3―17 機械故障の修理時間を決めよ
3―18 ワークサンプリングで機械稼動率は簡単に調査できる
3―19 サイクルタイムとタクトタイムを使い分けよ
3―20 標準手持ちの活用でリードタイムはゼロ秒になる
3―21 部品を揃えるのにクリティカルパスの考えを適用しよう
3―22 段取時間短縮3つの利点を知れ

第4章 品質改善アプローチでクオリティを高める改善事例
4―01 出荷するものだけ検査せよ
4―02 なぜなぜ5回による不良原因を追求せよ
4―03 旋盤の切粉によるカラミ不良を撲滅した考え方
4―04 クレーム撲滅には流出防止策に力点を置け
4―05 品質保証課長はクレーム処理だけが仕事ではない
4―06 製造品質と引渡し後の品質に気づこう
4―07 検査員の検査力アップには「検査ボックス」を活用せよ
4―08 不良レベルに応じ検査頻度を決めろ
4―09 作業者が作業後検査したら検査員が検査しないこと

第5章 管理者の役割と責任
5―01 挑戦目標達成に1日改善会を活用せよ
5―02 改善班をつくれ
5―03 製造課長は強い監督者を真剣に育成せよ!
5―04 社内不良は監督者の責任
5―05 FL法推進における工場長の存在価値と役割
5―06 管理者・監督者は教える力量をつけよ
5―07 作業者の評価は力量と日産計画の達成度の2つの面から行う

第6章 経営者のトップダウン力とFL法の伝播力
6―01 中小メーカーの経営者はトップダウン力を持つべき
6―02 中小メーカーの社長がFL法を求める8つのケースを知ろう
6―03 FL法を中小メーカーの経営者が受け入れるまでのプロセス
6―04 重病にかかっていることに気づかない社長
6―05 N社社長のFL法採用の考え
6―06 M塗装会社の社長の気づき
6―07 中小メーカー社長の2つの誤解
6―08 中小メーカー経営者の意志でFL法はTMSへ発展展開する
6―09 モノづくりシステムは遵守性と有効性で評価せよ

はじめに


 現在、中小メーカーは苦しい経営環境の中で頑張っている。先行き不透明な厳しい状況の中で、さらに顧客は値引き要求と短納期要求をしてきている。年7%の値引き要求している大手顧客すらある。
 中小メーカーは値引きに対しては、生産性を向上して、コストダウンを、また短納期要求に対しては、受注から出荷までのリードタイム(総合リードタイム)を大幅に短縮することで対処するしかない。しかし、そもそもこうした要求に応えるだけの大きな改善点が今の自社にあるのであろうか。
 答えはイエスである。ただし、コツコツと小さな改善を積み重ねても収益の改善につながる大きな工場改革は実現しない。本当の改善の種は常識にとらわれていては気づけない陰に存在する。逆に言えば、そもそも工場には小さなムダは山ほどある。これらに逐一とらわれていたら、本当に重要なムダに“気づく”ことができないのである。すなわち改善活動自体が一つのムダな行為になってしまう。
 本当に実効力のある改善活動を実施するために重要なキーワードは「時間」である。とくに中小メーカーの場合、多くの会社でこの時間の使い方を覚え、徹底的にこだわるだけで「生産性25%向上」「生産リードタイム半減」を実現することができる。
 5S活動も同様である。ただ5Sを始めれば生産性が上がり、コストダウンができるわけではない。常に時間軸を明確に意識すること、これが重要である。
 本書は生産管理技術者が気づいていない現場改善の原理と、“気づき”を促す実際の改善具体例を多く示してある。同時に、これらの改善には社内生産コンサルタントとも言うべきスペシャリストが不可欠であるが、この育成方法も紹介する。
 改善活動は改善力のある人の眼力をもってしてはじめて機能する。だから、優れた改善をすることは、優れて改善力のある人を育成することと同義である。日本には中小メーカーが46万社あるといわれている。これらに勤める管理者・監督者に真の改善力のある人になってもらうことが筆者らの願いであり、中小メーカーの真の改革だと考えている。

2011年10月
近江 堅一 

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