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知ってなアカン!
技術者のためのマネジメント思考上達法

定価(税込)  2,420円

著者
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サイズ A5判
ページ数 264頁
ISBNコード 978-4-526-06767-9
コード C3034
発行月 2011年10月
ジャンル 経営 ビジネス

内容

昨今、巷で噂のマネジメント思考。本書は、技術者だからこそ知っていて欲しいマネジメント思考とマネジメント手法の上達法を、楽しいイラストや読者に身近な登場人物のストーリーなどを使って、わかりやすく紹介した本。「知ってなアカン!」シリーズ第2弾。製造部門、設計部門、そして技術管理部門の読者個人に必要なマネジメント思考を丁寧に解説しています。

戟 忠希  著者プロフィール

(ほこ ただき)

技術士(応用理学部門、総合技術監理部門)、APEC ENGINEER(CiviL,Structual)、環境計量士、一級土木施行管理技士
S29年生まれ 大阪府出身 大阪市立大学理学部卒業
株式会社 HOKOネットワーク 代表取締役社長
特定非営利活動法人 地盤・地下水環境NET 専務理事
一般社団法人 知財経営ネットワーク 理事

大手建設コンサルタント会社勤務の後、独立し現在に至る。建設コンサルタント会社では、リモートセンシング技術の土木分野への適応や岩盤斜面安定性のエキスパートシステムの研究を行った。
特定非営利活動法人 地盤・地下水環境NETでは、科学技術の振興および環境保全を図る活動を推進している。また、一般社団法人 知財経営ネットワークでは、知財経営関連のコンサルタントを行っている。

佐野義幸  著者プロフィール

(さの よしゆき)

技術士(機械部門)、一般計量士、一級土木施行管理技士
S40年生まれ 大阪府出身 
EHテクノロジー代表 http://ehtech.jp/

メーカーにて、自動車関連工場の自動化設備、産業用計量設備、化学プラント・製鉄プラントなどの大型設備、大型計量機の計画・開発・設計に従事。(H元年~H20年)
H21年より、設計開発コンサルタント、機械設計者教育、技術者教育、技術士(機械部門)受験指導、知財経営関連コンサルタントを行っている。またH22より、技術的問題解決手法の研究と公的機関での技術者教育を行っている。若手技術者への技術者教育には定評がある。
著書として『設計検討って、どないすんねん!』(日刊工業新聞社)がある。

二宮和彦  著者プロフィール

(にのみや かずひこ)

技術士(情報工学部門)、第1級陸上無線技術士、電気通信主任技術者(伝送交換、線路)、
PMP(Project Management Professional)、ITコーディネータなど
S29年生まれ 愛知県出身

OA関連企業においてOA技術者向けの教育・指導に従事。その後「通信の自由化」に併せて通信事業会社に転職し、主に法人のネットワークとICTソリューションの設計、検証、構築を担当するSE業務に従事した。
SE業務の中では、インターネット関連のサーバ構築やアプリケーション開発においてプロジェクトマネージャーとしての経験も豊富である。
現在はアクセス系の通信設備構築業務に従事し、安全管理とプロセスマネジメントに注力するとともに、社内外での技術者の育成活動にも力を注いでいる。

古川 功  著者プロフィール

(ふるかわ いさお)

技術士(機械部門)、専門事項(動力エネルギー)
電気主任技術者(第3種)
S33年生まれ 大阪府出身 

大学卒業(1981年)後、工作機械メ-カ-で鉄鋼プラント設備設計に従事した。
その後電機メーカーへ転職し、燃料電池発電システムの開発を経て、太陽光発電システム技術開発に携わり、現在も継続従事中である。
燃料電池では、リン酸型200KW級の開発や家庭用電源(1KW)、可搬型電源の開発・設計業務を担当し、特に5KW~10KW級の電源システムを防衛庁へ納入し、実地試験などの技術開発に尽力した。
太陽光発電では、国の研究事業で大型システムの設計・設置・工事監理業務に従事し顧客対応も経験、その後太陽電池パネルの要素技術開発も担当し、設計~製造~販売まで広範囲な業務を経験し、現在も技術業務に従事している。
現在、企業内技術士として、技術研鑽活動、技術士受験指導などの活動をしている。

保居優加子  著者プロフィール

(やすい ゆかこ)

グラフィック・WEBクリエイター
クリエイトリンク 代表 http://cre8link.com
一般社団法人 知財経営ネットワーク 理事
特定非営利活動法人 地盤・地下水環境NET 理事
S46年生まれ 兵庫県出身

広告企画会社にて広告・販促物の制作に携わるとともに、取締役を務める。
グラフィックやWEBサイトのクリエイターとして2005年クリエイトリンクを創業し、現在ではWEBアプリケーションエンジニアとしても活動を展開している。
また、今後の日本に必要不可欠な「知的資産の創造」を踏まえた、広報および宣伝の重要性を感じ、一般社団法人 知財経営ネットワークの設立に参加し、現在も活動を行っている。

目次

はじめに  
仕事のできる人って格好いいじゃぁないですか!  
もくじ  
まずはマネジメント手法について、あなたの理解度をチェック!  

第1章 技術経営(MOT)のマネジメント手法
技術って、経営って、何ですか?  
 1-1 技術者が経営に貢献する:技術マネジメント  
 1-2 自分の目標達成に活かす:プロジェクトマネジメント  
【ちょっと休憩】MBAとMOT  
 1-3 利益を生み出す:コストマネジメント  
 1-4 自分の保有技術を認めてもらう:品質マネジメント  
【今日はここまで】テーラーの科学的管理法  
 
第2章 情報に関するマネジメント手法
今は情報の時代じゃからなぁ!  
 2-1 情報を安全に活用する:情報セキュリティマネジメント  
 2-2 コミュニケーションを活性化する:ネットワークセキュリティマネジメント  
【ちょっと休憩】新しい情報端末   
 2-3 メンバーの情報流通のカギを握る:ナレッジマネジメント  
 2-4 日々の備えが非常時に役立つ:通常・緊急情報マネジメント  
【今日はここまで】クラウドコンピューティング  

第3章 安全に関するマネジメント手法
メーカーにとって安全が一番大事なんや!  
 3-1 自分の将来を予想する:リスクマネジメント  
 3-2 不測事態の発生に対処する:クライシスマネジメント  
【ちょっと休憩】パラダイムシフト  
 3-3 情報を共有する:コミュニケーションマネジメント  
 3-4 失敗を回避する:安心安全マネジメント  
【今日はここまで】ヒヤリハット  
 
第4章 環境に関するマネジメント手法
持続できるかどうかが大事なんじゃ!  
 4-1 技術者は避けられない:環境マネジメント  
 4-2 企業の存在意義を考える:サステナビリティマネジメント  
【ちょっと休憩】エコアクション21 
 4-3 できて当たり前の技術:エネルギーマネジメント  
 4-4 1人ひとり実践できる:ライフサイクルマネジメント  
【今日はここまで】EPT(エネルギー ペイバック タイム)  

第5章 社会と倫理に関するマネジメント手法
信号は守らないとダメじゃぁないですか!  
 5-1 法令や規格は技術者の道具だ!:コンプライアンスマネジメント  
 5-2 技術者が企業の社会的責任を支える:CSRマネジメント  
【ちょっと休憩】多様な働き方、収益事業でない副業  
 5-3 倫理観が良い製品を作る:倫理マネジメント  
 5-4 あちらが立てば、こちらが立たず:トレードオフマネジメント  
【今日はここまで】「倫理」と「キャリアや雇用」とのトレードオフ 『内部告発について』 

第6章 人材に関するマネジメント手法
人生は計画通りにはイカン! でも計画は立てなアカン!  
 6-1 自分の人生を経営する:ライフマネジメント  
 6-2 自分の仕事を創造する:キャリアマネジメント  
【ちょっと休憩】CDP(キャリア ディベロップメント プログラム)  
 6-3 信頼される自分を確立する:パーソナルブランドマネジメント  
 6-4 人の力が最強の武器:人材マネジメント  
【今日はここまで】EQ  

マネジメント思考で出世街道ばく進中?  
おわりに  
ちゃんと理解したか、マネジメント手法をもう1回チェック!  
参考文献一覧 
著者略歴  

はじめに

 私は、企業の社員教育の一環でセミナー講師として招かれることがあります。最近では、「リスクマネジメント」「ナレッジマネジメント」「コストマネジメント」などの題目で講演をします。
 講演終了後に、“マネジメントと管理とはどう違うのか?”“マネジメントとは組織にとっては有効だが、個人にはどのように役立つのか?”という質問を受けます。
 おそらく、読者の皆さんも同じように感じているのではないでしょうか。本書では、いろいろなマネジメント手法を個人として有効に活用していくために、5人の著者がそれぞれの経験や知識を基に、皆さんが自分自身の人生をマネジメントしていく上で参考になるように、との願いから執筆しました。
 執筆に関しては、第1章、第3章は戟 忠希、第2章は二宮 和彦、第4章は古川 功、第5章およびショートストーリーは佐野 義幸、第6章およびイラストは保居 優加子が担当しています。

 さて、前述の質問で、“マネジメントと管理とはどう違うのか?”について、考えてみます。
 「マネジメント」と「管理」を、我々日本人はどうして混同してしまうのでしょうか。もともと「Management」という英語を和訳したとき、「管理」と訳したところに原因があったのではないかと考えています。
 日本語の「管理」に相当する英語には、
  「Management」
  「Control」
  「Administration」
  「Supervision」
などがあります。
 このうち、「マネジメント」に相当するのは、「Management」です。「管理」に相当するのは、「Control」「Administration」「Supervision」になります。
 また、皆さんは管理基準値「Control Standard Value」という言葉をご存知でしょうか。
 管理基準値は、規格値(設計値と出来形の差の限界値)を確保するために、目標値として重要な意味を持ちます。
 たとえば、モノをつくるとき、使用する材料の構成成分の分量や寸法などが許容できる範囲であれば良いのですが、範囲を超えてしまうと最終製造物の品質が保てなくなります。したがって、製造部門は管理基準値である分量や寸法などを調整しながら、製造工程をほぼ一定にしていきます。この工程は「管理」に相当します。

 製造物は、だれか(顧客)が購入し、有効に使ってはじめて「価値のあるモノ」となります。このためには、マーケティング部や営業部などの働きが必要になってきます。もちろん、製造段階の前には技術開発部や設計部などの働きが必要になってきます。これらの多くの部門が、有機的に結びついて協働することで、最終的に顧客に購入してもらえる商品になるわけです。
 多部門を取りまとめ、有機的に結びつけることが「マネジメント」であり、マネジメントをする人がマネージャーです。つまり、個別の能力、適性を理解した上で、全体の最適化を図ることが「マネジメント」です。

 さて、“タイタニック”というタイトルの映画を見た人もいるでしょう。当時不沈船といわれたタイタニック号は、1912年4月10日に2000人以上の乗客を乗せ、イギリスのサザンプトンからアメリカのニューヨークに向けて処女航海をしました。航路の途中で氷山に衝突し、4月15日未明にはついに沈没してしまいました。
 タイタニック号には、その後有名になったスミス船長、航海士の1人としてチャールズ・ライトーラー、操舵手の1人としてヒッチンズが乗り組んでいました。
 チャールズ・ライトーラー航海士は、スミス船長が決めた方針通り海図にひかれた航路をとるため、ヒッチンズ操舵手に命令を出します。その際、少しは方向が振れたりするでしょうが、許容範囲であれば修正できます。
 このように、航海士は管理基準値を維持していくために努力します。この行為は、まさに「管理」です。

 一方、スミス船長は台風などの不測の事態が発生した場合、どのように対応していけば良いかを、常に考えながら行動していきます。タイタニック号の場合、不測の事態は氷山の出現です。氷山に衝突しないよう、航路を変更するなどの指示をするのが、スミス船長の役目です。これが、「マネジメント」です。
 実は、スミス船長は当時、他の船から何度も氷山警告を受信していたとのことです。しかし、この警告を無視したために、悲劇が起こりました。ちゃんとマネジメントができていれば、あのような大惨事は回避できたと思われます。

 ところで、かの有名なピーター・ドラッカーは、“マネージャーはオーケストラの指揮者に似ている”と言っています。つまり、指揮者は各奏者の強みを発揮させつつ、弱みを消して各奏者を統合して、生きた演奏をさせる役割を担っています。
 また、ピーター・ドラッカーは、マネジメントの役割を「① 組織に特有の使命、目的を果たすこと、② 仕事を通じて働く人を生かすこと、③ 社会の問題に貢献すること」としています。つまり、“組織で働く人々を生き生きとさせ、社会に貢献できる価値のある成果を創出する”ことがマネジメントであると言っています。

 本書の意図は、前述の組織を個人に置き換えて、マネジメント思考を上達してもらえるようにすることです。
 前述したもう1つの質問である、“マネジメントとは組織にとっては有効だが、個人にはどのように役立つのか?”に対しての回答、つまり“個人が精神的に健康で、社会に貢献し、価値あるモノを創り出す”上で、いろいろなマネジメント手法を有効に活用するために、本書を参考にしてもらえればと考えています。

 なお、本書は「知ってなアカン!」シリーズの第2弾ですが、多くの技術者を含む知識労働者に読んでいただき、今後の自分自身を上手くマネジメントできる手助けになれば幸いです。

戟 忠希

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