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見える化でわかる
限界利益と付加価値

定価(税込)  2,592円

著者
サイズ A5判
ページ数 220頁
ISBNコード 978-4-526-06748-8
コード C3034
発行月 2011年09月
ジャンル 生産管理

内容

コスト競争が激しさを増す一方となっている。そうした状況下ではコストの見極めはますます重要になっている。本書はモノづくり現場で利益を把握するのに必要不可欠な限界利益と付加価値を見える化の手法を用いてわかりやすく解説したもので、現場でコスト管理するための必読書。

橋本賢一  著者プロフィール

(はしもと けんいち)
 日本能率協会コンサルティングに15年、生産性向上・原価管理のテーマを中心にチーフコンサルタントとして従事。現在MEマネジメントトサービス代表取締役、マネジメントコンサルタント、公認会計士。
 製造・生産技術・購買・間接部門など全社的コストダウン、原価および業績管理システムの立案・実施により、企業の業績を改革するコンサルティング業務、社内教育、公開セミナーなどの活動を行う。中国、韓国、タイ、アメリカ、カナダなど海外にも事業展開している。
 著書:「技術者のための見積原価計算」「技術者のための標準原価管理」
「技術者のための原価企画」「理想原価への挑戦」
「よくわかる原価のしくみ」「原価の見積りと価格のしくみ」
以上、日本能率協会マネジメントセンター
「管理会計辞典」中央経済社「初乗り610円にダマされるな」経済界
「社長!経営が見えてますか」日本経済新聞社
「よくわかるムダとりの本」日刊工業新聞社
「見える化でわかる売り値と買い値」日刊工業新聞社
「見える化でわかる間接・サービス部門の原価管理」日刊工業新聞社

目次

はじめに

第1章 「率」よりも「額」を選ぶ
―どうしたら利益が出るかを見える化する―
 1―1  残ったお金は利益ではない  
 1―2  財務会計の目的は過去の利益を分配すること  
 1―3  財務会計上の利益には何種類もある  
 1―4  管理会計の目的は未来の利益を増やすこと  
 1―5  原価と費用の違いは何か  
 1―6  なぜ原価の分類を変えるのか  
 1―7  財務会計分類を管理会計分類に置き直す  
 1―8  直接費と間接費とは何か  
 1―9  どちらの商品を扱うのが有利か  
 1―10 粗利益をとるか限界利益をとるか  
  コラム1. 分ければわかる  

第2章 変動費と固定費を分ける
―操業度によって変わる原価が見える―
 2―1  変動費・固定費とは何か  
 2―2  総費用法で変動費と固定費を分けてみる  
 2―3  月別の総費用を変動費と固定費に分けてみる  
 2―4  個別費用法で変動費と固定費を分けてみる  
 2―5  変動費か固定費かの判断に迷ったら  
 2―6  運賃は年間契約しても変動費になる  
 2―7  事前に変動費・固定費レートを設定する  
 2―8  変動費は積み上げ、固定費は割り振り計算  
 2―9  なぜ製品別原価に固定費を配賦するのか  
 2―10 売価からどこまでの原価を回収するか  
 2―11 赤字受注をしても利益が出る  
 2―12 購入価格はいくらまで下がるかわかる  
  コラム2. どのように分けるとわかるか  

第3章 直接労務費は変動費と考える
―負荷と能力が合っているかを見える化する―
 3―1  直接労務費は変動費として扱うか  
 3―2  直接労務費を変動費にするには  
 3―3  条件1:負荷工数=能力工数にする  
 3―4  条件2:生産性(工数効率)を管理する  
 3―5  条件3:コストの安いアクションで調整する  
 3―6  条件4:負荷の変動幅の範囲で調整する  
 3―7  条件5:基本給と残業は分けない  
 3―8  スーパーの直接労務費は時間帯変動費  
 3―9  どの部門、どの費目までが直接労務費か  
  コラム3. 直間比率にこだわっていないか  

第4章 負荷と能力を合わせる
―直接労務費を変動費化するアクションが見える―
 4―1  なぜ何度も生産計画を立てるのか  
 4―2  年次では設備の能力を計画する  
 4―3  月次では人の能力を計画する  
 4―4  操業計画をやってみる  
 4―5  操業計算から計画へレベルアップ  
 4―6  週次ではライン・機械別の稼働を計画する  
 4―7  効率のよいラインを優先稼働して生産性が倍増  
 4―8  人は変化に強いが設備は変化に弱い  
 4―9  固定的な設備をフレキシブルに使う  
 4―10 在庫を使って負荷を調整する  
  コラム4. 駐車場の自動精算機に驚く  

第5章 損益分岐点を計算する
―損益を分ける数量・売上高が見える―
 5―1  見えるようにすることから  
 5―2  飲料自販機で儲かっているのは電力会社だけか  
 5―3  利益図表・損益分岐点図表を描いてみる  
 5―4  損益を分ける分岐点BEPを計算する  
 5―5  どれくらい売上げたら利益が出るか  
 5―6  全部原価計算と部分原価計算  
 5―7  事業を始めるときはどのように計画するか  
 5―8  販売予算を立ててみる  
 5―9  変動費と固定費で製造予算を立てる  
 5―10 理想原価を3年で実現するコストダウン計画  
 5―11 改善によるコストダウン効果を計算する  
 5―12 管理によるコストダウン効果を計算する  
  コラム5. どちらの車を借りるか  

第6章 限界利益を使って意思決定する
―損か得かの判断を数字で見える化する―
 6―1  損益分岐点分析の使い方  
 6―2  意思決定には手順と原則がある  
 6―3  「赤字製品など止めてしまえ」は正しいか  
 6―4  限界利益の赤字製品を止める  
 6―5  赤字製品対策をやってみる  
 6―6  なぜ赤字受注しても儲かるようになるのか  
 6―7  値引き要求に応えるにも限界がある  
 6―8  設備投資をしてまで受注するか  
 6―9  限界利益の高い製品は販売促進型  
 6―10 生産能力が足りないとき何を外製するか  
 6―11 内製するか外製、海外生産するか  
 6―12 付加価値の高い製品は内製したい  
  コラム6. なぜ限界利益と呼ぶのか  

第7章 付加価値の向上をめざす
―顧客はどこに価値を感ずるかが見える―
 7―1  コストダウンが会社をダメにする  
 7―2  コスト戦略か差別化戦略か  
 7―3  価値の高いものにお金をかける  
 7―4  付加価値・付加価値率を計算する  
 7―5  対策しなければならない製品を見つけ出す  
 7―6  コストダウンすべき製品を見つけ出す  
 7―7  人の欲求から作り出される製品  
 7―8  水と宝石はどちらに価値があるか  
 7―9  人は何に価値を感ずるか  
 7―10 有形ハードの価値から無形ソフトの価値へ  
 7―11 期待の高まるエレメント産業  
 7―12 製造業は上下流から付加価値を取り込む  
  コラム7. 大震災からの教訓(1):日本人の価値観  

第8章 プロダクトミックスで価値をつける
―価値を生み出す製品・サービスが見える―
 8―1  プロダクトミックスとは何か  
 8―2  プロダクトミックスの原型は  
 8―3  顧客が選択に迷わない品揃えをする  
 8―4  ソフトのプロダクトミックスへ  
 8―5  ライフサイクルミックス  
 8―6  ライフサイクルコストとは何か  
 8―7  プロダクトミックスと価格政策  
 8―8  価値連鎖マネジメントとは何か  
  コラム8. 大震災からの教訓(2):震災の備え  

第9章 設備費・固定費を低減する
―設備のどこにムダがあるかを見える化する―
 9―1  重要性を増す固定費の管理  
 9―2  固定費は固定ではなく低減できる  
 9―3  なぜ過大投資が承認されるのか  
 9―4  設備投資の種類と優先順序  
 9―5  過大投資を防ぐチェックリスト  
 9―6  生産量の予測が操業度とマッチしているか  
 9―7  設備投資の限度額に入っているか  
 9―8  設備能力が合っているか  
 9―9  機械スピードが生産量とマッチしているか  
 9―10 設備のバランスがとれているか  
 9―11 固定性の強い設備の能力を生かす  
  コラム9. 大震災からの教訓(3):災害に負けない設備

はじめに

 「どうしたら利益がでるか?」。経営にたずさわる人が持つ共通の課題である。この課題は、経営にたずさわる人だけの問題ではなく、会社で働くすべての人は、最終的には利益に向けて仕事をしている。
 「利益の計算は経理に任せておけばよい」と思っている人が多いが、どれくらい利益が出たかを計算するのは経理でも、利益を生み出すのは、すべてラインの人の働きによるものである。
 「それくらいはわかっている」と言われそうだが、そうであれば「どうしたら利益がでるか?」の判断に迫られたとき、その判断を誤ることなくできているだろうか。ひとりひとりの正しい判断が積み重なってこそ、会社の利益が生れる。
 会計には財務会計と管理会計の領域がある。財務会計は過去の利益を計算し、それを適正に分配することを目的とした会計である。ところが、管理会計は未来の利益を増やすことを目的に意思決定を助ける会計である。「利益」とは、もっとも頻繁に取り上げられる「営業利益」を指すことが多いが、意思決定に役立つ利益に「限界利益」がある。これは管理会計上の利益の概念で、決算書には出てこない。本書は、この「限界利益」と、さらに大きな限界利益を生みだす「付加価値」に焦点を当てている。
 第1章では、普段の売り買いで起こる簡単な意思決定を問うている。これに正解でき、その理由も正しく説明できたら、本書を読まれる必要はない。こう言い切るのは「いかに不正解が多い」からである。
 「限界利益」を正しく理解するために、第2章では変動費と固定費の性格分析から入っている。この中で「直接労務費は変動費か固定費か」という問題には議論が沸騰する。そこで、第3章では直接労務費は変動費であること、第4章では直接労務費を変動費化する方法に多くの紙面を割いた。この中から、変動費・固定費の分類は、あくまでも利益を管理するためにあることを学びとりたい。
 第5章では、限界利益を使って計画を立て、実行アクションの意思決定をする。ここに損益分岐点分析がある。損益分岐点分析は教科書にもっともよく登場する管理会計手法である。その代表選手に「限界利益」があるが、経営の場ではピンチヒッターぐらいにしか使われていない。「会社が赤字になると最低どれくらい売上げなければならないか」だ。しかし、限界利益の実力を知ると経営への活躍の場が広がる。第6章でその活躍事例を紹介する。
 しかし、経営はさらなる成長と収益を求めて活躍の場を広げる価値追求が欠かせない。生きるために水には価値があるが宝石に比べると価格は安いように、価値の重点は次第に移り行くものである。価値を追求していくと「人の欲求」にたどり着く。ここに「付加価値」という隠れた実力選手がいる。第6章では「付加価値」を見つけ出し、第7章ではそれを上手に組み合わせて(プロダクトミックス)最強チームを作ってみよう。
 最終章は、忘れられそうな固定費である。固定費の中でも設備費をどのようにコントロールするかを記述している。経営にとっては大事な選手の一人だから……。
 本書を執筆している最中の3月11日、日本は東日本大震災に見舞われたが、被災された人たちと心を一つにして立ち上がろうとしている姿に勇気づけられ本書が出版にこぎつけられたことに感謝したい。

2011年6月  
橋本賢一 

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