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最大実体公差
―図面って、どない描くねん!LEVEL3―

定価(税込)  2,376円

著者
サイズ A5判
ページ数 168頁
ISBNコード 978-4-526-06743-3
コード C3053
発行月 2011年09月
ジャンル 機械

内容

「図面って」シリーズ最高峰のレベル3!最高難度を求める人にこそ読んで欲しい。さらに進化した幾何公差、それが、「最大実体公差」。寸法公差と幾何公差の“特別な相互関係”にある最大実体公差は、論理性を持って読み解かなければ設計意図を理解できない。また同様に図面に指示することさえできない。機械製図の最高峰である「最大実体公差」をやさしく解説した本。

山田 学  著者プロフィール

S38年生まれ、兵庫県出身。(株)ラブノ−ツ 代表取締役。
カヤバ工業(株)(現、KYB(株))自動車技術研究所にて電動パワーステアリングとその応用製品(電動後輪操舵E-HICAS など)の研究開発に従事。
グローリー工業(株)(現、グローリー(株))設計部にて銀行向け紙幣処理機の設計や、設計の立場で海外展開製品における品質保証活動に従事。
兵庫県技能検定委員として技能検定(機械・プラント製図)の検定試験運営、受験指導、採点などに関わる。
平成18年4月 技術者教育を専門とする六自由度技術士事務所として独立。
平成19年1月 技術者教育を支援するため(株)ラブノーツを設立。(http://www.labnotes.jp)
著書として、『図面って、どない描くねん!』、『設計の英語って、どない使うねん!』、『めっちゃ使える! 機械便利帳』、共著として『CADってどない使うねん!』(山田学・一色桂 著)、『技術士第一次試験「機械部門」専門科目 過去問題 解答と解説(第2版)』、『技術士第二次試験「機械部門」完全対策&キーワード100』(Net-P.E.Jp編著)などがある。

目次

まるエムは、コストに二重まる!

第1章 独立の原則と相反する包絡の条件ってなんやねん!
1-1 独立の原則とは
1-2 包絡の原則とは

第2章 どないしたら幾何公差だけ増やせんねん!
2-1 最大実体公差方式とは
2-2 最大実体公差方式をビジュアル化する動的公差線図

第3章 最大実体公差って、どの幾何特性に使ったらええねん!~形状公差・姿勢公差編
3-1 全ての幾何特性に使えるわけではない最大実体公差
3-2 真直度に最大実体公差を適用した例
3-3 直角度に最大実体公差を適用した例
3-4 平行度に最大実体公差を適用した例
3-5 傾斜度に最大実体公差を適用した例

第4章 最大実体公差って、どの幾何特性に使ったらええねん!~位置公差編
4-1 同軸度に最大実体公差を適用した例
4-2 対称度に最大実体公差を適用した例
4-3 位置度に最大実体公差を適用した例
4-4 位置度で複数箇所に最大実体公差を適用した例

第5章 機能ゲージって、どない設計すんねん!
5-1 幾何公差図面の件さ手順とは
5-2 寸法をチェックするGoゲージ、No Goゲージ
5-3 最大実体公差方式をチェックする機能ゲージの設計

第6章 最大実体公差を、もっと簡単に検査したいねん!
6-1 データムを拘束せず不動させるマルMテクニック
6-2 検査ゲージを減らせるゼロ幾何公差

第7章 その他の幾何公差テクニックはどない使うねん!
7-1 最小実体公差方式とは
7-2 突出公差域とは
7-3 自由状態とは

設計意図を伝えるという気持ち

はじめに

まるエムは、コストに二重まる!

 客先の図面を見て、「わ!幾何公差があるやーん)(;゛′ω`)ヾアイヤー」とつぶやくエンジニアがいます。このように、未だに幾何公差に拒否反応を示すエンジニアも少なくありません。しかし、幾何特性を表す記号の意味は、製図の専門書を見れば理解できます。
 図面をコピーして、寸法公差や幾何公差の指示されている部分にマーカーをつけ、設計意図を読み解く準備が始まります。
 データムを見つけて基準となる面や線から、どこの形体が重要なのかを順番に探っていくと、幾何公差の公差記入枠の中に見慣れない記号があります。「ん?〓(Mの文字に丸囲み)」 (゜Д゜=゜Д゜)エッナニナニ?
 幾何公差の世界には、幾何特性の種類を表す記号以外にいくつかの付加記号が存在します。
 例えば、〓 〓 〓 〓 〓(E、M、P、L、Pの各文字に丸囲み)などです。
 幾何公差を理解するということは、これらの付加記号の意味まで十分に理解しなければ、幾何公差を制覇したということはできません。
 ISOやJISでは「独立の原則」を採用しており、「図面上に指示された各要求事項、例えば、寸法公差や幾何公差は特別な相互関係が指定されない限り、他のいかなる寸法や公差、または特性とも関連しないで、独立して適用される」と定義されます。
 
 先ほどの、〓(まるエム、Mの文字に丸囲み)は、その“特別な相互関係″を表す種類に属し、寸法公差と幾何公差を関連させて意味を理解しないといけないのです。
 〓(Mの文字に丸囲み)とは、最大実体公差方式を適用することを意味し、Maximum material requirementの先頭の頭文字を記号として表現したものです。
 
 最大実体公差方式とは、寸法公差と幾何公差が互いに依存し、条件によっては幾何公差の公差範囲を広く変更することができるというものです。

 産業のグローバル化によって、海外で部品を作ることが当たり前になった昨今、設計意図を歴史や文化の異なる地域のエンジニアに理解してもらうためには幾何公差が不可欠といえます。
 しかし、幾何公差を図面に指示すると、コストアップの原因になると信じている設計担当者や上司も多いと思います。
 ところが、最大実体公差を使うことで、設計機能を明確にできるだけでなく、次のようにコストダウンにも貢献できるのです!

①幾何公差を広げてコストダウン
 設計者は、組み合わせる部品の寸法公差を決める際、部品のばらつきを考慮して、最悪条件でも組立を保証しようと公差数値を決定します。
 しかし、最悪条件でない場合は、その差分が隙間となって組立に余裕を持たせることを意味します。つまり、最大実体公差は、この余った差分を幾何公差に与えることができるのです。
②検査工数を削減してコストダウン
 幾何公差を指示すると、寸法公差の検査に加えて幾何公差の検査をしなければならず、検査工数が増え、結果として部品単価に跳ね返ります。
 しかし、機能ゲージという治具を設計し使用することで、素人でも簡単に部品検査をすることができるため、全数検査も可能となります。つまり、最大実体公差は、全数検査による品質保証に加えて検査工数を削減することができるのです。
 
 ところが、いざ実務設計で使おうとJISハンドブックや製図書を参考にすると、掲載されている事例は説明を容易にするために、シンプルな形状に対して指示されるものばかりです。実務設計における部品は複雑な形状をしており、応用を利かせないと指示することさえできません。
 幾何公差を丸暗記することは学習効率が悪いうえ、応用を利かせることもできなくなります。私が考える幾何公差を使いこなすポイントを列記します。

・幾何公差はロジックで考える!
・シンプルに使う!
 
 最大実体公差は、論理性を持って読み解がなければ設計意図を理解できません。逆のことをいうと、論理性をもって描がなければ図面に指示することさえできません。
 本書は、拙著「図面って、とない描くねん!」シリーズの中で、“LEVEL3”と銘打ち、機械製図テクニックの最高峰である「最大実体公差」をやさしく解説し、論理性をもって理解できるように執筆したものです。
 
 最大実体公差を理解するには、ロジック(論理性)が最も重要なポイントとなります。公差の意味する原理原則さえ理解できれば、最大実体公差は比較的簡単に知識として吸収されることでしょう。最大実体公差の本質を理解し、最大実体公差に対して苦手意識を克服できれば、世界に通用する一人前のメカニカル・エンジニアの誕生です!
 
 読者の皆様からのご意見や問題点のフィードバックなど、ポームページを通して紹介し、情報の共有化やサポートができ、少しでも良いものにしたいと念じております。

「Labnotes by 六自由度」
書籍サポートページ
http://www.labnotes.jp/

 最後に、本書の執筆にあたり、お世話いただいた日刊工業新聞社出版局の方々にお礼を申し上げます。

2011年9月

山田 学

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