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中国人観光客を呼び込む必勝術
―インバウンドマーケティングの実践―

定価(税込)  1,944円

編著
サイズ A5判
ページ数 192頁
ISBNコード 978-4-526-06750-1
コード C3034
発行月 2011年09月
ジャンル 経営 ビジネス

内容

宿泊業、百貨店、飲食業をはじめとする中国人の日本への観光ブームの恩恵を受けていた業界にとって、今後は中国人観光客消費パワーを積極的に取り込む戦略が不可欠である。本書では中国人の日本観光における一連の行動、情報収集の段階から、実際に購入する判断の基準まで、彼らの習慣、気がつきにくい失敗の事例など訪日観光のデータをもとに、各業界別にすぐできる施策を徹底解説する。

徐 向東  著者プロフィール

(ジョ コウトウ)

CM-RC.com株式会社中国市場戦略研究所代表

北京外国語大学講師を経て、文部省(現:文部科学省)奨学金で立教大学博士課程に入学、博士号取得。日本労働研究機構(現:独立法人 労働政策研究・研修機構)、中央大学・専修大学講師、日経グループ会社主席研究員、上海事務所総監、コンサルティング会社代表取締役を経て、2007年より現職。自動車からIT、飲料、観光、ファッション、化粧品、健康食品まで幅広い分野での中国市場戦略サポートの実績を持つ。
著書 『中国人に売る時代!~巨大市場開拓の成功法則』(日本経済新聞出版社)、
『中国人にネットで売る!~インターネット、人のネットワーク、2つの“ネット”の正しい使い方、つくり方』(東洋経済新報社)、『中国で「売れる会社」は世界で売れる!―日本企業はなぜ中国で勝てないのか』(徳間書店)ほか。



株式会社中国市場戦略研究所
CM-RC.com(China Market Research & Consulting)
現地法人:上海伝沐商務諮詢有限公司、上海伝目広告有限公司、上海伝慕商貿有限公司
中国における市場調査およびテストマーケティング、プロモーション、販売代行、通販構築など市場開拓業務を行う。
ホームページ:http://www.cm-rc.com/

目次

CHAPTER1
中国人観光客の特徴
1-1 中国人の日本観光への本音とは
1-2 中国人観光客の特徴と、その分類とは
1-3 「70後」、「80後」、「90後」、中国の異なる世代の傾向と対策とは
1-4 中国人にとって食事とは

CHAPTER2
中国人観光客誘致のための施策―基礎編
2-1 ホームページに必ず盛り込まなければならない内容は何ですか
2-2 中国人の興味を惹くようなホームページとはどんなものなのでしょうか
2-3 中国人観光客誘致向けのサイトの認知度を上げるには、どこでどのように広告を投下するのが効果的ですか
2-4 本格的な中国語のサイトを作るのは難しそうですが、手軽にできることはありませんか
2-5 中国語ができる人なら誰でも日本を案内できるのでしょうか
2-6 意外と落とし穴が多い日文中訳
2-7 訪日中国人観光客に更に喜んでもらうために、中国の暦に合わせたイベントを実施したいのですが、どんなものがあるでしょうか
2-8 中国人観光客=日本への旅行は買い物が目的、と考えてよいですか
2-9 国を越えてのリピーターをどうやって作ればよいですか

CHAPTER3
中国人観光客誘致のための施策―シーン別
3-1  お弁当を出したら変な顔をされてしまいましたが…
3-2  中国で食べる習慣のない日本食とは何でしょう
3-3  中国人にとっての“ご馳走”とは
3-4  食事の味以外でどんなことに関心がありますか
3-5  中国人の流行を取り入れたツアーを提案したい
3-6  退屈になりがちなバス移動中にも楽しんでもらうためには
3-7  ゴールデンルート以外の日本へどうやったらきてもらえますか
3-8  現状のツアーや彼らの観光に加えて、比較的すぐできて喜んでもらえるような施策はありますか
3-9  日本と言ったらやっぱり着物ですよね?和服体験は中国人観光客を惹きつけるでしょうか
3-10 日本の流行に敏感な「80後(バーリンホウ)」向けの旅行商品にはどんなものがあるでしょうか
3-11 中国人の方がお店に来た場合、どのようなサービスが必要でしょうか
3-12 中国人にとって宿泊先の位置づけとは
3-13 旅館とホテルではどちらが好まれますか

付 録
シーン別中国語会話、標記

Column
 ・うるさいなんて言わないで
 ・中国と日本のトイレ事情
 ・中国語を勉強していろいろな場面で活かしましょう
 ・中国人とわさび
 ・相撲について
 ・グルメマップ・美観マップ

はじめに

 日本政府観光局が主体となってビジット・ジャパン・キャンペーンが開始されたのが2003年。訪日観光客数は順調に増え、開始当時の521万人から2010年には861万人に達した。中でも中国人観光客は前年比約40%増の141万人で、韓国人観光客に次いで第二位となった。こうした急速な中国人観光客増加に伴い、課題も浮き彫りになったといえる。制度の面では、中国人観光客に対する個人ビザ発給条件が厳しく、日本に来たがっている中国人観光客の意欲を削ぐ結果となっている。ツアー参加者の多くが、ビザが発給されやすいという消極的理由でツアーを選択している。
 インバウンドの現場においては、日本人にとっては言わずもがなのマナーやルールが、中国人観光客には言って聞かせても守ってもらえない。日本人の国民性としてルールは守るべきものであり、守らない人に対して周囲は容赦なく白い目で見るが、ツアーでやってきた中国人観光客のルール違反・マナー違反に関しては反論する手立てを持たず、もてなすどころか疲れはててしまうと聞く。これらの状況はより多くの中国人観光客を日本へ呼び寄せる上での障壁であり、観光客と受け入れ側の双方が気持よく交流できる工夫と改善が必要だろう。

 東日本大震災以降は中国からの旅行客の足がパタリと止み、それまで中国人が詰めかけていた都内家電量販店や免税店はすっかり客足が減った。その頃中国では日本以上に原発や余震に対する報道が加熱しており、加えて日本政府の直接の情報発信の少なさも手伝って、日本は「危険な国」となってしまっていた。その一方で、「震災前に生産された、放射能汚染を受けていない」日本製品がネット上で闇値とも言える高値で売れる事態が出現し、日本製品の根強い人気が証明された。震災や原発事故の影響も薄れつつある今、再び中国人観光客が日本に足を向け始めている。

 現在、団体旅行者は都市部のホワイトカラーを中心に子供・老人を含む様々な年代の人で構成されている。ツアー内容は日本旅行初心者向けに、東京・大阪・京都をめぐるゴールデンルートに各地でのショッピングで構成されており、異なる属性をもったツアー参加者たちの細かな要望に沿った内容とはいえない。中国人観光客と一口に言っても、年代、性別、出身地、収入の差によって実態は異なる。日本観や日本の何に興味をもっているのか、旅行には何を一番求めるのか、食べ物は何を好み、ショッピングでは何を買いたいのか。観光客一人ひとりに日本を最大限に楽しんでもらうために、インバウンドの現場としては中国人観光客をより具体的に知り、ターゲットのニーズに合わせた対策をとるべきだろう。

 本書は、インバウンドの現場へ向けて書いた本である。日頃から中国人観光客が理解できず困っている、もっと多くの中国人観光客に日本の魅力を知ってもらいたい、リピーターになってもらいたいなどのさまざまな考えを持っている方へ、中国人観光客を理解し、具体的な施策を練るための助けになるよう書いた。第一章では中国人観光客の属性を詳しく説明した。第二章では、中国人観光客を惹きつけ、離さず、より広げるために中国語ウェブサイト作りのポイントと、サイトの効果的な告知方法について述べた。第三章では、弊社が過去に実施した中国人訪日観光客の定性・定量調査結果に基づき、彼らが現在の旅行商品やサービスのどこに不満を抱き、どのような旅行商品やサービスを求めているのか解説した。さらに、これからやってくる中国人観光客に対してもすぐに応用できるよう、おもてなしのポイントの施策例に加え新たな旅行商品も提案した。

 また本書では、中国市場における消費の主力層として存在感を放つ80後(バーリンホウ、80年代生まれ)、「新人類」と呼ばれ社会の規範にとらわれず次々と新しいものを生み出す90後(ジウリンホウ、90年代生まれ)など、これからの中国と中国人を理解するうえで必須となる知識に加えて、中国で最近流行している「農家楽」などの新しい旅行形態についても紹介した。訪日観光を切り口とした中国理解のための本ともいえるだろう。

 さらには、ビジネスの場面において中国人クライアントを日本で接待する人も多い昨今、接待役を任された日本人の方にも読んでいただける一冊である。この一冊があれば、見当違いな接待をして相手の面子をつぶしてしまう可能性は限りなく排除できることだろう。
 少しでも多くの中国人観光客が日本を訪れ、日本のインバウンドの現場も彼らを快く迎え、送り出すことができるよう、また、日本の文化や伝統が少しでも多くの中国人に正しく伝わるよう、この書籍がその一助となれば幸いである。

 2011年9月
 徐 向東 

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