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おもしろサイエンス
身近な金属製品の科学

定価(税込)  1,620円

著者
サイズ A5判
ページ数 192頁
ISBNコード 978-4-526-06759-4
コード C3034
発行月 2011年09月
ジャンル ビジネス 金属

内容

身近な金属製品がどんな材料でどんな工夫を施されて作り出されているかをわかりやすく解説している。それぞれの製品が使われるシチュエーションから、どんな材料的にどんな特性が必要なのか、そしてその特性を実現するためにどんな加工・処理が必要なのかを一般の方にもわかるような読み物となっており、また金属を扱うときに行うさまざまな操作(さまざまな処理など)の意味もよくわかる内容になっている。面白く読めて材料利用の勘どころがわかる本。

坂本 卓  著者プロフィール

(さかもと たかし)
1968年 熊本大学大学院修了
同年三井三池製作所入社、鍛造熱処理、機械加工、組立、鋳造の現業部門の課長を経て、東京工機小名浜工場長として出向。復帰後本店営業技術部長。
熊本高等専門学校(旧八代工業高等専門学校)名誉教授
(有)服部エスエスティ取締役
三洋電子㈱技術顧問
講演、セミナー講師、経営コンサルティング、木造建築分析、発酵食品開発など活動中。
工学博士、技術士(金属部門)、中小企業診断士
著 書  『おもしろ話で理解する 金属材料入門』
     『おもしろ話で理解する 機械工学入門』
     『おもしろ話で理解する 製図学入門』
     『おもしろ話で理解する 機械工作入門』
     『おもしろ話で理解する 生産工学入門』
     『トコトンやさしい 変速機の本』
     『トコトンやさしい 熱処理の本』
     『よくわかる 歯車のできるまで』
     『絵とき 機械材料基礎のきそ』
     『絵とき 熱処理基礎のきそ』
     『絵とき 熱処理の実務』
     『絵ときでわかる 材料学への招待』
     『「熱処理」の現場ノウハウ99選』
     『ココからはじまる熱処理』(以上、日刊工業新聞社)
     『熱処理の現場事例』(新日本鋳鍛造協会)
     『やっぱり木の家』(葦書房)

目次

はじめに

第1章 道具の「鉄と鋼」
鉄を鍛え上げた日本刀
和式のナイフ
さまざまな刃物
バリカン
外科用医療器具

釘とリベット
ピッケル
金属ブラシ
ピアノ線
使い捨てカイロ
物干し竿
バケツとトタン
金属製の浴槽
蹄鉄
鉄条網
初期の鉄砲
鉄兜
パチンコの玉
音を奏でる金属
ボールペンのばね

第2章 機械や建築物の「鉄と鋼」
新幹線の車輪
鉄道のレール
電車のモーターケーシング
クレーンのフック
ブルドーザーの押し板
鉄塔
明石海峡大橋のケーブル
自動車の鋼板
大砲
混合機内の撹拌軸
ブランコのチェーン
ボルトとナット
歯車
ドリル
キー
無給油軸受

第3章 重くて丈夫な「鋳鉄」
歯車のケース
南部鉄瓶
郵便ポスト
マンホールの蓋
旋盤のベッド
砲丸
金庫

第4章 特殊な用途に合わせた「非鉄金属」
金・銀・白金製品
銅葺きの屋根
硬貨
曲がる錫器
スクリュー
ファスナー
浚渫船用すべり軸受
飯盒
バイクのエンジン
仏像
胃の中の磁石

コラム   
重りに利用した鉄
生米を焼くおじさん

はじめに

 人類が誕生して以来さまざまなものに金属が使用されてきました。現代では金属は人間が生きていくうえで欠くことができない重要な物質です。有史を紐解くと人類は他の動物と異なって飛躍的に優位に立った最も大きい原因は「火」を造り出し、自由に利用することができたことです。地球上に生存している人間以外のすべての動物は、火を造り出し扱うことはできません。
 次に人間が他の動物を凌駕することができた理由は手を自由に使うことができたことです。手を使う動物はたくさんいますが、人間は手を使うだけでなく手を助ける道具を発明したことでした。人間以外にチンパンジーなど数種の動物は手を補助する道具を造り使用することができるでしょう。でもその道具は極めて原始的で、精巧ではありませんから、一般に道具を造り利用する動物は人間だけだといってもいいでしょう。
 人間が発明した道具はさまざまな種類があります。原始時代では手を補助するための簡単な道具でした。発掘した遺跡からわかったことは道具の素材が「石」です。石の斧、石の矢尻、石の包丁はその代表です。石を活用した歴史は石器時代といい、石器文化は長く栄えて石を自由に活用した部族が最も繁栄します。
 石や骨は道具を造るために格好の素材でした。しかし、石は目的の種類がどこにもあるわけではありません。また石は強さに限りがあります。また自由な形に作り上げることが困難です。
 人類は火を自由に操り利用して、石に替わる「金属」を手に入れます。手に入れた石のうち金属にできる鉱石(原料)があることがわかったのです。その鉱石は石と比較すると光沢、色調、硬さに大きい差異があることを理解したのです。推定すると、その鉱石は火を燃すためのかまど代わりに使用したことがあるでしょう。木を燃したその熱で鉱石は還元し、粗い(不純物が多い)金属に変化したと思われます。
 発見した銅鉱石はこのように還元して「銅合金」に変化します。低い温度で還元できて生まれる金属は「青銅」です。青銅は字のように青い色合いを持ち光沢があります。しかもそのようにして生まれた青銅は石より硬く折れ難いので、今まで石で製造してきた各種の道具は次第に取って代わられていきます。日本の古代の遺跡に見られる銅鐸、銅剣、銅鏡も青銅で造られています。武器も青銅に取って代わっていきます。青銅を多種多量に製造した民族が旧来の石器文化を破壊し、広大な領域を制覇することができたのです。
 近代から現代に到る長い過程の中で、人類はさらに「鉄」の製造法を発明します。鉄は人間の生活、産業、兵器すべての分野に多量に使用されています。鉄の時代はいまだ止まることはありません。全世界では年間に10数億トンの鉄が製造され、鉄は各種の分野に貢献して人類の繁栄を築いています。
 近年は鉄以外にさまざまな金属が開発され人間は多岐に使用してきました。昨今は「レアメタル」や「レアアース」などの金属がメディアに大きい話題として取り上げられています。これらの金属の様態を知ることは知識の積算に止まらず、個々の情報の交換に際して多岐なネットワークが形成でき発達するでしょう。
 本書は私たちが生活や産業界の中で使っている金属について、やや専門的な解説を加えながらやさしく紹介しています。これを機会に金属の概要をご理解いただけたら幸いです。
 金属以外の非金属の使途も急速に進展し興味がありますが、本書では金属に絞って解説します。
  
2011年9月
坂本 卓 

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