買い物かごへ

図解よくわかる「都市鉱山」開発
―レアメタルリサイクルが拓く資源大国への道―

定価(税込)  1,944円

著者
著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-06648-1
コード C3034
発行月 2011年08月
ジャンル ビジネス 環境

内容

都市で大量に廃棄される使用済み工業製品にはレアメタルなどの貴重な金属資源が多く含まれており、「都市鉱山」と呼ばれ貴重な資源として注目される。「都市鉱山」からのレアメタルのリサイクルの課題とビジネスとしての可能性を解説し、新しい資源大国への道を提示する。

原田幸明  著者プロフィール

(はらだ こうめい)
1950年 長崎県壱岐生まれ
1974年 東京大学工学部金属工学科卒業
1979年 東京大学大学院博士課程(金属工学)修了(工学博士)
1980年 科学技術庁金属材料技術研究所入所
2002年~2006年 物質・材料研究機構エコマテリアル研究センター長
2007年~2009年 同機構材料ラボ長
2009年~同機構元素戦略センター長
2011年 元素戦略材料研究センター元素戦略調査分析統括グループ長
エコマテリアルフォーラム会長、日本LCA学会副会長
2008年に日本の都市鉱山の大きさを指摘、09年に簡便破壊による小型家電の都市鉱石化とそのための簡便「破解機」を開発、10年に都市鉱石溶解溶液からのコバルトの抽出技術を開発、11年には小型家電リサイクルでのつくば市と物材機構の技術協力を実現。
著書:「動き出したレアメタル代替戦略」(日刊工業新聞社)

醍醐市朗  著者プロフィール

(だいご いちろう)
1975年 京都府京都市生まれ
1998年 京都大学工学部物理工学科卒業
2000年 京都大学大学院エネルギー科学研究科修了
2000年 (株)日本総合研究所 研究事業本部研究員
2002年 東京大学大学院工学系研究科マテリアル工学専攻 助手
2009年 同 特任講師
2011年 同 特任准教授 工学博士(エネルギー工学)
ライフサイクルアセスメント、マテリアルフロー分析を主とした産業エコロジー分野での研究に従事。
著作(共著):「環境システム工学」(東京大学出版会)、「マテリアル環境工学」(東京大学出版会)

目次

はじめに

第1章 日本は有数の資源国になれる
日本にはもう資源はないのか?
金、銀は埋蔵量1位国を凌ぐ蓄積量
「蓄積量」を「埋蔵量」にできるかが問われている
資源を浪費する天然鉱山
塵も積もらせなければ資源にはならない

第2章 なぜリサイクルをするのか
「産業のビタミン」レアメタル
レアメタルはどこで採れる
レアメタルはいつまで採れるか
金銀銅の半分は地上にある
都市鉱山開発の現代的意義

第3章 リサイクルはどこまできている
「バッズ」と「グッズ」のリサイクル
進む「循環型社会」
いろいろなリサイクル
PETボトルはユニフォームに、車はビルディングに
素材を活かすマテリアルリサイクル
成分を活かすケミカルリサイクル
最後の手段サーマルリカバリー
20世紀型リサイクルの限界

第4章 どうやってリサイクルするか
鉄やアルミのリサイクル
自動車のリサイクル
家電製品のリサイクル
携帯電話のリサイクル
収集・解体が大変な小型家電
鉄やアルミとは違うレアメタルの取り出し
貴金属や銅の仲間のレアメタルの取り出し
難しいその他のレアメタルの取り出し
特に難しい希土類の取り出し
ナノテクノロジーやバイオも参入

第5章 都市鉱山開発の課題
天然鉱山との比較
都市鉱山開発の四つの壁
分散の壁
廃棄物の壁
コストの壁
時代の壁
リサイクルは恐竜時代の哺乳類

第6章 視点の転換が壁を突破する
「中間処理」ではすまされない解体・分離・濃縮工程
均一粉砕ではなく部材の個性を引き出す「破解」
解体設計できないものをていねいに分解する必要はない
すべてを原物質に戻す必要はない
インゴットに戻す必要があるのか
集まらねばできないのではなく、集まらなくてもできる技術
「欲しいもので儲ける」から「儲けて欲しいものを採る」へ
つくば市の小型家電処理への挑戦
資源端重量で考える

第7章 本格的都市鉱山開発への道
リサイクルの究極の姿
モノづくりの価値に結びつくリサイクル
「量のリサイクル」から「質のリサイクル」へ
きれいな中国のリサイクルヤードから何を学ぶか
世界の工場としての原料を集めている中国
眠れる獅子とスカベンジャーの嗅覚をもった虎
解体技術が価値の源泉

第8章 日本がつくるWa(環)の技術
工業素材NIPPON
レアメタルはナノテクに使われる。だから......
誰がリサイクルで利益を得るのか
新しい資源循環で世界貢献を

付録Ⅰ サステイナビリティ元素表
付録Ⅱ リサイクルが進んでいる代表的金属の循環フロー


索 引

はじめに

 2010年の秋、日本は驚愕した。
 「レアアースが輸入できない!!」
 総量でも5万トン、金額にして4億ドル程度の全体の貿易量からするときわめてマイナーなこの物質の中国からの輸出制限が、日本の自動車産業を、液晶パネル産業を、カメラ産業を、そして日本の経済全体を慌てふためかせた。それほどまでに日本はレアアースをはじめとするレアメタルなどの特殊な資源に依存しており、さらに、その資源をほとんど海外に依存していることが白日の下にさらされた。
 またこの衝撃は、近隣の資源国が着実に世界の工場としての資源戦略を持って前進しているのに対し、わが国がほぼ無防備に近い状態で、また手持ちのカードもない裸のまま世界の資源大国や資源メジャーと相まみえなければならない厳しい現実を再認識させられた。
 はたして、国内の金・銀などの資源を歴史の中で使い果たしてしまった我が国には、これから激化する資源問題に対して手持ちのカードは本当にないのだろうか?  そうではない。日本の戦後経済成長を支えてきた蓄積が実はきちんと日本の底力として蓄えられている。一つは言うまでもなく人的資源であり、そしてもう一つがこの本で述べる「都市鉱山」なのだ。
 現在、多くの自治体や企業が都市鉱山の開発に取り組んでいる。著者も勤務先の物質・材料研究機構があるつくば市や茨城県と協力して都市鉱山開発に適する分散型処理をめざし、その技術やシステムを作り上げてきた。その中で、資源を有効利用するために本気でリサイクルを進めるとすると、これまでのリサイクルのとらえ方の延長ではかなり本筋を外すのではないかという危惧を抱いている。
 本書では、リサイクルをなぜ行うのかという原点に帰り、資源問題に貢献するためのリサイクルとしての「都市鉱山開発」の進め方を見ていきたい。

原田 幸明

買い物かごへ