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ムダをなくして利益を生み出す
食品工場の生産管理

定価(税込)  2,160円

著者
サイズ A5判
ページ数 224頁
ISBNコード 978-4-526-06737-2
コード C3034
発行月 2011年08月
ジャンル 生産管理

内容

食品製造業の生産性は、製造業平均の60%しかない。この一番の原因は、トヨタ生産方式のような手法がフィットせず、生産管理のノウハウが不足しているからだ。本書では、食品という特殊なモノの生産性を上げるための管理ノウハウを事例を交えてわかりやすく解説する。

弘中泰雅  著者プロフィール

(ひろなか やすまさ)

 テクノバ株式会社 代表取締役
www.technova.ne.jp mailbox@technova.ne.jp

経歴
1976年 鹿児島大学大学院水産研究科修了
1976年 松月堂製パン株式会社入社 研究室課長、製造課長等歴任
1987年 船井電機株式会社入社 食品課長、電化事業部技術次長(技術責任者)等歴任
    世界初の家庭用製パン器の開発に携わる  製パン機の開発で社長表彰
1988年 農学博士(九州大学)
2000年 テクノバ株式会社設立 生産管理ソフト「アドリブ」開発
2006年 ベストITサポーター賞(近畿経済産業局長)受賞
    食品工場等の指導多数 ISO22000審査業務
所属学会 日本生産管理学会、標準化研究学会、日本食品科学工学会、日本穀物科学研究会
主な執筆 よくわかる「異常管理」の本(日刊工業新聞社)
月刊食品工場長(日本食糧新聞社)「目指せ!生産性向上 連載」、
食品工業(光琳)「生産性の視点から見た食品製造業」、
ISOマネジメント(日刊工業新聞社) 等学会誌業界誌多数

目次

まえがき

第1章 なぜ、食品工場の生産性は低いのか?
1「食品工場」とは?「生産性」とは?
2 食品製造業の生産性の今
3 なぜ、食品製造業は生産性が低いのか
4 技術的進歩を含む指標としての全要素生産性(TFP)
5 食品工場の生産性の実態
6 食品製造業の事業所規模分析
7 食品製造業事業所規模の評価

第2章 食品工場における管理
広い意味での生産管理
1 生産管理
2 生産管理の歴史
3 生産計画は食品工場生産性向上の鍵
4 工程管理
5 購買管理
6 食品の在庫管理
7 食品の品質管理
8 食品安全
9 食品企業の管理会計
10 ヒューマンマネジメント

第3章 食品工場の生産性向上の手法
これが生産性向上の鍵
1 食品工場の生産性向上の方法論
2 食品工場における分業化の必要性 一人完結型作業からの脱却
3 標準化・ISO9000/ISO14000/ISO22000
作業標準化は食品工場の生産性向上の原点
4 食品工場の5S(7S)
5 QC七つ道具 食品工場でも活用できる
6 QC七つ道具を利用した原因の発見例
7 食品工場における目で見る管理
8 食品工場におけるライン化・流れ作業方式
9 IEとORの食品工場での活用
10 かんばん方式とJIT
11 食品工場における 無駄・平準化
12 あんどん方式
13 食品生産のスケジュール
14 IT 食品製造業向け生産管理ソフト
15 設備管理・TPMと食品工場

第4章 実践事例
1 先進的製造業と水産加工業の生産実態の差
(電子基盤ラインと水産加工ライン)
2 一人完結作業から分業化・コンベアによるライン化
(中規模水産加工場)
3 作業の分業とライン化、標準化、一機通貫生産・同期化
(大規模洋生菓子工場)
4 ステータスクオ 生産スケジュールの改善
(小規模パン工場)
5 スケジューラの導入(中規模パン工場)
6 ジョンソン法(生産順序) こんにゃく工場
7 レイアウト・生産整流化と作業のムダ・IE
8 仕事量と労働力の投入(大規模パン工場)
9 おみこしの理論 ライン間の仕事量の調整
10 阿弥陀くじ生産
11 生産管理ソフトによる仕事量と労働量の調整
(冷凍生地工場)
12 工場事例のまとめ

あとがき

参考文献

はじめに

  「生産性を上げたいが、どうしても思い通りに行かない」、「生産性を上げることで、なんとか残業時間を削減したい」。

そんなことを考えている食品工場が多いのではないでしょうか。一般的な製造業の工場に比べ、食品工場の生産性は低いと言われます。その原因は何でしょうか。そしてどうすればその生産性は向上するのでしょうか。これが以前から私が考えてきたことであり、この本のテーマです。

私は、大学院修了後、食品企業に就職し、その会社で食品の研究や製造に関する仕事に10余年従事しましたが、この間、食品製造業の生産性が極めて低いことを実感し、食品工場の生産がもっと合理的に行えないかと思考し始めました。当時思い切ってZ-80マシンを買い、簡単なプログラムを作成するなどして、何とか生産性の向上を図れないかと考えていました。今から思えば素人としてはかなり早い時期に、MRPの真似事の様なことをしていたのです。

その後世界初の家庭用製パン器の開発に参加するために、船井電機㈱に入社しました。当時の船井電機は、トヨタ生産システム(TPS)を源流とする、船井生産システム(FPS)に取り組んでいましたが、食品企業しか知らない私には、FPSの考え方がよく理解できず、国内外の工場に何度も足を運び、実際の生産システムを体験しました。また、部品メーカーなど多くの工場を視察し、徐々にFPSの考え方や生産システムの重要性を理解していったのです。そしてこれを理解すればするほど、「食品製造業の生産性はなぜ低いのか」ということを、再び考えるようになりました。

 食品製造業の生産性は、製造業平均の約60%しかありません。なぜ電機製造業の生産性は高いのか、食品製造業と電機製造業の生産性の差はどこにあるのか。色々なことを考えました。そして、気づいたのが食品製造業には、生産管理に関するノウハウが不足しているということです。つまり今こそ、食品工場を対象とした生産管理の本が必要なのです。もちろん、既に生産管理の書籍は、たくさん出版されていますが、多くのものは機械工場を対象としています。食品製造業を対象としたものは見当たりません。読者諸兄にとっても、機械製造業を対象とする生産管理の本には違和感があるでしょうし、事例なども食品工場と余りにも違いすぎ、参考にならないように感じられていると思います。

 そのような事情のためか、「食品工場向けの生産管理の本を探したが、見つからないので、(私が)以前業界誌に連載していた、生産管理の記事の別刷りを送付して欲しい」とのメールなどが時々来ます。食品系の大学などでも生産管理の講義があるところは稀です。またそのような目的に使える教科書も無いようです。食品製造業は製造業中、従事者数最大の主要な製造業ですから、生産管理の知識は間違いなく必要ですが、その為には食品製造業向けの生産管理の教科書がなければなりません。

 生産性向上には熱意が必要ですが、熱意だけでは生産性は上がりません。そこには知識が不可欠なのです。そこで本書では、食品製造業に必要な生産管理の知識と考え方、生産管理の基本的原理に、食品工場に必要な食品安全や管理会計、さらに私が関わった食品工場の多くの改善事例を加えてまとめました。
現在の厳しい経済下で、最大の従事者数が勤務する日本の食品製造業が、今後も生き残り、さらに継続的発展を遂げるためには、生産性の向上が絶対に必要です。食品工場の生産性向上なくして、食品企業に勤務される皆さんの生活の向上もないと思います。本書をきっかけに、生産性の向上を目指す食品工場が少しでも増え、かつ効果が上がればこれにまさる幸せはありません。

2011年8月
奈良の寓居にて    弘中 泰雅 

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