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目で見てわかる塗装作業

定価(税込)  1,728円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-06725-9
コード C3043
発行月 2011年08月
ジャンル 化学

内容

経験や技能に負うところが多い塗装作業。本書は、最低限習得すべき塗装の初歩的な知識と基礎的な技能・コツを、目で見て理解できるように写真を多用してわかりやすく解説する。塗装の効果や欠陥についても言及する。

坪田 実  著者プロフィール

(つぼた みのる)
1949年 富山県生まれ
1972年 職業訓練大学校卒業
1975年 職業訓練大学校助手
1985年 工学博士(東京大学)
1987年 職業訓練大学校助教授
現在、職業能力開発総合大学校専門基礎学科 嘱託教員
色材協会理事、日本塗料検査協会理事、日本顔料技術協会理事

1982年色材協会論文賞、2006年度日本塗装技術協会論文賞を受賞、
2005~2006年度技能五輪国内大会「車体塗装」競技主査。

主な著書
「基礎をしっかりマスター ココからはじめる塗装」(日刊工業新聞社、2010)
「現場の疑問を解決する 塗装の実務入門Q&A」(日刊工業新聞社、2010)
「トコトンやさしい塗料の本」(共著、日刊工業新聞社、2008)
「塗料」(監修、共著、雇用問題研究会、2007)
「木工塗装法」(監修、共著、職業訓練教材研究会、2008)
「コーティング用添加剤開発の新展開」(監修、共著、シーエムシー、2009)
「塗料用語辞典」(編集、共著、技報堂出版、1993)ほか

目次

はじめに

第1章 塗装概論
1-1 塗装の目的
1-2 いろいろな塗り方
1-3 目で見てわかる塗装効果-道路に機能を与える塗装作業 
(1)再帰反射機能
(2)遮熱機能
(3)融雪機能

第2章 コンクリート建築物の塗替え作業
−あるマンションの大規模修繕工事から−
2-1 建築物の概要と劣化状況
(1)外壁タイルの浮き修繕
(2)防水工事
2-2 劣化状況
2-3 防水施工作業
(1)防水材のみで仕上げる作業
(2)防水シート・布着せ・防水材による複合作業
(3)階段の防水施工作業
2-4 外装塗替え作業
(1)躯体の割れ補修
(2)外装面の塗替え作業

第3章 木造建築物の塗装作業 
3-1 外装塗装の様式
3-2 白木塗装仕上げ
(1)白木仕上げの素地調整
(2)塗装系
3-3 海岸近くの木造建築物
(1)塗装設計について
(2)プライマーの選択
(3)塗装作業
(4)塗装後の診断
3-4 大鳥居(海中浸漬部分)の修復工事
(1)修復塗装工事の概要
(2)素地調整について
(3)欠損部の修復
(4)実際の修復作業

第4章 車の補修塗装作業
4-1 補修塗装工程一覧
4-2 補修例
(1)板金修正
(2)塗膜はく離
(3)板金パテ付け
(4)板金パテの研磨・フェザーエッジの形成
(5)ポリパテ付け
(6)ポリパテの研磨
(7)プラサフ塗装用マスキング
(8)プラサフ塗装
(9)プラサフ研磨作業
(10)上塗り準備
(11)ブロック塗装用マスキング
(12)塗料の調整(調色、粘度調整)
(13)上塗り
(14)マスキングはがし
(15)磨き
4-3 補修塗装工程に必要な機材と塗装材料
(1)サンダー類
(2)吹付け塗装装置
4-4 作業時の服装

第5章 こんな時にはどうするか
5-1 さびさせないための鉄部塗替え作業
(1)大型船舶の塗替え作業
(2)明石海峡大橋のメンテナンス
(3)鋼構造物素地調整
5-2 梅雨時の塗装作業
(1)梅雨時の特徴
(2)かぶり(Blushing、ブラッシング)
(3)塗膜の白化機構
(4)塗装時の結露対策
(5)発熱塗料の結露防止効果
5-3 テーブル上にできた白いシミ
(1)白いシミが語ること
(2)白化原因の推定
(3)原因解明のための実験
(4)浸せき温水槽と白化の確認
5-4 下地が透けて見えるとき
(1)役に立つテクニック
(2)上塗りの隠ぺい力をカバーするテクニック
5-5 車の補修塗装-応用編
(1)小さな擦り傷への対応
(2)スポット塗装のテクニック

Column
(1) 天然杢化粧板の塗膜構成
(2) Star模様のつくり方
(3) 鮮映性を良くするためには?
(4) レべリング現象とは?
(5) 新車塗膜の表面あらさプロフィール例
(6) 光の挙動と色の見え方

索引

はじめに

 東日本大震災は言葉を失うほど強烈で、我々に大きな課題を投げかけています。人間がいかに弱く、繊細な動物であるかを見せつけられました。渦中の人達は生きるという純真な考え方でマイナスからの生活を立て直そうと努力しています。家族とのつながり、地域の連帯力、日本中からの支援がこの危機を救っていくものと信じています。
 資源のない日本が生きていく道はものづくりの能力を高めていくことです。雇用が確保され、安定した収入を得る方法は品質本意の製品を輸出していくことです。そのためには科学・技術・技能を伝承するという思想が着実に根付かねばなりません。大学・大学院の教育では科学の分野を広げていますが、技能となると専門的に取り上げる風潮がありません。要はアイデアが先行し、技能は下部機関に任せたらよいという考えが一般的になっているからです。とりわけ、一般の方々は塗装技能に魅力を感じられないようです。
 ものづくりは分業で成り立っています。塗装は仕上げといわれるように、最終段階の作業で、単独で存在することはできません。常に被塗物があり、その表面を覆う作業です。被塗物によって、塗料も塗装方法も異なることが多々あります。経験を通し、良い塗装仕上げを達成するには、被塗物を知ることが大切だとわかり、塗装の道を極めるほどに、困難な壁が立ちはだかってきます。でも、そんな時に、「安心してください。先人達の道しるべがありますよ」といって励ましてあげたいと思います。

 そのような教科書的な指導書ができれば良いなと考えて、職業訓練界の教科書を数冊執筆してきましたが、いろいろな制約と努力不足もあり、必ずしも読みやすいものにはなりませんでした。そんな折り、日刊工業新聞社の奥村功氏から「目で見てわかるシリーズ」の執筆をしないかという話しを聞き、勇気が出ました。最少限の字数で説明し、図表で人に理解させる方式です。これまでの出版物を見せていただきましたが、なかなか構想がまとまりませんでした。結論は、実際の作業をいかにうまく紹介できるかに絞ろうと思い、各方面の方々にお願いして取材をさせていただきました。

 第1章では、アトミクス(株)、(株)ミラクール様、第2章では、丸山工業(株)、新垣防水の皆様、(株)、鹿沼の皆様、第3章では、(株)、アポロ工芸社・高橋保氏から経験談を通じて塗装の本質を教えていただきました。さらに、第4章では、JA損害調査㈱の皆様に多大なご協力をいただき、車補修の工程ごとにたくさんの写真を撮っていただきました。第5章では、関西ペイント(株)で取材をさせていただきました。この場を借りてお礼申しあげます。
 また終始、編集上のアドバイスをいただきましたエム編集事務所の飯嶋光雄氏にも厚く御礼申し上げます。

 本書から、一般の方には塗装作業を少しでも理解してもらえれば嬉しい限りです。もし、塗装作業に興味を持たれ、この道で自分を高めたいと思われる方が一人でも出ることになれば望外の喜びです。

2011年8月
坪田 実

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