買い物かごへ

ナットク現場改善シリーズ
よくわかる「異常管理」の本

定価(税込)  2,052円

監修
著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-06718-1
コード C3034
発行月 2011年07月
ジャンル 生産管理

内容

検討に検討を重ね、細心の注意を払って準備しても、いざ仕事を始めると問題やトラブルなどが発生する。こうした状況に対応するために考え出されたのが「異常管理」。本書は具体的事例を用いてわかりやすく解説した異常管理の入門書。製造業のみならず非製造業でも活用できる内容になっている。

澤田善次郎  著者プロフィール

(さわだ ぜんじろう)
椙山女学園大学 教授
経歴
1966年 名古屋工業大学経営工学科卒業
博士(経済学・九州大学)、技術士、中小企業診断士
所属学会 日本生産管理学会会長、標準化研究学会会長、日本経営学会、日本経営工学会、日本品質管理学会正会員
主な執筆 『CIMと経営管理』『生産管理総論』『品質管理』『工程管理』他(日刊工業新聞社)など多数

弘中泰雅  著者プロフィール

(ひろなか やすまさ)
テクノバ株式会社 代表取締役
経歴
1976年 鹿児島大学大学院水産研究科修了
1976年 松月堂製パン株式会社入社 研究室課長、製造課長等歴任
1987年 船井電機株式会社入社 電化事業部技術次長(技術責任者)
世界初の家庭用製パン器の開発に携わる
1988年 農学博士(九州大学)
2000年 テクノバ株式会社設立 生産管理ソフト開発
2006年 ベストITサポーター賞受賞
食品工場等の指導多数 ISO22000審査業務
所属学会 日本生産管理学会、日本食品科学工学会、日本穀物科学研究会
主な執筆 月刊食品工場長(日本食糧新聞社)「目指せ!生産性向上 連載」、食品工業(光琳) 「生産性の視点から見た食品製造業」、ISOマネジメント(日刊工業新聞社)など多数

目次

はじめに  

第1章 異常管理とは
 1―1 異常とは  
 1―2 異常管理とは  
 1―3 製造現場の異常管理  
 1―4 目的の目標(P・QCDSEM)別異常管理  
 1―5 要素(5M1JP)別異常管理  

第2章 異常管理はなぜ必要か
 2―1 事前防止  
 2―2 異常発見・確認・処理  
 2―3 再発防止  

第3章 現場の異常管理の考え方・進め方
 3―1 職場の置かれている環境  
 3―2 異常管理の手順とポイント  
 3―3 異常の定義  
 3―4 異常報告書  
 3―5 気付き・考え・行動する  

第4章 現場における異常低減活動
 4―1 方針(目標・施策)の立案  
 4―2 実施計画書の作成  
 4―3 組織の構成  
 4―4 異常低減活動の雰囲気醸成  
 4―5 異常管理活動実施のポイント  
 4―6 異常管理活動の定着  
 4―7 標準化と歯止め  
 4―8 異常管理教育  
 4―9 異常管理活動成功の条件  
 4―10 異常低減・日常活動の進め方  

第5章 種々の異常管理
 5―1 利益の異常管理  
 5―2 品質の異常管理  
 5―3 原価の異常管理  
 5―4 納期・量・開発・生産期間・在庫の異常管理  
 5―5 安全衛生の異常管理  
 5―6 環境の異常管理  
 5―7 士気の異常管理  
 5―8 人の異常管理  
 5―9 機械の異常管理  
 5―10 部品・材料の異常管理  
 5―11 方法の異常管理  
 5―12 計測の異常管理  
 5―13 金型・冶工具の異常管理  
 5―14 異常管理の制度化(体系図、規定・標準・基準、役割分担……)  

第6章 異常管理実践のためのノウハウ
 6―1 異常管理実践のポイント  
 6―2 異常管理のツール  
 6―3 管理図  
 6―4 プロセス系の異常管理ツール  
 6―5 異常管理の失敗に学ぶ  
 6―6 問題発見・解決に役立つ観察力強化  
 6―7 問題解析・原因究明の具体例  

第7章 異常管理は進化する
 7―1 事務部門の異常管理  
 7―2 間接部門の異常管理  
 7―3 営業部門の異常管理  
 7―4 研究・開発部門の異常管理  
 7―5 技術部門の異常管理  
 7―6 物流・搬送部門の異常管理  
 7―7 流通部門の異常管理  
 7―8 工事部門の異常管理  
 7―9 サービス部門の異常管理  
 7―10 食品産業の異常管理  
 7―11 消費者の異常管理  

第8章 苦情・クレーム管理
 8―1 苦情・クレームとは  
 8―2 苦情・クレーム管理  
 8―3 苦情・クレーム管理の体制  
 8―4 苦情・クレーム対応の留意点  
 8―5 苦情・クレーム処理  

はじめに

 リコールなどの大きな品質事故が、残念ながら時折発生する。青天の霹靂(青天ににわかに起きる雷)ということわざがあるが、突然に起こる変動または急に生じた大事故・大事件などが、発生したときなどによく使われる。大きな製品事故なども、突然起きたかのように思われている。ところで品質事故などの多くは、本当に突然に起きた青天の霹靂であろうか。

 大事故でも調べていくと、そう言えば「こんなことが昨日あった」とか、「何かいつもと違う感じがした」とか、「変なにおいがした」とか、多くの場合、事前にわずかな予兆(常態と異なる異常)が現れているものだ。表面的には突然発生したように見えるものであっても、事故は突然起きたのではないことが多い。必ずと言っていいほど、事前に予兆は現れている。多くの場合、その仕事に関わった人の中に、大事故につながる“いつもと違う予兆(異常)”に、気付いていた人がいる。あのとき、それに着目して対策を講じていれば、こんなことは起きなかったと後悔する。

 突然起きたかに思える製品やサービスの事故・事件の多くが、このように予兆(異常)を伴っている。これをうまく管理できれば、事故や災害は防げるのではないか、というのが本書の狙いである。すなわち予兆に気付き、適切に対応すれば、事故や災害などの異状を防ぐことができる。これこそ異常(予兆)管理の狙うところである。本書では今まで機械工場に偏りがちであった事例を、電機、食品など広範囲に取り上げてみた。

 異常は発見できても、異常の発生する真の原因を、把握することは案外難しい。本書では見つけた異常の原因を、探る方法についても例をあげてみた。異常が実際に発生し、それを解決しなければならない場合に、多少の参考にはなるのではないか期待している。また、異常管理に必要な感性、知識、能力、組織、仕組みを、どのように強化するかについても、この本では述べてみた。突然発生するように感じられる地震ですら、正確な予報を行う可能性を探るため、関連する予兆がないか、科学的に調べられている。時代も変わり、科学も進歩する中で、異常管理も変わらねばならない。異常管理の利用拡大、今後についても述べてみた。

 いずれにしても人が作る製品やサービスに、事件や事故、製品不良の可能性が付きまとう。それらには原因・要因があり、必ず因果関係がある。だとすれば大きな事故が発生する前に、予兆段階でその発生を、食い止めることは可能であろう。しかし人間の行為に完璧はなく、残念ながら苦情やクレームから、完全に免れることはできない。それなら苦情やクレームを、前向きに受けとめ、新たな品質向上の糧にすることも考えられる。そのような姿勢で、苦情・クレーム管理についても述べた。異常管理の実行による品質の向上という、大きな目標のために小書がお役に立てば望外の幸せである。

 監修して頂いた日本生産管理学会会長・澤田善次郎先生、並びに事例をご提供して頂いた副田武夫先生に厚く御礼を申し上げるとともに、先生方のご健勝とますますのご活躍をお祈りしたい。最後に、未曽有の東日本大震災の発生した年に、異常管理の本を出版させていただくのも感慨深いものがある。犠牲になられた方々の、ご冥福をお祈りするとともに、被災された皆様が一刻も早く、日常を取り戻していただけるよう願いたい。

2011年5月    
著 者  

買い物かごへ