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チタンの溶接技術
第2版

定価(税込)  2,808円

監修
著者
サイズ A5判
ページ数 192頁
ISBNコード 978-4-526-06717-4
コード C3057
発行月 2011年07月
ジャンル 金属

内容

チタン加工の中で最も困難な加工と言われる溶接について初心者でもわかるよう図・写真を用いて平易に解説したもの。第1版から新たに「チタンと異種金属との溶接」や、チタンのハイブリッド溶接(TIG+レーザ等)、またチタンのFSW溶接などを追加したほか、JIS規格の改訂に対応した。

上瀧洋明  著者プロフィール

(こうたき ひろあき)
1962年 東京大学工学部大学院修士(治金学科)卒業
      富士製鐵(株)入社
1985年 新日本製鐵(株)チタン部にてチタン製品の開発事業に従事
1988年 日鐵溶接工業(株)に出向.チタン溶接技術開発,製品開発及び営業.
現 在  (社)日本チタン協会 コンサルタント
      日本溶接協会規格委員会委員
      米国溶接協会(AWS)A5K,G2D委員
連絡先   〒101―0054 東京都千代田区神田錦町2―9大新ビル7F
      TEL 03(3295)5958 FAX 03(3293)6187
      URL http:/www.titan―japan.com
      e―mail kotaki@titan―japan.com

目次

はじめに

第1章 チタンの概要
    1.1 チタンの種類  
     1.1.1 チタンの基礎知識  
    1.2 チタンの特性  
    1.3 チタンの製造方法  

第2章 チタンの接合
    2.1 チタンの接合方法  
    2.2 アーク溶接  
     2.2.1 ティグ(TIG)溶接  
     2.2.2 ミグ(MIG)溶接  
     2.2.3 プラズマ溶接  
    2.3 高密度エネルギー溶接  
     2.3.1 電子ビーム溶接  
     2.3.2 レーザ溶接  
    2.4 抵抗溶接  
     2.4.1 抵抗溶接の概要  
     2.4.2 スポット溶接  
     2.4.3 シーム溶接  
     2.4.4 インダイレクト抵抗溶接  
     2.4.5 プロジェクション溶接  
    2.5 ろう接  
     2.5.1 ろう接の概要  
     2.5.2 ろうの種類と接合部の品質  
    2.6 圧接  
     2.6.1 圧接の概要  
     2.6.2 爆発圧接  
     2.6.3 圧延圧接  
     2.6.4 摩擦圧接  
     2.6.5 拡散接合  
    2.7 摩擦撹拌接合(FSW)  
     2.7.1 摩擦撹拌接合の概要  
     2.7.2 摩擦撹拌接合の原理  
     2.7.3 摩擦撹拌接合の工具  
     2.7.4 摩擦撹拌接合の今後  
     2.7.5 サーマル スター ウエルディング  
    2.8 その他の接合方法  
     2.8.1 機械接合  
     2.8.2 接着  

第3章 チタンと異種材料との溶接
    3.1 「チタン」と異種材料の接合におけるポイントと問題点  
    3.2 抵抗溶接による「チタン」と異種金属の溶接   
     3.2.1 「チタン」と異種金属の抵抗溶接  
     3.2.2 インサート材(ニッケル,銀)を使用した抵抗溶接  
     3.2.3 インサートなしの抵抗溶接  
    3.3 「チタン」と異種材料のろう付  
     3.3.1 「チタン」と異種材料のろう付に適したろう  
     3.3.2 チタンクラッド鋼板のろう付  
     3.3.3 ミグ溶接機を用いた「チタン」とステンレス鋼のろう付  
    3.4 爆着による「チタン」と異種金属の接合  
    3.5 圧延圧着による「チタン」と異種金属の接合  
    3.6 摩擦圧接による「チタン」と異種材料との接合  
    3.7 摩擦撹拌接合(FSW)による「チタン」と異種金属の接合  
     3.7.1 異種材料接合に適した摩擦撹拌接合  
     3.7.2 「チタン」と異種金属の摩擦撹拌接合におけるポイント  
    3.8 拡散接合による「チタン」と異種材料の接合  
    3.9 溶融溶接による「チタン」と異種金属の溶接  
     3.9.1 溶融溶接による異種金属溶接  
     3.9.2 「チタン」と異種金属のミグ溶接  
     3.9.3 「チタン」と異種金属のレーザ溶接  
     3.9.4 「チタン」と異種金属のティグ溶接の実例  
    3.10 レーザロール溶接による「チタン」と異種金属の接合  

第4章 チタンのティグ(TIG)溶接
    4.1 チタンのティグ溶接の特徴  
    4.2 溶接母材  
     4.2.1 「チタン」同士の溶接  
     4.2.2 「チタン」と他の金属との溶接・接合  
    4.3 溶加材  
     4.3.1 フィラー溶接とノン・フィラー溶接  
     4.3.2 溶加材の材質と規格  
     4.3.3 溶加材の品質上の注意点  
    4.4 溶接装置  
     4.4.1 溶接電源  
     4.4.2 制御装置  
     4.4.3 溶接トーチ  
     4.4.4 電極  
     4.4.5 イナートガス装置  
    4.5 イナートガス・シールド  
     4.5.1 シールド装置  
     4.5.2 トーチシールド  
     4.5.3 アフターシールド治具  
     4.5.4 バックシールド治具  
     4.5.5 イナートガス溶接チャンバー  
    4.6 継手と開先  
     4.6.1 溶接継手  
     4.6.2 開先形状と寸法  
     4.6.3 溶接前の寸法精度  
     4.6.4 開先の加工  
     4.6.5 開先のコンタミネーション防止  
    4.7 溶接条件  
     4.7.1 溶接条件の因子  
     4.7.2 標準的溶接条件例  
    4.8 溶接の事前確認事項  
     4.8.1 安全  
     4.8.2 防塵、防風  
     4.8.3 溶接部の清掃  
     4.8.4 シールドの確認  
     4.8.5 溶接記号  
    4.9 仮付け溶接と押さえ治具  

第5章 ティグ(TIG)溶接の作業基準
    5.1 溶接の開始と終了  
     5.1.1 溶接の開始  
     5.1.2 溶接の実施  
     5.1.3 溶接の終了  
    5.2 溶加材の添加  
     5.2.1 溶加材の溶融  
     5.2.2 ウイービングとストリンガー・ビード  
     5.2.3 溶加材の添加位置  
     5.2.4 溶加材のコンタミネーション防止  
    5.3 溶接ビード  
     5.3.1 溶接ビードの形状と外観欠陥  
     5.3.2 多層溶接  
     5.3.3 溶接姿勢  
     5.3.4 溶接後の熱処理  
     5.3.5 溶接歪みの防止  
    5.4 溶接後の補修  
     5.4.1 溶接部の補修  
     5.4.2 表面変色の脱色  

第6章 溶接部の試験・検査と技術者検定
    6.1 チタン溶接部の試験・検査  
     6.1.1 試験の種類  
     6.1.2 試験の概要  
    6.2 チタン溶接技術者の検定  
     6.2.1 チタン溶接技術検定受験のすすめ  
     6.2.2 技術検定の項目  
     6.2.3 判定  
     6.2.4 シールド治具などの準備  

おわりに  
索  引

はじめに

 チタンは、軽く、強く、耐食性に優れ、アレルギーを起こしにくいなどの理由から、近年多くの用途が開発され、注目を浴びている。
 従来からの用途である航空機などの機械部品のほかに、屋根や壁などの建材、またゴルフクラブや自転車といったスポーツ用品、さらには食器や人工骨などにいたるまで高付加価値製品を中心に幅広く使われるようになった。チタンの摩擦撹拌接合(FSW)やチタンと異種材の溶接や接合技術など、新技術の研究・開発も進んでいる。CFRPの使用拡大に伴うチタンの新用途、電気自動車など、チタンの用途も急速に広がりつつある。
 チタン加工業への需要も高まりつつある。今は、従来のチタン加工技術をレベルアップすること、および新規の加工企業の参入の両方が求められている。
 チタンは難加工材といわれ、特にチタンの溶接は困難といわれている。
 本書はこれからチタンの溶接分野に参入しようとする企業や新規開発研究会、および従来チタン溶接を行っており、さらにレベルアップを考えている管理者や技術者など金属加工関連メーカーを主な対象として書かれたものである。
 内容としては、最も基本となるティグ手溶接を深く学び、チタン溶接のJIS検定試験の準備にも役立てるとともに、摩擦撹拌接合(FSW)をはじめとする新しく開発されつつある技術を加えた各種の接合技術、チタンと異種材料の接合技術などを紹介する。
 チタンの溶接は決して困難なものではないと筆者は考えている。
 チタンのティグ溶接およびミグ溶接の技術試験がJIS Z3805やISO9605で規定された。これらはチタンの溶接技能の重要性をよくあらわしている。今後、これらの資格を取得することは大変役立つことは間違いない。
 金属としてのチタンは鉄鋼や銅などの金属と比べて歴史の浅い金属である。1948年にルクセンブルグの冶金学者クロール博士が金属チタンのもとであるスポンジチタンの工業的製造に成功して以来、その加工に関する技術やノウハウの蓄積が未だ十分とはいえない。特に現在、日常的に使われている鉄鋼、ステンレス、アルミニウムなどと比べると、基盤データの量や技術の標準化、などで立ち遅れている。
 従来よりこの溶接に取り組んできた企業は、独自のノウハウやデータを持っているが、こうした情報は一般的に公表されていない。
 本書では、チタンの溶接技術全般を広く学ぶとともに、特に重要なティグ溶接について、できるだけ初歩的なところから詳しく整理し、その条件設定の具体的事例を含めて紹介して、読者諸氏の手引きとなるよう心掛けた。
 各章ごとの内容は以下のとおりである。
 第1章 加工材のとしてのチタンの概要
 第2章 チタンの溶接・接合の種類とその概要
 第3章 チタンと異種材料の溶接
 第4章 チタンティグ溶接の具体的な方法と溶接条件の設定に関する事例
 第5章 チタンティグ溶接の作業ごとの留意点
 第6章 溶接品質の試験・検査の方法と評価、溶接技能検定の概要

 本書は2000年3月に初版が発行され、好評を頂き第3刷まで続いた。この度、チタン溶加材の日本工業規格JIS Z3331が大きく改定されたのを機会に、新規格、ISO表示、新しく開発された技術および開発中の研究動向を加えて改定版を発行することになった。
 本書の執筆に当たり、溶接分科会をはじめとする(社)日本チタン協会の方々、また資料を提供して下さった関係各位に深く感謝致します。
 本書が溶接技術者の技術向上および我が国のチタン加工技術の向上に役立つことを希望している。

2011年7月  著 者

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