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ビジネス表現のためのオブジェクト指向
―拡張UMLを用いたビジネスモデリング―

定価(税込)  2,592円

著者
サイズ A5判
ページ数 224頁
ISBNコード 978-4-526-06703-7
コード C3034
発行月 2011年06月
ジャンル コンピュータ・情報

内容

オブジェクト指向は、現在のシステム開発の世界で広く使われている最新の手法だが、「システム開発専用」となってしまっている。本書は、その考え方をビジネス界で活用できるようにするため、オブジェクト指向をベースとして拡張UMLを用いたビジネスモデリング方法論を解説したもの。

芳賀正彦  著者プロフィール

(はが まさひこ)
(株)三井住友銀行 統合リスク管理部グループ長兼国際市場システム部上席部長代理、(株)日本総合研究所 金融業務企画部長、同 金融ソリューション事業本部長などを経て、現在、さくら情報システム(株)開発本部 部長(企画担当)。情報システムの提供者、及びユーザー部署の両者の立場から情報システムのあるべき姿を研究。専門はビジネスモデリング。
ビジネスモデル学会会員。
【前著】
『金融商品のモデリング』近代セールス社(2001年)(2002年 海外出版)
『図解 上級SEのためのビジネスモデリングテクニック─機能ユニットモデルの方法論─』日刊工業新聞社(2004年)

目次

はじめに

第1章 ビジネスのモデル化
1. 1 ビジネスモデリングの前提
1. 1. 1 静的モデル・動的モデル
1. 1. 2 見える化
1. 1. 3 モデルとIT
1. 1. 4 システム開発におけるビジネスのモデル化
【コラム】オブジェクト指向
1. 2 ビジネスモデリングの視点 ─5W2H+R─
1. 2. 1 WHAT(何を)
1. 2. 2 WHY(なぜ、何を目的に)
1. 2. 3 WHEN(いつ)
1. 2. 4 WHO(誰が)
1. 2. 5 WHERE(どこで)
1. 2. 6 HOW(どのように)
1. 2. 7 HOW MUCH(売上・収益・コスト・所要時間・人員数)
1. 2. 8 その他
1. 3 ビジネスモデル表記法の要件
1. 3. 1 ビジネスファクターの表現 ─ビジネスモデル表記法の要件①─
1. 3. 2 分かりやすさ ─ビジネスモデル表記法の要件②─
1. 3. 3 BPR/BPMとの親和性 ─ビジネスモデル表記法の要件③─
【コラム】ABC/ABM
1. 3. 4 システム開発との親和性 ─ビジネスモデル表記法の要件④─
第1章のまとめ

第2章 既存のモデリング手法
2. 1 フローチャート
2. 1. 1 フローチャートの概要
2. 1. 2 フローチャートの特徴
2. 1. 3 フローチャートの記法
2. 1. 4 ビジネス表現上のメリット・デメリット
2. 2 DOA(Data Oriented Approach)
2. 2. 1 DOAの概要
2. 2. 2 DOAの特徴
2. 2. 3 DOAの記法
2. 2. 4 ビジネス表現上のメリット・デメリット
2. 3 IDEF(Integrated DEFinition methods)
2. 3. 1 IDEFの概要
2. 3. 2 IDEFの特徴
2. 3. 3 IDEFの記法
2. 3. 4 ビジネス表現上のメリット・デメリット
2. 4 BPMN(Business Process Modeling Notation)
2. 4. 1 BPMNの概要
2. 4. 2 BPMNの特徴  
2. 4. 3 BPMNの記法
2. 4. 4 ビジネス表現上のメリット・デメリット
2. 5 UML(Unified Modeling Language:統一モデリング言語)
2. 5. 1 UMLの概要
2. 5. 2 UMLの特徴
【コラム】UMLに対する批判
2. 5. 3 UMLの記法
【コラム】クラス、インスタンスとオブジェクト
2. 5. 4 ビジネス表現上のメリット・デメリット
2. 6 既存手法の総括
2. 6. 1 分かりやすさ
2. 6. 2 BPRとの親和性
2. 6. 3 静的構造の表現
2. 6. 4 ITとの親和性
2. 6. 5 ビジネスファクターの表現

第3章 ビジネス表現のためのUMLの拡張
3. 1 ビジネスモデリング手法の目的と対象者
3. 2 ビジネス表現のための拡張要件
3. 2. 1 ベースモデル
3. 2. 2 UMLの拡張要件
第3章のまとめ

第4章 UML拡張の概要
4. 1 UML拡張の全体概要
4. 1. 1 機能ユニット、機能ユニットモデル
4. 1. 2 3種のモデル
4. 1. 3 モデル間の関係
4. 2 機能モデル ─静的モデル─
4. 2. 1 オブジェクト抽出
【コラム】ビジネスオブジェクトと情報システム上のオブジェクト①
4. 2. 2 オブジェクトの表記と用語
4. 2. 3 ユニット間の関係
4. 2. 4 機能ユニット抽出の方針
【コラム】ビジネスオブジェクトと情報システム上のオブジェクト②   
4. 2. 5 機能ユニットの属性
4. 2. 6 描画キャンバス
4. 3 プロセスモデル ─動的モデル─
4. 3. 1 基本記法
4. 3. 2 フローの表現
4. 3. 3 コスト、時間の計測 ─モニタリング、シミュレーション─   
4. 3. 4 プロセス部品
4. 3. 5 業務イベント
4. 3. 6 その他のイベント属性とモデルヘッダー情報
4. 3. 7 イベント一覧表
4. 3. 8 プロセスモデル間の関係
4. 4 組織モデル
4. 4. 1 組織ユニットと組織番号
4. 4. 2 組織モデルの基本形
4. 4. 3 情報システム・外部組織
4. 4. 4 アイコンと描画キャンバス
4. 4. 5 職位の表現
4. 4. 6 売上、収益、コスト、人員の管理
【コラム】インスタンスと組織モデル
4. 5 UML及び既存手法との関係
4. 5. 1 機能モデル ─静的モデル─
4. 5. 2 プロセスモデル ─動的モデル─
4. 5. 3 組織モデル他
第4章のまとめ

第5章 機能ユニットモデルの前提
5. 1 各モデルの目的
5. 2 モデリングの順序
5. 3 ソフトウェアツール
第5章のまとめ

第6章 機能モデルの実際
6. 1 機能モデルのパターン
6. 1. 1 メーカー
6. 1. 2 小売業
6. 1. 3 商 社
6. 1. 4 銀 行
6. 1. 5 ソフトウェアベンダー
6. 2 機能モデルの階層展開
6. 2. 1 階層展開の例① ─経理ユニット─
6. 2. 2 階層展開の例② ─人事ユニット─
6. 2. 3 階層展開の例③ ─総務ユニット─
6. 2. 4 階層展開の例④ ─営業ユニット─
6. 2. 5 階層展開の例⑤ ─商品─
6. 2. 6 階層展開の例⑥ ─顧客─

第7章 プロセスモデル
7. 1 プロセスモデルのパターン
7. 1. 1 受注プロセス
7. 1. 2 納品プロセス①
7. 1. 3 納品プロセス② ─売上計上プロセス─   
7. 1. 4 交通費精算
7. 1. 5 書籍販売
7. 1. 6 SCM(サプライチェーン・マネジメント)

第8章 組織モデル
8. 1 組織モデルの例
8. 1. 1 組織モデルの例 ─全社レベル─
8. 1. 2 部門の組織モデル
8. 1. 3 その他の組織・職位の表現

第9章 システム開発作業との連携
9. 1 UMLへの成果物継承
9. 2 ダイアグラムの関係
9. 2. 1 機能モデル─クラス図
9. 2. 2 プロセスモデル─アクティビティ図・シーケンス図
9. 3 開発工程上の位置付け
第9章のまとめ

第10章 機能ユニットモデルの特徴と適用分野
10. 1 機能ユニットモデルの特徴
10. 1. 1 分かりやすさ
10. 1. 2 大規模・複雑系への適合性
10. 1. 3 遂行手段の表現
10. 1. 4 モデル表現の正規化
10. 1. 5 モデルの安定性・再利用性   
10. 1. 6 オブジェクト指向
10. 1. 7 メソッドと属性の抽出
10. 1. 8 コスト・時間・シミュレーション・モニタリング
10. 1. 9 リスクの表現
10. 1. 10 ビジネスの総合表現力
10. 2 機能ユニットモデルの適用
10. 2. 1 機能ユニットモデル=企業の設計図+業務マニュアル
10. 2. 2 システム要件定義
10. 2. 3 超上流工程への適用
10. 2. 4 ITベンダー ─ノウハウの可視化と組織的共有─
10. 2. 5 コンサルティング
10. 2. 6 EA(Enterprise Architecture)
10. 2. 7 SOA(Service Oriented Architecture)
10. 2. 8 企業活動の可視化、BPR/BPM
第10章のまとめ

おわりに
【参考文献】

はじめに

 オブジェクト指向は、現在のシステム開発の世界で広く使われている最新の手法であり、その分析・設計記法はUML(統一モデリング言語:Unified Modeling Language)によって標準化されている。
 オブジェクト指向の考え方は、対象領域から「独立性の高い概念」や「モノ」をオブジェクトとして切り出し、これを基にモデル化を図る手法である。このような考え方は人間の思考回路との親和性も高く、大規模で複雑な領域のモデル化にも適合性が高い。
 オブジェクト指向はシステム開発の世界で活用されている手法ではあるが、情報システムには人間の活動をモデル化したものという側面があり、また、この中でも人間のビジネス活動がシステム化の対象となる場合が多い。このような意味で、システムモデリングは人間の活動、或いはビジネス活動をモデル化しようとするアプローチでもある。ビジネスモデリングも、結局は人間のビジネス活動のモデル化を意味するものであるため、システムモデリングとビジネスモデリングは共に重なる部分も多く、両者は本来的に近い関係にある。したがって、オブジェクト指向の考え方はシステム開発だけでなく、より広くビジネス分析やビジネスモデリング全般に適用し活用できるだけのポテンシャルがある。
 一方で、一般のビジネスマンはUMLという言葉を知らないし、システム関係者以外の一般のビジネスマンが、オブジェクトベースの本来的なUMLの記法を用いてビジネスをモデル化したという事例もほぼ皆無といってよい。
 UMLには多種のダイアグラムがあり、それぞれに数多くの特殊な記号があって、初見でその意味が分かるようなものではない。その複雑さはUMLの理解度や活用力を認定するための試験が存在するほどである。また、仮にこれらを理解したとしても、「システム開発専用」というべき現在のUMLの記法はビジネス表現に適しているとは言えず、ビジネス界がUMLを受け入れず、興味も示さない理由はここにある。
 このようにして、ビジネス界は優れた特質をもつオブジェクト指向のメリットを享受できずに今日に至っている。また、オブジェクト指向技術の標準の位置付けにあるUMLもビジネス界の視点やニーズを正しく認識しているようには見えない。これはビジネス界にとって大きな損失といえる。
 
 それでは、オブジェクト指向の考え方をベースにビジネスをモデル化し、これによってビジネス関係者がオブジェクト指向のメリットを享受できるようにするには、UMLに何を加え、UMLから何を取り除けばよいのだろうか。
 本書を通じて、読者のみなさんと共にこれを考えていければ幸いである。

 2011年6月
 芳賀 正彦

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