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工程順でわかる
はじめてのプレス粉体成形

定価(税込)  2,376円

著者
サイズ A5判
ページ数 144頁
ISBNコード 978-4-526-06709-9
コード C3053
発行月 2011年06月
ジャンル 機械

内容

各プレス技術を工程に沿って解説する「工程順でわかる」シリーズ第2弾。プレス粉体成型について、そのポイントである粉末の高密度化、均一化などを中心に、粉体成型品ができるまでを工程順に丁寧に紹介している。

浅見淳一  著者プロフィール

(あさみ じゅんいち)

工学博士。1970年早稲田大学理工学部金属工学科卒業後、東京都立工業技術センターに入所。1999年芝浦工業大学非常勤講師(粉体成形)。2008年(独)中小企業基盤整備機構 研究開発専門員。
主な著書に(社)精密工学会編「新版 精密工作便覧」コロナ社(1992)分担執筆、(社)粉体粉末冶金協会編「粉体粉末冶金用語事典」日刊工業新聞社(2001)分担執筆、(社)粉体粉末冶金協会編「粉体粉末冶金便覧」内田老鶴圃(2010)分担執筆。

目次

第1章 粉体成形入門のための予備知識
1.1 粉体成形とは
(1)物質の三態と粉体
(2)粉体材料の加工

第2章 粉体成形品ができるまで
2.1 プロセス図による全体の流れ
(1)複雑形状・高精度化に対応した成形・焼結工程
(2)3次元形状に対応した成形・焼結工程
(3)焼結抜きでの磁気特性付与の成形工程
(4)高密度化に対応した成形・焼結工程
2.2 粉体成形における焼結機械部品の考え方

第3章 第1工程:粉体の製造
3.1 金属粉体の製造方法
3.2 金属粉体の成形に及ぼす特性

第4章 第2工程:粉末混合
4.1 粉体成形における粉末混合
4.2 粉末混合における偏析
4.3 機械的合金化法

第5章 第3工程:圧粉成形
5.1 圧粉成形メカニズム
5.2 鉄粉の成形特性
5.3 粉体成形における潤滑
5.4 粉体成形設備の特徴
5.5 高圧成形
5.6 温間成形
5.7 金属粉末射出成形(MIM)

第6章 第4工程:焼結
6.1 焼結のメカニズム
6.2 鉄粉の焼結
6.3 液相焼結
6.4 焼結炉

第7章 第5工程:焼結による高密度化
7.1 造粒粉の焼結
7.2 焼結鍛造
7.3 加圧焼結
7.4 焼結接合

第8章 第6工程:後加工・処理
8.1 サイジング
8.2 機械加工
8.3 熱処理
8.4 含油処理およびその他

第9章 焼結機械部品の開発事例
9.1 事例に見る粉体成形の特性
(1)焼結接合-ハイブリッド自動車用モーターロータ
(2)粒子分散系複合材料-次世代高速車両用制輪子ライニング
9.2 複雑形状部品にみる粉体成形の特性
(1)多段成形(CNCプレス)-シンクロナイザー・ハブの複雑形状化
(2)一体化による工数低減-ハウジング一体型スプロケット
(3)最適形状設計の自由度-新歯形形状オイルポンプロータ
(4)機械加工不利な形状の焼結化-偏芯オルダムリング
(5)ヘリカル成形-薄肉・長尺ハス歯歯車(ヘリカルギア)
9.3 含油軸受にみる粉体成形の特性
(1)建設機械用ブッシュ
(2)小型焼結含油軸受
(3)超高速ポリゴンスキャナーモーター用焼結含油軸受
(4)DLP用高温・高速・長寿命軸受
(5)バルブガイド
9.4 材料強度信頼性の確保
(1)カーエアコン用メカニカルヒューズ
9.5 粉体成形独自分野
(1)急冷凝固粉末による新材料創生-薄肉粉末押出しアルミスリーブ
(2)硬質物質・固体潤滑剤分散複合材料-CNG自動車エンジン用バルブシート
9.6 圧粉磁心-粉体成形有利-
(1)粉体成形による3次元形状-モーターロータ用圧粉磁心
(2)鉄粉の処理-車載リアクトルコア用高密度・低損失圧粉磁心
(3)鉄粉の処理-電磁鋼板と同等の低鉄損を示す圧粉磁心
(4)バインダー・潤滑剤添加およびカップリング処理-高寸法精度・薄肉長尺の圧粉磁心
9.7 その他の粉体成形の特性が見られる事例
(1)焼結材料の欠点回避-グリーンマシニング(圧粉体の機械加工)
(2)アンダーカット形状(CNCプレス)-CNCプレスによる型出し化
(3)シンターハードニング-Cr系高強度・高靱性鉄系焼結材料
(4)鋳包み(いぐるみ)-アルミダイカストへの複合加工用鉄系焼結材
(5)MIM による3次元形状-MIMによる複雑形状・高強度化
(6)MIMの矯正-MIM部品のフルネットシェイプ化
(7)転造加工付与-歯面高面圧性のための部分高密度化

おわりに
索 引

はじめに

 粉体成形とは、一般的には粉末冶金と呼ばれる技術分野です。金属粉末を材料として、金型によるプレス成形で機械部品を得る工程を意図して呼んだものです。粉体成形の工程を構成する大きな技術分野は2つに分けられます。

まず、粉末に形状を与える金型成形は塑性加工に属し、その成形体を強固にするための固化技術としての焼結という現象は熱処理に属すると考えられます。後者の焼結により、成形体に金属の持つ機械的特性を付与して製品となります。すなわち、粉体成形工程は機械技術と金属材料技術の両者を結合させ、機械部品の要求特性を満足させているものです。このようなことから、塑性加工が固体金属を変形させる加工であり、これに対し、粉体金属を変形・固化させることから「粉体成形」という言葉としました。

 工業的には、セラミックスの粉体への適応の方が先行していましたが、現在はファインセラミックスや金属間化合物などの粉体への応用研究も盛んです。さらには、分散強化型複合材料や機能複合型材料などへの発展も可能です。したがって、本書では電気などの応用物理や樹脂などの応用化学におよぶ広範囲な技術分野の従事者も含めて、粉体成形を分かり易く理解できるようにしました。

 さらに、機械工学や材料工学関連の大学や高専などで、粉体成形すなわち粉末冶金に関する講座をもっているところは、従来から非常に少ないです。また、焼結を中心とした専門書はいくつか見られますが、入門および応用的なものがないので、本書をなすに至りました。そのようなことから、学生各自が文献などを調べるに当たって参考になる基礎的な考え方や、自動車や家庭電機の製造に携わる機械部品設計者へ、感覚的に粉体成形による部品製造が分かるように、かつ応用の効くように実例を取り入れた技術解説も加えました。

 本書の記述に当たっては、(社)粉体粉末冶金協会や日本粉末冶金工業会などでの研究成果や事業成果を参考にさせてもらい、ここに深く感謝の意を表す次第です。

2011年6月
浅見淳一

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