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絵とき 続「旋盤加工」基礎のきそ
―スキルアップ編―

定価(税込)  2,700円

著者
サイズ A5判
ページ数 264頁
ISBNコード 978-4-526-06704-4
コード C3053
発行月 2011年06月
ジャンル 機械

内容

「絵とき 『旋盤加工』基礎のきそ」の続編。段取りに手間がかかる加工や特異な材質、形状の加工などについて、その基本的な事項を写真や図を多用してわかりやすくまとめる。旋盤加工のスキルアップを目指す人には必読の一冊。

澤 武一  著者プロフィール

(さわ たけかず)


1977年3月 滋賀県生まれ
2004年2月 国家検定1級技能士取得(機械加工職種、機械保全職種)
2005年3月 熊本大学大学院 自然科学研究科 生産システム科学専攻 修了 博士(工学)
2005年4月 職業能力開発総合大学校 精密機械システム工学科 助手
2005年6月 富士フイルムグループ フジノン佐野株式会社(現:富士フイルムオプティクス株式会社)6ヶ月実務研修カメラ鏡筒部品の切削加工、レンズ金型の超精密加工を学ぶ
2010年4月 東京電機大学工学部機械工学科准教授


●主な著書
『絵とき「旋盤加工」基礎のきそ』
『絵とき「フライス加工」基礎のきそ』
『基礎をしっかりマスター ココからはじめる旋盤加工』
『目で見て合格 技能検定実技試験・普通旋盤作業2級、3級・手順と解説』
『目で見てわかる旋盤作業』
『目で見てわかるフライス盤作業』
『目で見てわかる研削盤作業』ほか
いずれも日刊工業新聞社発行


●専門分野
砥粒加工、切削加工、超精密加工

目次

はじめに

第1章 汎用旋盤の構造と仕組み
1-1 主軸起動レバーの構造
1-2 主軸駆動ベルトの張力の調整
1-3 フットブレーキの高さ調整と主軸回転停止の仕組み
1-4 往復台の自動送り停止機能(その1)
1-5 往復台の自動送り停止機能(その2)
1-6 往復台の固定方法とその仕組み
1-7 心押し台の固定方法とその仕組み
1-8 主軸頭潤滑油ポンプの動力と潤滑油供給における注意
1-9 複式刃物台の内部構造
1-10 ベッド滑り面の形状とすべり案内
1-11 ベッド滑り面(V形)と自動送り伝達軸の位置関係(ナローガイドの原理)
1-12 刃物台の滑り面の構造(あり溝形状すべり案内とギブ)
1-13 きさげ面

第2章 切削工具の材質と特徴
2-1 切れ刃材質と具備すべき基本的性質
2-2 切れ刃材質に求められる条件
2-3 炭素工具鋼
2-4 合金工具鋼
2-5 高速度工具鋼
2-6 高速度工具鋼の成分と種類
2-7 超硬合金の成分と種類
2-8 JISによる超硬合金の分類
2-9 超微粒子超硬合金
2-10 サーメット
2-11 タングステンの危機とサーメットの開発背景
2-12 コーティング工具
2-13 セラミックス
2-14 CBN
2-15 多結晶ダイヤモンド焼結体
2-16 単結晶ダイヤモンド
2-17 各種切れ刃材質の切削条件の目安
2-18 不可避的切れ刃先端丸み

第3章 旋盤加工の極意
3-1 2点心出し
3-2 心の移行
3-3 固定振れ止めと移動振れ止めの使い方
3-4 開きヤトイを使った工作物保持(薄物の保持方法)
3-5 ヘールバイトによる外径加工
3-6 4爪単動チャックを使った180°偏心作業
3-7 4爪単動チャックを使った120°偏心作業
3-8 4爪単動チャックを使った2ヵ所偏心
3-9 3爪連動チャックを使った偏心作業
3-10 刃物台を旋回したテーパ加工の誤差
3-11 ダイヤルゲージを使ったテーパの軸方向の追い込み
3-12 心押し台を使ったテーパ加工
3-13 バイトの切れ刃高さと切削後の外径誤差およびテーパ角度誤差の関係
3-14 ねじ切りバイトの上すくい角と切れ刃先端角の関係
3-15 ねじ切りバイトの逃げ角とねじのリード角の関係
3-16 ねじ切り口出しの任意設定
3-17 ねじの位相合わせ
3-18 ねじ切り加工の切込み深さ
3-19 めねじの下穴の径とひっかかり高さの関係
3-20 めねじの下穴の径の簡易算出法
3-21 台形ねじのねじ切り加工
3-22 隅部の仕上げ加工の手順
3-23 高速度工具鋼チップと超硬合金チップによる端面の仕上げ加工の違い
3-24 センタ穴ドリルの小径と工作物直径の目安
3-25 突っ切りバイトを使用した切断加工と前切れ刃角の関係
3-26 穴ぐりバイトの取付け角度の適合と不適合
3-27 穴ぐりバイトの切れ刃高さとすくい角の関係
3-28 穴ぐりバイトの前切れ刃角と送り分力の関係
3-29 リーマ加工

第4章 加工現象とその理屈
4-1 切削抵抗の3分力
4-2 バイトの突き出し長さとたわみ量の関係
4-3 びびりの種類
4-4 切削抵抗とびびりの関係
4-5 びびりの振幅と周波数の関係
4-6 びびり痕による振動周波数の推定方法および「強制びびり」と「自励びびり」の見分け方
4-7 主軸の共振点の確認方法と固有振動数の確認方法
4-8 再生びびりによる「びびり痕」が左上がりの傾きになる理由
4-9 「再生びびり」を発生させない考え方
4-10 粗さ曲線(仕上げ面粗さ)とうねり曲線
4-11 すくい角と切りくず厚さの関係
4-12 切りくず厚さから切れ味を求める(せん断角と切りくず厚さの関係)
4-13 切りくずのせん断変形の大きさ
4-14 切りくずの流出速度
4-15 逃げ角の意義
4-16 「逃げ面摩耗」と「すくい面摩耗」
4-17 V-T線図のつくり方
4-18 超硬合金チップと高速度工具鋼チップの寿命曲線の違い
4-19 V-T線図の見方(V-T線図の実務的使用方法)
4-20 V-T線図の実用上の寿命判定基準
4-21 実用的なV-T線図の例
4-22 経済的切削速度の考え方
4-23 「ばり」(エッジ品質)のJIS規格

索 引

はじめに

 本著は2006年に発刊した「絵とき 旋盤加工 基礎のきそ」の続編として、「スキルアップ」を目的に執筆しました。本著は、全4章となっており、著者の実務経験に基づき、1章と3章では、技能者の目線で、汎用旋盤の構造と旋盤加工の極意についてまとめました。一方、2章と4章では、技術者の目線で、切削工具の成分と特性および切削現象のメカニズムについて解説しています。

 旋盤加工だけでなく何事も同じですが、高いレベルに到達するためには、実務と理論の両方を兼ね備えることが必要です。ドイツの経営学者は、高い見識を有した労働者を「テクノロジスト」と定義し、ものづくりの競争力は「テクノロジストにより決まる」と提言しています。現在、日本のものづくり力は低下傾向にある一方で、新興国は急速にものづくり力を高めています。すなわち、日本に必要とされているのは「テクノロジスト」であり、企業や教育機関としては、テクノロジストを育成すること、労働者としては、自発的に自身の能力を高め(自己研鑽し)、テクノロジストを目指すことが大切です。めまぐるしく変化する世界経済の中で、テクノロジストを育てた企業が残り、テクノロジストになれる労働者が重宝されると考えます。

 このような見地に基づき、本著は、実技と理論(技能と技術)を融合した内容とし、現在、旋盤加工を行っている方、機械加工技術に携わっている方のスキルアップとして有意義な1冊であると自負しております。本著が、テクノロジストへ近づくための一助になり、日本のものづくり力の向上に寄与できれば大変嬉しく思います。なお、本著では、難易度の目安として、各ページにアンテナを立てました。本著を読まれる際の参考にして頂ければと存じます。ただし、アンテナの難易度は、著者の主観によるものです。この点は何卒御了承ください。

 さて、東日本大震災により、「ものづくり」の海外シフトが加速するのではないかと危惧しています。今、日本のものづくり産業に必要なことは、震災を糧に、環境に依存しない生産システムを見直すことであり、その取組みが未来の省エネルギ化、環境対策に結びつくものと考えます。「強いもの」が生き残るのではなく、「環境に順応したもの」が生き残るのは、進化論でも証明されています。今後の「ものづくり教育」では、「ものづくり」による「人づくり」に加え、「社会づくり」を考えることも責務といえます。本著を通して、読者の方々に上記のような考えを持って頂ければ幸甚です。

 最後になりましたが、本著を執筆する機会を与えていただき、いろいろと御支援いただきました日刊工業新聞社の奥村功様、エム編集事務所の飯嶋光雄様に心から御礼申し上げます。

2011年6月
澤 武一

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